パラシュートリガー検定研修会 12/11-12 愛知県スカイトライ

12月11日(水)
 今日から2日間、愛知県岡崎市にてパラシュートリガー検定研修会を開催です。パラシュートに関する取り組みはJPAを発足していち早く取り組んだ事業の一つです。リガーの育成はすぐにできるほど簡単なものではありませんが、2年の一度の更新会を定期的に行っていく中で精度は確実に増しました。また、スクールで150日に1回のリパック、製造から10年以上経過のパラシュート使用禁止、開傘トレーニングを徹底することで、パイロットのみなさんはパラシュート使用の重要性を認識するようになりました。とにもかくにもこのパラシュートが私たちの「ラストチャンス」です。リガーはルーティンな作業のなかにも常にこのことを意識しなければなりません。
 今回も研修会中、作業にとらわれすぎて「自分はなにをしているのか」という本質を見失う場面が見受けられました。もちろん、方法は大切ですが、それ以上に大切なのはその方法には「パラシュートをどう開かせたいか」という自分の理論があるということです。
 自分の作業を裏付けできる理論がなければ、現在市場に出回っている様々なタイプのハーネス、パラシュートに対応することができません。
 今回は8時から半日かけて、まずはパラシュートの設計、構造そしてパッキングに関しての机上講習、デモンストレーションをみっちりと行いました。受験されるみなさんはすでにリガーのもとでパッキングの経験を積んでいますが、それが暗記であってはあまり意味はありません。それに気づいてもらうまずは半日となりました。午後からは各自、パッキング。検定員の見るポイントは受験者のみなさんが何を見てパッキングをしているかということ。その方の視線を見れば、パッキングを正しく理解しているかどうかということは一目瞭然です。
 休むことなく・・・試投げまでを繰り返し行い、初日の終了は20時となりました。

12月12日(木)
 寒風の中、2日目8時前にはみなさん集合。すぐに実技スタートです。作業は常に自分が何をしているのか、自分で解釈しながら行わなければなりません。意識のない作業はすぐにミスを生みます。昨日以上に細部までこだわりパッキングは行われました。ある程度慣れたところで、パッキングするパラシュート、ハーネスの種類を変えてながら作業を進めました。
 お昼休みは長い方で40分。作業が遅い方は5分のみ。パッキングに対する厳しさはそのパラシュートを使用するお客様に対する愛情でもあります。リガーはそのことを理解しなければなりません。
 すべての実技練習を終えたところで学科試験。そして実技試験。すべての検定を終えたころには日が暮れていました。すべての評価が終わり合否発表。合格したみなさんには技能証とともにリガーとしての「責任」が渡されました。レスキューパラシュートはラストチャンス。リガーは常にパラシュートにベストを尽くさなければなりません。


協力:スカイトライ(愛知県)

リガー合格:
大野 修司(スカイトライ)
前堀 善斗(スカイブルー八方尾根パラグライダースクール)
青木 翼(浜名湖パラグライダースクール)

検定員:岡田 直久(アメリカ連邦航空局パラシュートリガー)



JPAパラグライダーレスキューレベル2更新研修会および検定研修会 11/29(金) グランボレ(群馬県)

                             レポート:小林 晋

 11月27日金曜日、JPAのレスキューレベル1­2の実技検定・更新講習会が行われました。場所は群馬県みなかみ町のグランボレパラグライダースクールです。受験者は3名でした。検定を前に、この検定が日本山岳レスキュー協会の承認を得ていることを説明します。受験者には、すべての行動が審査の対象となっていることを伝えます。

 早速、実技の内容を伝えます。最初の実技内容は「宙づりからの自己脱出」を行います。この実技を行う目的は、それぞれの道具を正しく使えること。また道具の組み合わせによって、正しい脱出のためのシステム、方法論を実践できることを確かめることです。早速宙づりのロープを張り込むところから、受験者に作業を行ってもらいます。検定者から指示された場所まですばやく木をのぼり支点をつくり、必要なロープをどんどん張っていきます。
 ロープが張れれば、すぐに試技を始めます。受験者はあらかじめ携行しているフライトの装備のうち、自己脱出に必要な装備を使用します。しかし、ここでは応用のため、いくつかの装備品を取り除きます。たとえば、スリングがない。あるいはロープジャッキのロープがない。このような状況でも対応できるかが試されます。

