只野選手の優勝コメント  1日目2日目3日目4日目5日目6日目最終日
 
フランス選手権リポート 06/14
フランス選手権、1日目は強風予報のためキャンセルでした。
ブリーフィングのレポートを掲載します。
 

“CAUTION“
CHAMPIONNAT DE FRANCE DE PARAPENTE 
DU 13 AU 19 JUIN


今年のフランス選手権はシャモニー近郊にある5箇所のフライトエリアで営まれているパラグライダースクールが協力し合って開催されています。

  


パラグライダーワールドカップ直前の開催ということもあって、外国人選手の参加希望者が多く、150名の参加枠を設けているにもかかわらずウエイティングリストの選手が前日のインスクリプションに顔を出していたほどです。


 
この大会の主催目的はフランス選手権者を決定することがでありますが、もうひとつの大きなエイムは、ヨーロッパアルプスに生息する大鷲の絶滅の危機を脱するために設けた、飛行空域規制を世界各国へ情報として発信することでもありました。

 



前日の午後6時から開催された、ジェネラルブリーフィングではパラグライダーエリアと保護団体との協力関係の説明がされ、空域規制に関しての詳しい説明がなされました。




日本からも、ヨーロッパアルプスへのツアーが毎年の恒例行事となっています。各地で決められている飛行規制の確認を怠らないようマナーの良いフライトを行ってください。
 








リポートは随時更新しますのでお楽しみに!
  トロフィー
フランス選手権  1日目
 



トレーニングキャンプが無事大成功(!?)で幕を閉じ、すぐにフランス選手権が始まった。開催地は、シャモニー(モンブランの麓の町)で7日間試合があります。フランス選手権出場者は156名うち日本人7名。その他の外人さんはチェコ、アメリカ、など。初日の今日は前線通過でタスクはキャンセル。我々は、トレーニングキャンプの疲れを癒す一日になりました。

夕方、ENSA(山岳ガイドの学校)の近くをランニングしているとモンブランに赤く染まる夕焼けが綺麗でした。
明日はきっと良い天気でしょう。
  ゴール
2日目 只野正一郎選手 トップ!


8:00のお天気ブリーフィングでは、東よりの風が強く、タスクをするのは難しいということだった。しかし、9時に東風で飛べるエリアへバスで移動した。少しでも可能性があれば大会をやるということですね。モンブランの西側の山の麓でバスを降りて、30分ぐらい待ったがここも無理。ということでさらに移動してアルベールビル近郊のエリア「エボディア」へ向った。


テイクオフまで車を乗り継ぐこと出発してから6時間。長かった、ここは去年のフランス選手権でも使用したエリアで、辻、只野、宮田の3名はエリアを熟知していた。

早速ダミーが飛んでコンディションをみる。まずまずで強風雰囲気などはない。決定したタスクはエボディアの山を南北にアウトアンドリターンでゴールは北に15kmほどいった所になったタスク距離:55.1km16:35テイクオフ・ゲートオープン17:05レーススタート序盤、良いスタートを切ったシャル(Advance)が単独リードし、それを追いかけるように只野、扇澤、辻と続く。その他の選手は、スタート前の高度が低かった為遅れている。


中盤、.只野は、他の選手より高い位置にいてじっくりファイナルのタイミングを待った。

終盤、先行集団の3名(ベローとか地元の選手)が低くなっても先に進んでいくのをみて只野はワンクッションおいて高度を稼ぐそして最終ターンポイントから一気に先行しているシャルを追いかける。ファイナルはフルアクセルでシャルを抜かして只野がトップゴールした。セカンド集団で8位に辻が入った。スタートこそは失敗したが、終盤追い上げた宮田は29位でフィニッシュ。

水沼、平木も確実にゴールした。この日のキーポイントは、夕方でサーマルがだんだん弱くなるというところにあった。だから上げるところで上げて進むって感じでした。その見極めが難しい

追記:ゴールしたものの、バスでアパートへ帰ってきたのは午後9時30分。扇澤さんたちは10時過ぎ、、、とっても疲れました。。。
   
3日目 只野正一郎選手 トップをキープ


今日はシャモニーのテイクオフ「プランプラ」からのレース。ゴンドラ乗り場は、シャモニー最大の観光地「エギュードミディー」がリフトの修理で使えないために日本人観光客の団体さんがいるわ、大会の選手156名+スタッフがいるわで大変混雑していました。
この大会からか、環境保護で鷹とかカモシカとかを守るためにパラグライダーのフライト制限が決まっていてもしも違反したら0点もしくは失格のペナルティーを与えられる。

