今日はこちらに来て初めての快晴のテイクオフとなりました。テイクオフへはグライダー満載のトラックとパイロットは観光バスで1時間かけて移動します。朝早いためか宮田を含め、ほとんどの選手はバスで寝ています。
バスを降りると、まずはテイクオフまでの200mの歩きと約50mの登りが待っています。登り場に着くと、いらっしゃいませとばかりに、馬ポーターのおじさんが笑顔でやってきます。体調が本調子でないので、今日もお願いしてしまいました。
今日のタスクは73km。ただし、40㎞先のゴールまで行き、そしてそのゴールに対し15km半径シリンダー外へ一度出ます。そして再度ゴールに戻ってくるという面白いタスク。15kmのシリンダーはどちらの方向にも出ることができ、最も効率が良い方向へ選手は出ていく選択肢が勝負の分かれ目となります。
スタート前、テイクオフ周辺は強いリーサイド(裏風)となりかなり荒れていて大変。選手はレベル2を連呼。時にはレベル3も・・・。このままではタスクキャンセルになってしまう。まずいと思いながらも何とか雲底で耐え抜き、無事スタート。
前半は山沿いに発生した積雲下をフルスピードで南下。こんな強い上昇風帯をアクセルを100%踏み切った状態で飛ぶことができるとは・・・。昨今のグライダーは凄い!
あっという間にレースは展開し、勝負はやはり、ファイナルグライド手前のサーマル探しです。宮田、ミハエルシーゲルのBoom9コンビは、弱い煙が上がっている雲底へ勝負。
クリーゲル、マイケルのマウラー兄弟とステファンバーガーは低くさらに奥へ突っ込みます。
やや同時にサーマルヒット!+2m/sと弱いですが確実に雲まで続きそうです。先に上げきったのはマウラー兄弟組、宮田シーゲル組もすかさず追いかけます。11㎞のファイナルグライドでその差は詰まらず、宮田5位でフィニッシュ!
本部で結果が発表された後、フランスチームがもう抗議!ファイナルグライド手前のサーマルがファイアーソアリング(タスク4で問題になった)ではないかとのこと。宮田は高度も高く、全く身に覚えがないので相手にしていませんでしたが、突然結果が変更!なんとファイヤーから一番遠くて、最も高度が高かった宮田、ミハエルシーゲルがペナルティで0スコアーになっているではありませんか!!
確かに10数機は低くファイヤーに飛び込み、潰れながら上がっているグライダーもいましたが・・・。最も遠く全く問題ない我々がペナルティとはどういうこと!?
早速、文書で抗議書を作り、ディレクターに提出。明日の朝までには、間違いは正されるでしょう。
明日はいよいよ最終日。同じく悔いなく攻めます。
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朝はしっかり逆転層が張った曇り。昨日に引き続き、今日も渋いかと思いきや、タスクが決まるころには、やっぱり晴れてきました。
タスクは尾根を来たへ30km、20km戻って、平野を渡った80km。今日もスタートから良い位置をつけ、尾根に沿ったハイスピードレースはベストポジションをキープします。
勝負の分かれ目は平野部へ出てからやってきました。今まで雲底高度3000mの素晴らしいコンディションだったのに、このタイミングでオーバーキャスト!!平野部は大きく影に覆われ、サーマル活動は停滞。ゴールまで残り10kmで先頭集団は全員対地高度100m以下になって大ピンチ!
集団は更に2手に分かれます。宮田を含む、できるだけ早く谷を渡った組は、鳥が上がっている弱いサーマルに何としがみ付きひたすら風下へ流し続けます。
ルカドニーニに引きつられ、平野部を最短距離で行った組は全員撃沈・・・。それを横目で見ながらゼロサーマルで手裏剣のように回りながら、ひたすら流していきます。それでも、まだ立ち上がりません。
あるパイロットが風下のセンタリングするイーグルを発見!生き残ったパイロットは蜘蛛の糸にすがるように突っ込みます。ついにサーマルは立ち上がり、+1mから+2mよっしゃーキター!と油断したのが運のつき、かすめるようにまわしていた、周りのパイロットに阻まれ、サーマルを外してしまいます。慌ててゴールライン側へシフトしますが、強い横風に阻まれあっという間に高度はロス・・・。大豆畑へランディング。
上げきったトップ集団は悠々とゴールラインをカットしていくのが見えます。灼熱の畑で、汗だくでボー然。残り1㎞は歩いてゴールへ向かいましたが、疲れました。
後半に入り上り調子だっただけに、手痛い失敗となってしまいました。残り2日間気持ちを入れ替えトップ10入りを狙います。
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昨晩から湿った空気が入ってきたのか、夜はサンダーストーム。久しぶりの雨でした。
しかし、朝には止んで、いつものドンヨリした空模様です。ここRoldanilloではいたってノーマル。いつものようにテイクオフへGo!
