開催地 : 長野県北安曇郡小谷村栂池高原スキー場 スカイワンダーランド栂池エリア
リポート : 栂池ジャパンカップ実行委員会


■6月4日


昨日の予報では、曇りベースの晴れでしたが、朝起きると快晴!今日もビックタスクが期待されます。8時にはほとんどの選手が受付を終了し、ゴンドラへ次々と乗り込んで行きました。1日成立すれば良しの日本の大会ですが、今回のように2日間の競技が当たり前のように行われることは、まるで海外大会に参加しているかのようです。Task1で失敗した選手も、すっかり気持ちの切り替えは行われているようで、選手のモチベーションは最高潮です。

しかし選手がテイクオフに集合し終えたころには、次第に高層雲が張り出してしまいました。やはり天気予報は当たってきたようです。ダミーもなかなか上がりきらず、明らかに渋そうに見えます。選手の中には今日はショートタスクを予想した方が多くいたようですが、タスクコミッティが発表したタスクは白馬盆地を大きく使った54.7kmのRaceToGoalだったのです。

高層雲の張り出しは予想されましたが、午後になると気温減率が大きくなり、鉛直P値は大きくマイナスへ転じることから、タスクコミッティは日照が弱くてもサーマル活動は続くと予想されたのです。八方・五竜エリアのコンディションが良くなるのは栂池エリアよりも1時間の遅れが予想されるため、前半は小谷・栂池・岩岳の三角パイロンを2周させることで時間を稼ぎ、後半コンディションの好転に合わせ、八方・五竜・さの坂を往復し栂池ゴールを目指します。



10:50のウインドオープン後、順調に高度を稼ぎ11:20スタートでは7割のパイロットが2300mの雲底でステイすることに。好スタートを切ったのは山田選手。スターとパイロンを取った後も一気にテイクオフ前に戻りますが、いきなりスタック・・。後続集団はテイクオフ手前尾根で雲底まで上げ直し、追走します。三角パイロン2周目から扇澤・宮田・岩沢が集団を抜け出し、引っ張る形に。そんな中、2回目の小谷で岩沢選手は痛恨のタスクミスでトップ争いから離脱・・・。

最初の難関である、八方尾根への渡りでしたが、栂池テイクオフ前で2300mまで上げきれば高度は十分。一気に八方南斜面へ回りこみます。先頭の宮田・扇澤は難なくトップアウト。さらに東奥の稜線上を通過し五竜エリアへ。東側の稜線上は良質の積雲が点在しているのですが、五竜エリアは大きな影に包まれてしまいました。サーマルは西斜面から上がっているようでなかなか稜線上へ出られません。宮田は通称「五竜の男コース」へさらに稜線近く奥へ入ってきます。扇澤は五竜テイクオフ上空でステイ。弱いサーマルを引っ掛け、何とか先に稜線上に出たのは宮田でした。西斜面から上がってくる強いサーマルに乗り一気に2300mの雲底へ。さの坂パイロンまでは稜線上のハイウェイを通りらくらくクリアー。八方までも高く戻ることが出来、そのままファイナルグライドへ突入し、手堅くトップゴールとなりました。やや遅れた扇澤は五竜エリアからダイレクトに栂池ゴールを目指しますが、宮田を捉えることは出来ず6分遅れて、2位でフィニッシュ。

熾烈な3位争いを制したのは山田選手。さの坂パイロンへ低く突っ込み見事生還!今日の「突っ込み大賞」はあなたに間違いありません!その後4位争いは後藤、上山、小林によるファイナルグライド勝負となりました。八方を離れほとんど横並びでしたが、岩岳を越えたところで強いリフト帯へ入り、グライダーは大きくピッチします。ここで上山はアクセルを緩め後退「嫁の顔が浮かんだ・・。」だそうです。若手小林はハイスピードをキープ!ベテラン後藤に4秒差で競り勝ち4位をゲット。総合でも2位に入る健闘を見せました。