コンディションは晴れ時々曇り。雲底が2500mから3200m、後半高層雲が入る。夕方には風が強くなる。

11:10テイクオフゲートオープン
11:50レーススタート
タスク距離:74.1km

スタートまでのサーマルはとてもよくて、モンブランを眺めながらの贅沢なフライトだった。スタート10分前でウェイティングポイントのサーマルがなくなってみんなオロオロしていた。その中、辻は一歩下がってガチーンと上げなおしてスタート時、だれよりも高くいった。スタート後のサーマルポイントで、扇澤がルーフサイド(リーサイドの反意語)で上げ、辻はリーサイドで上げようとして少しスタックした。
只野、宮田、水沼は低くリーサイドに入ってガガーンとスタック・・・

先行の扇澤、ジャンマルクなど地元有名選手はアラビス山脈の方へいってからプランジュへリターンする様子。谷渡りは10km以上あるのでここは慎重にいくのだ。アラビス方面は思いのほかサーマルがなく、遅れてきた只野がショートカットにつぐショートカットで谷渡りでトップ集団に追いついた。シャモニーのゴールへ行く前に、プランジュ近郊のターンポイントからモンブラン西側の2100mにあるターンポイントを通過しなければならない。そのとき既に高層雲が少し出てきてサーマルが渋い。低く先行した組はスタック。
 
 
只野、辻は、プランジュの岩盤をトップアウトして一気にトップになったがここでも苦戦。後続が来る心配はないが、上がらない。それでも、只野は見切りよくさらに先へ。そして時には遠回りしてゴールへ行ったのだ。

結果は、3時間10分で只野1位フィニッシュ。
2位のコルデラに8分差をつけた。
2位以下はダンゴで、3位ジャンマルク(3時間21分)、4位ベロー(3時間22分)と順当な人が入った。

辻は13位(3時間29分)
平木は善戦して45位(4時間19分)

ゴール者52名
 
4日目
  
昨日発表の天気予報では、今日は雨が降るとか言っていたのに朝からピーカンの快晴!
ちょっち予定がくるっちゃったなぁ、、、
それはさておき、8:00のブリーフィングでシャモニーでタスクをやることになった。
ただ、微妙な天気で雨が降るかもしれないし、風が強くなるかもしれないし、意見はいろいろだ。
見た目は晴れでいい感じなのに。
TASK3 
エラップスタイム(スタートするタイミングを自分で決めれる。)タスク距離:44km
シャモニー→パーシー→シャモニー(簡単に書くとこんなとこ)
セオリー:エラップスタイムなので後のほうにスタートしたほうが有利。テイクオフゲートオープンでみんなためらうことなくテイクオフした。遅くスタートしたほうがいいはずだが、遅くなればなるほどコンディションが困難になるはずなのでどちらを選ぶかだ。

プランプラからテイクオフするとブレバンのゴンドラのワイヤーをくぐる。今日も日本人観光客が沢山来ていたなぁ。
多分山頂から見ているのだろうな、、、と思いつつ辛口の強いサーマルで高度を稼いだ。
只野は総合2位のシャルをマークし、早めにスタートした。
プランプラの雲量は確実に増えている。日陰が多くなり低いところはサーマルが弱い。
シャモニーの谷を離れて最初の山(ターンポイントもあります)で、いつもより雲底が低い。シャモニーに戻るのは困難になるだろう。
パーシーのターンポイントで明暗が分かれる。
先行していた只野、シャルより後からきた集団がいいサーマルをゲットし追いつかれた。その中に扇澤がいた。その後ろに辻、水沼、宮田、平木と続いている。パーシーからのリターンで先行した扇澤の集団が山周りでリターンを試みたのに対し、只野はソロでダイレクトコースを選んだ。扇澤たちが向ったのはシャモニーの谷の入り口にあるリーサイドのサーマルポイント。いつもはあがる。が、今日は曇っている。  どうなるかわからない。