 受験者はあらかじめ練習をしていたためか、円滑に試技を進めていきます。大きなトラブルもなくこの試技は終了しました。終了と同時にすぐにロープを回収します。木登りに使用した道具や、自分のフライト機材をすぐにまとめ直します。
このような準備や整理が手早く行えることも救助活動にとっては非常に重要です。そのため、準備をしながら、次の行動が指示されます。すぐに2番目の実技内容を言い渡されるのです。

 二つ目の実技内容は、現在地から山頂付近まで徒歩で移動し、救助を行うというものです。パラグライダーのレスキューの現場は山中であることが多く、そして場所が明確に特定できないケースなども珍しくありません。この場合は捜索活動から始めなければならず、かなりの距離を動き回りそして、現場に到着するやすぐに実際の救助活動を始めなければならないのです。実技ではそのような状況を想定し、ランディングからテイクオフまでおよそ500メートルの高低差を移動し、その上で救助活動を行います。
ここで、受験者にも差が現れます。道具を最低限度にまとめ、素早く移動できる人と、多くの道具を持ってしまい、遅れて現場へ到着する人。実際の救助のケースではまずたどり着き、そして最低限度高所から落ちないための措置を行う必要が有ります。たしかにケースバイケースではありますが、素早く移動できることのメリットの方が大きいと思えます。
 それでも40分から1時間の間で設定した救助現場に到着した受験者は休む間もなく救助活動を始めます。救助の内容は宙づりになってしまっている要救助者をカウンターラッペルの技術で救助します。組まれているセットはカウンターラッペルで救助を行うには、かなり難しい(救助するために登る木から距離がある。)設定のために、事前にどのようなシステムを作って救助するのかが、しっかりと描けていないといけません。とくに、カウンターラッペルを行うための下降支点をどのような高さに作るか。もう一つはどのようにロープを移動して、救助者に近づいていくのかです。この点を誤ってしまうと、まず救助は成功しません。それから必要なのは正確さとスピードです。救助であることを忘れてはいけないのです。
 木を登る。下降支点をつくる。安全に下降するためのオートブロック(マッシャー)をセットする。ロープを移動して要救助者に取り付く。ロープジャッキを使用して、グライダーを外す。どれを間違えても成立しません。救助者にはこれらを確実に実行する技術と体力が必要です。
 受験者は難易度の高いセットながら、きちんと救助を成功させていました。ここまで朝から一時も休むことなく動き続け、すでに時間は14:30です。本日二つ目の実技課題が終了すると同時に、次の実技課題が言い渡されます。

 3つ目の実技課題は応用になります。救助活動はもちろんそれように準備しておいた装備、道具を使用します。しかしながら、それらの道具が直ぐには使用できないケースもあるはずです。それでもその場所にある道具で出来るだけのことを行うことが求められます。そこで3番目の実技は専用の救助用の装備を使用せず行います。状況は次のように設定します。3メートルぐらいの高さでやや宙づりのようにぶら下がっている。道具は通常のフライト装備だけ。つまり自己脱出の道具だけはそこにあることになります。
 まずは行動の優先順位と速度です。すぐさまそこにある道具で滑落しないための方法を実践します。チームはロープバッグを木の枝越しに投げることを指示し、ひとまずこれが成功しました。直ぐにこのロープを固定し、救助者のための自己確保とします。これに失敗すれば人間が自己確保をセットするために予備のロープをもって、同時進行で木に上り始めます。救助者はスリングを応用して簡易のハーネスを作成しそれを使用して木に登り始めます。先ほど固定しロープをそのまま下降ようのロープとして、樹上でロープジャッキによってライザーを外し、無事に救助ができました。常用なことは、まず要救助者が落ちないための方法です。その現場にある道具でなんとかする技術もレスキューの技術として非常に重要です。

 以上で実技がすべて終わりました。朝7:30に集合してはじまった検定会は16:00までかかりました。その間いっさいの休憩や昼食もなく、ひたすら動き続けましたので、受験者はそうとうにキツい内容だったと思います。また動くと汗をかき、止まると冬の寒さで一気に冷え込む状況のなか、なるべく起こりそうな状況で実技を行いました。今回はすべての試技をやりおえて全員が合格・更新となりました。

