PCL第4戦 安比高原オープンカップレポート

開催地:岩手県八幡平市 安比高原
主催:七時雨パラグライダースクール
後援:八幡平市、(株)岩手ホテルアンドリゾート
協力:寒風山パラグライダースクール、トントンとんびパラグライダースクール
レポート:宮田歩


<プロローグ>
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関西、関東地区が梅雨本番となるこの時期に、前線から遠く離れた北東北で大会開催すれば!そんなコンセプトで開催されてきた安比高原オープンカップも今年で5回目です。
今年は5月・6月と連日クラウドベースが2000mを超える素晴らしいコンディションが続いたこともあり、今年こそ岩手山ゴールが組まれるのでは!そんな期待いっぱいに33名の選手が安比高原に集まりました。

<7月10日(土)>
遠く関東から早朝に到着した選手は、大会本部でもある七時雨山荘で仮眠させていただき、しかも暖かい朝食でお出迎えです。これはうれしいサービスですね。
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列島を襲ったゲリラ豪雨は容赦なくこの北東北地方にも襲来し、昨晩から土砂ぶりの雨が続きました。早朝に雨は止んだものの、前線通過後の西風強風となり、残念ながら飛べそうにありません。開会式、ジェネラルブリーフィングは大会本部でもある七時雨山荘食堂で行われました。
昼過ぎに風が収まる予報も出ているため、お昼まではウェイティングです。チャレンジリーグ恒例のベーシックセミナースケジュールを早めて開催していただきました。講師は今大会競技委員長でもあるJPA副会長の小野寺さんです。テーマは「サーマル発見能力」。選手でなくても聞きたい!多くのパイロットが参加していただき皆さん真剣です。「サーマルは温まる地表とそこに空気が留まる環境が必要!」なるほど温まる場所だけ探しがちですが、風の淀みがないと空気はサーマルにならないのです。勉強になりましたね。セミナー終了後も風は収まらず、残念ながら今日の競技はキャンセルが発表されました。夕方にはBBQパーティが開かれました。山形名物高級サクランボがとんとんトンビ植木さんから協賛いただき、選手、スタッフ種飛ばし大会が開催され大いに盛り上がりました。お酒も進みますが、ほどほどに。皆さん、明日のために鋭気を養いました。
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<7月11日(日)>
眩しいほどの快晴の朝です!風も弱くテイクオフのある前森山山頂にはポツポツと積雲が形成され、絶好のコンディションが期待されます。午後から高層雲が広がる予報も出ているため、早めにテイクオフへ移動です。ここ安比高原はゴンドラで1300mのテイクオフまであっという間です。10時には全員が山頂に集合することができました。昨晩降った雨のせいで、サーマル活動と共にテイクオフのある山頂は雲の中に・・・。安比高原周辺は快晴なのに、無情にも前森山はまるで雲の帽子をかぶっている様です。とにかく雲底が上がってくるのを待つしかありません。セカンドTOにて雲が上がるのをひたすら待ちます。
13時を過ぎたころにやっと、地表が見えてきました。オープンクラス22㎞、チャレンジクラス12㎞の前森山周辺を周回するタスクが発表され、いよいよウインドオープンです。やや高度の低いザイラーTOからまずはオープンの選手からテイクオフしていきますが、5名の選手がテイクオフした後、再び雲底が下がりテイクオフはガスの中・・・。フライト中のセーフティコミッティから雲底のレポートが届きますが、テイクオフレベルから100mは下がっている様子です。
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選手はいつでも飛びたてる準備で待ちますが、「このままテイクオフがクリアーになっても視界が悪く、競技が安全に行われることは困難」競技委員長の英断により残念ながら競技はキャンセルとなりました。うーん残念。午前中の素晴らしいコンディションが目の前にあっただけに非常に残念です。
下山後は帰着報告が終了した後、大会本部では新たなタスクが発表されました。「フリーディスタンス!」といってもパラグライダーではなく、山形名物「サクランボの種飛ばしフリーディスタンス」です。こんなところで昨晩の練習がいきるとは・・・。賞品がかかっているだけに皆さん真剣です!真剣に種を飛ばす姿に思わず笑ってしまいます。飛べなかったけど楽しく閉会となりました。

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来年は今年BESTコンディションとなった6月第2週目に開催が決定しました。この時期の北東北地方は梅雨入りしていないはず!これで安比エリアを存分に使ったビックタスクが組める!北東北で大会を開催し続けていただける主催者の七時雨パラグライダースクールの皆さんには本当に感謝です。ありがとうございました。
来年もこの安比でお会いしましょう。皆さんお疲れ様でした。
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選手育成基金による国際大会出場選手の援助について

今回、選手育成基金の活用により、
村上恭子選手をPWCイタリアに派遣させていただきました。
天候に恵まれず、思うような飛びはできなかったようですが、
なにかしら良い経験になったのではないでしょうか?