お腹の調子を見ながらの食事のため、あまりパワーが出ません。今日も担ぎ上げは馬にお世話になりました。
発表されたタスクは185km!!平野部を大きく南下し、ターンポイントを折り返し、戻ってきます。これは波乱が期待できそう。
しかし、ターンポイントのシリンダー半径は35km!ということは実際は115km。ノーマルな距離です。
宮田は最初にテイクオフ。スタートまでの1時間をゆっくり空中で待ちます。そのほうが地上でいろいろ邪念が湧くより良いからです。
スタートもベストポジションで決まり、一斉にスタート!クリーゲル、アーロンなどベストな集団でかっ飛ばします。
不思議と空中では体調は最高で、お腹のことは全く気になりません。ターンポイント手前まではトップ集団でベストポジションで進みましたが、ターンポイント周辺には巨大な積雲が・・・。地表を大きく影を落とし、サーマル活動を妨げます。
最短距離で、ガンガンアタックしてきた先頭集団は、スタック!数名のパイロットがランディングしていく中、何とか生き残り、僅かに日照が残る平野部で、コンディションの回復を待ちます。
低くなる先頭集団を見た後発グループは、手前でしっかり上げきり最短距離でターンポイントをゲット。大きくリードします。
対地高度100mまで下がりましたが、何とか宮田は生き残り、セカンド集団まで追い上げます。コンディションは好転し、2500mの雲底まで上がりました。
よーしこれからまくるぞ!と思ったら、ゴール手前のコース上に雨が・・・。
すでにギリギリまで距離を伸ばした選手は、レベル3をコールし始め、やっぱりタスクストップ。波乱の終演となってしまいました・・。絶好調の廣川さんはほぼトップ距離飛んでいます。
スコアーの基準となるDayクオリティー値は低く、トップ560点と低いものに評価されました。ほとんどの選手にはディスカード(削除)ポイントとなりました。
残り3タスクあります。上位との点差は僅かです。攻めるとびを続けます。
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まだ下痢気味ですが体調は回復してきました。
しかし、テイクオフでの担ぎ上げは馬のポーターにお願いしてエネルギー温存です。
ちなみに3000ペソ(150円)
タスクは131km!日に日に大きくなっていきます。コンディションも良く問題なさそうです。
レースは残り20㎞まで大集団で進みます。トランジットスピードは常にフルスピードにもかかわらず、これだけの集団が維持されるのは不思議です。
パイロットの技術、グライダー性能が拮抗しているからでしょうか。
今日もファイナルグライドまで勝負はもつれました。残り10kmのファイナルグライドは雲底下をフルスピード勝負となりました。
やはり最初に見切ってスタートした集団は速く、宮田,大澤は5分遅れ・・・。最後に集中力を切らしてしまいました。
それでも925点と悪くはありません。腹の調子も良くなってきました。残り4本は攻めます。
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レポート 鈴村恵司(競技委員)
もちろん一年中飛べるのだが、冬のエリアとして強調される朝霧エリア。12月を過ぎ1月ともなると常連たちがその年の総括を始める。今年の評判は「飛べても渋い日が多いねぇ」と残念ながら芳しくない。
そんな中、2013シーズン開幕となる初日に54km設定のタスクが成立し、二日目もタスクストップとなるものの多くの選手はテイクオフ出来ていて(つまり飛べてうれしいってこと)、まぁ天気運には恵まれた方だったのだろう。なにより良かったのは二日間とも雲が少なく富士山がずっときれいだったことだ。
初日のタスクで1000点トップとなったのは只野正一郎選手。古豪が最新鋭機での参戦だ。この人、今年の夏場は例のヨーロッパアルプス越えのエクストリームレースに参加予定とか。今、体を鍛えつつ、コンペ感覚を取り戻そうとしている真っ最中というところか。
※大会の流れはPHOTO アルバムとともに参照ください。
【1月19日】
この日がJPAパラグライダー競技の2013シーズン開幕日である。開会式は大会本部の富士山YMCAで落ち着いた雰囲気で行われた。咋シーズンの男女トップのゼッケン1番(当然ですね。)の高杉選手と10番の水沼選手が選手宣誓。ゲストのGIN gliders のジンさんの挨拶は、今後のコンペ様式の変化にも及んだ。こちらは、ゆっくり和訳してもらって、後程チェックすることとしよう。
週の始めに降った雪に車が少し阻まれつつも選手はテイクオフへ集合し、タスクブリーフィングを経てウィンドウオープンは11:00となった。デパーチャーオープン11:40のゴールレース。タスクは以下となった。
B33アンテナとB06モチヤのクリアが難しいが稜線移動はハイウェイが働くはずというタスクコミッティの読みである。雲底予報は1200m+αと低めであったがウィンドダミーは稜線上を移動し始めている。
雪は選手のテイクオフにも影響を与えた。待ち位置からグライダーを広げるところまでの移動が、そもそも大変。重い装備でそれなりの斜度の雪の坂道を横切る。選手テイクオフの ペースはいつもよりゆっくりしたものとなる。この日の実フライト選手は52名。大半はデパーチャーオープンに間に合ったものの遅れた選手も若干いたようだ。
