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このページではPWCに出場している選手からのリポート随時掲載していきます。 
PWCフランス リポート
 画像をクリックすると大きくなります。また、成立したタスクでは地図をクリックするとパラグライダーが動きます。
6月20日

Task1 56.3km RaceToGoal taskキャンセル

 朝は小雨が降っていたが、次第に回復してきた。予定どうりラ・フォクラTOへ移動。日射が遅かったため、雲底が上がるのをひたすら待つことに。タスクは先に発表され時間はコンディションの好転を見て後から、発表されることとなった。アネシー湖北半分を2周し、南湖畔のドーサGoal。スタート前はコンディションは好転して2000mの雲底でほぼ全選手待機でき、プランフェTO上空で一斉にスタート。アネシー町へ向かう定番コースの湖畔北西に延びるリッジに沿って飛ぶ。しかし何かおかしい!?いつもなら湖側から吹き上がる風なのに裏の北側から強く風が吹き降ろしていたのだ。少し低く突っ込んだ集団はもみくちゃになりながら、慌てて引き返してきた。何とか尾根を越したパイロットも尾根上でホバリング状態。どうやらアネシー町北側で降っていた雨雲からの吹き下ろし風が押し寄せてきたようだ。パイロットコミッティは無線で危険をオーガナイザーへ伝え、タスクキャンセルがコールされた。選手はバックしながらランディングするほど風が強かったが、大きなトラブルも無く無事だった。局地的な奇妙な風だったためにオーガナイザーも選手も予想することができなかった。

6月21日
  
Task2 74.6km RaceToGoal
 雲は多めであっても晴れ。今日は早めにラ・フォクラへ移動。アネシー湖周辺を大きく回るタスクが発表された。13:00ウインドオープン。13:50に湖中央にあるターンポイント3kmのビックシリンダーでスタート。前半はまさにワールドカップ!!集団はハイスピードを維持してガンガン突っ込む。しかし、中盤戦に落とし穴!アネシー湖を渡る前にオーバーキャスト。コンディションは渋くなり、プランフェ上空でなんとか湖渡りのための高度をとるためにスタック!痺れを切らした、地元フランスパイロットが低く渡り始めたのに付いて行くように続々と突っ込む。しかしここで更なる落とし穴が・・。いつもは低く着いてもかならず上がるアネシー湖対岸のリッジは渋く、狭い空域に100機が溜まることに。リッジにこだわらずさらに谷の中に入っていった判断良いパイロットが弱いリフトをキャッチ!くもの糸に群がるように様に一斉に集まり、確実に上昇して行く。さすがワールドカップ!スタックはしたもののほとんどの選手が降りることなくタスクをクリアーして行く。そして本日の運命の分かれ道がやって来た。平野にあるパイロンを取った後は向かい風のジグザグな細い谷を越えなくてはならない。正一郎を含むトップ集団は南斜面である谷の右岸をインベタで抜けていく強攻策をとった。しかし谷はジグザグに蛇行しているためにリフトは続かず、トップ集団はほぼ全滅。それを見ていた、やや後方の集団にいたフランスパイロットは何と対岸に渡り始めた。確かに蛇行している谷は風が受ける斜面が両岸に交互に生まれるために、リフトが無くなれば対岸に渡れば良いことになる。そして対岸に渡ると見事にリフトが発生しており、セカンド集団から次々に後に続き谷をクリアーしていった。その後は落とし穴はなく、見切りよくゴールに突っ込んだ辻、扇沢は大きく順位を上げ同着17位でフィニッシュ950点。宮田は20位925点。初日まずまず良いポジションをゲットした。長島も55位と手堅くゴールを決めた。

6月22日、23日 寒冷前線通過のためキャンセル。

 寒冷前線通過のためキャンセル。フランス選手権から毎日飛べていたため、やっと休むことができた感じ。各自ハーネスの再調整をしたり、レポートを書いたりとゆっくり休む。いつもお世話になっているアランさん自宅垣根のガーデニングをやった。庭師に憧れていた水沼さんは燃えていた!
6月24日

