COOクロカンカップ2016 大会レポート


レポート:扇澤 郁

春分の日、3連休に開催されたCOOクロカンカップ2016には、北関東平野クロスカントリー飛行の期待に胸を膨らませたパイロットたちが大勢集まりました。

大会1日目

3連休初日は雨。ジェネラルブリーフィングでは今回から選手に渡されるLiveTrack24のライブトラッキング用スマートフォンの取り扱い説明、チャレンジリーグの選手たちに飛行空域の説明などが行われ明日からの大会に備えます。

※大会の模様はナショナルリーグチャレンジリーグのページでご覧いただけます

大会2日目

大会2日目は最高のサーマルコンディションの中、湾内13.8㎞のレースタスクが組まれたチャレンジクラスからゲートオープン。真っ先に飛び出していったのは昨年から大会に出場しているエアロクルーズ所属の小田選手。ゴールに真っ先に飛び込んだのも小田選手。時速21㎞/hの好タイムでESSを通過し、オープン参加の選手を押さえて初めてのタスクトップ。女子は僅差ながらも、ベテランの八子選手が初出場の中久喜選手を、チーム戦では1、2フィニッシュを決めた「イケっ、サンダーバーズ」が、初出場の3人組で好成績を上げた「とち男」を押さえてこの日トップとなりました。

※チャレンジリーグTask1のリザルトはこちら(総合女子チーム戦





ナショナルリーグは、主稜線のアウトアンドリターンから東中里ゴールを目指す34.9㎞のサービスタスクが組まれ、クラウドベースが1900mと押しあがった雲底でスタート時間の11:30を待ちます。好スタートを切ったのはバーズパラグライダースクール校長の大沢選手。雲に吸い上げに悩まされるその他の選手を横目に、エリア内最終ターンポイントの足尾山山頂を視界良好でクリアー。そのまま先行逃げ切りを決め平均時速40㎞/hに近い好タイムでゴール。その後、53名の選手が続々とゴールになだれ込むワールドカップ並みのスピードレースを制した女子は、雲の吸い上げを警戒し、上げすぎない作戦でゴールに到達した田前選手が、好調の吉原選手、小森選手を押さえてトップ。チーム戦ではアドバンスジャパンの松原選手を取り込んだ「スカイダンシングチーム」が、常勝「瀬戸内少年飛行団」、青木校長自ら参加の「オレンジレーシング」を押さえてトップでした。

※ナショナルリーグTask1のリザルトはこちら(総合女子チーム戦




大会3日目

大会最終日、明け方小雨が降り凍えるような曇り空のテイクオフに集まった選手たちは、午後には顔を出すはずの日差しが待ち遠しいウエイティングを強いられます。

ブリーフィングでは初日トップを取った選手のヒーローインタビューが行われ、その他選手のモチベーションが高まります。






そして薄日が差し始めたと同時にソアリングを始めたウインドダミーを確かめた後、発表されたチャレンジクラスのタスクは、猿公園を含む湾内のビッグトライアングルを回った後に平沢ゴールを目指す17.8㎞のレースツーゴール。そして、バリアブルな風の中、11:20ゲートオープン。レースはスタート時間と同時に先行したグループが猿公園でスタックする中、十分な高さを保ってトライアングルをクリアーした選手たちが予想された東風が強くなる前に平沢ゴールに到達。トップでゴールしたのはホームエアーパークCOOで飛ぶ食堂選手。女子で最長距離を飛んだのは寒風山パラグライダースクールの籾山選手でした。そして、籾山選手はこの日の成績が決め手となりチャレンジクラス女子優勝。チャレンジクラス総合ではタスク1で大きなポイントを稼いだ小田選手が、2日目涙のゴールを決めた藤原選手、カメラを使った時代から返り咲きした園部選手を押さえてチャレンジクラス初優勝です。チーム戦は、初参加組で頑張ったスカイパーク宇都宮所属の新生チーム「とち男」が幸先の良いスタートを切りました。

※チャレンジリーグTask2のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

※チャレンジリーグ総合のリザルトはこちら(総合女子オープンチーム戦



ナショナルリーグは、筑波山系の西側の湾曲に沿ったビッグシリンダーからスタートしスカイパーク宇都宮ゴールを目指す56、5㎞。12:25のスタート前、1500mまで押しあがった雲底付近は北風が強く、選手は思い思いのポジショニングで、テイクオフ上空、足尾山上空、燕上空、雨引鉄塔上空、そして筑波山上空に分かれてスタート。レースは筑波山側から宇都宮ゴールに向けて形成されたクラウドストリートを使った選手が先行。そのあとを雨引鉄塔、燕鉄塔付近からスタートしたグループが追いかける形で展開。平野部はクラウドベースが1200mと思いのほか低く、キープハイでじっくり駒を進める展開となりました。