只野は無難に最初に行った山(日射がここだけあった)で勝負をかけた。只野のラインが正解でそこで高度を稼ぎ扇澤たち先行集団の上に行った。
高度があればサーマルが活動的になっている。1500mからわずか200m上げて10kmのファイナルをした。
滑空比から考えると無理な数字。でもいいラインにのって(読みどおり)トップゴール再びだったがタイムはトップではなかった。
扇澤は、かなり粘ったがゴールまで2kmで降りた。宮田、水沼、辻、平木はシャモニーの谷の入り口付近に降りた。

<TASK3の結果>
1位 Mr.DROUIN 1時間21分57秒 927.5ポイント(1000点にならなかった)
2位 Mr,IRILLI    29分32秒 874.4ポイント
3位 ステファン(UP) 32分24秒 865.0ポイント
4位 只野      33分43秒 861.6ポイント

34位 扇澤  42km 
50位 宮田  35km
56位 水沼  34.5km
58位 辻   34.4km
87位 平木  33km

<TASK3までの総合成績>
1位 只野    2828ポイント
2位 Mr.DROUIN  2622ポイント
3位 ステファン 2592ポイント

17位 辻 2409
37位 平木 2064
49位 宮田 1968
85位 水沼 1521


明日、明後日はいい天気だそうです。
100kmのタスクをやるとか、、、ワールドカップ始まるまでにバテそう・・・
  
5日目
 

TASK4

定刻にブリーフィングが始まった。天気はいいのだけど、雲底がいつもより低い。風は北西で弱い。雲底が低い以外は概ね良好☆
ブリーフィングの後、プランプラの(シャモニー)テイクオフへ向った。ゴンドラ乗り場へ9時までに行けば裏から入れてラッシュを避けることが出来るようだ。こうゆう悪いこと(!?)はイブに教えてもらった(そうゆうことにしよう)
テイクオフに着くと、モンブランが綺麗に見えていてブレバンの岩盤にサーマル雲が張り付いている。タンデム屋は朝早くから飛んでいて良いダミーになっている。雲底がまだ低いため、今日は遅めのテイクオフになるだろう。と、言っても13時がリミットだが。
11時に決まったタスクは、シャモニーからパッシーよりアラビスよりにある町へ行って、シャモニーの谷の入り口手前の町→モンブラン西側の2150mにあるターンポイント→プランジュLDゴールわかりやすく言うと、三角形というより、星型のターンポイントをまわらなければならない。風の読みが困難で複雑なタスク、いかにもフランス人が考えそうなタスクだと誰かが言っていた。タスク距離は65kmレースはエラップスタイム(好きなときにスタートできる)

前日は、後半組が上手くラインに乗ってまくっていいポジションになったので、今日はスタート前に牽制しまくりのレースになった。最初にスタートした組は、テイクオフしてから30分後でその後続々とスタートした。
前半に行ったのは平木。最初に行ってゆっくり飛ぶ作戦だろう。中盤に牽制しながらいったのは、宮田、只野、水沼。少し遅れて辻、扇澤とスタートした。シャモニーから出て、プランジュの岩盤へ取り付く時に左右に分かれた。結果的には右が正解だったが少しの差しかなかった。
問題は、この後のターンポイントが6km先の平野部にあって、往復で12kmサーマル無しで飛ばなければならない。
そこからの戻りが2通りあって、来た道を戻る方法(無難)と次のターンポイント近くのポイントへ行く方法(ちょっと冒険だが、はまればかなり速い)のどちらかで今日のレースは決まる。宮田、只野は無難なコースを選んだ。なぜならば、先行していたからだ。無理して降りてしまったら元も子もない後半組の大半は冒険コースを選んだ。この中に辻も入っている。

無難なコースはコンスタントに進んだが、最後のターンポイントへ行くときに風につかまり、宮田、只野が一緒に降りそうな場面があった。そこを悠々と高い高度で飛び越えていったのが辻である。冒険コースは、低いながらも動きが止まらず進みつづけたので追いつくことが出来たのだ。最後のターンポイントは、2150mにあって今日の雲底ではそれよりも低く通過することになった。ゴールへのファイナルは宮田、只野、辻と続いた。最後に只野が宮田を抜かしてフィニッシュ。
 