Task3 63km エラップス・タイムレース
 前日までの雨も上がり晴れてきたが、湿度が多く雲底も低い。大気は不安定で所々ではシャワーが・・。いつものテイクオフに上がるが、今日のウェイティングは長くなりそうだ。日本と違い、サマータイムで日照時間が遅くまで続くことから、夕方まで待てばたいがいタスクはできるからである。コンディションの変化を見ながらコミッティは3回タスク変更。選手はそのたびにGPS入力を変えなくてはならず、ブーイング!最終的にアネシー町北東の平野にあるターンポイントから8kmのビックシリンダー15:00〜17:00スタートのアネシー湖を大きく一周するコースでエラップスタイム・レースに決まった。8km円周の風上側はちょうどアネシー湖上からアネシーの町上空となる。ビックシリンダースタートの場合、待つ場所は普通は数箇所に絞られるのだが、今回は湖上空に雲が形成され、8kmの円周上かなり広い範囲でスタートを待つこととなった。ブルース・ゴールドスミス、シャル・カズ−、宮田、扇沢を含むファースト集団は16時40分ごろにスタート!発達した積雲にスタートポイントが覆われたタイミングで前半はガンガン飛ばす。オーバーキャストした雲の割には、コンディションは良い。スタックすることなく定番のコースを一気に回ることができた。ゴールは最終パイロンからアゲンストでアネシー町の湖畔にある公園だ。町の上を低くファイナルグライドするのはさすがにドキドキした。ファースト集団はほぼそのままのメンバーでゴールへなだれ込む。そして扇沢はファーストゴールを決めた。後発組からは正一郎が追いつき宮田と同時にゴールカット。普段は降りることができない公園で、後発スタート組の様子を見守ることとなった。ほとんどの選手は最後のスタートタイムとなる17:00にスタートしていた。やはり遅い時間がコンディションも良くなり、その分速かった。

 トップで1時間41分の驚異的なスピード!スイスのクリスチャン。扇沢は1時間45分で4位。正一郎は16位。宮田はビックシリンダー8kmをリスタートしておらず、痛恨のミス・・順位を大きくおとした。辻56位、長島74位でゴール。水沼、平木はゴールクローズの10前にギリギリゴールカット。日本チーム全員がゴールとなった。20:00を過ぎてもガンガンのコンディションが続くとは恐るべしアネシー!
6月25日

Task4 78.9km RaceToGoal
 大会始まってから最高のコンディションとなった。テイクオフから北西23kmにあるグラン・ボルノからアネシーの町を越え、対岸のセムノースを回り、帰ってくる78,9kmのビックタスクが発表された。難易度は高いけど、ジョエルのトレーニングセミナーで練習した空域だったので自信があった。スタートはファーストターンポイントからのなんと20kmのビックシリンダー。ほとんどの選手はプランフェ横のラフォン(1800m)で待機していたが、辻、宮田はラ・フォクラ横のラ・トーネット(2800m)上空3000mで最高のスタートを切る。通称Hマウンテンのラシャットまでの10kmを一気にグライド。前半は正一郎が先頭グループを引っ張る形で進む。雲底3000mでコンディションは最高!アルプスならではのガンガンのスピードレースとなった。このまま最後まで行くかと思われたが、北の平野に入った所にあった、第2ターンポイントは強い南西風により難所となった。低く突っ込んだ先頭集団は吹き抜けの荒れた空域でホバリング状態。やや高く行っていた宮田は楽だったが、低かった扇沢、辻、正一郎はかなり苦しむこととなった。普段なら絶対降りてしまいそうな局面もPWCの選手は何とかクリアーしてしまう。選手のレベルが高いだけではなく、競技フライトであることで集中力が増すのだろうか?本当にPWCは凄い!そして難関をクリアーした集団は次々とアネシーを越えセムノース西斜面へ入っていく。やはり南西風が強く、進みが悪いがリッジに沿ってターンポイントまで進むことができた。しかしまたもや落とし穴・・。風が強すぎてサーマルが上がりきらないのだ。一発強いサーマルで上げてしまえば一気に湖を越えファイナルグライドに入れるのだが、その一発がこない。土壇場でコースは2つに分かれた。正一郎が引っ張る集団は強引に東側の尾根にこぼれるコース、地元フランスパイロット達が引っ張る組はアネシーの町へ引き返し、湖を迂回するコース。(辻、宮田、扇沢を含む)結果は急がば回れだった。正一郎組は東尾根が渋くスタック・・。確実にリフトがあったアネシー町への迂回組は西湖畔をスピードにのって一気に回ることができ先にゴールへたどり着くことができたのだ。辻15位、宮田22位、扇沢26位、正一郎47位。遅れていた長島はセムノースから低い高度でダイレクトに湖渡りの大勝負に!湖上の良いリフトラインを縫うことに成功!見事ゴールを決めた。(65位)波乱のタスクが3本終わって扇沢が4位!辻13位、宮田17位。
6月26日