レースの核心部となる都賀インターターンポイント付近では、東風の到達を見越して集団から抜け出した稲見選手、高杉選手が先行していた扇澤に追いつき三つ巴のデッドヒート。ESS前のラストサーマルを上げ切り、見切り先行し迷走し始めた2人を交わした稲見選手がESSを単独でカットし勝負あり。その後、強くなった東風に悩まされながらも12名がスカイパーク宇都宮ゴールまで到達するレースとなりました。女子は、何度も降りそうになりながらも都賀インターをクリアーしESS付近まで距離を伸ばした河野選手がこの日のトップ。総合成績でもこの日のポイントが効き、昨日トップの田前選手、吉原選手を押さえたうれしいナショナル女子初優勝です。ナショナル総合成績ではこの日のゴールをダントツで決めた稲見選手が、扇澤選手、正木選手を押さえてこちらもナショナルリーグ初優勝です。チーム戦ではタスク2で本領発揮の浜名湖パラグライダー所属の「オレンジレーシング」が優勝です。

※ナショナルリーグTask2のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

※ナショナルリーグ総合のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

チャレンジリーグ入賞者





ナショナルリーグ入賞者







日本列島は冬型の気圧配置となり大会の成立が危ぶまれるような天気予報でしたが、終わってみれば北関東平野特有の冬型で飛べるコンディションに助けられ、最高の大会となりました。今回はライブトラック用のスマートフォンが選手に貸し出され、よりスムーズな大会運営を目指す試みとなりましたが、地方のスクールで大会をネット上で楽しめたとの報告もあり、大会がより身近なことになるトライヤルだったと思います。主催していただいたエアーパークCOOの皆様に選手を代表して感謝を申し上げます。



第13回JPAパラグライダーカップ in 富士山


写真提供 藤川稔選手                 レポート 宮田 歩



JPAナショナルリーグ第1戦となる「第13回 PG Cup in 富士山」が朝霧高原で開催されました。今回は2016年PNLグランプリ対象大会でもあります。

今年も、「西富士友の会」のご協力を得てハンググライダーテイクオフを使用させていただきました。通常のPGテイクオフエリアがある前山よりも、200mほど高い位置にあるため、離陸後すぐにサーマルに入ることができ、安全に選手を上空に連れて行ってくれます。本当に助かります。ありがとうございました。





大会初日。
朝霧のベストコンディションとなりました。上空の北西風も弱く、サーマルトップは2300m。タスクコミッティはPNLに花鳥山脈を南北最大限に使った56㎞のタスクを。N2LはPNLタスクをもう少し小さくしたサイズ35㎞。両リーグともに富士山山頂から大きなシリンダーが設定。起点となる尾根、そしてどの尾根にもどるのかが選手の選択ポイントになります。






テイクオフは間欠的なサーマルブローで、難しかったようですが、11時のスタートにはほとんどの選手が空中一斉にスタートを切ります。PNLは宮田選手、高杉選手、藤川選手がトップグループを牽引します。そして、最初のポイント毛無山からの富士山13㎞シリンダーで明暗が分かれます。




真っ直ぐ富士山に向かった宮田選手は、井之頭前山TOへ戻り、セカンドグループは陣馬尾根に戻りました。しかし、エリア内は発達した積雲により、エリアは大きくオーバーキャスト。コンディションは一時的に渋くなりみんなスタック。いち早く抜け出したのは、井之頭前山組。そして、花鳥山脈の主稜線に上がってしまうと、朝霧ハイウェイに乗って一気に南下。PNLは宮田選手、只野正一郎選手が抜け出し一騎打ちとなりました。

そして、2回目の毛無山で先行していた宮田選手は、富士山14㎞を取った後、手堅く毛無山に戻るルートを選択。追い上げる只野正一郎選手は、そのままダイレクトに養毛東尾根に低く入り込みます。そして、見事リフト帯へ滑り込み、トップに躍り出ます。そのまま、ファイナルグライドまで逃げ切り、2位宮田選手に1分の差をつけ独走のトップゴールを決めました。





N2Lも抜群のコンディションの中、朝霧を知り尽くした天野選手、飯塚選手に宇都宮の田村選手を加えた、熾烈なトップ争いが繰り広げられました。陣馬尾根でのスタックを掻いくぐった天野選手が2位に7分もの差をつけトップ。さすがです。







朝霧らしいハードなコンディションでしたが、PNL38名。N2L15名がタスクをコンプリート!3時間以上ものフライトで見事ゴールを達成した選手も多かったようです。最長フライトは3時間21分でN2L初ゴールのCoo横堀選手。がんばりました!ハードだったタスクを称え合い、ゴールはたくさんの選手の笑顔で溢れていました。タスク1の詳しい結果はこちらから、PNLN2L.



