低体温症にご注意を。

パイロットの皆様へ 低体温症にご注意

 例年以上に寒い日が続いておりますが、冬の間も元気に活動されているパイロットの方も多いことと思います。
最近の冷え込みにより氷点下の中、長時間フライトするという状況がありますが、夏に熱中症があるように、寒さの厳しい冬の野外での活動には、低体温症という危険性が潜んでいます。

 寒い中、飲み物の摂取も控えがちで、体調管理が難しい季節です。
無理をせず、Happy Landingをするためにも、ご注意ください。

以下、ご参考までに低体温症について書き出しました。詳しくは医師にお尋ねください。

1. 低体温症とは
直腸温などの中心体温が35度以下になった状態を言います。寒冷にさらされると、末梢細動脈が収縮し皮膚血流を低下させて熱の放散を抑えるとともに、ふるえなどの発熱反応が起こりますが、体温が30℃以下になると、ふるえすら起こらなくなり、加速度的に体温は低下し続けます。また体温が低下するにつれて精神活動、運動能力ともに低下するため、その人本来の能力を発揮できなくなります。なかでも判断力は早い時期から低下します。


2. 症状
前兆(36.5~35度)
意識は正常。手の細かい複雑な動きができない。
さむけ、ふるえがはじまる。

軽症(35~33度)
無関心状態、すぐ眠る。歩行よろめく。口ごもる話しぶり。
ふるえ最大。
(協力的にみえて協力的でない。まともそうに見えてまともでない。)

中等症(33~30度)
33~32度 会話がのろい。閉じこもる。逆行性健忘。意思不明。運動失調。
31~30度 錯乱状態。支離滅裂。しだいに応答しなくなる。
震え停止。歩行や起立は不可能。

重症(30度以下)
30~28度 半昏睡状態。瞳孔散大。心拍、脈拍微弱。呼吸数は半分以下。
28~25度 昏睡状態。心室細動。

25度以下 腱反射消失。仮死状態。
20度以下 脳波消失。心停止。

16度 救命しえた成人の偶発性低体温症の最低体温。

*30歩まっすぐ歩けなかったら35度以下。ふるえがなくなったらかなり重症

3. 現場での基本的な処置
1)風雪、風雨をさける。
2)湿った服や靴下、手袋を暖かい乾燥したものに替える。
3)毛布などで患者を覆う。(本人を入れる前に暖めておく)
4)腋(わき)やそけい部に湯たんぽなどをあてて内臓をゆっくり温める。
*すぐにお近くの医療機関へ。

4. 予防
1)速乾性、保温力にすぐれたフライトウェア。
2)早めのランディング判断。空中で保温、加温することはできません。時間に余裕をもってランディングしましょう。
3)水分、栄養はこまめにとる。脱水、低栄養は低体温になりやすい。

JPA教育事業部
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