朝霧で速く飛ぶコツ。それは"回さないこと"に尽きる。朝霧ハイウェイと呼ばれる稜線上のリフト帯を活用して少々低空になっても突き進み、本当に強いサーマルを選んで短時間で高度を回復させる。もちろんこれは通常の競技フライトでも真理である。
そしてもうひとつ、朝霧でゴールするコツは"我慢すること"である。この日のタスクのポイントは沖ターンポイント(T.P)のB33アンテナとB06モチヤをどうこなすかに掛かっている。これらのT.Pに向かうのに上げきらない状態や、ひどく遠くからのアプローチをしないことだ。その時、その状態が来るまで"我慢する"。総括すればこの日にゴール出来なかった選手は"我慢すること"が出来なかったのだと思う。(筆者もその一人というのが悲しい。)
ランディングした選手達の最高高度のレポート結果は口をそろえて1800m。沖T.Pからリターンしてとりつくべき陣馬の尾根の先端では900mの高度は欲しい。
例えばB15天子T.PとB06モチヤの距離は5.9km、B06とB20陣馬の距離は2.4km、シリンダ半径0.4km×2を差し引けば8.3km。使える高度が1800m-900mなのでL/Dは8.3/0.9で8.3が必要となる。これが長者からなら(5.1+2.4-0.8)/0.9=7.4。鉄塔からなら(4.3+2.4-0.8)/0.9=6.6である。ブレーク操作なしならL/D10を越える現在のグライダーといえども横風に流されるのを修正しピッチ挙動を抑える動作の必要な実際のグライドでL/D8.0を越えさせるのは難しい。
この夜のパーティーでは上位選手のフライトログをみんなで見た。驚いたことに高滑空比のグライダーを使うこの日2位の隅選手ですらB06モチヤは鉄塔からのアプローチで最短距離のルートを使用していた。焦って長者や天子からモチヤに向かって降りてしまった諸君。あるいは高度1700mで上げきらずにモチヤに向かった諸君。反省しよう。
しかしだ、そのログで判ったことが他にもある。トップの只野選手もモチヤを長者1800mからアプローチして低くなりすぎ、モチヤから南西方向への陣馬へのリターンをあきらめ北西側の反射板に流れて上げなおすことで遠回りをしている。さらに隅選手も白糸をセーフティパイロンとしたファイナルグライドで方向を間違えふらついて追いかけてきた只野選手に抜かれている。
そう、トップグループを形成する選手でもミスはするのだ。惜しくもゴールに届かなかった選手の皆さん、彼らとの違いはリザルトに出ている得点差ほど大きくはない。あなたが集中できる時間をあと30分延長出来て“我慢”できるようになればきっと彼らの背中は見えてくる。さらに研鑽を積めばきっとトップグループに入ることも可能であろう。
この日のゴール者は21名。トップ4名のタイム差は2分ちょっとの競り合いとなった。トップゴールの只野選手は1000点満点。前述した反射板でのスタックはレース終盤ということもありリードアウトポイント(L.O得点)の低下には影響しなかったようだ。
TASK1のトップ6
第10回の記念大会ということで「まかいの牧場」でパーティが開催された。今年もテイクオフを貸してくださった西富士友の会の河合会長による乾杯後のフライトログの上映(?)には選手の吉田和博氏にご協力を頂いた。感謝。
このパーティでさらに特筆すべきことがある。その料理の量だ。競技者たるもの何事にも負けることには納得がいかない。したがってパラのパーティでバイキング式の場合、出された料理は次々と選手に奪われセンターテーブルは淋しくなるのが通常の光景となる。しかし、この日は違った。料理は十全でパーティ終了まで続き、デザートに至っては余っていたことが目撃されている。これは実はすごいことなのだ。とても幸せなパーティであった。
【1月20日】
天気予報的には19日よりも良いように思えた。しかし今年の朝霧だ、一抹の不安は残っていた。猪の頭で上げた他エリアのフライヤーが稜線に向かう速度が遅い。上空の西風が強いようだ。ウィンドダミーも含めて、稜線上に数機が上がったもののどうも素晴らしいコンディションになるようには思えない。万一稜線上が使えない状況でもこなしやすいタスクを組んでウインドウオープン。しかしテイクした選手達は西風に押されて、ガーグルを徐々に東側にずらして行くことになる。猪の頭上空は西風リーサイドの吹き上がりでちょっと激しいリフト帯となっている。やがて猪の頭にも西風の吹きおろしが届き、次々ランディングする選手達。ランディングの風が怪しくなってきたタイミングでデパーチャーオープン時刻前に扇澤競技委員長がタスクストップを宣言。実質のタスクキャンセルのコールとなる。その時、西富士テイクは北風のフォロー状態だったそうである。
地元のフライヤーばかりでなく、茨城、石川、愛媛、遠方から多くのパラフライヤーがスタッフとしても応援に駆け付けてくれた。フライト後の選手には二日間に渡ってキリタンポが振る舞われた。富士山はずっときれいな姿を見せてくれていた。気持ちの良い二日間であった。
正直、50数名のエントリー者数はちょっと淋しい、と言うか朝霧エリアを使うことに対してちょっともったいない感じだった。次は3月のCOOクロカンカップである。その地では「こんにちは」だけでなく、「お久しぶり」や「初めまして」の挨拶が多くかわされ、もっと多くの選手が集まることを願っている。