白鷹オープンカップ2014 大会レポート


                           競技事業部 宮田 歩
大会開催に合わせるように、天気が悪く不成立が続いていた白鷹エリアでしたが、今年に入り5月のPNLも米沢ゴールタスクが成立!そして今回も天気の心配をしなくて良いほどの安定した秋晴れとなりました。本来の白鷹コンディションを存分に楽しんでいただこうとスタッフも準備万端です。




20日(土)
快晴の朝!!強烈な放射冷却によって気温は10度を下回っているようです。これは寒い!長井、米沢のある置賜盆地はきれいな雲海に覆われています。そんな寒い朝でしたが、温かい朝食でお出迎えです。地元の新鮮な野菜を使われた朝食は、本当に美味しい!選手は充電完了。





受付が終了したら、さっそくテイクオフへ移動。テイクオフから見える朝日連山は朝日を浴びて神々しい・・・。クリアーな大気のおかげで、いつもより近くに見えます。何だか飛んでいけそうな気にさせてくれます。



白鷹エリアのシンボル、レーダードーム前で、開会式が行われました。実行委員長植木さんから「これがいつもの白鷹です!」とのご挨拶。続いて競技委員長神林さんからジェネラルブリーフィングが説明されました。

10:00までは北寄りの風が続きましたが、太陽の南中に従い南風のブローが第一テイクオフに入ってくるようになりました。今日の風の読みは、山形県全域の風は弱いため、午後には白鷹周辺に北東風と南西風のコンバージェンスが形成されるいつものパターン。

タスクは、N2L、PCLほぼ同一内容とし、後半N2Lは対岸のアンテナ跡地と豚小屋の往復が追加されました。タスクの種類はRaceToGoal。シリンダーハンデのあるN2L選手がPCL選手を牽引するシナリオが組まれたのです。





ダミーの上りが良くなってきたこともあり、いよいよ12:00ウインドオープン!選手は次々とテイクオフしていきます。途中フォローになるタイミングもありましたが、スタート時間にはほぼ全選手が空中に待機。クラウドベースは2000mに達しています!そして、12:45には新山平へ一斉スタート!!

先頭を引っ張るのは絶好調のウイングキッス星田選手と、オープン参加の藤川選手。そして、2014年N2Lチャンピオンの関根選手、立山のリーダーこと中島選手が追走。PCL選手もシリンダーハンデをうまく利用し、同じグループで駒を進めることができます。






タスク前半は白鷹山を中心に3角形を周回するコース。途中、誰が先頭なのか!?わからなくなる展開となってきますが、数名が西側対岸の尾根へトランジットし始めました。N2Lの藤川選手と星田選手です。完全にガチンコ勝負の様相、フルスピードでカッ飛んでいくのが見えます。続いて宇都宮とちおとめチームの呑村選手、吉川選手、関根選手がトランジット開始。予報通り、北東風と下層の南西風が見事にぶつかり、クラウドベースは2100mを超えています。このまま、バンバンのコンディションで順調に進むと思われましたが、ここで運命の分かれ道が・・・。

活発なコンバージェンスは、白鷹山周辺に積雲発達を助長し、すっかりオーバーキャストさせてしまったのです。雲底近くは強い吸い上げリフトがあるのですが、低いところは渋い・・・。そして、東寄りの冷たい空気がエリア内に流れ込み、大きなシンク帯になってしまいました。異変を感じ、晴れ間のある西側平野部へ出た選手は、悠々と雲底まで上げ切っているのですが、白鷹山に執着した選手は、皆さんランディングを・・・。明暗を分けました。









N2Lのトップ選手が次々とファイナルグライドするのを見送りながら、寒風山向田選手、Coo山本選手と八方尾根黒木選手は沖の晴れ間で何とか生き残り、最終レグへ。PCLでは唯一、KPS中島選手が至福のファイナルグライドへ。パレス松風を超えたファイナルグライドは、移動したコンバージェンスで上がり続け、ゴールで500m以上高度が余ったそうです。

最終パイロンを残してゴールできなかった選手も多く、もう少しだったのに!と悔しそうな選手にも笑顔が。ゴールできた選手もできなかった選手も、最高のコンディションに挑戦し、白鷹の空を楽しんでいただけたようです。






やっぱり良いレースができた夜のパーティは盛り上がります。見事ゴールを達成された選手は壇上で一言!特にN2L初ゴールの向田選手、黒木選手、山本選手は本当に嬉しそう。皆さん、おめでとうございました。笑顔の懇親会で、秋の夜長は更けていきます。


21日(日)
今日も快晴の朝です。移動性高気圧はさらに押し進み、昨日よりも安定した大気予報。サーマルトップ予報は1700mと低めながら、昨日の様なオーバーキャストの可能性は低いとの読みです。さあどうなる!?






