日本パラグライダー協会
 
5月11日
5月12日
5月13日
5月14日
5月15日
表彰式


参加選手コメント
・水沼典子選手
・呉本圭樹選手
 
 
 
 
プレワールドカップ in 韓国
HAPCHEON Paragliding Open 2005 & Pre-World Cup
2005年5月11日〜15日
開催地 : Dae Am山(海抜591m)Hapcheon州、Gyeongnam郡、韓国

オフィシャルホームページ : http://www.flyhapcheon.com/

<プレPWC韓国参加選手>
扇澤 郁(チームリーダー)
小名木伸枝
呉 吉植
佐藤良行
大澤行英
水沼典子
佐藤良太
金川利幸
内藤 丈
吉川正雄



【5月11日(水)】
大澤行英 選手レポート

プレワールドカップは12日から15日の4日間、プサンの西に位置する、ハプチャンエリアで開催されます。

本日11日は公式練習が南西風のブルーサーマルの中行われました。サーマルトップは1500mと低い中、20kmほどのタスクをこなしました。

エリアの特徴は、背の低い緑の豊富な丘陵地が続くため地表の風は複雑に動き、風向きと山の形により、風のよどむ暖かい場所から教科書どおりにサーマルが発生する興味深いエリアです。PM7:00から開催されたオープニングセレモニーでは、おいしく豊富な韓国料理が振舞われました。インスクリプションは現在PM9:30から始まり、まるでスペインで開催される大会並みのペースで大会が進行しています。
 
写真は、トランジット中の大沢選手(バーズパラグライダースクール)その他、エリアの特徴です。
JPAの若手も、参加してワールドカップのセレクションのポイントを狙っています。

JPAメンバー

若手3人

練習日 大沢選手



【5月12日(木)】
扇澤 郁 選手レポート

TASK1 36.9km RACE TO GOAL

午前中1500m付近の雲の動きから、予報どおりの風の強さ(北西風20ノット)が見て取れました。現地の気象予報士は、日中の雲低高度は1800mまで上がり、午後にはブルーサーマルのサーマルトップは2000mを超えるだろうと予想されました。

私扇澤、MAXを含めたタスクコミッティーは、スターとパイロンを南西方向に16kmに設定しゴールはそのまま21km南下した地点に設けられました。

ゲートオープン13:15ごろのテイクオフの風向は、北東から北西への変わり目で安定せずテイクオフミスが続出しました。このころにテイクオフできた30名あまりのパイロットは、東へ移動するコンバージェンスラインにに乗り、スタートの14:05分を待ちました。

コンバージェンスラインがテイクオフ上空から東へ移動してしまった後のテイクオフ前は、大変渋いコンディションがしばらく続き、40名近くのパイロットがボムアウトしてしまいました。

レースは1900mのコンバージェンスラインの雲低からスタートしたグループと、テイクオフから直接ファーストパイロンに向かった組に分かれて展開されました。スタート後上空は強い北西風に支配され、ブルーサーマルの展開となりました。コンバージェンスの雲低からスタートしたMAX、GINらはファーストターンポイントまでグライドしたところで対地高度200mを切りましたがなんとか上げきりゴールへファイナルグライドをかけました。

仮発表
1  マックス  1時間 10分  579
2  JIN OH  1時間 12分   555
3  GIN  1時間 12分  554
15  水沼  1時間 55分  416
33  呉本  18.1km  260
34  扇澤  17.9km  258



【5月13日(金)】
扇澤 郁  選手レポート

朝9時に電話連絡で届くJPAの気象予報を参考にタスクコミッティーは48kmのタスクを設定しました。気温減率はすこぶるよく、3時にピークになる予想がそのまま的中しJPAのメンバーはイメージした思いっきりの良い飛びができました。トップはGINGLIDERSのセイヤンがMAXと扇澤に競り勝ちゴール、10分遅れでセカンド集団が吉川さん、呉本、大沢、佐藤良太とゴールを決めました。水沼さんは今日もゴール8km手前まで距離を伸ばし、女子トップを維持しています。

Task2 ガグル

Task2 佐藤良太選手


Task2 大澤選手

呉本選手 初ゴール
  トップゴール

総合1位のマックス




【5月14日(土)】
扇澤 郁  選手レポート

良行、良太の佐藤兄弟が真っ先にテイクオフし、58kmのレースが始まりました。メインの尾根をアウトアンドリターンした後、西のゴールに向かうタスクは、高層雲が午後には消え良好なブルーサーマルのコンディションになるであろうとのことで決められました。

