パラグライダーレスキューレベル3認定検定会・更新研修会 2/13(水)スカイパーク宇都宮

2月13日(水)
 前日すべての準備を終えるころ、宇都宮には雪が降り出しました。様々な不安や緊張をかかえ、当日は8時前にはほとんどの方が駐車場で装備確認。レスキュー道具に加え、寝袋、テントなどの準備にも余念がありません。
 そもそもなぜこのようなトレーニングが必要なのか?なぜなら「事故は必ず起きるから」です。ヒューマンエラーブックでも「事故はゼロにすることはできないが減らすことはできる」と書いてあります。ゼロにならなかった際に必要なのは、このようなレスキュー技術になります。インストラクターとして当然持っているべき技術・知識がこのレスキューレベル3ということになります。お客様をスクールに迎い入れる上でも、お客様に対してのマナーとも言えます。ただ、我々にとって厳しいと思われるこのトレーニングも山岳レスキューからすれば「初歩」にしかすぎません。同じアウトドアで活動するものとしてそれは自覚しなければなりません。
 
 8時すぎにはミーティング開始。今回は講師に半谷顧問、そしてアルパインガイドの三苫(ミトマ)氏が加わり盤石の態勢を取ることができました。
今回の趣旨説明を終えると、すぐにチーム編成が発表され、外に出ることになりました。まず、3チームはGPSを使わず、それぞれ違う場所から仮想の事故現場にアプローチ。事故現場には実際のパラグライダーが木に引っ掛かっており、パイロットが救助を待っています。チームごとに救助を開始。救助にはスピードと確実性が求められます。このようなパラグライダーの救助を初めて見る三苫氏からも随時、適確な指示が飛びます。
全員が木から救助を終えたのが13時。ここからいよいよテイクオフに向けて搬送開始です。今回は75kgの丸太をSKEDストレッチャーに梱包し、3人チームを5人チームに編成し直しテイクオフを目指すことにしました。3人より5人のほうが楽そうに思えますが、意志の疎通がないとより難しくなってしまいます。数の優位性が発揮できるかどうかはリーダーシップとチームワークに掛かっています。ヤブ漕ぎをしながら斜面を引き上げ、そして谷にはチロリアンブリッジを張って日没前にテイクオフ到着を目指しましたが、慣れないこともあり大きな岩盤を目の前に今日の作業はここまでとなりました。

 ビバーグも予定をしていましたが、一度ミーティングをしっかりと行いチームワークを確かなものにすることが先決との結論に達し、今日はクラブハウスへ下山です。
 今日の反省は・・・。明日こそテイクオフに引き上げなければなりません。レポートをまとめ、救助方法を見直し、明日の作戦をたて明日に備えることにしました。



レスキューレベル3

明日からいよいよレスキューレベル3の研修会が始まります。不測の事態に備え、私たちインストラクターがレスキューレベル3の技術・知識を身につけることは必須です。木から降ろす救助だけでは不十分であり、不測の事態にすぐヘリを呼べばいいという態度も社会的責任を果たしていると言えません。
今回はプロの山岳ガイド2名が講師を務め、2日間スカイパーク宇都宮を会場に研修が昼夜を問わず開催されます。現在、宇都宮の空には雪が舞っています。


ウインチオペレーター技能証検定会に関して

「JPAウインチオペレーター検定研修会」に関して、その詳細をご連絡させていただきます。トーイングスクールをお考えの方はこの機会にご参加ください。

1. JPAウインチオペレーター技能証
 ウインチ(トーイングマシン)を操縦するにはこの技能証が必要となります。ウインチを操縦するには正しい知識と技術が必要となります。アシスタントインストラクター以上であればこの検定研修会への参加資格があります。

2. DHV安全基準に準じたウインチ
1年の間、JPAと共同でテストを繰り返し行い、ようやくDHVの安全基準に則したウインチを作っていただきました。
また、JPAではウインチの認証テスト制度を設けました。このような背景には、過去数々の自作機が事故を起こしていることが挙げられます。

