第33回デサントバードマンカップ獅子吼2014

第33回デサントバードマンカップ獅子吼2014 競技委員長 扇澤 郁


 デサントバードマンカップは株式会社デサントの創業者故石本他家男様の郷里が、旧鶴来町だったご縁で、同社のスポンサードのお陰をもち33回の開催を重ね現在に至っております。現在は大阪と東京を本社とし、ゴルフ・スキー・野球・陸上・水泳などスポーツウェア全般の製造・販売会社として業績を伸ばし、オリンピック選手のサポートも行っています。毎年本社各部署より鶴来へ観戦においでいただき、鶴来のまちやスカイスポーツ関係者と交流を深めています。今大会もデサント社のスポーツウェアなどを多数ご提供頂きました。長年のご支援に心より感謝申し上げます。

 獅子吼高原山頂テイクオフは2013年7月末の豪雨により、斜面の土砂崩れの為一部が埋まってしまいました。今年は白山市による整備工事が進み、現在テイクオフは芝生の養生中です。今回の大会ではその芝生を選手のウエイティングゾーンとして一時使用を認めていただいたことで、テイクオフの運営、進行をスムーズに行うことができました。大変暑い時期の開催ですが、パラグライダーのクロスカントリーレースに必要となる上昇気流が豊富なこの時期に行うことにより、多くのゴール者を出すことができます。このたびの大会開催にこぎつけたことは、地元関係者のご尽力のたまものと心より感謝申し上げます。

大会一日目 8月2日(土)

 北は秋田、南は九州から集まった73名の選手が朝早くからランディング場横のスクール事務所に集合しました。
N2リーグはこの大会がグランプリ対象大会ということで、内容の濃いタスクを選手たちがこなし真の日本チャンピオンを決めるレースが期待されます。また、チャレンジリーグはこの時点でリーグ戦をリードしている池内選手が不参加ということもあり、リーグ戦上位を占める選手たちが後半戦に備えて得点を稼いでおきたいところです。





 選手たちは何時ものようにGPSにアップロードなど競技前のルーティーン業務を滞りなく行いました。選手全員にはデサントの大会オリジナルTシャツと北陸中日新聞社様・北陸電力様より記念品が参加賞として配布されました。

 9:30 獅子吼高原山頂広場で行った開会式は、スカイ獅子吼パラグライダースクール初瀬宗子実行委員長の開会宣言で定刻通り始まりました。そして地元白山市を代表して、白山市観光文化部観光課長 米林歩より歓迎のあいさつ、ご来賓のスカイ獅子吼支配人紺清美千子様より祝辞をいただき、獅子吼高原スカイレジャーエリア運営協議会副会長 車幸弘様、キリンビールマーケティング株式会社 営業部 浅見政和様のご紹介をしました。また北陸電力送電部 中川仁様からは、獅子吼周辺の送電線に関する注意のお知らせがありました。最後に参加選手を代表し、昨年度のチャレンジリーグチャンピオンの和田教義選手(京都)が元気に獅子吼の空を安全に楽しむ事を選手宣誓し、いよいよ2日間にわたるデサントバードマンカップが開幕しました。