さて、今後も競技事業部では、選手育成基金による国際大会出場選手の援助を行っていく予定です。


育成対象となっている選手のみならず、
ワールドカップ、プレワールドカップ等の国際大会への強い意欲をお持ちの選手を競技事業部では支援していきたいと考えています。


我こそはと思われる方は、出場希望大会を選定の上、
宮田競技事業部長もしくは、お近くの競技事業部委員までご相談ください。
申請方法等をご案内いたします。


ワールドカップ出場、そして表彰台獲得を目指してがんばっていきましょう!


PWC イタリア レポート

レポート:村上恭子


<練習日>

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 ローマから南に車で2時間のところにあるサンポティートという小さな街に来ています。
 金曜日、土曜日両日とも絶好のコンディションのもとフライトでき、全部ではありませんがエリアを確認することができました。
初めてのヨーロッパでのフライトで、テイクオフでは口数少なく緊張気味ですが、扇澤さん、水沼さん、大澤さんという心強いメンバーのおかげで、また、あまり高い山もなく、海も近いこともあって穏やかなサーマルの中楽しくフライトできています。
 宿泊場所もランディングのすぐ近くのアグリツーリズモという農家が経営している宿で、毎日とても新鮮な食材を使ったとってもおいしいイタリアンを頂いています。
 良く食べ良く寝て、明日以降の大会は楽しめたらと思っています。


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<7月4日 大会初日>


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 今日は北風なので、メインランディングがある山の南側ではなく、北側のテイクオフを使いました。大型バス3台、2時間かけての移動です。そしてバスを降りるとテイクオフまで100mの高低差で15分の登りが待っています。日ごろの不摂生が身にしみます。
 今日のタスクは山脈の北側の往復の後、山を越えて南側を往復する79kmのタスクが組まれました。スタートしてから1時間をちょっと過ぎたあたりで、積乱雲が発達し雲底も低く山を越えられないということでタスクストップになってしまいました。
 明日以降天気が一日持つことを期待します。


http://www.fastretrieve.com/PWCA/2010/5.html



<7月5日 大会2日目>


 毎朝9時にテイクオフへのバスが出発しますが、8個あるテイクオフのうち、どこのテイクオフに連れて行かれるかは行ってみるまでわかりません。今日は昨日とは違う方向にバスはスタートしました。1時間ほどで山の上の湖のほとりにおろされ、小さい車に乗り換えて15分ほど、今日は歩かなくてすむのかなあ、なんて思っていたら大間違い、そこからさらに40~50分歩いてようやくたどり着いたテイクオフはガスの中でした。


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 今日は南南西の風ということで、昨日とは逆向きのテイクオフになったようです。しばらく待ち、平野をジグザクに飛ぶ62kmのタスクが発表されたのですが、雲底も低く、今日も積乱雲が発達する可能性があるということで安全を考え1時過ぎにはタスクキャンセルとなってしまいました。
 その後フリーフライトになりましたが今日も15時過ぎに積乱雲が発達してしまい、長く飛んでいた選手も急いでランディングしていました。
 ここサンポティートの住人は本当にフレンドリーで、今日は空き地におろすとすぐに駆けつけてくれ、家の綺麗なお庭でパッキングしろと連れて行かれ、パッキングが終わるとサンドイッチやお茶やコーヒーなど出してくれ、さらには宿まで送ってくれました。
 地元の人との交流も楽しいですが、やっぱりサーマルいっぱいの中、長く飛んでゴールしたいです。




<7月6日 大会3日目>


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 今朝起きると山はどんよりした雲に覆われていましたが、テイクオフに上がるころには雲はなくなり、飛べそうな雰囲気になってきました。今日も新しい南東向きのテイクオフへ移動しましたが、次第に出来てくる雲の雲長は高く、今日も不安定な大気なのがわかります。
 本日のタスクは昨日と似た平野をジグザクに飛ぶ52kmのタスクが組まれましたが、サンダーストームの発達が早いことが予測されており、なるべく早い展開を期待して、ウインドウオープンから+30分のエラップスタイムとなりました。11時55分にウインドウオープンしましたが、10分もしないうちにタスクストップになってしまいました。その後14時を過ぎた頃には雷が光り、どしゃぶりの雨となりました。
 サンポティートの街に帰って来てから、まだ見ていないメインテイクオフを見に行きましたが、今日も道がわからず迷っていたら、おじさんがテイクオフまで先導してくれました。本当にいい人たちです。
 明日もまた不安定な予報なようですが、タスクが出来ることを期待したいと思います。




<7月7日 大会4日目>


 今日は、積乱雲の発達が午後の早いうちから予測され、テイクオフにあがることなく、タスクキャンセルとなりました。その後、近くのテイクオフにあがりフリーフライトしましたが、14時前には雷がゴロゴロいい始め、雨も降ってきました。積乱雲は今日までで、明日は北風が強い予報です。タスクが出来るといいのですが・・・。
 イタリアのレポートではないですが、来年のPWCをスーパーファイナルシステムか、以前のようなワールドカップツアーのどちらにするかもうすぐ投票を実施するそうです。デリゲートのグザビエさんが「日本人のパイロットのみなさん投票してね」って言っていました。メールが来た方は、是非投票を!