タスクミッティは、両リーグ昨日とほぼ同じのリベンジタスクを設定。PCLは全員に9kmのファイナルグライドを経験してただこうと、周回数を減らしたショートタスクとされました。もちろん、今日もRaceToGoalです!




昨日よりも早くブローは上がり始め、11:20にウインドオープン。途中北風が入るタイミングはありましたが、第3テイクオフもオープンしていただき、選手はスムーズに空中へ!12:00のエアスタートには、昨日以上に選手が集まりました。慣れている選手はシリンダー風上の北側からアプローチ。一斉に新山平へGO!PCL選手も多くいます。いつもRaceのスタートはエキサイティングです。





今日もN2L選手がレースを牽引していきます。今日も白鷹山周辺は積雲がたっぷり・・・。雲底下は強い吸い上げリフトで回さなくてもドンドン上がっていくのですが、低いところはちょっと渋め・・・。これは低く走っては昨日と同じパターンになりそう。そんな心配も何のその、選手は前半のガンガンモードで低く突っ込んでタスクをクリアーしていきます。そして、PCLのトップ選手は、至福のファイナルグライドヘと突入。はるか荒砥ゴール方向へ消えていきます。






このまま順調に終わるかと思われましたが、13:00ごろから恐れていたオーバーキャスト発生。エリア周辺はやっぱり渋いコンディションに・・・。次々とランディングしていく選手を横目に、昨日の教訓どおり、沖出しをして生き残る選手もいました。N2Lの黒木選手とPCL地元白鷹の松田選手です。なんと松田選手は、日照を求め、はるか北西の豚小屋パイロン近くの雲底でコンディションの好転を待ちます。そして、再度エリア内が晴れてきたころに無事帰還。ゴールはできなかったものの、驚異の粘りを見せ健闘しました。低く突っ込んだN2L選手はほぼ撃沈・・・。生き残った黒木選手がしっかり距離を延ばし本日のN2Lトップとなったのです。

今日もエリア周辺のオーバーキャストに翻弄されたタスクとなりましたが、PCLで4名の方が見事ゴールを決めました。今回初PCL参戦である宇都宮の田村選手は初ゴール!おめでとうございます。





総合成績は、N2Lはウイングキッス星田選手が貫録の優勝!そして、PCLは2日間ともにトップゴールだったKPS中島さんの完全優勝となりました。2日間大きなトラブルもなく、ガッチリ飛べた白鷹エリアでしたが、これが本当の白鷹のポテンシャルなのです。参加していただいた選手の皆さんは、白鷹の良いイメージを持っていただけたことでしょう。












地元白鷹クラブ、そして大会ごとに駆けつけていただいたスタッフの皆さんへの恩返しも、良いタスクが成立し、満足していただいた選手の笑顔が一番だと感じました。PNLは置賜盆地を最大限に使ったビックタスク。そしてN2L,PCLはみんながゴールできる達成感のある荒砥ゴールタスク。また来年も白鷹でお会いしましょう。



ジャム勝・サマーカップ2014大会レポート

レポート:初日 藤野光一(副競技委員長)

連続して成立していたジャム勝山の大会は、遂に昨年天候に勝てず不成立となってしまいました。悪天予報を覆して成立のジンクスも一旦途切れてしまった訳ですが、何故か今年もテンションの上がらない天気予報の中、ジャム勝サマーカップ2014当日を迎えたのです。
 太平洋側に停滞する秋雨前線と日本海側をゆっくり移動する気圧の谷によって、北陸地方の東側は所々強い雨に見舞われる中、ここ勝山は意外にも太陽も顔を出す天候。当初予想よりも気象状況は好転している模様。今大会は、チャレンジリーグの日本グランプリに加えて、獅子吼から持ち越しとなったN2リーグの日本グランプリでもあり、さらに付け加えるならば昨年の不成立によりチャレンジリーグの日本グランプリ者は現時点で不在なのです。そう言った状況からも、毎回競技委員長を務める鈴村氏の代理として初日の競技委員長を務めることになった私(藤野)は成立に向けた強い決意で臨むことになったのです。

