2015パラグライダーレスキューレベル練習会 in 国立登山研修所

2015パラグライダーレスキューレベル練習会 in 国立登山研修所
実施日  6月4日(木)、5日(金)
報告者  JMB立山パラグライダースクール 関沢孝之

今年の宇都宮レベル3は山岳ガイド稲葉さん指導の下、雪の舞う山中での厳しい引き上げを行いました。その中で、ロープレスキューにおいては引き上げ等システムの理解、特に支点(アンカー)の重要性、ルート上での安全確保(セルフビレイ、フィックスロープの設置)が強調されました。しかし、実際の山中では「わっしょい、わっしょい!」と引き上げ、グループ行動やリーダーシップの発揮には効果的なものの、稲葉さんからは「より見やすい人工壁等でシステムの理解度を上げる方法も良いのでは」という意見があり、今回の練習会実施に至りました。講習を行なう国立登山研修所には15mのロッククライミング訓練施設や体育館にもスポーツクライミング用人工壁があり、山岳の訓練施設として広く利用されています。
今回の直前、稲葉ガイドが入院された為、同じく立山ガイド協会会長の多賀谷ガイドが代行して下さる事となりました。

初日、講義室で講師の紹介、オリエンテーションの後、屋外にあるロッククライミング施設へ移動して実技を開始しました。
先ずは、参加者の皆さんのお手並み拝見、懸垂下降を行います。その前に多賀谷さんからは、ロープを動かすロアーダウンなのか懸垂下降なのか・落石発生の危険を考慮することなど、山岳でロープを使用する時の注意点もレクチャー。そして下降地点では手順の説明。2番手の懸垂準備完了を確認の後、リーダー役は同じロープで先行。終了点でサポートに入り2番手を下降させます。
途中、早速トラブルも発生しましたが、上部からロープを垂らし無事にレスキュー・・事前に注意はしても、やはりトラブルは発生します。これを垂壁、スラブ壁と各自行いました。
次は3分の1システムでの降ろし&引き上げ。基部で多賀谷さんからシステムのレクチャーを受けてから開始、各自がポジションを変えながら各班4~5回づつ実施しました。
昼食後はリード&フォローのクライミング&ビレイ。2人でロープを結んで行うクライミングの形態について、セルフのとり方、中間支点について、アンカーの設置、フォロー等システムの説明。ゆるいスラブ壁でリード&フォロー、2人組でのクライミングを行いました。
最後はカウンターラッぺル。上部アンカーから、要救助者と同時下降・クライミングハーネスとパラハーネスの両方を使い、各班で実施しました。
17時過ぎには初日の日程を終えました。が、まだまだやる気の皆さんは夕食前にスポーツクライミング人工壁でフリークライミングも追加しました。

2日目はレスキューレベル2、カウンターラッぺルでの救助を実施。ただし場所は屋内の人工壁なので木登りはなし。多賀谷さんにとっては初めてのパラグライダーレスキューで、後にアドバイスを頂く事に。デモは壁の上部から接近&救助の形態で行い、参加者の皆さんは下部からリードクライミングのアプローチで行いました。木の場合とアプローチは変わっても、手順的には同じ事、全員が実施しました。やや傾斜が強い側で行った方は、クライミングが核心だったかも。多賀谷さんからは身体にロープを巻く場合の危険性について、8カン+マッシャーの効果的な装着についてなどの指導がありました。
昼食後の最終課目はチロリアンブリッジ。ロープ張込みの注意点などのレクチャーを受け、2班に分かれて開始。3本のアンカーで2本のロープを張り込みました。張ったロープを滑車、カラビナを使って渡りましたが、ほとんどの方は初体験。渡った感想は各自いかがだったでしょう。
15時を回ったところで予定も完了。講評などを頂き、2日間の日程を終えました。

多賀谷さんは国立登山研修所の元講師で、警察や消防他、山岳での救助講習や実際の捜索活動など豊富な経験談を交えての有意義な講習、指導をして頂きました。
参加者各位はロープを使っての下降や登高、救助を繰り返し行い、ロープレスキューの基礎、基本をしっかり体感して頂けたと思います。不慣れな長いロープを、1日中捌くことも、なかなか出来ない経験です。
皆さんには、忘れないうちに復習、自習をお願いして、今回の報告とさせて頂きます。