また、トーイングに必要な装備品であるライン、トーイングパラシュート、ウィークリンク(安全装置)、リリースシステムなども専用のものを準備しました。

3. 80ページ以上に渡る「パラグライダートーイングテクニックブック」
 なにを行うにもすべての指針となるのは教本です。その教本も完成させました。昨年5月に行ったDHVでの研修で学んだこと、そして頂いたたくさんの資料をもとにたくさんのテストを日本で行い、日本の環境にあったシステムを作り上げました。この教本が今後のトーイングスクールの指南書となります。

*2013年開催のウインチオペレーター検定会は今回のみ。


ウインチオペレーター検定研修会 2/27-28開催決定


ウインチオペレーター検定研修会
http://jpa-pg.jp/11event/2013ken/winch_kentei/winch_kentei13y.html

一年の準備期間を経てトーイングシステムをすべて完成させることができました。そこで2/27-28に初めてのウインチオペレーターの検定会を実施します。トーイングスクールを予定されている方はご参加ください。

検定研修会は最新のウインチ、装備、そして全80ページを超える教本を使用して研修を行います。

2013年中の検定会は今回のみとなります。

お申し込みページ
http://jpa-pg.jp/form2013/seminar/winchkentei/winchKentei01.html



1月24日(木) レスキューレベル2更新研修会 関西

 2010年にレスキュー制度が始まって初めての更新講習会になりました。最初の検定会で学んだことからトレーニングや知識を増やしたかが興味深いところでもありました。
 前日に半谷顧問から助言をいただき今回の課題が決まり当日発表しました。課題は少々難問ですがしっかり学習していればできるはずです、、、みなさんを信じて講習開始です。
 朝8時半には全員準備完了で、初めに教育部部長の岡田氏のお話から始まりました。実際の救助現場での話しからレスキューレベル3まで受講してやっと救出→搬送で完結するということでした。
 なぜならば、助けに行く現場はほとんどの場合山中ですし、怪我をしていた場合の搬送まで知っておかなければどうしようもないからです。もちろん、そんな状況にならないようにするのが重要ですがなにが起こるか予想できない状況もありますので完璧にしておかなければならないわけです。

 前回と違って、今回は登山から始まります。白地図とGPSとコンパスをもって山の中へ入っていかなければなりません。山といっても受講者のホームエリアではないのでまずは地形を地図から読みとらなければなりません。そしてルートを決めて12~15kgのザックを背負って登山です。だいたい1時間ほど歩いた場所を今回の現場に設定しました。しかし、ルートを見つけるのに時間がかかったことと、やはり体力的なところで30分ほど遅れました。現場に着いたらすぐに木登りを始めます。リードでの木登りですから登る人も大切ですがビレーヤーもしっかりしていないといけません。ここで準備が遅いと全体的に救出も遅れますし、もし要救助者が怪我していたら、、、なんて考えるとスピーディーで正確にしなければなりません。ポイントは、必要最小限の装備をすぐに装着できるようにしておくこと。

 シミュレーション用のライザーで要救助者役の山口さん(びわ湖パラグライダースクール)を宙吊りでセットしました。場所は急斜面。課題は木からそのまま降ろすのではなく、斜面上に救助するというもの。現場に即した対応能力が試されます。もちろんすんなり出来ません。腕力も消耗していきます。トラブルシューティングもあり、全員終わり片付けを終えたころにはちょうど日は沈みました。下山は懐中電灯の灯りを頼りに降りていきます。
 スクールへもどると校長が暖かいコーヒーを入れて待っていてくれました。

 現場はどんなことが起こるかわかりません。そこで使える技術と知識はあればあるほどより安全に救助ができるのです。しかし、そのためには練習をしっかりしておかなければ小手先の技術と知識ではかえって安全なものが危険にさらされてしまうわけです。日本山岳レスキュー協会の認定もでているわけですし、ただ更新講習会で学ぶだけではなく、スクールの現場で練習する環境とサポートしてくれる人を育てるのが大切だと思います。

最後になりますが、寒い中木にぶら下がり続けてくれた山口さんに感謝します。ありがとうございました。
 またこのようなトレーニングに参加されたインストラクターの皆さんからはパイロットに対する愛情をたっぷり感じました。お疲れ様でした。

講師:只野 正一郎(TAKパラグライダースクール)
更新:森 永年(VANスカイスポーツ)
   堀 幸雄(ジャムスポーツ)
   藤田 有希美(びわ湖スカイパーク)
協力:山口 雅裕(びわ湖スカイパーク)