 しかし、課題はまだまだあります。もっと早く置こうためにライザーやラインをカットする指示を出したときに、それらに必要な道具を携行していなかったことは強く検定員から反省を促されました。そういう甘さがなくなり、エリアを管理するインストラクターとして常に不測の事態に対処できるように日頃の準備が必要であることを再確認して本日の検定会は終了しました。

検定員:小林 晋(グランボレパラグライダースクール)
    上野 陸(エアハート)

レベル2更新:加藤 奈保子(グランボレパラグライダースクール)

レベル2合格:岩村 誠(グランボレパラグライダースクール)
       林 浩嗣(グランボレパラグライダースクール)



タンデムパイロット技能証検定 VANスカイスポーツ(徳島県) 11/20-21

 今回はVANスカイスポーツで2名の方が受験。ご自分の装備をすべて揃え、森校長のもとで
春から練習を始められたそうです。予定した11/20はあいにくの空模様。お昼すぎにクラブハウスで机上講習からスタートしました。まずは現実を知っていただくうえで「事故と保険」に関して。タンデムパイロットを諦めさせるような内容の話しですが、どのような「意識」でフライトしなければいけないかということを知る上でも大切です。そしてフライトテクニックと装備に関して。様々なビデオを見ながら勉強をしましたが、すでにスクールで講習を受けてらっしゃるようでしたので、再確認となりました。
 最後に学科試験をしてこの日は終了。明日の天気に期待をして解散となりました。

 そして11/21。雨は早いうちに上がったので早速、水の丸テイクオフへ。強いもののなんとか飛べそうな風でしたので検定開始。プレフライトチェック、接客なども評価されます。ただ、準備は進めたものの、風は不安定になってしまい残念ながら一度、検定はストップ。一度下山をして、午後に再度戻ることにしました。14時半、ようやくコンディションに不安定な要素はなくなりテイクオフ。いよいよフライト実技開始です。フライトはすべてビデオに記録され、合否の評価は映像を見ながらとなりました。

お疲れ様でした。

合格:早井 隆行(VANスカイスポーツ)
   森下 仁史(VANスカイスポーツ)

検定員:岡田 直久



2014JPA研修会一覧

年明けから始まる各研修会の予定が決まりました。詳細な開催要項は順次発表する予定です。

2014研修会一覧
http://jpa-pg.jp/07info/2014jpa/2014seminar/

2014研修会カレンダー
http://jpa-pg.jp/014kyouiku/calender/index2014.html


インストラクターセミナーin韓国 10/29(火) パラグライダーレスキュートレーニング

 セミナー2日目スタートです。昨日のメンバーも入れ替わり、これから金曜日までは主にこれからインストラクターを目指す方が対象となります。今日のセミナーは終日、パラグライダーレスキュートレーニングとなります。8時すぎには研修室に集合し、さっそく講義からスタート。極力、実技の時間を長く取りたかったので、早々に1階のジムに移動。まずは道具の使い方を説明、そして自己脱出、懸垂下降のデモンストレーション。
 みなさんほとんどの方が、このような道具を使うのが初めてでしたので、デモは説明をしながらゆっくりと実施。イメージが出来上がったところで3カ所に分かれて実技開始です。実際にぶら下がると緊張感は高まり、みなさんの顔つきも変わります。地上にいる方たちの安全管理も大切です。懸垂下降は、地上練習した後に天井まで上がり、15mほどの高さを降りてみました。施設を有効に使いながら、お昼までに予定の課目を終了。
 今日もお昼は30分で済ませ、すぐにフィールドに出ました。ここからレベル2。まずは木登りから。ビレイヤーと登高者2人一組になって3カ所で同時に開始。秋らしい爽やかな陽気でしたが、慣れない作業にみなさん大汗をかきながら登っていきます。初めは、ビレイがなくなってしまうような状況が生まれてしまったりしましたが、少しずつ修正をしながら徐々に形になっていきました。地上に降りてきた方たちの安堵の表情が印象的でした。全員が木登りを終えたところですでに16時前。全員にレベル2のレスキューをしてもらいたいところでしたが、お手伝いをしてもらいながらデモを行い終了となりました。機材の回収を終え、研修室に戻るころには日も暮れていました。