レポート 前堀 善斗
PNL第6戦 白馬八方尾根japan cupが、今年も始まりました。
いつものこの大会は、朝からパキッと目が覚めるような冷え込みになるのですが、
今年は本当に暖かい朝の初日でした。
10月5日(大会1日目)
雨の予報に反し、朝から暖かく空は薄い雲に覆われていますが、明るく三山もしっかり
みえます。
8:00より受付が始まりました。通常だと受付を済ませた選手から順にテイクオフへ
あがっていただくのですが、この日はやはり雨雲の動きが気になり9時過ぎにいったん降る可能性があったので天候をみながらということになり、一時間後の9時より大会本部前で開会式が行われました。
実行委員長より、この八方での秋の大会は成立しなかった事がない!というあいさつがあり、少しあやしい空模様でも大丈夫な気がしてきます。
続いて競技委員長より、タスクコミッティ、セーフティコミッティの承認、ローカルルールの説明、ゴンドラ・リフトなど運行中の施設付近の飛行中の諸注意、デジタル無線機の説明がありました。
その後、選手はテイクオフへ。
11:00より、ブリーフィング。雨雲の予報もどんどん好転し、雨の心配が少なくなってきました。なんとか成立させたいという思いで、ミニマムタスクでの仮タスクが発表され、1人目のダミーがテイクオフしましたが、ジャンプ台辺りで雨がぽつぽつとのこと。
その後、条件の好転に望みをかけてウェイティングしましたが、競技ができるコンディションになる望みがほとんどなくなり残念ながら本日のタスクはキャンセルになりました。
希望者はそのままフライダウン。雨の心配もあり、フライトせずに下山する選手もいました。
午後、選手の皆さんは競技事業部より、大会ルールの変更プランなどの選手ミーティングを行い今後の大会(リーグ制)のありかたに関して熱く意見交換をしました。
夕方は、選手とスタッフの合同懇親会が行われ、普段なかなか聞くことの出来ない選手の方のお話を聞いたりなど、各々楽しい時間を過ごせたのではないでしょうか。
明日の天気予報を気にしながらそれぞれの夜を過ごします。
10月6日(大会2日目)
大会2日目の朝。前日までの予報よりもはるかに青空が広く、条件は良くなりそうです。
選手達は、今日はレースが出来る!と気合を入れて早くから受付に並び、早く送迎車に乗りテイクオフでの好ポジションを目指してすでにレースは始まっています。受付を済ませた選手達は次々に送迎車に乗り込みテイクオフへ移動していきます。
同時にタスクコミッティー達は気象予報を確認しながら、朝の段階での仮タスクを思案します。1日目は残念ながら不成立となってしまったので今日こそは大きなタスクを!という思いと、ゴール者をたくさん出して多くの選手に楽しんでもらいたい!という思いとが葛藤しながら最良のタスクを考えます。この時点である程度決めておきますが、タスクブリーフィングで正式に発表するまでの間、常に状況を観察しながら考え続けます。
気象予報を読み取りながら空を観察し、雲底がどの程度の高さまで上がってくれるのか?上がるとすればどのタイミングで上がってくるか?という読みがこの日のタスク設定を大きく左右します。
主催者とコミッティー達は白馬八方エリアの醍醐味である北アルプス山麓を北から南まで広く使ったタスクにしたいと考えて、ソアリングコンディションになれば早めにゲートオープンしたいという思惑がありました。そしてブリーフィングで仮タスクを発表しようとしていた頃、南の空に厚めの高層雲が広がって五竜方面は雲底が下がってきてしまいました。その状況を見て予定していた岩岳以北のタスクの使用をやめて八方尾根以南でのタスクに変更し、高層雲の様子を見て、それでも雲底は1800mまでは上がり五竜方面も使えるようになるだろうと判断し、
Race to Goal、11:15ウィンドオープン、11:45スタート
D73 – B17 – B13 – D74 – B31 – D74 – B31 – D74 – B20 – B28 – A58 51.9km
八方のエリア内の三角を一周してからこの日の最南端さのさかアンテナ~八方ゴンドラ山頂駅までを2往復、さのさかゴールに向かってジグザグに南下
というタスク設定。
結果的には五竜以南の山際は雲に日射が遮られたままほぼ日射も無くコンディションは渋く、ゴール者は出ずに多くの選手がタスクの半分をこなすことが厳しいという難しい設定になってしまいました。ゴール者は出したいが、その反面出来る限り大きな飛び応えのあるタスクにしたいという中でのタスクの選択はなかなか難しいですが、今回は少し悔いが残ります。最後の八方を離脱してからのファイナルレグ、レースの面白さを引き出す為にジグザグにしましたが、コンディションが渋くなる可能性を見越してそのままA58ゴールへのストレートなグライドにしておけば・・・“たら”“れば”の話をしてもしょうがないですが、今後よりよいタスク設定のための貴重な経験とさせていただきたいと思います。
序盤の八方エリア内の雲底は低いもののサーマルは十分に活発で選手達は比較的スムーズにこなしていきます。しかし、そこからB31のさのさかアンテナに向かってのルートが難関でした。五竜さのさか間は日射も少なく少しタイミングが悪ければそのままランディングしてしまう選手もいます。日射のある沖寄りのルートを選択した選手と山際でなんとか粘りながらさのさか方面に移動していった選手が駒を進めていきます。タスク攻略のポイントは五竜エリアでの沖のサーマルだったようです。
トップ3機が見事2回目の最南端B31さのさかアンテナを取り、八方まで戻り最後のD74をとる辺りでファイナルグライドに向かうために必要な高度をとるために上げていきますが、コンディションは渋くなかなか上がりません。