フォトアルバムもご覧ください。

【1日目】

 8時開始の受付。いつもの様に福井大学の学生諸君がスタッフとして選手を迎えてくれます。気象予報では十分競技が出来ると判断し、受付後はTOへ移動しての開会式。通常の日本グランプリ大会であれば、前年度グランプリ覇者からのカップ返還とレプリカの贈呈が行われるところですが、前述したとおり2013年のチャレンジリーグは日本グランプリ者が不在。よって、開会式は滞りなく終了しジェネラルブリーフィングへと進みます。ここでは、両リーグともに日本グランプリの成立要件の確認と、ルール上のペナルティなどを改めて確認するとともに、本日の気象状況を説明して選手の士気を高めます。

 タスクコミッティーと本日のタスクを協議します。N2リーグではあまり難易度を上げないものの、テクニカルな部分も残した沖だけのアウトアンドリターンを含めた23Km程度のものを提示。チャレンジリーグもテイクオフ後方のファンタジーレストハウスを起点としたアウトアンドリターンの17Km程度のものを提示。今日のコンディションとムードならば十分成立出来ると判断しました。気になる降水の予測では、昼以降にその可能性が見受けられることから、なるべく早い展開での競技開始を目論んで早めにタスクブリーフィングを行ってのタスク発表。ダミーを飛ばして状況を確認するが、テイクオフ後方に発達した積雲によってジャムのある台地全体の日射を奪われてしまいウェイティングとなりました。1時間程度待った12時前、なかなか衰退しない積雲は今後も状況に大きな変化がないと判断し、「まずは競技を成立させる」ことを最優先としてN2リーグ、チャレンジリーグ共12時20分にウィンドウオープン。デパーチャーも同時刻にオープンするエラップスタイムレースとしました。条件による運の要素は否定出来ませんが、過去の経験から待ち過ぎによる手遅れになることを避けるため、大会運営側と選手との「競技を成立させる」と言う意思統一を行うことによって、選手自身に競技を作ってもらうことに期待することにしました。


 ウィンドウオープンの12時20分には、タイミングを計ったかのように台地やテイクオフにも日射が戻ってきました。次々と選手が競技に向けて飛び立ち、徐々にレースが進行して行きました。しかし、サーマルは30分しか続かず最初に出た選手達は力尽きてランディングしてしまいました。まだ1本目の選手がテイクオフしていない中、リフライトの選手が再びテイクオフに到着した頃から状況に変化が現れます。テイクオフ後方の雲は相変わらずですが、太陽が南に移動したことで台地の日射が再び復活。もとより減率のい良い気象条件も手伝って急速にコンディションが好転。ようやくレースがスタートしました。

 13時30分以降はジャム勝エリアのかなりの空域で強い吸い上げ条件となり、雲を有効に利用しつつも雲中飛行にならない様に機体をコントロールしてタスクをこなす条件へと推移します。アクセルを踏んでも翼端を折っても雲に引き込まれてしまう中、ある者はスパイラルで下降するも高度を落としすぎて脱落、またある者は絶妙な見切りと機体コントロールで雲を使い切ってタスクをこなす。隙間のコンディションに当たってしまった者は、諦めずにリフライトで再び空中に飛び出す。「ゴールを目指す=競技を成立させる」と言う強い意志を共有した選手達は果敢にフライトを続け、15時以降からやや強まった北風に流されるサーマルに苦労しながらも、まさに地に足が着くまでフライトを続けてくれました。

 N2リーグはオープンクラス2名、N2クラス1名の3名が見事にゴールメイク。No.8薬師寺選手は15時13分にゴール。No.54岡本選手はN2クラスただ一人のゴールメイク。岡本選手と僅差でゴールはオープンクラスのNo.13矢野選手でした。
 チャレンジリーグは4名がゴールメイク。トップはNo.541東選手。2位には女性トップのNo.527横堀選手。3位はNo.509中島選手。4位はNo.524清水選手でした。
ゴールした選手のみなさん、おめでとうございます。チャレンジリーグは1名以上のゴール者要件を満たして日本グランプリが無事成立。N2リーグはタスクバリディティが0.67となり、残念ながら明日の成立に期待することになりました。