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<7月8日 大会5日目>


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 今日は早朝から予報どおり強い北風が吹いていました。いつも9時にテイクオフに向けてスタートするバスは、なかなかスタートせず、結局テイクオフにあがることなく今日もタスクキャンセルとなりました。
 今日はバスで2時間のところにある世界遺産のポンペイ遺跡にツアーが組まれ、行ってきましたが、18時ごろサンポティートに戻ってきても、まだ北風が強く吹き込んでいました。
明日は、昨年スーパーファイナルが行われたノルマでタスクをする可能性もあり、いつもより1時間早く集合してテイクオフに向かうことになりました。後二日、なんとかタスクができること願っています。


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<7月9日 大会6日目>


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 今日は結局ノルマへは移動することなく、初日に利用した北側のテイクオフ(高さ1700m) に移動になりました。今日は2000m付近の風が非常に強く、また2000m~3000mに強い逆転層があるという予報でしたが14時スタートの78kmの山沿いを往復するタスクが組まれました。渋い上に風も強く高度もあまり取れないため、みんな牽制しあいながらのスローペースで、先にどんどん進んだ選手は降りてしまったりしていましたが、しり上がりにコンディションは良くなり大量ゴールとなりました。
 扇沢さんは4番目にゴールメイクし、大澤さん、水沼さんも手堅くゴールしましたが、強い風に慣れていない村上は2つ目のパイロンを取った後で降りてしまいました。
 明日はそれぞれ悔いの残らないように頑張りたいと思います。


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<7月10日 大会7日目>


 今日も快晴の空で雲ひとつなく、昨日と似たコンディションで、2000m付近に強い逆転層があり、昨日よりやや風が強い予報でした。昨日と同じ北側のテイクオフにあがり、山沿いを往復する72kmのタスクも組まれ、ゲートオープン時間には皆スタンバイしておりましたが、オープン時間になってもテイクオフの風が強く、しばらくウェイティングが続いた後14時前にキャンセルとなってしまいました。20時から閉会式が行われ、イタリアでのワールドカップは幕を閉じました。
 すでにスーパーファイナルにセレクションされているJPAメンバーは、ヨーロッパラウンドで良いシミュレーションが出来たようで、本番に向けそれぞれがトレーニングの課題をみつけました。


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PWCギリシア参戦!

ご報告が遅れましたが、6月19日~29日にて、
PWCギリシアにJPAから中井正人選手が参戦しました。
結果は、...だったようですが、がんばって飛んでこられました。
中井選手の参戦レポートはこちらからどうぞ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/nakaigin


また、7月17日~24日にて実施される
PWCアメリカには、JPAより宮田歩選手、中井正人選手、小林泰選手が参戦します。
大会の模様は、随時、競技事業部ブログにて、ご報告いたします。
応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


村上恭子選手 ワールドカップ イタリア参戦!

7月3日~10にて、実施されるワールドカップ イタリアラウンドに、
村上恭子選手(エアパークCoo所属)が参加します。
競技事業部にて協議の上、選手育成基金を適用し、渡航費等を援助させていただくこととなりました。
村上選手の活躍に乞うご期待です!
この他、JPAからは、扇澤郁選手、大澤行英選手、水沼典子選手が同大会に参戦します。
応援のほど、よろしくお願いします。


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          村上恭子選手


<戦歴>
2006年 JPAナショナルリーグ年間ランキング:総合35位 女子1位
2007年 PWC茨城:女子3位
2009年 JPA日本グランプリ(白鷹):総合12位、女子1位
2009年 JPAナショナルリーグ年間ランキング:総合26位、女子2位


<大会参加への意気込み>
JPA選手育成基金を利用させて頂き、イタリアワールドカップに参戦してきます。昨年は、同世代のパイロットたちが育成基金を利用して中国のプレワールドカップに参戦していましたが、彼らの帰国後の楽しそうな顔やモチベーションの高さに、すごくいい影響を受けました。特にタローこと小林泰選手のその後の活躍には、ビリビリと良い刺激を受けます。彼らの後に続けるように、また、海外だけでなく国内の大会も盛り上げられるような選手になれるように、成長するきっかけをつかんできたいと思います。そして、今後ますますこの選手育成基金のシステムが、若くてやる気のある選手のチャレンジを後押しするようなシステムになることを期待しています。いってきます!