パラグライダー・レスキューレベル1,2認定検定会・立山 2日目

2日目
レポート 南裏保恵

 今日の課題は、宙づりからの救助です。昨日はその手順について、みなさん宿に帰ってからも真剣に考え、話し合っておられたようです。テクニックはすべて、昨日、実演・習得した課題の中に含まれています。それを使って、いかに効率よく、安全に、困難な状況の救助を行うか、一人ひとりの救助にあたっての迅速さ、確実性、安全管理能力が試されます。
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 朝8時、立山パラグライダースクールのクラブハウスには、少し緊張された面持ちで参加者全員が集合。天気は雨、午後には止む予報だったのですが、山は霧で視界も悪く、気温も昨日より下がってきました。前回のCOOでの認定会に引き続き、悲惨な状況が予想されましたが、救助という緊急事態を想定した認定会で甘いことを言っていられません。

 昨日の段階では、デモなしで実践という予定でしたが、限られた時間内で正確な技術を習得しなければならないため、正しい手順のデモンストレーションを見てからの実践となりました。とは言っても、自分なりにすでに組み立てた手順とのすり合わせなので、複雑な手順も意外にすんなり頭に入ったようです。あとは、実践のみ。
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 雨は降ったり止んだりですが、林の中は夕べのしずくで終始雨降りの状態、木の肌は濡れて滑りやすくなっており、練習してきたはずの木登りも、なかなかはかどりません。霧に巻かれた林の中は、木を高く登るにつれ、うす暗く、要救助者を気づかう余裕もなかなか持てません。なんとか手順どおりに救助できた人、救助できても時間がかかってしまう人、失敗して救助出来なかった人、それぞれに反省を持って一通りの実践が終わりました。
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 残りの時間はユマーリング、木登りの練習、そして、木から救助したけが人を山から搬送する、背負い搬送も実践しました。搬送はレベル3の項目ですが、小手先の技術習得だけでは本当の救助には役立たないため、2人一組で背負って約300mの斜面を往復しました。救助活動は技術と体力がなくては、実践で役立たないこと、そのために普段、訓練しておかなければならないことをみなさん実感されました。
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 認定の結果は・・・。レスキュー認定会は、全く練習なしでの参加では合格することはできません。少なくとも参加資格の項目(木登り・自己脱出)を十分練習した人でなければ、その上の技術を習得するのは難しい内容となっています。これまで不合格となっている方は、すべて練習不足あるいは準備が足らなかったことが原因です。今後も参加される方は、十分そのことを心して練習に取り組んで望んでください。

 今回の認定者も、今後まだまだ練習を続け、実際の救助現場に備える必要があり、それぞれの責任を認識して認定会を終えました。

 今回の参加者の中にも一般のパイロットの方が意欲を持って参加されました。これはJPAにとっては大きな財産です。始まったばかりのレスキュー認定会ですが、エリア管理者やインストラクターだけでなくフライヤー一人ひとりがこういったレスキューの知識・技術を持っていくことはアウトドアスポーツを楽しむ人として理想の姿です。ぜひ、続けて意欲を持って取り組んでいただきたいと思います。この認定検定会で学んだり感じたことすべてが今後のスクールの大きな力となるはずです。みなさん、お疲れ様でした。
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今季の認定検定会は5月の山形県白鷹を残すのみとなりました。


パラグライダー・レスキューレベル1,2認定検定会・立山 初日(4/20)

8時半集合。今回の目的、意義をレクチャーしたのち、すぐに研修会場に移動しました。雲は徐々に厚みを増し、開始するころには雨が降ったりやんだりとなりました。実技は南裏講師の木登りのデモンストレーションから始まりました。リードで登る意義、体の使い方、ビレイヤーの役割と重要性など重要な要点を解説しながらあっという間に終了点まで登っていきます。ロアーダウンで降りると、さっそく2人1組で木登り。手際の良さはこの検定会に向けどれだけ練習してきたかで一目瞭然です。今回は研修会ではなく検定会です。しかも日本山岳レスキュー協会に求められるレベルが必要となります。参加するに当たっての意識の差がそのまま行動となって表れます。間違った操作には講師の南裏さん、関沢さんからすぐに指摘があります。JMB立山パラグライダースクールの関沢校長はクライミングにも精通しており、見る目は非常に鋭く的確です。


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木登りが一通り終わったところで、次に「宙づりからの自己脱出」。この目的は、このあとのカウンターラッペルでの救助に必要な技術を習得することにあります。自分の脱出ですので救助をすること以上に迅速にそして正確に行える必要があります。


すでにここで13時。雨の降りは時々強くなりますが、前回の検定会と違い、気温が高いの幸いしています。午後からいよいよ救助。カウンターラッペルの意味を図解で説明し、デモをし、そして各自実施。


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実際救助をしていると救助者は方法論にとらわれがちですが、常にどこに危険性があるか、このあとの手順はどうなるか自分で確認しながら行うことが重要です。南裏、関沢の講師陣は救助者にそのような意識があるかどうか見抜き、意識のない行動には厳しい指摘が飛び交います。

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すべての実技を終了したのは日暮れ前。室内に戻り今日の反省と総括。明日は宙づりの救助から実技スタートです。なお、デモはなし。参加者全員で今晩中に話し合い、答えを出しあいすぐに実践となります。
8時スタートです。