 18時から開催されたウェルカムパーティーでは、飛べた喜びと競技成立の喜びに浸る選手、スタッフの笑顔がたくさんありました。かくいう私(藤野)もとりあえず初日の大役を無事に終えることが出来たことと、チャレンジリーグの日本グランプリを成立出来た安堵感で一杯でした。選手のみなさんの頑張りに本当に感謝です。ありがとうございます。
パーティの様子はこちらから
これで明日は正式な?競技委員長の鈴村さんにバトンを渡すことが出来ます。明日も基本的には今日と大きく違わない気象予報。選手のみなさんには気を抜かないように注意を促して本日の任務を終えることにいたします。

【二日目】
レポート 鈴村恵司(競技委員長)※変則的なリレーレポートとなります。


明けて31日の朝。曇り、薄日あり。テイクオフ周りは雲にまかれている。もとよりどっちつかずの天気だとはわかっているものの、初日トップの岡本選手の心境たるや、いかばかりか。


ウェザー予報は、初日と非常に似通っているものの、午後早めに曇ってしまうとの情報。タスクをN2リーグは少し簡単にして、チャレンジリーグは初日と同一、1/3ほどいたボムアウト(ミニマム距離以下のフライト距離)の選手にリベンジの機会が与えられた。



11:20ウィンドゥオープン。ウインドダミーは、なんとか浮いているぐらいのコンディションであるが、早めの好転を期待して続々テイクオフ。
十数名が飛び立ったのちに、やはり、コンディションは“タレ”てしまう。結果としてファーストアプローチ組は全員リフライトとなった。

11:40のちょい前にコンディションがやや復活、ここぞとばかりにセカンドアプローチが始まる。このセカンドアプローチ組も12:00前後には少しコンディションが落ちた。しかし、そこを乗り切った関根選手が結果的に単独ゴールを決めることなる。
「無理せずに時間をかけて高い高度を稼がない限り移動をかけない」セオリーはわかっている。しかし、それでリフトのある時間帯が終わってしまってはゴールは出来ない。選択にまよう。多くの選手がD92テイクオフからB37砂防ダムへの移動をダイレクトで行うなか、一旦、テイク前方のリフト帯で上げきってから砂防ダムをとる道を選んだ関根選手が唯一無二の正解を手に入れることとなった。



2014シーズン、COOのスプリングカップではタスク1:11位、タスク2:6位。栂池では22位ながら獅子吼では10位、そして昨日の勝山タスク1は4位。
この人、今年に入って調子を上げ、成績の出し方がわかって来ているという雰囲気だ。
関根選手のゴールは12:52。小雨がパラツキ出し、雨のカーテンが迫ってきたためタスクストップしたのが12:58.まさにチャンスを最大限に活かしたフライトとなった。
リフライト組も十分なリフトの中、早いスピードでタスクをこなし、タスクストップまでに多くの選手がフライト距離を稼いだことからタスクバリディティは上がり、関根選手は716点を手に入れた。二日間の総得点が1000点を越え総合1位の関根選手は逆転で見事、N2日本グランプリチャンピオンに輝いた。
女子のN2日本グランプリチャンピオンは星田苗月選手。二日目では麻生選手に上をいかれたが、初日のアドバンテージが効いた。
EN-C以下クラスは初日の成績が効いて陳選手が優勝。今となっては知る人ぞ知るという域の選手であるが、今後もEN-Bグライダーで活躍してしまいそうだ。
また、オープンクラスまで含めると薬師寺選手が二日間安定した成績で大会全体の一位を得ている。


栄誉に輝いた皆さんの様子はこちら


チャレンジリーグでは波乱は起きなかった。サードアプローチ組といえる11:50前後のスタート組にいた東選手はフライト時間51分でゴール。しかし、ファーストアプローチで早々にランディングし、リフライトでデパーチャークローズ時刻前の12時過ぎに“リ”スタートした選手達の方がフライト時間は短かった。むしろ遅くスタートするほどコンディションが良くなっていったことが各選手のフライト時間から読みとれる。(デーパーチャークローズ時刻12:20過ぎにスタートし、フライト時間が実際より長く記録されるにも係わらず、トップの吉田選手は29分を切る最速タイムを叩き出している。)
チャレンジTASK2
それでも、しっかりゴールし得点を確保した東選手に、横堀選手、中嶋選手が逆転することはなく、東選手がチャレンジリーグ日本グランプリチャンピオンとなった。女子は総合でも2位の横堀選手、文句なしの女子チャンピオンである。


