LIVE TRACKING24 を使用してツリーラン救助
世界の大会で徐々に浸透し始めているライブトラッキング、JPAの競技会においても使用すべく多くの選手のみなさまに試してもらっています。競技会ではレース状況の把握、選手はフライト後のレース解析になどに役立てています。また、このライブトラッキングはパイロットの安全管理にも有効です。今回、実際にライブトラッキングによって困難な救助が迅速に行われましたので紹介させていただきます。
10:33(ライブトッラキングで確認)
1名のパイロットが潰れを回復できず、パラシュート開傘。エリアから見える稜線の裏に消えたため、ツリーラン現場は目視できず。空中のパイロットが無線で呼びかけるが正確なGPS座標を得ることができない。また、携帯電話は圏外のため、通信はできず。
早急に位置情報を確定するために、スタッフがクラブハウスでライブトラッキングのホームページを立ち上げる。すぐにパイロットのユーザーネームから位置情報を得ることに成功。 現場を目撃したパイロットの情報と照らしあわしても、この情報に間違いはなさそうなので、この位置情報をGPSに入力して現場に向かうことを決める。
11:00
現場は、エリアと通信が途絶える可能性がある、さらにアプローチが長い(高度差400mほどを登り、その後高度差200mほどを下る)、ルートは急勾配、足場がもろい、部分的に残っている雪が凍っている・・とうこともありスタッフ3名(全員レスキューレベル3所持者)と現場を目撃していたパイロット1名(救助経験あり)の4名で現場に向かうことに。
12:45 (GPSの履歴で確認)
現場到着。ライブトラッキングの位置情報にはほとんど誤差なし。
パイロットはすでに自己脱出しており地上で待機。スタッフ2名が木に登り、パラグライダー、パラシュートを回収。
13:20 (GPSの履歴で確認)
回収およびパッキング完了。下山開始。
14:40 (GPSの履歴で確認)
下山完了
(総括)
・パイロットがライブトラッキングを使用していたおかげで、位置情報を正確に得ることができた。万が一、パイロットと通信ができなくてもほぼ誤差のない位置情報を入手できることがわかった。
・ライブトラッキングを利用しての救助は初めてだが、その位置情報をGPSに入力することで、ほぼ誤差なく現場に到着することができた。
・今後、ライブトラッキングの使用方法が確立すれば、非常に心強い。すでに、今シーズンのJPA競技会ではGPSつき無線機とライブトッラキングで選手の安全に最大限配慮するが決定している。
・もちろん、その位置情報を正確に使える地図およびGPS、そしてそれを使いこなせるレスキューレベル所持者を中心にチームを編成できたことが救助を円滑に完了させた大きな要因。JPAのパラグライダーレスキューに対する取り組みを最大限に活かすことができた。
・ルート探し、現場を往復できる体力、登山能力、グライダーの回収技術・・どれがひとつ欠けても成しえなかったものであった。場合によってはビバーグ、滑落、機材放置など様々なことが考えられた。
JPAでは今後ともパラグライダーレスキューの取り組みを継続的に行っていく必要があることを痛感した。
位置情報を最後に送信した時間、位置情報を最後に送信した場所(緯度経度-十進法で表示)が記録されている。
地図形式は3D(Google Earth)にも変更可能。