| 大会レポート
ジャム勝・サマーカップ2013
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レポート 競技委員 鈴村 恵司
【一日目】
十数年前には、「○○マジック」という言葉があった。○○にはフライトエリアの名前が入る。ほとんど飛べない天気予報にもかかわらず、行ってみるとフライトできるどころか、大会成立してしまうといったことが起きるエリアと、その状況をこう呼んだ。
今、振り返ってみればおそらく天気予測技術、それを導き出す情報、そしてそれをフライヤーを含めた一般人が入手する手段、すべてが貧弱な故に起きた現象であったのではないかと推察できる。NHKの夕方の天気予報のみの情報に一喜一憂していた牧歌的な時代の話だ。
それでも、ここスキージャム勝山というフライトエリアに関しては「ジャム勝マジック」なんて言葉を使いたくなる状況がここ数年で何度も起きている。実際、昨年の2タスク成立もその前の週の火曜日時点の週刊予報では土日とも雨予報だったと記憶している。
そんな背景を選手もよくわかっているのか、フライトすらも期待できない予報にも関わらず、結構な人数が土曜の朝にジャム勝に現れた。そして、それに呼応するかのように早朝には青空も覗いた。
「ベーシックセミナーを早めにやろう」とか「ウェルカムパーティの時間を早めようか」とか、前日まで土曜日をどう過ごすかに思案していた大会運営側も「ではテイクオフへ」の判断。開会式を大会本部で行って選手一同テイクオフへ向かった。
結論的には、その土曜日のタスクはキャンセルとなった。少なくともフライダウンぐらいはできるだろうと踏んでいた大会運営側の思惑も外れた。ソアラブルなコンディションを待っている13:00過ぎに雨雲が進入し、小雨の中、タスクキャンセルとなったのである。
ウインドダミーは渋い中を何人か飛んだ。ゲスト参加の扇澤さんはX-ALPSグライダーでちょっとソアリングしていた。その日のタスクをあきらめて移動日としてタスクキャンセル後にエリアに到着した選手が、雨のあがった16:00過ぎにフライト出来た。今年の「ジャム勝マジック」はタスク成立までは至らなかった。
17:00過ぎからチャレンジリーグ対象で行っているベーシックセミナーを実施。「雲の避け方、使い方」。前回大会の獅子吼での低い雲底での雲中飛行の避け方がうまくできなかった選手が多かったことも踏まえた内容。続いてゲストの扇澤さんのX-ALPS報告会。そして18:00からの選手交流会(ウェルカムパーティ)で初日の幕は閉じた。
【二日目】
朝起きると、しっかりした雨。速やかにタスクキャンセル。残念。
昨日、聞き足りなかった、しゃべり足りなかったX-ALPS報告会の続きを扇澤さんに行ってもらった。
そして閉会式。毎年、暑い暑いテイクオフで汗を流してもらっていた福井県大のパラグライダー(正式)部の面々に今年は活躍の場が与えられなかった。静かに閉会式を見守っている。表彰対象はいないので賞品はジャンケンで分配となった。
「来年は8月30、31日で開催しますのでまた来てください。」実行委員長のジャムスポーツ代表の堀さんからの宣言。ジャム勝大会と選手にとっては「また来年に」、選手間では「また再来週に白鷹で」を別れの挨拶として大会が終了した。
雨のおかげもあり、今年の猛暑とはうってかわって涼しい週末であった。夏の終わりが突然に来たようで、秋の気配も感じられた。そう今シーズンも終盤戦に入る。11月の宇都宮ファイナルに向けてN2リーグは白鷹と高嶺の2戦を残すのみ。チャレンジリーグは立山をそれに加えて3戦である。そこまでの結果で宇都宮ファイナルの優待選手が決定する。まずは白鷹大会である。8月上旬の豪雨で予定していた鹿角エリアの入山道が使用不可能となり東北同士の相互協力で開催が決定された大会だ。3.11以来、何かと不都合の訪れる東北応援の意味でも盛り上げたいところだ。多くの選手の参加を期待したい。