COOスプリングカップ2016 大会レポート


レポート:扇澤 郁

毎年この時期ビックタスクが期待できるCOOスプリングカップには、全国各地から90名近くのパイロットが集まり、4月9日(土曜)10日(日曜)の日程で開催されました。週末のみの大会ですがコンディショニングや事前調査を兼ねて前日入りした選手たちは、良好なサーマルコンディションで肩慣らしフライトを済ませ、天気予報の好転を期待した当日を迎えました。

大会1日目

 大会初日は予想以上の風が吹き、筑波山を覆ったレンズ雲の変化を興味深く眺めながらのウエイティング。タスクキャンセルの発表で明日に備えます。

大会2日目

2日目、天気予報よりもよさそうな朝を迎えた筑波山系の空からは、高曇りではありますが思いのほか暖かい日差しが感じとれ、気温減率しだいでソアリングが期待できそうでした。
COOの西テイクオフに集まった選手たちの関心は、朝から続々とテイクオフしていくパラグライダーの浮き具合に絞られます。次第に良くなっていくサーマルコンディションに大会関係者一同の期待度が高まり、そして10時30分競技委員長からは久慈川ゴールを目指すタスクが発表されました。
N2リーグ、ナショナルリーグともに45㎞先の久慈川ゴールを目指しますが、ナショナルリーグは花王栃木工場を経由しドッグレッグする興味深いものとなりました。

ナショナルリーグTask
N2リーグTask



N2リーグで真っ先にテイクオフしたのはサンライフ所属の千葉選手。それに続き若手筆頭でリーグ優勝を狙うオレンジレーシングの飯塚選手、N2リーグで復活した原選手、ホームエリアの平松選手など続々空中に飛び立ちます。ナショナルリーグの選手たちも、久々に表彰台に立ちたいウイングキッス朝霧所属の藤川選手を筆頭に、フラットランドに強い只野選手、連勝を狙う稲見選手が続きます。しかし、空中に出てみると「渋い」の一言。歯を食いしばりすぎて奥歯が痛くなるほどグループソアリングに集中し、選手たちは生き残りをかけかすかなサーマルにしがみつく展開となりました。




そんな中、N2リーグで真っ先にトップアウトした飯塚選手がスタート時刻11時30分に単独でスタートを切ります。飯塚選手は雨引鉄塔方向からドッグレッグして久慈川を狙う作戦でしたが、サーマルにヒットせずに撃沈。同じコースをたどったベテランの原選手はサーマルに乗り距離を伸ばし女子トップの距離を飛びます。この日のポイントでリーグ戦総合優勝争いを競う飯塚選手に8点差まで迫った田村選手は、スロースタートでしたが久慈川に向けたダイレクトなコース取りでこの日の最長距離を飛び、寒風山の佐々木選手、千葉選手の後発組が距離を伸ばすレースとなりました。



ナショナルリーグは藤川選手、只野選手がリードするトップグループがスタート時間ぴったりで雨引経由高峰山コースを狙います。しかしこのグループはまたもや弱いサーマルにしがみつく生き残りゲームを強いられます。50号線を過ぎた砕石場から発生するサーマルは下層の西風に流され花王工場を目指すルートから大きく外れていきます。ここで藤川選手が早めに見切ってコース上に戻ります。この動きに反応し高度を保ち追従した九州から参加の亀山選手が距離を伸ばしこの日2位。ナショナルリーグ女子トップを走る小森選手は燕鉄塔上空で1400mまで上昇し十分な高さを保っていましたが、只野選手とともにサーマルを追いかけすぎ残念な結果になりました。高杉選手はテイクオフ前をなかなか抜け出せず、NASA前にこぼれたところからのスタートでしたが、先頭グループの様子を見ながら笠間ロイヤルゴルフ場を経由する良いラインを通り高峰山のトップアウトに成功。さらに距離を伸ばしさすがの飛びでこの日最長不倒距離。女子総合は地元の利を生かし燕鉄塔からダイレクトにコースを取り、総合3位の前堀選手とともに距離を伸ばした高橋選手が初の栄冠に輝きました。





N2リーグ入賞者







ナショナルリーグ入賞者







天候が危ぶまれたCOOスプリングカップでしたが何とかタスクが成立し、ライブトラックシステム、リトリーブ方法などが構築できたよい大会だったと思います。来年はぜひ今年導入されたライブトラック24のトラッキングシステムの有用性が最大限に発揮されるビッグタスクが成立することを期待し、参加した選手は帰路に立ちました。
選手を代表し、素晴らしいオーガナイズをしていただいたエアーパークのスタッフの皆様、特に回収班の皆様に感謝を申し上げます。