    杉下選手

昨日のTask1で唯一ゴールを決めた注目の伊藤選手でしたが、プレッシャーからか、29kmに無念のランディング・・・。今年調子が良いだけに、これからが期待されます。Task1で2位につけていた佐々木選手はTask2でも安定したフライトを見せ7位で手堅くゴール。総合得点も2位に100点以上差をつけ、うれしいJNL初優勝を決めました。おめでとうございました。

今回2日間飛べ、白馬エリアを大きく使ったタスクが成立しましたが、まだまだ可能性は秘めているように感じます。グライダー性能、パイロットの技術が向上していく中、来年はもっと大きなタスクが成立することでしょう。スタッフの皆さんその時はお願いします。


佐々木選手ゴール   4位争い


2日目、大会結果 パラメータ情報
  総合成績表(日本語)
  女子成績表(日本語)
  U-25成績表(日本語)
  チーム成績表(日本語)
  上位選手のトラックログ


総合成績 総合成績表(日本語)
  女子成績表(日本語)
  U-25成績表(日本語)
  チーム戦成績表
  県別成績表(参考)
  ナショナルリーグランキング超暫定版
  チーム戦ランキング超暫定版



●上位選手のコメント
総合成績 第1位
佐々木 功 選手
今回の大会は、素晴らしいコンディションのなか、北アルプスの大パノラマをバックにフライトできました。しかも、広大なエリアを生かしたビックタスクで総合優勝できたことは、嬉しさよりも“驚きの感動”が先行し、時間の経過とともに嬉しさでいっぱいになりました。

大会1日目は、佐野坂アンテナ2往復72.9kmのビックタスク、こんなに良いコンディションの白馬山麓は初めてだった。「さぁーてどうしよう・・どう飛んだらいいの?」と言うのが本音。作戦は、キープハイで半ばスローペース、先行する選手の動向や風の変化に気をくばりながらのフライトを目指した。

その結果、佐野坂リターンに成功、八方に戻ると先行する集団が高く上げきり岩岳経由で栂池へ戻って行くのが見えた。その集団の行方を気にしながら高度を稼ぎ、栂池に向け八方を離脱、この頃から下層では北風が入りはじめたのか岩岳付近が渋々、後を追うのをやめて北風の影響の少ない岩岳西側を通り栂池テイクオフに向った。運良くサーマルもまだ生きていて高度ロスする事無く戻る事に成功!その後栂池で上げきり同じライン取りで2往復目に入ったが八方方面も北風の影響を受け渋々・・五竜メインランまで北風で流しランディング。4時間のフライトで“結果は2位”超ビックリの1日目でした。

大会2日目もベストコンディション。栂池近辺で三角パイロンを2周した後佐野坂アンテナ往復54.7km、昨日より短いが同様にテクニカルなタスク。今日の目標は確実にゴール、そして願わくば10位以内を目標として昨日同様キープハイで挑んだ。

順調に三角パイロンをこなし、先行する扇沢選手や宮田選手に続いて進む第2集団を横目に見ながら岩岳のサーマルを乗り継いで栂池を離脱、八方南斜面で高度を稼ぐ第2集団に合流できた。先行せず着実にパイロンクリアすることを自分に言い聞かせながら佐野坂をリターン、いつの間にか3位で走る山田選手を追いかけ八方まで来ていた。その後山田選手が八方を離脱、GPSのゴール到達高度+110mで自分を押さえきれずファイナルへ。

しかし、岩岳への谷渡りでシンク帯にはまり岩岳山頂にも届かないありさま。ところが、ここで今大会2つ目の幸運が・・昨日は北風でシンク帯だった岩岳が南風のためサーマルが活発でなんとかクリア、この間数人の選手に抜かれたものの7位でゴールメイクすることができ、ゴールでは競技委員長さんをはじめスタッフの皆様の歓迎を受け、最高の気分を味わう事ができました。