 九州、四国地方に大きな被害をもたらしている季節外れの台風12号の影響で、梅雨明け3日の好天が期待され、夏に強い獅子吼高原なのですが、高層雲で空がおおわれた朝を迎えました。しかし、タスクコミッティーからは訪れるであろう晴天域を最大限に利用し、N2リーグにはグランプリ大会にふさわしくリフライトなしのスピードランタスクを、チャレンジリーグには今年から新設されたバーチャルポイントを使ったテクニカルなタスクが発表されました。
 高層雲で太陽の日差しが遮られ、上昇気流の乏しいコンディションでしたが予想通り午後1時に高層雲の切れ間が獅子吼高原上空に差し掛かり、N2クラスの選手から競技を開始。45名の選手が次々と獅子吼の空に舞い上がりました。1時30分チャレンジクラスのスタート時間が迫ってきましたが、再び獅子吼の空は高層雲に覆われ滞空するために必要な上昇気流の発生が十分とは言えません。N2クラスの選手たちは空中で何とか着陸しないように持ちこたえます。しかし、高度を落とし着陸を余儀なくされ戦線離脱する選手が現れた午後2時頃になって、ようやく2度目の高層雲の切れ間が鶴来上空にやってきました。この渋い時間帯をしのいだN2クラスの選手の一部は再びゴールを目指し始めます。そして、27名のチャレンジクラスの選手は、次々と獅子吼高原の空へ飛び出しました。
 タスク1は日照が少なくテクニカルなコンディションの中、両リーグともに風を読み、正確な判断を空中で下すことができたパイロットのみがゴールラインを切ることができる質の高い競技内容となりました。参加選手たちは、オープン参加のトップ選手たちと一緒に飛ぶことで技術を学びながら、この日のタスクをこなしていきました。そして、途中で着陸してしまい悔しい思いをする選手を横目に、感動のゴールを数名のパイロットが決め、この日の競技は無事成立することになりました。





 初日の結果が発表されるまで、大会本部前に設けられた特設テントでは、協賛をいただいたキリンビールの飲み物、地元の野菜やところてん、獅子高原名物の牛カレーなどが選手や関係者にふるまわれ、大会の余韻に浸りました。このレースはN2クラスのJPA日本グランプリ対象大会となっており、昨年のチャンピオン矢野選手からは、グランプリ杯の返還がありました。そして、今年のグランプリチャンピオンに一番近いのは本日ただ一人ゴールまで到達した亀山選手です。チャレンジリーグの結果は船津選手が16歳という若さで最速ゴールを決めこの日を1位で終了。船津選手は明日のレースでチャレンジリーグ2連覇がかかります。







大会二日目 8月3日(日)


 この日の天気予報は台風12号の影響で、北陸地方全体が強い南風に支配されるとのことでした。獅子吼高原に吹く風の特徴は、北陸地方がフェーン現象の時でも日本海から海風の侵入があり、エリア内では快適にソアリングできるところにあります。海風の侵入には日照が不可欠ですが、空は昨日に引き続き高層雲が広がっていました。
 大会実行委員会は、高層雲が晴れてくることにかけ選手をテイクオフへ集めました。今大会はJPAグランプリ大会に指定されており、チャンピオンを決めるためにはどうしてもこの日2本目タスクを成立させる必要があります。チャレンジクラスはリーグ戦2連覇のかかっている船津選手がリードを守りきれるか、それとも他の上位の選手が船津選手の2連覇を阻止することができるかどうか、選手からはタスク成立に期待がかかります。
11時過ぎ希望の太陽が顔を出し始めたタイミングで、両クラスともに昨日と同等のタスクが発表されました。
 競技委員長は、福井、富山の天気情報などを集め、何とか天気の好転を期待します。しかし、お昼を過ぎても競技の成立に必要不可欠な海風の侵入が認められず、タスクの成立は不可能と判断し、この時点でキャンセルを発表し、選手はフリーフライトとなってランディング場へとフライダウンしました。





 表彰式、閉会式は予定を早めて午後2時より、スクール前の大会本部テントにおいて、和やかな雰囲気の中開催しました。
伝統の獅子頭杯にはN2クラスの亀山選手(福岡)の名前が、歴代優勝者の一人として刻まれます。
 各クラス総合及び女子、団体の上位入賞者には、デサント社のウェアーの数々、キリンビール株式会社からビール、地元鶴来の特産品詰め合わせや地酒、北陸中日新聞社より優勝盾などが贈られました。
 チャレンジクラスでは、若干16歳の船津選手(東京)が優勝し、次は憧れの獅子吼杯奪取を狙っています。
 初瀬実行委員長より、歴史のあるデサントバードマンカップを長年ご支援いただいたデサント社はじめ白山市、地元関係各社の皆様と大会運営をささえてくれたスタッフの皆様に感謝し、第33回デサントバードマンカップは滞りなく終了しました。

