ツリーランディング回収

JPAではパラグライダーレスキューのシステムを導入して以来、大変大きな成果を上げています。先日もスクールの異なる2名のレスキューレベル所持者がツリーランディングの救助にあたりました。まずは現場を見てどのような救助をするか決めるわけですが、同じ教育を受けていますので、お互い「同じ言葉」で会話ができるのでその意思決定が非常にスムースに行えます。これは大変重要なことです。また、救助中も間違いを起こすこととなるような言葉は使用しません。たとえば、「ビレー取って」という言葉を聞いた場合、人によっては「ビレーをセットする」また「ビレーを外す」と解釈します。ひとつの言葉でまったく真逆な意味をなすことがあり、安易にそのような言葉を使うことは危険です。
いくら救助できる人が何人いても、コミュニケーションができなければ現場では機能しません。そのために、レスキューレベル認定証は定期的に更新会に参加する必要があるわけです。そこでは技術、知識を身につけることはもちろんですが、お互いが関わり合い研修を行うことでコミュニケーション能力を磨きます。


冬のフライト前に・・

冬になりますと、フライトできる場所も限られますので、ホームエリアを離れ全国各地のエリアに行くことが増えると思います。その際に、・・というかフライトするうえで必ず携帯すべきものがあります。それは「JPAパイロット会員登録証」です。もちろん、有効期限が切れていないものです。この会員登録証、なにが重要かと言いますと第三者賠償責任保険(対人対物保険)を兼ねています。この保険に加入していない限りフライトすることはできません。車でも自賠責保険に加入していないと運転できないのと同じです。
どこのエリアでも、『有効なJPAパイロット会員登録証を所持していること』といったことがエリアに入山するうえで必要なルールと定めています。これは『第三者賠償責任保険に加入していること』ということを指します。
飛んでいて、人に危害を加えてしまった、モノを壊してしまった・・そのようなときに困らないためにも「JPAパイロット会員登録証」は常に有効でなければなりません。何か事が起きたとき、知らなかったでは済まされません・・。今一度、ご確認願います。



Ghana Paragliding Festival 2018

ガーナでタンデムフライト1

今年で13回目の開催となる「Ghana Paragliding Festival」ですが、昨年までの6年間、JPAのスーパーバイザーでもある岡田氏がタンデムパイロットとして招待され、参加を継続していました。
そして、岡田氏の功績が評価され、今年は日本人枠が1名増え、私前堀が招待を受け岡田氏と2人での参加となりました。
パイロットはその他に世界各地から集まり、総勢10名。

このイベントは、毎年イースターに開催されているので開催日は年によって大きく変わりますが、今年のイースターは4月1日ということで、3月27日~4月3日の8日間かけてガーナに行ってきました。

日本からガーナへ、今回はドバイ経由で飛行機に約20時間ほど乗りようやく首都アクラへ到着。そこから開催地Nkawkaw(カーカウ)までは車で3時間ちょっと。長い移動は順調でトラブルもなく予定通りに現地入りすることができました。

今年はテイクオフエリアが大きく拡張&整備され、広さは昨年までの3倍ほどになったようです。タンデム機を4機ほど横に余裕で並べることができる広さです。芝生が植えられ土の露出も少なく、斜度も十分、拡張された恩恵で風の入り方も良くなったようで、昨年までとはまるで別のテイクオフに改良されたようです。
ガーナ政府のこのイベントへの力の入れようがうかがえます。


整備されたテイクオフ

現地に到着すると、まずはテイクオフの完成セレモニーが開催されました。
大勢の方々が参列し、英語と現地語を交えて進行されていきます。
パイロット達も一人ずつ挨拶をし、参列です。


テイクオフ完成セレモニー

テイクオフでのセレモニーが終わると、次はこの村に受入てもらうための入村式が行われます。
なにやら歓迎の儀式が行われ、お神酒のような意味合いであろう、現地のいかにも手作りのお酒を皆で順番に飲んでいきます。(全然美味しくはない・・・。)

すべてのセレモニーが無事に終了し、翌日からはいよいよフライト開始です!
どうやら、すでに予約だけで200名以上のお客さんがいるようです。
そして、天気予報は3日間とも飛べそう!!


ガーナでタンデムフライト!