スタート直後は尾根上の活発なサーマルを利用したスピーディーなレースとなりましたが、フラットランドの様子はいまだ渋く、レース中盤はゆっくり駒を進めていく展開となりました。後半思いもよらなかった中層の雲が発達してしまい万事休す。トップ集団が距離を伸ばす為にグライドをかけてレースは終了しました。


task3 真っ先にテイクオフした2人とそのファン

タスク3トップ集団の佐藤良行

task3トランジッション

タスク3佐藤良太



【5月15日(日)】
扇澤 郁  選手レポート

最終日は良好なコンディションの中、42kmのアウトアンドリターンタスクが組まれました。スタートと同時に抜群のコンディションとなり、ワールドカップ並みのレースが展開されました。先頭集団には今日までの総合1位のマックス、2位のジン、4位のジノ、5位のスーヨン、そして扇澤が入り、セカンド集団を寄せ付けないスピードでタスクをこなしました。最終レグでライン取りの良かった扇澤が、そのまま逃げ切り、4分ビハインドでジン、マックス、ジノがゴールを決めました。

総合優勝はマックス
韓国選手権はジンに決まりそうです 。
トップ3



【表彰式】
扇澤 郁  選手レポート

水沼さんは最終日ゴールを決めダントツで女子総合優勝、パンアメリカンカップ以来2度目の栄冠に輝きました。
総合は今年からアエロタクトチームで飛ぶ、ジャン・ピエール・マックスが完璧なとびで総合優勝を果たしました。
 
JPAチームは、初日に出遅れましたが粘り強くポイントを重ね扇澤が4位、大沢が7位、呉本が8位に食いこみました。

呉本、大沢の二人はプレワールドカップセレクションツアーの上位入賞を果たしたことで、来年のワールドカップへの参戦が確実なものとなりました。
おめでとうございます。

男子総合


女子1位

女子総合
 
セレクションツアー

上位入賞

・・・ 参加選手のコメント ・・・
女子第1位
水沼典子選手
PRE PWC 韓国レポート
     
PRE PWCが開催されたHAPCHEONは釜山から車で約2時間、日本との時差もなく、距離も近いし、景色も日本の田園風景のようで海外での競技経験を積むには最適の場所です。

競技初日の気象予報は、低気圧の通過後で上空は北西風が10m/sくらい吹く、と聞き、日本での同様の場面を想像して、やや不安になりましたが、ゲートオープン。韓国では多少風が強くても普通にみんな飛んでるそうです。

そして、飛んでみたらやっぱり風が強いし、荒れ気味。最初のターンポイントまで約10kmの距離をまっすぐ飛んでいるだけなのにやたら時間がかかり、時には対地速度が10km/h以下になったり、機体が潰れたり、アップダウンが激しかったり、とひたすら我慢のフライトが続きました。ですがターンポイントをとった後は、コンディションはがらりと変わり、+2〜3m/sの穏やかなリフトで、ゴールに近づくにつれてどんどん高度が上がってしまう、という心安らかになれる天国のような状況でした。我慢した甲斐がありました。

しかし、初日にゴールしたものの、2日目・3日目は判断ミス等でゴールできず。最終日は絶対にゴールする!と念じ、かなり低いところを這い蹲る場面が何度かありましたが無事ゴール。そして、結果女子の部で優勝することができました。

今回の大会は、チームリーダーの扇沢氏を中心にJPA参加メンバーでフライト前にミーティング、フライト後は全員のGPSログデータで解析、というスケジュールで、しかも毎日競技成立、と非常に充実した勉強をさせていただき、フライトに集中することができました。このような機会を作っていただいたJPA関係の皆様、また一緒に参加された皆様、いろいろとお世話になりありがとうございました。来年も同じ場所でPWCが開催される予定ですので、ぜひこの経験を活かしていきたいと思います。

第8位
呉本圭樹選手
初の海外試合ということで不安も緊張もありましたが、それ以上にワクワクする気持ちが強く出発の時にはニヤリとした顔を引き締めるのが大変でした。天候にも恵まれ練習日を含めると5日間フルにフライトをすることが出来て、『こんなに飛べて幸せ』でした。

毎日毎日タスクは方向違いにロングタスクが組まれ、いまいちよく判らない地図を頼りにフライトを行うことは自分の冒険心をくすぐるには十分なものでした。

Task2でのゴールは私にとって非常に大きな意味を持つものになりました。あわてず騒がず第二集団で大澤さんとともに確実に距離を伸ばしていくとゴール手前10kmのところに聳え立つ1000mの山。観光客が手を振るのを尻目に見つつ、手を振る余裕もなくひたすら高度を獲得、ゴールしたときの喜びは格別なもので、雄たけびを上げたくなるほどうれしかったです。

韓国パイロットの非常にアグレッシブルなフライトに驚きつつも「負けてたまるものか」と睨みを利かせてフライトしていきました。時にはもう降りてしまうかもしれないと思うくらい高度も下がったりもしましたが、「ゴールだけは確実にする」と強く思い続けました。

毎日のJPAチームの毎日行ったミーティングや一緒に行っていたメンバーのサポートのおかげで非常に高いポテンシャルを維持して望めたことは本当に自分にとって大きなものでした。

今回ようやく自分の目標に一歩踏み出したような実感を持つことが出来たことは最大の収穫でした。日本とは違う気象条件を肌で感じ、世界のトップ集団との歴然とした差を見せ付けられましたが、これからの目標がより具体的になりました。