夜は、まかいの牧場でのウェルカムパーティが盛大に開催されました。たっぷり飛べた後のパーティは盛り上がります。テイクオフでの珍プレイ映像も盛り上がりました。皆さんテイクオフをもっと練習しましょうね。







パーティでは鈴村さんの2015年PNL総括発表。何とか王表彰も行われ盛り上げていただきました。鈴村さんいつもありがとうございます。





今回、テイクオフをご協力いただいた「西富士HG友の会」の皆様もこのパーティに駆けつけてくれました。ありがとうございました。

また、スポンサー参加いただいた「テクニカジャパン」の土屋様、「パタゴニア」八木様、「ニューハレックス」芥田様、そしてGinglidersのMrGinからもユニークなプレゼンテーションをしていただきパーティに花を添えていただきました。







大会2日目。
朝から曇りベースですが、気温減率が良く曇っていてもタスクができそうです。早い時間、テイクオフは小雪がちらつく寒ーい状況でしたが、タスクコミッティはPNL28㎞。N2L25㎞のミニマムタスクを設定。準備万端で、南から接近する晴れ間を待ちます。ブリーフィングにおいて岡田競技委員長からの「周辺は晴れ間もあり、好転するチャンスは必ずある!」力強いお言葉!集中力が切れないように選手はウェイティング・・・。






そして、テイクオフに南風が入り始め、狙い通りコンディションは劇的に好転!慌ただしくウインドオープンとなりました。両リーグともにエラップタイムレース。スタートラインはテイクオフ目前。早めにテイクオフできた選手は11:20のデパーチャーオープンまで、東と西風のコンバージェンスラインで、主稜線上に形成されたで「西富士グローリー」の雲の上で待機します。絶景です!







午後から弱まる日照予報に、とにかく時間との勝負!11:20からのデパーチャーオープンで、間に合ったグループから、きっちりスタート!しかし、前半は未だ雲量が多く、先頭グループはスピードよりも高度維持で駒を進める、ゆっくりな展開となります。

ファーストグループの思惑に反し、上空の高層雲の張り出しは予想より遅れた結果に。おかげで、コンディションは尻上がりに良くなっていきます。こうなると主稜線には1700mの朝霧ハイウェイが!スピードはどんどん速くなっていきます。



PNLトップグループは前半、宮田選手、藤川選手の一騎打ち。その後、遅いスタートからショートカットに成功し、沖から現れた扇澤選手を交え三つ巴のバトルとなります。そして、勝負は、天子からのファイナル勝負までもつれました。常に高いポジションを維持していた宮田選手は、最終パイロン長者トップ手前からスパート!やや低く扇澤選手が・・・。YMCAまでのフルスピードガチンコ勝負となりましたが、4秒差で扇澤選手がファーストゴール!2番手宮田選手。3番手藤川選手と続きます。その後も続々と選手はYMCAゴールなだれ込んできました。




そんなPNL選手に交じり、N2Lぶっちぎりタイムでゴールに飛び込んできたのは九州の富重選手。最初にスタートし、最速タイムで、最初にゴール!3冠王達成。1000点が難しいと言われるエラップスタイムレースで満点を叩き出しました!続いて天野選手。平松選手。

心配されていた日照は14時近くまで続き、コンディションは予想に反し好転!アッというまに終わってしまったタスクですが、おかげで今日もPNL,N2L多くの選手がタスクをコンプリート!変化のある 大逆転な展開に、ショートタスクでしたが盛り上がったタスクとなったのです。何とPNL44名、N2L12名もの選手がタスクをコンプリート!
タスク2の詳しい結果はこちらから。PNL.N2L



2日間のレース展開はLivetrack24のイベントページからリプレイできます。
自分のフライトログだけでなく、他の選手がどのようなコースを選択したのか良くわかります。解析することで、次回に生かしてみてください。

PNLは2日間安定した成績で宮田選手が総合優勝!昨年の四国三郎に引き続き、PNLグランプリ連覇となりました。2位は2日目トップの扇澤選手。3位は地元藤川選手。女子優勝は小森さちよ選手。小森選手は2013年女子チャンピオンですが、再び返り咲きました!PNL総合成績はこちらから