4月15日(木) アシスタントインストラクター、インストラクター更新研修会・白馬

スキッとした空気が気持ちの良い雪の朝となりました。雪のゲレンデを歩きながら栂池パラグライダースクールのクラブハウス「エデン」へ。インストラクターのみなさん、8時すぎには続々と到着。今回も予定より早く研修会開始です。
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ちょうどこれからパラグライダーのシーズン本番、そしてサーマルコンディションの強い春を迎えます。気を引き締めてシーズンインを迎えるには良いタイミングの更新会になったのではないかと思います。

まずは前回の更新会同様、昨年の傾向、保険、事故について実例や事故報告書を交えながら講義。すでに3月の総会でもお話した内容ですが、事故に対する取り組みは繰り返し、そして継続して行う必要があります。同じ事故に関するグループトーキングでも、話し合う仲間が変わるとまた色々な意見が出てきます。
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さらにその話の流れで「パラシュート」。最近、JPA大会やリガー研修会でお話している内容を、実演を多く交え講義を行いました。パラシュートを投げる練習はあまりできませんが、その分シミュレーション、正しい知識をどれぐらいもっているかということが重要になります。

是非、フライトを行いたかったのですが、さすがに今日の天候では断念。それでも広いクラブハウスを使わせてもらいながら午後は「テイクオフ」に関して。実際にパラグライダーを広げてみんなでどうすれば効果的なテイクオフが行えるか、そして指導ができるかということを話し合いました。基礎技術はJPAが発足してまっさきに取り組んだ科目です。セオリーは変わらないもののそれをどのように教えるかということは年々進化しています。基本姿勢、ライズアップ、頭上安定・・・本質が見えてくればどのようにすればいいか答えは出てきます。
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すべての講習が終了したころ、外気温はすでにマイナス。栂池パラグライダースクールの後藤校長に雪道をキャタピラ車で荷物を運んでいただき解散となりました。今回の内容がこの春からの講習にお役立ていただければと思います。


4月14日(水) リガー更新研修会・白馬 2日目

昨日と一転ひんやりとした朝を迎えました。ゲレンデを見上げると、まだ多くのスキーヤーで賑わっています。さて、今日も8時半にはみなさん集合。さっそく机上講習から更新会はスタート。昨日の反省も踏まえ、今日は実技のデモンストレーションに時間を費やしました。修正箇所の断片的なデモではなく、4ラインチェックからラインストーまでの一連の流れをすべて行い、みなさんにイメージをしっかり作ってもらいました。事前の講習が一通り終えたところで、実技開始。栂池レストハウスのスペースを有効に使えるので、広々と実技が行えます。
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今回は順調に進み、ようやくこちらの狙い通りの研修会となってきました。JMB立山の若林インストラクターはすべてのタスクを16時すぎには終了。大きな修正箇所もなく、こうしたらもっと良くなるというポイントを数多く伝えることができ、更新会らしい内容となりました。良いパックであるかどうかは、そのレスキューパラシュートをどのような理由をもとにパックをしたかということをリガーがすべて説明できるかどうかでわかります。説明できないようなパックであれば、本質がわかっていないということになります。現在始まっているパラグライダーレスキューもそうですが、作業の本質が見えてこないと、どのように行えばいいかということが理解できません。研修会ではその考え方を学びます。

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今回は岡田、只野の2名のFAA(アメリカ連邦航空局)パラシュートリガーで担当したこともあり、お一人ずつ細かい箇所までこだわって研修が行えたように思えます。それが主催者の自己満足ではなく、みなさんに確実にフィードバックできていれば幸いです。すべての研修は終えたのは18時すぎ。今回会場を手配していただいた栂池パラグライダースクールの後藤校長のもと後片付けをし終了となりました。


4月13日(火) リガー更新会・白馬 1日目

4月13日(火)

今季のリガー更新会も終盤。今回は雪解け間近の長野県栂池パラグライダースクールが会場です。クラブハウスのあるゲレンデはまだ雪が多く、車の通行もできないため、栂池パラグライダースクールのご好意で別に会場を手配していただきました。
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実施する内容は1月に最初の更新会を行ってから一貫していますが、その間にも様々な情報も入り、少しずつ軌道修正をしながら今日を迎えました。まずは、机を囲んで、現在の問題点、注意点などを一通りお話ししました。機材の進化、テスト機関アカデミーの台頭により、色々なことが変わってきています。リガーは最新の情報をもとに作業を行います。様々な最新情報が世界各地からJPAに入ってくることも、このリガー制度を確固たるものとしている一因です。もちろん、セオリーは変わることがありません。情報をどのように精査し使いこなすかということはリガーの見識に関わってきます。

実技では注意点に関するデモンストレーションをしたのち、作業開始。普段取り扱っていないパラシュートを5個リパック。実技科目は前回同様です。とにかく初めまだ体が疲れていないうちに細かいポイントを徹底的に注意し理解してもらいます。結果的に疲れていてもどのような状態でも同じ作業がいつも同じようにできなければなりません。
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レスキューパラシュートのパックは慣れてしまえば単純作業ですが、常にコンマ何秒かでも速く開傘させたいかということを念頭に作業をする習慣が身に付かなければなかなか単純にはいきません。そのきっかけがこの更新研修会であればこの更新制度は意味あるものとなります。
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今回も終了したのは19時過ぎ。クタクタになりながらもなにかを感じ、今後のリガー活動に役立つものがあったのではないかと思います。この春はサーマルコンディションも例年以上に強烈です。パラシュートのお世話にならずにすめばそれに越したことはありませんが、いざという時のため、万全の準備でフライトに臨みたいものです。
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