実行委員長

初瀬宗子



競技委員長

扇澤 郁






成績

 

N2クラス入賞者   写真左上から

3位 陳永豊(石川県)   優勝 亀山正雄(福岡県)  準優勝 鈴村恵司(愛知県)

5位 小森さちよ(石川県)  5位 中井正人(愛知府) 4位 赤尾浩太郎(福岡県)



N2 EN/C以下クラス

優勝  陳永豊(石川県)

準優勝 赤尾浩太郎(福岡県)

3位   黒木紀章(長野県) 


N2クラス 女子

優勝 小森さちよ(石川県)

準優勝 星田苗月(静岡県)

3位 吉川朋子 (栃木県)


N2クラス チーム戦

優勝 あいちのひと

準優勝 とりあえずとちおとめ

準優勝 朝霧ともの会









チャレンジクラス入賞者 写真左上から

3位  吉田勝一(富山県)  優勝  船津俊貴(東京都)  準優勝 河井友児(長野県)

6位 中島義雅(神奈川県)  5位 中村裕昭(愛知県)  4位 須合嘉尚(埼玉県)


チャレンジクラス 女子

優勝   関根睦  (群馬県)
準優勝  八子文恵 (愛知県)
3位   高瀬美代子(石川県)

チャレンジチーム戦

優勝   獅子吼レッズチームA
準優勝  CKファイブ
3位   Team-C jr



オープンクラス

優勝 高杉慎吾 (広島県)
準優勝 大澤行英 (京都府)



 第33回目のデサントバードマンカップは、季節外れの台風が日本に接近する微妙なコンディションの中、選手の方々が普段の練習の成果を発揮され、難しいコンディションの中ゴールまで到達できた選手が表彰台の真ん中に立つレースとなりました。パラグライダーのレースは目に見えない風を読み目的地までいかに早く到達するかです。参加選手は、オープン参加のトップ選手たちのアドバイスを受け、実際のフライトを見ながら一緒に飛ぶことができました。デサントバードマンカップでは世界に通用するオブザーバー選手と、初めて競技会に参加するルーキーたちが一緒に空を共有しながら学ぶことのできる大会です。これから選手たちはリーグ戦を通じて日本各地のフライトエリアで活躍し、そしていつか世界の空に羽ばたいていく選手が出てくることでしょう。将来多くの日本人選手が世界で活躍することを、獅子吼からも応援していきたいと思います。



 夏の開催が恒例となったデサントバードマンカップ、おかげさまでタスクが1本成立し、無事全日程を終えることができました。長年地元鶴来のスカイスポーツ活動にご支援をいただいている株式会社デサント様、キリンビールマーケティング株式会社様、北陸中日新聞社様、北陸電力様、スカイ獅子吼・パーク獅子吼の皆様、白山市観光課の皆様、地元協賛企業各社様、そして全国からお集まりいただいた選手の皆様や、スタッフとして奔走したスカイ獅子吼パラグライダースクールと獅子吼レッズの皆様には心より感謝申し上げます。猛暑の中での開催となりましたが選手・スタッフとも元気に、無事大会を終了できましたことを心よりうれしく思います。
33回目となったデサントバードマンカップの長い歴史とご支援に改めて感謝し、デサント社のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。選手の皆様、34回目の獅子吼へ、来年もまたぜひお越しください。ありがとうございました。

STAFF

初瀬宗子・扇澤 郁・岡田直久・日下部はく・森田 孝・竹田 亨・応矢政直・北口 勉

泉屋陽子・小森さちよ・高瀬美代子・橋場 優・鍜治口誠・渡辺俊一・越井秀夫・南 佳織

金子晴美・中村裕昭・辻 強・黒川 洋一・陳 永豊・金子外幸・吉田豊彦・中西伸一

スカイ獅子吼パラグライダースクール・獅子吼レッズ