<結果>
1位 コルデラ     2:32'21
2位 ジャンマルク    :35'18
3位 オリバートップス  :35'55

5位 只野        :43'45

9位 宮田        :46'42

11位 辻        :48'26

87位 水沼      04:00'03

93位 平木      04:29'00

94名ゴール


今日は、地元のコルデラが勝った。ダントツのスピードには驚き。2位のジャンマルクは途中まで宮田、只野と一緒に飛んでいたが、、、
  
6日目
  
朝早くにモンブランを見上げると綺麗なレンズ雲が出来ている。4000mで強い風が吹いているのだろう。ブリーフィングで西よりの風が吹いてるという説明があり、今日のテイクオフはモンブラン西側の場所で登山電車で移動するとのことだった。

テイクオフする場所までは電車→登山電車→徒歩で電車を待った時間を含めて4時間かかった。
そこは、シャモニーの谷を西へ渡って最初にたどり着く山だった。昨日、只野と宮田が対地200mから復活した山だ
ダミーが飛んでコンディションを見ると、テイクオフ付近で30km/h程の強風でそこを抜けるとかなりコンディションがいいようだ。タスクが決まり、テイクオフ時間に辻、只野と飛んだが、しばらく垂直上昇する。風強いやん!!
5分ほどいろいろ無線でやりとりがあり、タスクはキャンセルになった。テイクオフがかなり変な風になってしまったのがキャンセルの理由。
 
そのまま飛んだパイロット曰く、モンブランの横3000m以上で安定したリフトがあってすごく気持ちよかったそうだ。
さて、明日は最終日だぞ!どうなる!?フランス選手権!!
 
7日目 最終日 強風、タスクキャンセル
 
ファイナル
予報では今日は雨なのに、毎朝6時からモンブランを見ているのだけど、今日も快晴で綺麗に見える。
しかし、東の空は雲量が多く、風が強そうだ。

ブリーフィングで、プランジュへ移動することを伝えられた。バスで1時間かけてテイクオフに着くと早くから準備している人たちが陣取っていた。テイクオフは狭いので場所取りが命なのに!!

準備するものの、天気はますます怪しい。11:30にタスクが発表されたが、12:15にキャンセル決定。アヌシーではすでに雨が降っているそうだ。バレーの風も強くなりつつある。これではレースをすることができないだろう。

この瞬間、只野の優勝は確定した。感動の瞬間だった。

ずっとこの瞬間を待っていた。よくやったと自分自身を誉めたい瞬間だった。これまで応援してくれた方々にお礼をいいたい!ありがとうございました。

自分ひとりではここまで歩んで来れなかった。総監督の半谷さま、田中さまテクニカルコーチの扇澤さま、チームメイトの辻さま、宮田さま、水沼さま、、、現地トレーナーのジョエルさま、メンタルトレーナーのアランさま、そして、日本のスクールから支えてくれているTAKさま、のんちゃん、長野さん、佐野さん、スクール生の方々、、、たくさんの方々のお力添えがあっての勝利です。
ほんとうにありがとうございました!!!

<結果>
フランス選手権2004、総合成績
1位 只野正一郎          3706.2点
2位 ドニー・コルデラ       3560.9
3位 アンドレ・ステファン     3466.3
 只野正一郎選手の優勝コメント
 
フランス選手権優勝のコメント

1996年に初めてフランスを飛んだ時、なにも出来ずただ飛んで降りるだけだった。岩盤は怖いし、バレーに入ったら風が強いし、乱気流になるはずのところへも入っていくし、外国の飛び方はセオリーを知っていないと危険なものだと感じた。

あれから9年間いろんな事を学んだ。世界選手権でサポート役をして、チームメンバーとしての役割を学んだ。時には、パトリック・ベロー(フランス選手権で3回優勝している)に教わったり、ハンス・ボーリンガーのところで3週間一人で滞在してトレーニングしたこともあった。それから、毎年ジョエル(フランスの専属トレーナー)にアヌシー界隈の攻略法や飛び方を伝授してもらった。フランスでは心強い仲間「アランファミリー」が生活面や困った時にサポートしてくれる。

一番心強いことは、日本から、チームのメンバーと共に大会に出ることで、お互い支えあい協力して大会に臨むことだ。皆が総合的に支援してくれるし、ホームでもあるTAKスクールでは校長ならびにスタッフの皆さんとスクール生の方々がサポートしてくれている。飛んでいる時(レース中)は独りぼっちだけど、自分の背中をたくさんの皆さんの思いが支えてくれ続けたから勝つことが出来ました。たくさんの応援ありがとうございました。次は、世界一目指してまだまだ勉強を重ねて頑張ります。

2004年6月22日 アヌシーより
只野正一郎
 
 
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