パラグライダーレスキューレベル3 朝日新聞で紹介
先日のレスキューレベル3トレーニングの模様は朝日新聞でも紹介されています。
先日のレスキューレベル3トレーニングの模様は朝日新聞でも紹介されています。
2月14日(木)
スカイパーク宇都宮・谷田校長のご厚意もあり昨晩はクラブハウスをすべて開放していただきました。おかげさまで、起床してすぐに準備に取り掛かることができました。7時過ぎには装備確認、そして各チームが作戦会議を始めています。8時前にはミーティング開始。今回は特別にエアパークCOO黒川氏より地図の見方を教えていただきました。普段、GPSなどのデジタル装備に頼ってしまいがちですが、基本はやはり地図とコンパスです。その地図の見方を教えていただいたことは貴重な経験となりました。
9時登攀開始。昨日の最終地点には30分ほどで到着。さっそく目の前に立ちはだかる岩盤を引き上げる準備開始です。引き上げシステムを準備する者、ストレッチャーの引き上げの準備をする者と分かれ、昨日以上にチームワークが取れた動きとなっています。無駄な時間がないということは、=迅速な救助活動ということにつながります。岩盤を引き上げ、さらに立ちはだかる岩盤を攻略するためにトラバースをしたり・・・休むことなく最終地点を目指します。みなさんすでに体力、気力とも疲労困憊ですが、最後のルートが今回の最難関。昨年以上にもろくなった岩場は、すこし歩くだけでも岩が剥げ落ち、「ラック!」という声が響き渡ります。最後の力を振り絞って慎重にルート選び、最後の岩盤の引き上げです。目標時間としていた12時は回ってしまいましたが、集中力を切らさずテイクオフへ到着。ようやくみなさんから安堵の表情がうかがえました。
ただ、今回はまだ続きます。テイクオフの裏側・北斜面で事故発生と想定し、各チーム、GPS座標を頼りに現場に向かいました。各チームの状況は本部がすべて監視しています。地図を見ながらルートファウンディングをして全チームそれぞれの事故現場に到着。移動本部まで下山をし全員合流したところで、すべてのトレーニングを終了しました。
クラブハウスに戻ってからは再度、ミーティング。厳しいトレーニングに耐え目標を達成できたことは大変うれしいことですが、これに満足せずいかなる時でも出動ができるよう、さらなるトレーニングを6月に行うことを約束し今回の研修会を終えました。皆様、お疲れ様でした。
講師:半谷 貞夫(JPA顧問)
三苫 育(日本アルパインガイド協会公認アルパインガイド)
レベル3合格:
北 謙太郎(となみ野パラグライダースクール)
辻 強(エアパークCOOパラグライダースクール)
近藤 正哉(スカイパーク宇都宮)
レベル3更新:
小林 晋(グランボレパラグライダースクール)
植木 亨(とんとんトンビパラグライダースクール、JPA理事)
関沢 孝之(JMB立山パラグライダースクール)
只野 正一郎(TAKパラグライダースクール)
扇澤 郁(スカイ獅子吼パラグライダースクール)
上野 陸(エアハート)
大澤 行英(バーズパラグライダースクール)
宮田 歩(エアパークCOOパラグライダースクール)
協力:谷田 重雄(スカイパーク宇都宮)
水沼 典子(スカイパーク宇都宮)
星 初男(スカイパーク宇都宮)
黒川 洋一(エアパークCOOパラグライダースクール)
2月13日(水)
前日すべての準備を終えるころ、宇都宮には雪が降り出しました。様々な不安や緊張をかかえ、当日は8時前にはほとんどの方が駐車場で装備確認。レスキュー道具に加え、寝袋、テントなどの準備にも余念がありません。
そもそもなぜこのようなトレーニングが必要なのか?なぜなら「事故は必ず起きるから」です。ヒューマンエラーブックでも「事故はゼロにすることはできないが減らすことはできる」と書いてあります。ゼロにならなかった際に必要なのは、このようなレスキュー技術になります。インストラクターとして当然持っているべき技術・知識がこのレスキューレベル3ということになります。お客様をスクールに迎い入れる上でも、お客様に対してのマナーとも言えます。ただ、我々にとって厳しいと思われるこのトレーニングも山岳レスキューからすれば「初歩」にしかすぎません。同じアウトドアで活動するものとしてそれは自覚しなければなりません。