先にD74のターンポイントを取っていた植田選手が少し早く離脱、続いて宮田選手と高杉選手が続きました。しかしどの選手も残念ながらゴールには届かず。最終的にこの3選手が1位、2位、3位でした。
その後、大澤選手が2回目のB31をとって八方まで帰ってきました。さのさかアンテナから八方までの距離をワングライドで到達・・・最近のコンペティショングライダーは認証機などの制限がかかったにも関わらず凄い滑空性能で驚かされます。しかし、残念ながらそのまま八方にランディング。
総合優勝 高杉選手
2位 植田選手
3位 宮田選手
4位 大澤選手
5位 扇澤選手
5位 隅選手
女子優勝 水沼選手
2位 清水選手
3位 岡本選手
こうして2日間の大会は2日目が成立して無事終了しました。
ご参加いただいた選手の皆様おつかれさまでした、そしてありがとうございました。
来年も開催予定ですので、ぜひ北アルプス 白馬八方の空を堪能しに来てください。
レポート 競技委員 藤野 光一
大会前になると天気予報が気になって、それがあまり良い予報ではない場合は祈りや神頼みで大会期間中の好天と好条件を願いながら日々過ごすのが、大会主催者や関係者の偽らざる気持ちでしょう。しかし、今回に限ってはおそらくですが、非常に穏やかな気持ちで準備を進めることが出来た(少なくとも“天候”と言う点に関しては)と言えるでしょう。なぜならば、日本各地に被害をもたらした台風が過ぎ去ってからと言うもの晴れマーク続きの予報。週間予想天気図を見ても、3連休は晴れベースで推移する可能性がかなり高いことを示唆していました。結果から言ってしまうと22日のみ曇りベース(若干降水の予想があったもののエリアでの降水はなし)でしたが、初日と最終日は良い天候に恵まれて競技が出来たのでした。
大会初日
西に勢力を残す移動性高気圧、北から南下する高気圧に覆われて「日本晴れ」と言える天候に恵まれた初日。「競技が出来る!!」と言う安心感と期待感からか、各地から集まったナショナルリーグ52名、チャレンジリーグ26名、総勢78名の選手には笑顔がこぼれ、受付を終えた選手は足早に極楽坂テイクオフへ移動して行きました。
9時30分からはテイクオフにおいて開会式。実行委員長のJMB立山パラグライダースクール関沢校長から開会の挨拶とローカルルールの説明。地元電力会社から送電線に関する注意事項説明。今大会の競技委員長である扇澤氏からはジェネラルブリーフィングと続き、ナショナルリーグは「日本グランプリ」大会でもあることから、それにふさわしいタスクを設定するためにタスクコミッティーが協議に入りました。
昨年のナショナルリーグタスク2をベースとした対岸のターンポイントを三角パイロンに含めた序盤戦と、美女平-対岸の往復を絡めた実距離46Kmのタスク。
D32-B04-B05-A55-B04-B05-B16-B12-B13-B16-B13-B04-B13-A52 46.1Km
今回は、過去に使っていないB12(小見小学校)を使った設定となりました。
一方、チャレンジリーグでは湾内の三角パイロンを周回して最終パイロンで美女平を使う実距離23Kmの設定。
D32-B04-B27-B04-D31-B02--B04-D31-B02-B04-B13-A52 23.1Km
ナショナルリーグは11時10分ウィンドウオープン、11時40分デパーチャーオープンのRace to Goal。選手が飛び出すとサーマルトップ1800mのガーグルが立山エリアに出現、スタート時間には列をなした選手がB04へ向けて移動する様が美しく見えたに違いないでしょう。レースはまさにスピード勝負。序盤の三角パイロンは危なげなくこなし、勝負の分かれ目は美女平から対岸のレグへ。高く上昇出来たエリア側とは対照的に、後半のレグでキーポイントとなる美女平ではトップ集団が差し掛かった時間帯に良いリフトが育っておらず、対岸の往復をこなしてB04へ向かうべく上げ始めたトップ集団を迷わせた。エリア側の活発な対流に賭けた集団が微妙な高度と知りつつもらいちょうバレー方向へグライドを開始。遅れることを承知でリスクを避けた数名は対岸へ進む。勝負は厳しく戦う者と地上で見上げる者に終盤と言えども容赦なく振り分けられることとなり、エリア側へ戻った選手は数名を残して殆どがランディングしてしまいました。
結果、対岸を使った稲見選手がトップでゴールし、エリア側で辛くも復活した隅選手が続きました。稲見選手を追走した正木選手が3位、藤川選手は4位でゴール。その後もゴール者が続き、20名の選手がゴールメイクとなりました。
チャレンジリーグも12時00分ウィンドウオープン、12時30分デパーチャーオープンのエラップスレース。こちらもスピードレースであることに変わりなく、立山をホームとする関口選手が終始リフト帯を上手く使った回さない飛びを実行。圧倒的な41分と言う好タイム、更にはファーストスタート・ファーストゴールを決めて完璧と言える飛びで1000点を獲得。そして、26名中24名がゴールメイクすると言う素晴らしいレースとなりました。
初日に良いレースが出来ると選手だけでなくスタッフも満足です。夕方から行われたBBQは大いに盛り上がりました。選手の顔は満足感に溢れ、フライトの話で大会でしか会えない選手たちの交流がいつまでも続いていました。その表情を見るだけでスタッフは疲れが癒されたに違いありません。
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