レポート 宮田 歩
先月の「CooXCカップ」に引き続き、XCベストシーズン中の筑波エアパークCOOで第2弾となる「Cooスプリングカップ」開催です。
この季節、周期的にやってくる移動性高気圧にぴったり出会えるのか!?大会の成功は天気次第となりますが、やっぱりそれは運なのでしょうか。今回も前日の練習日が素晴らしいコンディションとなってしまいました。サーマルトップは何と2500mを凌駕!!これをすこしでも明日にも残して欲しい・・・。そんな空を見上げながらスタッフは大会準備を行うことになりました。
13日(土)
初日の朝は快晴!上空の寒気も抜けたようで風も弱そうです。絶好のXCコンディションとなりました。早朝から集まった選手のみなさんも気象予報を見て興奮気味です。まずは選手の皆さんに、暖かい朝食サービスで気持ちをホッと落ち着かせていただき受付開始。
前回で時間がかかってしまった受付とGPSアップロード時間でしたが、「GPS楽々レジストレーション」システムを利用していただいた選手皆さんのおかげでスムーズ。大きく短縮することができました。ご協力ありがとうございました。
さて、受付後の動きがスムーズになったことで、全選手がテイクオフに集合したのは9:20。既に形成された積雲の高度は1200m。ダミーパイロットも順調にソアリングを開始しています。タスクコミッティのコンセプトはXCタスク!前回不完全燃焼だったパイロットにも思いっきりXCフライトを楽しんでいただくべく、ターンポイントなしの83km横岡ストレートゴールが決定!PCLもエリア内を周回した後、15km北の平沢ゴールへミニXCタスクとなりました。
まずはPCLからウインドオープン!数名の選手が離陸後、テイクオフには西風が・・・。東斜面のサーマルが活発化するに従い、引っ張られるように稜線上は西風が強くなってしまったのです。強いリーサイドとなった東斜面は荒れたコンディションとなり、競技委員長の辻さんは、チャレンジタスク続行は危険と判断。PCLはタスクキャンセル。時間も早いため、西テイクオフに移動し、西側エリアで仕切り直しのタスクを行うこととなりました。
PNL選手は西テイクオフへ移動し、続々とテイクオフ。サーマルトップは1800mまで押し上がりましたが、上空の風向きは北西風…。向かい風のXCフライトも珍しいものですが、選手は南風の進入を信じて、ジリジリと北進を始めます。
先頭を進むのは、昨年のチャンピオン高杉選手と稲見選手。2人をセカンドグループが追う形となります。上空の北西風は徐々に弱まってきましたが、はっきりとした南風を感じることはできず、集団はゆっくりとしたペースで進みます。そんな中、真っ直ぐ最短コースを突き進むパイロットがいました。
第1戦朝霧の優勝者只野選手です。中間地点となる茂木町上空ではトップ集団を捉え、そして烏山上空で2000mのクラウドベースをキャッチした後は、那珂川東側を単独フライトし、15時19分にはゴールへ到達!高杉選手は那珂川上空コースをとり46分遅れゴール。さらに西側を攻めた稲見選手は15km手前に無念のランディング…。今日は西の平野部は良くなかったようです。
さて、16時を過ぎ、サーマルも弱まってくる状況でもまだ多くの選手は諦めずフライトを続けていました。ゴール10km手前に多くの選手が降りていく中、東の八溝山麓をグライディングしていく2機がいました。正木選手と植田選手です。ゴール手前には北風と南西風コンバージェンスが作り出す雲が続いているのが見えます。これにたどりつけば何とかなる!!僅かに高かった植田選手はリフト帯に引っかかり、悠々とファイナルグライドへ!先急いだ正木選手はゴール地点を見誤り、最後の尾根を越せず、痛恨のショート…。最後のドラマでした。
順風の南風とは言えない難しいコンディションの中、83kmのゴールを決めた選手たちは本当に凄い!そして、多くの選手が60kmを超える素晴らしいフライトを見せてくれました。難しかったけど、ナショナルリーグにふさわしいタスクだったと言えます。
PNL選手上位者のトラックログはこちらからご覧下さい。
(TAK只野正一郎さん作成)
http://www.tak.ne.jp/cooxc2.html
一方、西テイクオフにて仕切り直しとなったチャレンジリーグですが、西斜面を回る15kmのタスクが設定されました。強かった南風も14時頃から収まり、コンディションは好転することに。そして、31分13秒の最速タイムを叩き出したのは、立山のホープ越坂選手。続いてTAKの杉岡選手が36分7秒。そして3位は女子トップでもある山岸里子選手!40分21秒。続いて4位、5位も女子パイロットです。寒風山の籾山久美子選手(43分45秒)とバーズの河野美樹選手(1時間7分48秒)。そして最後のゴールとなった6位はTAKの横田選手(1時間14分17秒)が粘りのフライトを見せてくれました。見事ゴールされた皆さん、おめでとうございました。
フライト後はチャンチャン焼きと炊き込みご飯、スープとサラダ!フルコースのお食事が選手を待ってくれていました。今日のフライトを振り返りながら、皆さん明日への鋭気を養います。遅く帰って来たナショナル選手にも、ちゃんと用意していただきました。スタッフの皆様、遅くまで本当にありがとうございました。
14日(日)
気圧の移り変わりは早く、もう次の寒冷前線が北日本に接近してきました。前線に吹き込む南風は朝から強く、朝の時点でテイクオフには7m/sを超える強風が吹いています。日中さらに強まる予報に、大会主催者は残念ながらキャンセルを発表せざるを得ませんでした。
結局、TASK1がそのまま大会総合成績となりました。
PNL優勝は只野選手。朝霧に続き今年2勝目で、夏のX-alpsに向けて調子を上げてます。こちらも楽しみですね。準優勝は昨年のチャンピオン高杉選手。本当に強い!。3位はCooが得意な植田選手。女子優勝は宇都宮の吉原紀子選手。72kmはもちろん自己ベスト記録だそうです。2位は71kmを飛んだ岡本洋子選手。3位は小森さちよ選手。12名の選手が70kmを超えた素晴らしいフライトでした。
PCL優勝は立山の越坂選手。昨年の虎井選手に続き、今年もPCLで立山旋風が吹き荒れそうです。2位はTAKの杉岡選手。1位、2位は何とEN-Bクラスパイロットでもあります。そして3位は山岸里子選手。もちろん女子優勝!入賞された皆さんおめでとうございました。
毎年Coo大会においてXCタスクを重ねるたびに、グライダー性能の進化を本当に感じることができます。昔は夢の80kmタスクでしたが、今回のような難しいコンディションでも必ずゴールする選手が数名いるのです。それでは、ノーマルな南風コンディションではもっと多くの選手がゴールしたことでしょう。天気次第のXCタスクですが、来年こそ国見ゴール190kmタスクが成立することになるかもしれません。これだから筑波のXCタスクは面白い。来年もみなさんの自己ベスト挑戦お待ちしております。
最後に、大会動画を作成しました。お楽しみください。