予報に反しての曇り空。ただ、晴れると雲も一気に発達しそうです。さっそく9時半のゴンドラに乗車して標高2000mにあるテイクオフへ。JOKEはテストの準備を入念に行ってからフライト。私も続き、空中から仕事を見学させていただきました。私もテスト機で飛ばせてもらったのでフライト後はそのグライダーに関して意見交換。思ったより早めに風が強くなりそうなので、2本目は低高度のテイクオフへ。再度、いっしょに飛び色々と見せてもらうことができました。
彼は認証テストが本当にパイロットのためのものになっているのか、不安を抱えながらテストを行っています。そしていい方向性を出そうとオリジナルのテストも行い、メーカーにフィードバックを行っています。テスト機関は少なからずメーカーのために、メーカーはパイロットのために・・安全で楽しいパラグライダーの環境をみんなで守らなければなりません。
今回、5年ぶりの訪問でさらに友好を深めることができ、大変意義のある2日間となりました。
さて、オーストリアでの活動はこれにて終了、明日からドイツです。クラウス氏の組む予定はいつものことながら完璧です。
滞在先のGreifenburgを出発、5時間のドライブでSchrunsに到着です。途中、ラジオから“ボンジョールノ”とイタリア語が聞こえてきたので??と思いましたが、途中2時間ほどイタリアを走っていました。
SchrunsはアカデミーのテストパイロットJokeのホームタウン。今回は5年ぶりの再会を果たしました。あいかわらず飛ぶことへの情熱はすごく、飛べる限り飛んではテストを行っているようです。彼はENの認証テストを行うだけではなく、メーカーのテストパイロットとしても活動しています。今日も飛べればすぐに飛ぶはずでしたが、午後からどうも大気が不安定なようです。フライトは諦め、インタビュー開始。率直に疑問に思っていることなどを聞いてみると、1つずつ丁寧に答えてくれます。時には個人的な意見と言うことを前置きしながら、時にはこれは公式な見解ということを付け加えながら・・・。
2時間休みなく話してくれて、思い出したように「宿どうする?」。そういえば、急きょ一日繰り上げての訪問でしたので取っていません。それでも小さな頃から暮らす地元、1本の電話ですぐに宿を確保してくれました。
明日はいっしょに飛びながら、EN認証テストの現場を探ります。「グライダー用意しておくから、お楽しみに」、吹き荒れていた風も明日に向け幾分収まってきたようです。
クラウスのツアーは今日で最終日。ほとんどの方が朝食後、ホテルを後にしました。ゆっくりと余暇を楽しむスタイルはうらやましい限りです。
クラウスと私はホテル横のテイクオフからフライダウン。G-Forceトレーニングの会場はランディング横にあります。ちょうどランディングするとG-Forceトレーナー設計者のトーマスも到着。さっそくの昨日の続きをお願いしました。
まずはこのトレーニングそして機械に関していろいろとインタビュー。快く色々と話してくださいました。ミーティング後は昨日のトレーニングを引き続き行いました。G-Forceに耐えるには呼吸法がもっとも大事というだけあって、昨日耐え切れなかった6Gにも、今日は耐えることができました。ただし、実際のフライトでこの呼吸法ができるかはこれからの課題です。
さらに今日は興味のあったパラシュートの開傘トレーニングも行いました。DHVでは2年ほど前に軽量のポッドハーネスを集め、このG-Forceトレーナーを使いレスキューパラシュートの引き出しチェックを行っています。
今回は4Gが掛かった状態でのトレーニングを実施。実際にこのような状況下ではレスキューグリップに手が行くかさえも難しくなります。それを体感できるこのトレーニングは非常に有意義です。
ちょうどトレーニングを終えるころ、雨が降り出しました。
飛行機の遅れ、ロストバケッジなどでミュンヘン空港からの出発が夜の10時と大幅に遅れましたが、5時間のドライブでオーストリア・Greifenburgに到着です。途中すごい雨でしたので次の日の天気が心配でしたが、朝起きるとアルプスには一面の青空が広がっていました。朝食の時間にクラウスがお出迎え。年末年始の日本ツアー以来の再会を果たしました。
今回のクラウスのXCコースはツアーをかねてここオーストリアで開催。20名ほどのパイロットが参加です。さっそく朝食後に天気の概況をもとに今日のフライトプランを決定します。午後には雷雨がありそうということなので空模様に注意です。ホテルはテイクオフのすぐ横にあるので、ブリーフィング後はすぐにテイクオフ。クラウスのタンデムを先頭にフライト開始です。経験の浅いパイロットは高度差1200mを利用して降下手段の練習を行います。ソアリング狙いのパイロットは少し待って東斜面からサーマルが立ち上がるのを待ちます。
私もいっしょにソアリングをしていると、谷のまわりで雲が発達しだします。予定通り昼までフライトを楽しみランディングです。
クラウスが開催するコースはすべてその目的にあった場所で行います。さらにクラウスは雰囲気を重視。学習意欲がわくようなロケーションであるかどうかは最重要事項です。これはただ飛べればいいというわけではなく、すべてにおいてコースおよび各パイロットの目的を遂行できるかどうかということです。
今回のツアーでは連日、XCフライトが行えただけではなく、様々なレベルのパイロットの欲求を満たしさらにこのツアー期間中にひとつの上のライセンスを取得した方がたくさんいます。
午後は急遽、G-Forceトレーニングを実施。土曜日に行う予定でしたが、クラウスのツアーに参加しているパイロットといっしょに受講です。このG-Forceトレーナーの設計者であるトーマス氏は実技と机上講習を交互に行い大変興味深い内容でこのトレーニングを進行します。
徐々にGフォースを強くし、最後は6Gまで体験しましたがさすがにきつい。6Gですとおおよそ-25m/secほどのスパイラルとなります。明日の午後もトレーニングを受けますので詳しいレポートができるかと思います。
レポート:富重 薫(エアーハートパラグライダースクール)
前回の吹雪の検定会と打って変わり晴れた夏日の開催となりました。
7:30集合、スケジュール説明後、更新検定会開始。
まず、ツリーラン発生を想定し仮想ツリーランポイント(会場)の座標を参加者に発表、2チームに分かれ国土地理院の地形図を使用しポイントの特定後、中腹の救助ポイントへ、林道を使わずGPSを使用して直登で向かいます。
到着後、休む間もなくロープソロで地上から15mの位置に要救助者釣下げ用のロープセット。あとは要救助者、救助者、ビレイヤーの役割を交代でパイロットが宙づり状態からの救助実技を行いました。今回はパイロットが携帯している自己脱出のレスキューセットでの救助も行いました。急を要するときに、ある道具でどこまでレスキューができるかも重要です。
山中での実技終了後、通常の救出用機材に加えパラハーネスも担いで下山です。全員スクールまで到着し救出完了。
実際のツリーラン救出はマニュアルやトレーニングより厳しい状況もあり、状況に即した救出プランが必要となりますが基本が出来てないと応用もできません。日々のトレーニングが要救助者の安全で早い救助につながるでしょう。
レスキューの活躍は無いことが一番ですが、その時のために安全第一にトレーニングを行って頂きたいと思います。
参加の皆様、お疲れ様でした。
会場:平尾台エリア
検定員:岡田 直久(教育事業部部長)
富重 薫(エアーハートパラグライダースクール)
レスキューレベル2更新
浦郷 堅也(長崎フリーフライト)
峯 徳男(長崎フリーフライト)
亀山 正雄(SSAスカイスポーツ振興会)
松尾 清二(SSAスカイスポーツ振興会)
レスキューレベル2認定:
相良 好貴(SSAスカイスポーツ振興会)