大会を終えた翌日、雨模様となった9月1日は、8月32日ではなく、すっかり秋の気配が感じられる9月であった。おそらく多くのフライヤーが欲求不満に感じた2014年の夏は終わったようだ。次は9月第3週の白鷹エリア。選手は、ほぼ間違いなく秋のコンディションに迎えられることになる。トリッキーな夏コンディションに悩まされた選手の皆さん、リベンジの機会です。


ジャム勝・サマーカップ2014 N2L・CLとも日本グランプリ


いよいよ今週末開催となった「ジャム勝サマーカップ2014」ですが、N2L及びPCL共に、日本グランプリの開催となります。

日本グランプリでの開催の場合、年間リーグへの計上ポイントが獲得ポイントの1.1倍となりますよ!

リーグ戦も後半戦になり、年間チャンピオンを目指すパイロットには重要な大会になることは必至!
目が離せませんね!

まだ、参加受付募集中です。そして、夏のジャム勝での熱い戦い!待ってます。



第33回デサントバードマンカップ獅子吼2014

第33回デサントバードマンカップ獅子吼2014 競技委員長 扇澤 郁


 デサントバードマンカップは株式会社デサントの創業者故石本他家男様の郷里が、旧鶴来町だったご縁で、同社のスポンサードのお陰をもち33回の開催を重ね現在に至っております。現在は大阪と東京を本社とし、ゴルフ・スキー・野球・陸上・水泳などスポーツウェア全般の製造・販売会社として業績を伸ばし、オリンピック選手のサポートも行っています。毎年本社各部署より鶴来へ観戦においでいただき、鶴来のまちやスカイスポーツ関係者と交流を深めています。今大会もデサント社のスポーツウェアなどを多数ご提供頂きました。長年のご支援に心より感謝申し上げます。

 獅子吼高原山頂テイクオフは2013年7月末の豪雨により、斜面の土砂崩れの為一部が埋まってしまいました。今年は白山市による整備工事が進み、現在テイクオフは芝生の養生中です。今回の大会ではその芝生を選手のウエイティングゾーンとして一時使用を認めていただいたことで、テイクオフの運営、進行をスムーズに行うことができました。大変暑い時期の開催ですが、パラグライダーのクロスカントリーレースに必要となる上昇気流が豊富なこの時期に行うことにより、多くのゴール者を出すことができます。このたびの大会開催にこぎつけたことは、地元関係者のご尽力のたまものと心より感謝申し上げます。

大会一日目 8月2日(土)

 北は秋田、南は九州から集まった73名の選手が朝早くからランディング場横のスクール事務所に集合しました。
N2リーグはこの大会がグランプリ対象大会ということで、内容の濃いタスクを選手たちがこなし真の日本チャンピオンを決めるレースが期待されます。また、チャレンジリーグはこの時点でリーグ戦をリードしている池内選手が不参加ということもあり、リーグ戦上位を占める選手たちが後半戦に備えて得点を稼いでおきたいところです。





 選手たちは何時ものようにGPSにアップロードなど競技前のルーティーン業務を滞りなく行いました。選手全員にはデサントの大会オリジナルTシャツと北陸中日新聞社様・北陸電力様より記念品が参加賞として配布されました。

 9:30 獅子吼高原山頂広場で行った開会式は、スカイ獅子吼パラグライダースクール初瀬宗子実行委員長の開会宣言で定刻通り始まりました。そして地元白山市を代表して、白山市観光文化部観光課長 米林歩より歓迎のあいさつ、ご来賓のスカイ獅子吼支配人紺清美千子様より祝辞をいただき、獅子吼高原スカイレジャーエリア運営協議会副会長 車幸弘様、キリンビールマーケティング株式会社 営業部 浅見政和様のご紹介をしました。また北陸電力送電部 中川仁様からは、獅子吼周辺の送電線に関する注意のお知らせがありました。最後に参加選手を代表し、昨年度のチャレンジリーグチャンピオンの和田教義選手(京都)が元気に獅子吼の空を安全に楽しむ事を選手宣誓し、いよいよ2日間にわたるデサントバードマンカップが開幕しました。