8時すぎにはミーティング開始。今回は講師に半谷顧問、そしてアルパインガイドの三苫(ミトマ)氏が加わり盤石の態勢を取ることができました。
今回の趣旨説明を終えると、すぐにチーム編成が発表され、外に出ることになりました。まず、3チームはGPSを使わず、それぞれ違う場所から仮想の事故現場にアプローチ。事故現場には実際のパラグライダーが木に引っ掛かっており、パイロットが救助を待っています。チームごとに救助を開始。救助にはスピードと確実性が求められます。このようなパラグライダーの救助を初めて見る三苫氏からも随時、適確な指示が飛びます。
全員が木から救助を終えたのが13時。ここからいよいよテイクオフに向けて搬送開始です。今回は75kgの丸太をSKEDストレッチャーに梱包し、3人チームを5人チームに編成し直しテイクオフを目指すことにしました。3人より5人のほうが楽そうに思えますが、意志の疎通がないとより難しくなってしまいます。数の優位性が発揮できるかどうかはリーダーシップとチームワークに掛かっています。ヤブ漕ぎをしながら斜面を引き上げ、そして谷にはチロリアンブリッジを張って日没前にテイクオフ到着を目指しましたが、慣れないこともあり大きな岩盤を目の前に今日の作業はここまでとなりました。
ビバーグも予定をしていましたが、一度ミーティングをしっかりと行いチームワークを確かなものにすることが先決との結論に達し、今日はクラブハウスへ下山です。
今日の反省は・・・。明日こそテイクオフに引き上げなければなりません。レポートをまとめ、救助方法を見直し、明日の作戦をたて明日に備えることにしました。
明日からいよいよレスキューレベル3の研修会が始まります。不測の事態に備え、私たちインストラクターがレスキューレベル3の技術・知識を身につけることは必須です。木から降ろす救助だけでは不十分であり、不測の事態にすぐヘリを呼べばいいという態度も社会的責任を果たしていると言えません。
今回はプロの山岳ガイド2名が講師を務め、2日間スカイパーク宇都宮を会場に研修が昼夜を問わず開催されます。現在、宇都宮の空には雪が舞っています。
「JPAウインチオペレーター検定研修会」に関して、その詳細をご連絡させていただきます。トーイングスクールをお考えの方はこの機会にご参加ください。
1. JPAウインチオペレーター技能証
ウインチ(トーイングマシン)を操縦するにはこの技能証が必要となります。ウインチを操縦するには正しい知識と技術が必要となります。アシスタントインストラクター以上であればこの検定研修会への参加資格があります。
2. DHV安全基準に準じたウインチ
1年の間、JPAと共同でテストを繰り返し行い、ようやくDHVの安全基準に則したウインチを作っていただきました。
また、JPAではウインチの認証テスト制度を設けました。このような背景には、過去数々の自作機が事故を起こしていることが挙げられます。
また、トーイングに必要な装備品であるライン、トーイングパラシュート、ウィークリンク(安全装置)、リリースシステムなども専用のものを準備しました。
3. 80ページ以上に渡る「パラグライダートーイングテクニックブック」
なにを行うにもすべての指針となるのは教本です。その教本も完成させました。昨年5月に行ったDHVでの研修で学んだこと、そして頂いたたくさんの資料をもとにたくさんのテストを日本で行い、日本の環境にあったシステムを作り上げました。この教本が今後のトーイングスクールの指南書となります。
*2013年開催のウインチオペレーター検定会は今回のみ。
JPA教育事業部