Task5 68.3km RaceToGoal
 ついに最終日。総合4位の扇沢とトップとの点差は数十点!今日のタスクを制した者で優勝が決まる。コンディションは快晴なのだが、1500mぐらいにくっきりと逆転層が見えて、大気が安定しているのが分かった。今日もウェイティングが長くなりそうだ。しかし「待てば必ずできる!」選手の間ではアネシーの常識となったいて誰もあせらない。そして68.3kmの最終日にふさわしいタスクが組まれた。渋めのコンディションから内陸の山岳を飛ぶタスクだ。前半は昨日と同じグラン・ボルナのリターン。その後プランフェに戻ってきてから、いつものパーマロンを取ってプランフェがゴール。予想どおり山岳ステージの前半戦はハイスピードで進む。そしてやっぱり落とし穴が!!プランフェのテイクオフ周辺の低高度は激渋!いつものように低く突っ込んだ先頭集団は大きくスタック!そしてその中には正一郎、扇沢も含まれていた。優勝が架かっていた扇沢は何とか切り抜けようと、回り込めば低くても上げるアネシー湖側に大勝負にでる!しかし、いつもは吹き上がっている斜面も今日はダメ・・。無念のランディングとなってしまった。先頭集団のスタックをやや後方から見ていた宮田は、ターンポイントを高くクリアーしそのままラフォン前をパス、一つ奥の尾根へこっそりとグライドして勝負へでた。幸運にもバレーウィンドが当たった斜面はそこだけ強い日射があり、直ぐにサーマルをヒット!リフトのハイウェイとなるいつものパーマロンの岩盤へ突っ込む。ハイウェイでは根性のアクセル勝負となった。宮田苦手のリッジ際のアクセルワークであったが、トレーニングのかいあって何とかハイスピードをキープ。そして、そのまま4位でフィニッシュ!正一郎はスタックはしたが32位できっちりゴールを決めた。
 総合成績は最終日良かった宮田が8位に浮上。扇沢13位。辻20位。正一郎35位。長島64位。ヨーロッパでのPWCは初出場の平木は95位と健闘した。
 リフトが続く山岳をガンガンのスピードで飛ぶ、最近のPWCレース展開が捻りのあるタスク設定とトリッキーであったアネシーのコンディションに翻ろうされた大会であったように思う。特にフランス選手権で優勝した絶好調の正一郎は常に先頭集団を引っ張る良いレース展開をしておきながら、トリッキーなコンディションの変化に不運なところが多かったように思える。逆に宮田は少し遅れたところで安定したフライトで切り抜け、運も味方についていたようだ。今回のスピードだけではなくテクニカルな一面を見せたタスク設定にはパラグライダー競技の原点に戻ったように思えた。
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