 九州、四国地方に大きな被害をもたらしている季節外れの台風12号の影響で、梅雨明け3日の好天が期待され、夏に強い獅子吼高原なのですが、高層雲で空がおおわれた朝を迎えました。しかし、タスクコミッティーからは訪れるであろう晴天域を最大限に利用し、N2リーグにはグランプリ大会にふさわしくリフライトなしのスピードランタスクを、チャレンジリーグには今年から新設されたバーチャルポイントを使ったテクニカルなタスクが発表されました。
 高層雲で太陽の日差しが遮られ、上昇気流の乏しいコンディションでしたが予想通り午後1時に高層雲の切れ間が獅子吼高原上空に差し掛かり、N2クラスの選手から競技を開始。45名の選手が次々と獅子吼の空に舞い上がりました。1時30分チャレンジクラスのスタート時間が迫ってきましたが、再び獅子吼の空は高層雲に覆われ滞空するために必要な上昇気流の発生が十分とは言えません。N2クラスの選手たちは空中で何とか着陸しないように持ちこたえます。しかし、高度を落とし着陸を余儀なくされ戦線離脱する選手が現れた午後2時頃になって、ようやく2度目の高層雲の切れ間が鶴来上空にやってきました。この渋い時間帯をしのいだN2クラスの選手の一部は再びゴールを目指し始めます。そして、27名のチャレンジクラスの選手は、次々と獅子吼高原の空へ飛び出しました。
 タスク1は日照が少なくテクニカルなコンディションの中、両リーグともに風を読み、正確な判断を空中で下すことができたパイロットのみがゴールラインを切ることができる質の高い競技内容となりました。参加選手たちは、オープン参加のトップ選手たちと一緒に飛ぶことで技術を学びながら、この日のタスクをこなしていきました。そして、途中で着陸してしまい悔しい思いをする選手を横目に、感動のゴールを数名のパイロットが決め、この日の競技は無事成立することになりました。





 初日の結果が発表されるまで、大会本部前に設けられた特設テントでは、協賛をいただいたキリンビールの飲み物、地元の野菜やところてん、獅子高原名物の牛カレーなどが選手や関係者にふるまわれ、大会の余韻に浸りました。このレースはN2クラスのJPA日本グランプリ対象大会となっており、昨年のチャンピオン矢野選手からは、グランプリ杯の返還がありました。そして、今年のグランプリチャンピオンに一番近いのは本日ただ一人ゴールまで到達した亀山選手です。チャレンジリーグの結果は船津選手が16歳という若さで最速ゴールを決めこの日を1位で終了。船津選手は明日のレースでチャレンジリーグ2連覇がかかります。







大会二日目 8月3日(日)


 この日の天気予報は台風12号の影響で、北陸地方全体が強い南風に支配されるとのことでした。獅子吼高原に吹く風の特徴は、北陸地方がフェーン現象の時でも日本海から海風の侵入があり、エリア内では快適にソアリングできるところにあります。海風の侵入には日照が不可欠ですが、空は昨日に引き続き高層雲が広がっていました。
 大会実行委員会は、高層雲が晴れてくることにかけ選手をテイクオフへ集めました。今大会はJPAグランプリ大会に指定されており、チャンピオンを決めるためにはどうしてもこの日2本目タスクを成立させる必要があります。チャレンジクラスはリーグ戦2連覇のかかっている船津選手がリードを守りきれるか、それとも他の上位の選手が船津選手の2連覇を阻止することができるかどうか、選手からはタスク成立に期待がかかります。
11時過ぎ希望の太陽が顔を出し始めたタイミングで、両クラスともに昨日と同等のタスクが発表されました。
 競技委員長は、福井、富山の天気情報などを集め、何とか天気の好転を期待します。しかし、お昼を過ぎても競技の成立に必要不可欠な海風の侵入が認められず、タスクの成立は不可能と判断し、この時点でキャンセルを発表し、選手はフリーフライトとなってランディング場へとフライダウンしました。





 表彰式、閉会式は予定を早めて午後2時より、スクール前の大会本部テントにおいて、和やかな雰囲気の中開催しました。
伝統の獅子頭杯にはN2クラスの亀山選手(福岡)の名前が、歴代優勝者の一人として刻まれます。
 各クラス総合及び女子、団体の上位入賞者には、デサント社のウェアーの数々、キリンビール株式会社からビール、地元鶴来の特産品詰め合わせや地酒、北陸中日新聞社より優勝盾などが贈られました。
 チャレンジクラスでは、若干16歳の船津選手(東京)が優勝し、次は憧れの獅子吼杯奪取を狙っています。
 初瀬実行委員長より、歴史のあるデサントバードマンカップを長年ご支援いただいたデサント社はじめ白山市、地元関係各社の皆様と大会運営をささえてくれたスタッフの皆様に感謝し、第33回デサントバードマンカップは滞りなく終了しました。