朝からテイクオフで開会式が行われ、フライト開始したいところですが、まだ雲底が低くテイクオフは真っ白。10時半頃になりようやく視界がひらけてフライト開始!
広いテイクオフからパイロット達が次々と飛び出していきます。
順番待ちをしているパッセンジャーの方々を受付係りの2人が準備のできたパイロットに振り分けていきます。
パッセンジャーはかなり多国籍。ガーナ現地の方、ガーナ在住の外国人、観光に来ている人、ボランティア活動に来ている人などさまざま。

どんなパッセンジャーでも確実に安全なテイクオフ&ランディングが出来るよう、準備や説明には気を遣います。私の未熟な英語での説明でどのように伝わっているか注意深く観察しながら、しっかりとコミュニケーションを取りながら。


初日はテイクオフの風が良く、終日テンポよくフライトすることが出来、日没まで飛び続け、岡田氏と私ともに10本ずつフライトすることが出来ました。

2日目の朝はキレイな雲海フライトでスタート!!
なんとも幻想的で広大な雲海でのフライトに癒されました。


この日も終日風に恵まれて、11本ずつのフライト。

しかし、3日目。テイクオフに到着すると本流の風は完全に後ろから。
時折フォローが止み、なんとなく前からの風に変わるタイミングでのテイクオフ。
テイクオフの先は断崖絶壁。前日までとは打って変わって緊張感漂うテイクオフです。何よりも精神的に疲れるシチュエーション。午後になりようやく少しまともな風に変わったものの、夕方までは続かず、最後のフライトは完全なフォロー風になってしまいタイムオーバー。
最終日の3日目は岡田氏が10本、私が9本のフライト。

2人合わせて3日間の合計で61本のタンデムフライトを飛ぶことが出来ました。
詳細は分かりませんが、当初の予約の200名はコンプリートし、追加の方々もある程度受け入れることが出来たのではないでしょうか。
タンデムパイロットとして招待していただき、しっかりとその責務を果たすことが出来たと思います。ガーナの観光の発展と地域の子供たちへの還元に少しでも力になれたのではないでしょうか。

イベント時には公式に手伝いをしている地元の子供たちが大勢いて、テイクオフでの準備やランディングでのパッキングやグライダー運びを手伝ってくれます。ガーナの特に子供達は非常に力強く生きています。
好奇心も旺盛で、素直で。
カメラを向けると一瞬で囲まれて大盛り上がり!本当に、ビックリするぐらい盛り上がります。


今回のイベントへの参加は、自分にとってもかなり貴重であり、有意義な経験が出来ました。
初めてのエリアで、多国籍のお客さんを相手に行う商業タンデムフライト。
緊張感と楽しさが両立し、疲れも忘れて必死に飛び続けた3日間でした。
このような機会がなければ一生訪れることがないであろうガーナという国に行き、さらにそこでパラグライダーで空を飛ぶという特別な経験。
機会を作ってくださった岡田さん、サポートしてくださったJPA(日本パラグライダー協会)、本当にありがとうございました。

レポート:前堀善斗


2018年安全対策会議開催


例年同様、この時期に『JPA安全対策会議』を開催させていただきました。

今年はフライト実技も行いたいと考え、参加者の皆様には朝早くからお集まりいただき、定刻通り8:30に開始となりました。
『着陸進入中の事故撲滅を目指して』というテーマを掲げ、アプローチに関する再確認と見直しと共に、新たなトレーニング方法と実践案を提案させていただきました。
昨年発生してしまった事故の要因として『アプローチミス』『ランディング時の失速』の比率が大きかった点に着目し、その対策案を考案させていただき、それに関して参加者の皆様に実践していただき、より具体的、実践的な対策案を作り上げることが目的です。

久しぶりのフライトを交えた安全対策会議で参加者のモチベーションは明らかに上がっています。やはり、机上だけではなく実践を通じて多くのインストラクターの方々のご意見を伺えることは非常に有効だと感じました。

翌日は、2017年の事故統計データの発表から始まり、講師の方をお招きして接客セミナーを開催しました。
『繋がる』というテーマを基に、普段はあまり深く考える機会の少ない「言葉』とその使い方に関して学び、パラグライダースクールの接客力の向上を目指します。ロールプレイングも交えてより実践的なシチュエーションで学んだことで、実践に生かしていただけるのではないでしょうか。

今年もお忙しい中、全国各地よりたくさんの方々にご参加いただき、有意義な2日間とすることができたと感じております。

ご協力いただいた方々、会場とさせていただいた富士山YMCAの皆様、ご足労いただきました保険会社の方々、講師をお引き受けいただいた大友様、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

2018年もJPAは会員スクールの皆様と共に、安全普及活動に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

安全普及事業部部長 前堀善斗



バリアフリーの取り組み活発化

10月8,9日の2日間、KPS富士見高原パラグライダースクールでは、同スキー場で開催の「ユニバーサルフェスティバル」に協力。20名の車いすの方にパラグライダーの浮遊体験を楽しんでいただいたそうです。

生坂村でパラグライダースクールを開講している大町スカイサポートでは、車イス型のパラグライダー専用ハーネスを利用した取り組みが進んでいます。地元紙でも、その活動が大きく取り上げられました。