N2L優勝はぶっちぎりで地元の天野選手。2位は浜名湖のホープ飯塚選手。そして、3位は宇都宮の田村選手。今年のN2Lは、この3名の熱い戦いとなりそうです。女子優勝はバーズ河野選手!N2L総合成績はこちらから





2日間、朝霧らしい素晴らしいコンディションが続き、2本成立する結果となりました。PNLグランプリチャンピオンを決定するには、ふさわしい大会だったと思われます。今シーズンも始まったばかり、この調子で全大会が成立することを願いたいですね。



スタッフの皆様、お疲れ様でした。また来年もよろしくお願いします。ありがとうございました。



四国三郎ジャパンカップ2015


                           レポート   宮田 歩

2015年JPAナショナルリーグもいよいよ最終戦。前回、八方尾根から持ち越しとなったグランプリ対象大会ともなります。2015年間ランキングも10本目が成立すると5本計上と大きく変動してきます。注目の最終戦が始まります。



21日(土)大会1日目
例によって前日の練習日は、北風ベースのベストコンディション・・・。雲が多め予報で心配されていましたが、快晴の朝を迎えました。早かった7時の受付開始後、選手はあっという間にテイクオフへ。8時には本部からの全員移動が完了しました。







10時からテイクオフで開会式。三頭山エリアを管理されている、美馬スポーツ協会長逢坂さんのあいさつからスタート。そして四国電力担当者様からご注意をいただきました。地元のご協力があって開催できる競技会に本当に感謝です。






テイクオフレベルより下層に吹く強めの東風、1200mと低めのクラウドベースを考慮して37.7㎞のこのエリアにしてはショートタスクが決定しました。





11:30のスタートタイムで集団は奥のモーターランド上空、もみじ温泉東尾根と2手に分かれましたが、ほぼ全員が同時にスタート!B15から2000mのシリンダーをカットした後、断続的に強いサーマルを発生はさせますが、通称「紅葉おろし」と恐れられる強い乱気流が起こる紅葉温泉上空を通過しなくてはなりません。





トップ集団はしっかり上げきり、やはり香川県との県境となる奥をトランジット開始。テイクオフ上空まで戻ってきたところで集団は分散していきます。最も北側コースを選択したのは三頭山エリアをよく知る地元稲見選手。扇澤選手、廣川選手は三頭山アンテナから、その他の選手は真ん中のダイレクトに!B74から5㎞と大きく設定されたシリンダーは、カットするポイントの選択肢を広げてくれます。さあどこが正解だったのか?




真ん中、三頭山からアタックした組は、吉野川に沿って入り込んだバレーウインドの影響を受けた荒れたサーマルで、5㎞シリンダー手前にある尾根がいつものようには上がりません。それに対し北の奥を攻めた稲見選手は東風の影響を受けず、スタックなしでシリンダーをカット!そして高く戻ることに成功。単独抜け出します。




ここでセカンド集団は2手に分かれます。稲見選手を追走するように高杉選手、藤野選手。同じコースでは追いつけないと判断した宮田、廣川選手は強いサーマルを期待し紅葉温泉方向へ。後方から追いかけるメリットを生かし、良いコースを選んだセカンド集団は、稲見選手をB72のリターンでついにキャッチ!最終パイロンB21を取った後に三頭山南斜面で最後の勝負となりました。

ここでやや高かった高杉選手はファイナルグライドヘ最初に離脱!勝負に出ます。しかし、これは届くか怪しいぞ!宮田、稲見選手はもう少し高度を上げてGPSは+170mとの表示。後方から最大スピードで追走します。



やはり、高杉選手はタイミング悪く「紅葉おろし」に捕まりドンドン高度をロスしていきます。しかし、さすがPNLランキングリーディングパイロットは、迷わずゴールへこぼれてアタックを続けていきます。そして、ゴール手前5kmからは東風の吹き上がり空域まで飛び込み、見事トップゴールを死守!1分30秒遅れで宮田、続いて稲見選手がゴールカット。リーディングポイントで稲見選手は2位。



その後も続々と選手はゴールへ飛び込んできます。9位を争った隅選手はギリギリの高度でシリンダーをカットした後、フォローでランディング!ゴールを沸かせました。総勢26名のタスコンプリートとなり、タフだったフライトを称え合い盛り上がりました。