実行委員長

初瀬宗子



競技委員長

扇澤 郁






成績

 

N2クラス入賞者   写真左上から

3位 陳永豊(石川県)   優勝 亀山正雄(福岡県)  準優勝 鈴村恵司(愛知県)

5位 小森さちよ(石川県)  5位 中井正人(愛知府) 4位 赤尾浩太郎(福岡県)



N2 EN/C以下クラス

優勝  陳永豊(石川県)

準優勝 赤尾浩太郎(福岡県)

3位   黒木紀章(長野県) 


N2クラス 女子

優勝 小森さちよ(石川県)

準優勝 星田苗月(静岡県)

3位 吉川朋子 (栃木県)


N2クラス チーム戦

優勝 あいちのひと

準優勝 とりあえずとちおとめ

準優勝 朝霧ともの会









チャレンジクラス入賞者 写真左上から

3位  吉田勝一(富山県)  優勝  船津俊貴(東京都)  準優勝 河井友児(長野県)

6位 中島義雅(神奈川県)  5位 中村裕昭(愛知県)  4位 須合嘉尚(埼玉県)


チャレンジクラス 女子

優勝   関根睦  (群馬県)
準優勝  八子文恵 (愛知県)
3位   高瀬美代子(石川県)

チャレンジチーム戦

優勝   獅子吼レッズチームA
準優勝  CKファイブ
3位   Team-C jr



オープンクラス

優勝 高杉慎吾 (広島県)
準優勝 大澤行英 (京都府)



 第33回目のデサントバードマンカップは、季節外れの台風が日本に接近する微妙なコンディションの中、選手の方々が普段の練習の成果を発揮され、難しいコンディションの中ゴールまで到達できた選手が表彰台の真ん中に立つレースとなりました。パラグライダーのレースは目に見えない風を読み目的地までいかに早く到達するかです。参加選手は、オープン参加のトップ選手たちのアドバイスを受け、実際のフライトを見ながら一緒に飛ぶことができました。デサントバードマンカップでは世界に通用するオブザーバー選手と、初めて競技会に参加するルーキーたちが一緒に空を共有しながら学ぶことのできる大会です。これから選手たちはリーグ戦を通じて日本各地のフライトエリアで活躍し、そしていつか世界の空に羽ばたいていく選手が出てくることでしょう。将来多くの日本人選手が世界で活躍することを、獅子吼からも応援していきたいと思います。



 夏の開催が恒例となったデサントバードマンカップ、おかげさまでタスクが1本成立し、無事全日程を終えることができました。長年地元鶴来のスカイスポーツ活動にご支援をいただいている株式会社デサント様、キリンビールマーケティング株式会社様、北陸中日新聞社様、北陸電力様、スカイ獅子吼・パーク獅子吼の皆様、白山市観光課の皆様、地元協賛企業各社様、そして全国からお集まりいただいた選手の皆様や、スタッフとして奔走したスカイ獅子吼パラグライダースクールと獅子吼レッズの皆様には心より感謝申し上げます。猛暑の中での開催となりましたが選手・スタッフとも元気に、無事大会を終了できましたことを心よりうれしく思います。
33回目となったデサントバードマンカップの長い歴史とご支援に改めて感謝し、デサント社のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。選手の皆様、34回目の獅子吼へ、来年もまたぜひお越しください。ありがとうございました。

STAFF

初瀬宗子・扇澤 郁・岡田直久・日下部はく・森田 孝・竹田 亨・応矢政直・北口 勉

泉屋陽子・小森さちよ・高瀬美代子・橋場 優・鍜治口誠・渡辺俊一・越井秀夫・南 佳織

金子晴美・中村裕昭・辻 強・黒川 洋一・陳 永豊・金子外幸・吉田豊彦・中西伸一

スカイ獅子吼パラグライダースクール・獅子吼レッズ


ジャム勝・サマーカップ2014 N2L・CLとも日本グランプリ

夏本番となり、8月末には「ジャム勝・サマーカップ2014」が開催されます。獅子吼でのN2L日本グランプリが不成立となったため、ジャムではN2L・CLともに日本グランプリを決定する大会となります。



リゾート気分のジャムで、日本グランプリを目指そう!!

まだまだエントリー受付中です。