最後になりましたが、絶景のエリアで最高の大会運営をしていただいた実行委員長さんや競技委員長さんを始めとするスタッフの皆様、一緒にフライトしていただいた選手の皆さん変お世話になりありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。


女子の部 第2位
村上恭子 選手
大変失礼ながら、栂池は北風強風→大荒れというイメージが強く良さそうな天気予報にも関わらず、出発前から心配していました。しかし私の心配をよそに二日間とも非常に楽しく飛ぶ事ができ、大会運営してくださった皆さんに本当に感謝しています。

一日目は、まぐれにも程があるよなってくらい順位が良くてビックリでしたが白馬連峰を近くに見ながらスケールの大きな飛びが出来て、フライト人生の中で最も印象に残るフライトの1つになりました。のんびり飛んだ事と、粘り強く飛びたいなと思って食べた納豆巻きのお陰かな。

二日目は、やはり実力通りという感じで、判断が鈍くて八方までしか行けず少し悔しかったですが、上手くなれるように練習したいなと思えたので、そういう意味で今後に繋がる飛びだったのではないかと思います。

今年になって、たまに良い成績がでるようになってきて、下手ながらも続けていれば良いこともあるんだなと感じています。いつか総合成績で表彰台に登れるように続けて行きたいと思います。中部地方のみなさん、これからも宜しくお願いします!



チーム戦 第1位
みみー(仮名)  山本雅史 選手
今年からスタートしたチーム戦、第2戦(甲府白根)の初日にTOで急遽結成された我ら「みみー(仮名)」。耳のあるグライダー、赤・白・黄の三つの色で、優勝を狙うよりチーム戦のにぎやかしとして発足されました?!所が、回を重ねる度、自分の順位・点数よりチーム戦のほうが盛り上がり、チーム戦で足を引っ張らないように飛ぶと順位・点数を意識した飛びをするようになり、チーム戦がモチベーションアップに役立ってきています。

さて、前々回(Coo)で初の表彰台2位、前回(白鷹)4位と、あと一歩の成績でしたが、そして今回は、本当に素晴しい条件の下、白馬全体を使ったビッグタスクで大会2日間とも成立しました。

6/3(土)は、快晴に恵まれ、佐野坂2往復72.9kmのビッグタスクが組まれました。 第1集団で先行していた後藤さん、吉岡さんは、突然の北風に阻まれ、1往復目の若栗付近で撃沈。少し遅れた山本は、八方を雲底で離脱して一つのサーマルも無いなか若栗を取ってMLDにランディング。一時はトップとぬか喜びした直後、後方で生き残っていた第3集団6名が先に延ばし、伊藤さんが根性で4時間29分でフルパイロンを果たしました。お疲れ様。

6/4(日)は、朝は薄曇で少しずつ条件が良くなるなか、佐野坂1往復54.7kmのタスクで、前日のミスを取り戻すように先頭集団は突っ走り、2時間32分でゴール。少し遅れて後藤さんが小林君に4秒送れ、上山選手を4秒リードして3時間6分27秒で5位で入り、9位で吉岡さんが順当にゴール。所が山本はスタートから出遅れ、皆んなのダミーとしてあちこちのサーマルポイントで時間を掛けながら前日の伊藤さんを上回る4時間34分で21位で最後のゴール者となりました。 へたくそ〜!!

てな訳で、1日目は後藤さんと山本、2日目は後藤さんと吉岡さんがチームポイントを稼ぎ、今回は、後藤さんが珍しくリーダーらしい活躍をして、残る2名もそれなりに頑張って「みみー(仮名)」らしく賑やかに楽しくフライトでき、常勝「中部チーム」や「チーム・グラディエント」、伝統の「ばか親コンペチーム」を抑えて、晴れて栄えある?! チーム戦初優勝となりました。

最後になりましたが大会関係者の方々、クラブの方々、本当にお世話になりました。


総合 第1位〜6位

女子の部 第1位〜3位   チーム戦 第1位〜3位

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