女子トップは唯一ゴールを決めた星田さつき選手。2位だった麻生選手、ゴール手前5㎞に惜しくも届かず。しかし、ランディング後は地元のおじさんのオモテナシを受け、さらには本部まで送っていただきご満悦でした。地元の方との関わりも、大会の楽しみの一つですね。

11月22日(日)
曇り予報に反して青空が見える朝。今日もやれるぞ!選手は気合十分でテイクオフへGO!ところがテイクオフから望む吉野川バレーにはガッチリ逆転層が見えます。これは渋そうです。タスクコミッティは25㎞のミニマムタスクを決定。何とか成立を目指し最大限の準備で待ちます。





周期的に覆われる高層雲になかなか地表温度は上がりません。しかしウインドオープンタイムの10:45ごろには一時的に青空が!オープンタイムと共に扇澤選手から続々とテイクオフしていきます。三頭山南斜面はテイクオフレベルまでは上がるものの、なかなか逆転層はブレークしません。40機近いグライダーが弱いサーマルにしがみ付き、逆転層のブレークするのを待ち続けます。







空中待機するパラグライダーは、まるで生簀の中にいる鮪のようです。接触しないように旋回は続きます。鮪は泳ぎ続けないと死んでしまうらしいですが、これはパラグライダーも同じ。しかし、無情にも次の高層雲が日照を遮り、サーマル勝度は徐々に弱まっていきます。高度が低い選手から、順番に美馬橋LDへこぼれていきます。そんな状況で、三頭山南斜面に見切りをつけ、エリアを熟知している高木選手は数名引き連れスタートシリンダーへトランジット開始します。リフライトを狙い美馬橋LDへ向かう選手と、スタートシリンダーへ勝負をかける選手に分かれましたが、宮田、西尾選手、吉田選手の3選手は三頭山南斜面でサーマル活動の好転を待ちつづけます。狙うは主稜線に形成された積雲ですが・・・。




そして下層の吉野川にバレーウインドが進入したことがトリガーになったのか、やっと下層からサーマルが押しあがるようになったのです。三頭山で待ち続けた3名は、待ってましたと県境の主稜線を目指し、テイクオフ北側コースへトランジット開始。この頃、リフライト組も飛び始め、勝負は一度リセットされた様子。

リフライト組の只野選手、大塚選手は低く、最短距離を直線的に狙っていきます。生き残った宮田は慌てずB15からのリターンも奥から高く戻り、B21をゲット。徐々に厚くなる高層雲よりも先にゴールできるのか!?



14時を過ぎ、頼みの綱だった三頭山南斜面、紅葉温泉のサーマルも終了に近づき、最後は距離伸ばしに・・・。2回目のB15を取った数名のパイロットも残念ながらランディング。ゴール者は無しに終わりました。5㎞のミニマム距離を越えた選手は多くいたため、この時点でグランプリは成立です。しかし、このタスクは何点つくのでしょうか?

トップは17㎞を飛んだ宮田。22名の選手がミニマム5㎞をクリアーしています。トップは188点。少ない点数でしたが、2日間の総合成績は大きく変動することとなりました。

成績が確定した夕方には、無情にも眩しいほどの太陽が・・・。この晴れ間がもう少し早かったら。渋い条件の中、全力を尽くした選手でしたが、誰しもがそう感じたはずです。その分、明日も奇跡の成立があるかもしれない。そんな思いで、最終日に向け闘志を燃やすのでした。

11月23日(月)
しっとりとした曇りの朝。雨は降っていませんが、雨雲レーダーでは11時に雨が降ってくる予報。残念ですが、8時の時点でキャンセルが発表されました。9時からは閉会式と表彰式がスタート。




結果は2日目に粘りのフライトで距離を伸ばした宮田選手が逆転優勝。今季4勝目を飾りました。併せて2015年PNLグランプリチャンピオンにも決定です。2位は初日トップだった高杉選手。3位はリフライトで頑張った只野選手。4位は僅差でした2015年N2Lチャンピオンの藤野選手。5位は3ライナー機で大健闘の大塚選手。6位に地元の稲見選手。女子優勝は星田さつき選手。2位は麻生選手。3位は吉川選手。








2015年PNLランキングも確定しました。2015年PNL総合ランキング優勝は高杉選手。競技会でしか飛ぶ時間がないにもかかわらず、この成績は本当に凄い!強い!女子優勝は吉川選手。恒例となった涙の表彰台に、皆さん感動をいただきました。年間チャンピオン!おめでとうございます。










2016年は1月16,17日に開催される「第13回JPAパラグライダーカップ in 富士山」からスタートです。2016年PNLグランプリ対象大会でもあります。皆さんの参戦をお待ちしております!