J P A  I N F O R M A T I O N
DHVセーフティートレーニング研修
リポート : JPA教育事業部 岡田 直久

JPA教育事業部として、リガー制度、教育システムが一通り確立されたところで、このシステム、今後の発展を考える上で、ドイツに向かいました。今回の研修では教育事業部マネージャーのクラウス氏の協力もあり、短期間ながら、すでに様々なスケジュールが用意されました。

>>> 9月7日-8日
>>> 9月9日
>>> 9月10日
>>> 9月11日
>>> 9月12日
>>> 9月13日


 9月7日(水)〜9月8日(木)
 


台風14号が日本海を北上する中、成田空港を出発。今回の研修内容を見直しながらミュンヘンへ。 翌日、さっそく最初の目的地「TURN POINT」へ。

TURN POINTのLasse氏はハーネス、レスキューパラシュートのデザインをしており、またDHVのレスキューパラシュートの認証テストを担当していたこともあり、色々と興味深い話しをすることができました。

ハーネス、レスキューパラシュートに関してDHVでは多くの規定はありません。それだけメーカーの知識、技術が試されるところですが、残念ながらあまり知識もなく作られているモノも数多く存在します。その辺に関してはLasse氏と意見が同じでした。ハーネスとパラシュートの組み合わせも一様でないため、トラブルも 多いようでそれに一石を投じるJPAのリガー制度には大変感心していました。

その代わりにというか、ドイツではパラグライダーの定期検査がうまく浸透しています。義務ではありませんが、多くのパイロットが自主的に検査に提出し、安全なフライトに役立てています。

Lasse氏は、モノに関する知識が豊富な方で、大変有意義な話し合いを1日することができました。もっと色々と話しをしたかったのですが残念ながらタイムオーバー。

終了後、次の目的地「アッヘンゼー」へ。明日からSIVコースを行うスクールで3日間研修です。明日はまずSIVの学科講習からスタートです。


 9月9日(金)
Eki(エッキー)
 
立ち上げ
今日から3日間、アッヘンゼーにあるパラグライダースクールでセーフティー トレーニングです。今回は「スパイラルトレーニング」といってハイエンドのトレーニングを3日間かけて行います。

参加者は13名。夏にフライトできず今回に振り替えの方もいます。ただ、あいにくフェーンの影響で強風。1日、セーフティートレーニング用に用意された講義室で学科講習を行いました。

年間に3000フライトの講習を行っているEki氏からは経験からでる話ばかりで非常に自信に満ち溢れています。Klaus氏同様、セーフティートレーニングを行うインストラクターはパフォーマンスインストラクターでなければいけないためか、講義も様々なバリエーションを交え生徒が飽きないように進行していきます。ビデオを使ったり、シミュレーターを使ったり、時には大きな声で話したり、突然外で講習をしたり。パフォーマンスインストラクターには同じ資質が必要なようです。

ドイツ語で講義ですが、生徒さんの中で、好意で通訳をしてくれる方がいたので大変助かりました。事前に用意した質問はほとんど聞くことができ、大変有意義でした。ノートに書いた内容が多いのでこれから整理をして、今後のJPAの活動、各スクールにフィードバックができるようにしていきます。

事前準備 ビデオ講習

 
スパイラルトレーニング  


 9月10日(土)
Rescue
フェーンの影響が心配されましたが、エリアは曇り空ながら静穏。さっそくテイクオフに上がって「SIV(セーフティートレーニング)」開始です。やはりこのトレーニングは独特の緊張感があります。緊張感が大事なんですが、緊張しすぎるとよくもないので。私はすぐにテイクオフ。アッヘンゼー湖に浮かぶ緊急用のボートの上でマヌーバー開始。

終了後は生徒さんの演技をビデオに収めながら、インストラクターのEki(エッキー)とディスカッション。非常に恵まれた環境で、14時前に15名の参加者のみなさんは5〜6本フライト。事前に申告したマヌーバーに次々と取り組んでいました。ランディング後の充実した(ほっとした)顔は見ていて清々しいですね。

終了後はビデオを見ながら、重要なポイントを復習。明日の課題が各々はっきりしたところで1日のカリキュラムは終了しました。

ランディング Feedback

 
陰干し  


 9月11日(日)
SIS装備

ビデオ
セーフティートレーニングは連日8時開始です。頭を早く目覚めさせることと、二日酔い防止のためです。とにかく集中力を切らさずということをインストラクターのEkiは何度も何度も生徒さんに言います。とても体調が悪くては行えません。これは通常のフライトでもそうですが。今日は3日目ということもあり、「フルストール」を希望する方がたくさんいます。十分シミュレーションを行ってから、いざ湖上へ。フィードバックを受けてからまたフライト。

今日は午前中で4本フライト。午後はビデオ解析。そして3日間の総評を行って終了。みんなの顔は充実感に溢れていました。3日間のセーフティートレーニングでたくさんの事を得ることができました。JPAのスクールを通じて、色々なことがフィードバックできればと思います。

明日は午前はDHVでミーティング。午後はクラウス氏とミーティングです。
 
サイドコラップス フルストール


 
着水 ボート救助


 9月12日(月)
Reiner

ファイル
 
ハーネス強度テスト
朝、アッヘンゼーを出発してDHVオフィスに。DHVテクニック部門のハリーブンツ氏、レイナーブルン氏に迎えていただきオフィスの中へ。さっそく、パラグライダーハーネス、レスキューパラシュートすべての認証テストに関わるレイナー氏とミーティング。

ドイツ初日で、ターンポイントのラッセ氏に聞いた内容と同じような質問からスタート。メーカーとDHVでは回答がすこし違うのではないかと思ったので。質問にはわかりやすく、実際の機材、ビデオなどを使用して丁寧に答えていただきました。

ミーティング終了後はDHVのテストセンターへお邪魔しました。あいにく、雨でパラグライダーやレスキューパラシュートの強度テストなどは見ることができませんでしたが、ハーネスの強度テストなどデモンストレーションをしてもらいました。実際、現場を見るとまた色々と質問も沸き、レイナー氏に答えていただきました。

今回のトレーニングではセーフティートレーニングのような「積極的に安全を守る」という面とモノを作る、そしてそれを認証するといった安全な機材をする「受動的な安全」の両面から「安全なフライト」を見ることができています。

昼食後、テストセンターを後にし、今回のオーガナイズをしてくれたクラウス氏の家へ。さっそく新しいパワーポイントなどを見ながらミーティング。これは積極的な安全ですね。雑談を交えながら夜遅くまで、色々な話をし消灯となりました。
 

 9月13日(火)
カール・スレザック

DHV
さて、今日は再びDHVへ。DHVの「安全部門」の責任者でもあり、アッヘンゼーで長年、セーフティートレーニングを行ってきたカール・スレザック氏とミーティングです。DHVの認可するセーフティートレーニングセンターは5か所あるそうです。セーフティートレーニング・インストラクターの認証を受けるのもそうですが様々なことを要求され、それをすべてクリアーしていなければ、セーフティートレーニングは行えません。DHVの規定をもとに、色々なことを話し合いました。

途中、事務局長のクラウス・タンツラー氏にも来ていただき、「JPAが大変成功していることに、心からおめでとう」との言葉をいただきました。昨日に引き続き、「テクニック部門」にも行ったりしながら、様々な角度から「安全」というものを見直すことができました。

強行スケジュールながら、大変有意義で有益な毎日でした。「積極的な安全」「受動的な安全」、両面を強化することで、JPAは楽しいパラグライダー環境を作り上げていきます。今後の活動にもご期待ください。


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