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第9回 JPA PG カップin富士山 大会レポート
♪レポート 競技委員 鈴村恵司
あなたは冬場に飛べるエリアを持っていますか。朝霧に通える環境にあるフライヤーは幸せだと思います。
日本中が北風が吹き荒れている時に飛べるというだけでなく、なにしろフライト確率が非常に高いのです。普通のエリアの通常シーズンのそれより高いかもしれません。
にもかかわらず、全く"にもかかわらず" 、2010年、2011年となぜだかJPA PGカップin富士山大会は成立タスクがなく悩ましい状況が続いていました。
しかし今年、2012年は朝霧本来のビッグコンディションとは行かないまでも大会期間の二日間ともに競技が成立し、選手の皆さんを始め、関係者にはやっと元に戻ったねという安堵感が広がったのでした。
あぁ良かった。
【一日目】
#受付前 #レジストレーション
#タスクコミッティ #逆転層強しの朝
1月14日ともなると朝の挨拶も「あけましておめでとう。」になります。
挨拶もそこそこに受付に並んで受付開始を待つ選手の皆さん。タスクコミッティも早朝から集合しタスクの検討に入ります。
「安定したコンディションが予測されいるのでチャレンジングなタスクを。」、
「いやいや冬場だ、この時期あまり飛んでいない選手も多いからひねらずにタスクを組もう。」、
議論の後に決まったタスクは大倉ダムからケナシまでを使った有効フライト距離52キロの、まぁ標準的なもの。
大倉ダムからテンシまでのリターン、アンテナから尾根までのリターンをいかにうまく、早くこなすかが問われることになります。
#リラックスムードの西富士ハングテイクオフ
西富士友の会のご協力でパラのテイクより高い位置のハングのテイクを使えるのでウインドオープンも余裕を持って設定出来ます。
さらに11時の一斉スタートまで一時間近く余裕のあるウインドオープン時刻の設定でスタート前にはテンシ北側にグライダーが集結。空中のコンディションは朝霧としては穏やかなものながら、1800mぐらいのやや低めのサーマルトップとわき上がる雲を避けるのでガーグルの安定もいまいち。
やや神経を使う空中待機となりました。
11時のスタートでファーストパイロンの5kmのシリンダーに突入、テンシを抜けて南下して大倉ダム方向へグライダーが進みます。
但し、雲はさらに厚くなり、雲を避けながら、ビッグイヤーで高度を下げながら、と簡単なスピードレースとは行かない状況です。
ケナシ、大倉ダム、アンテナとトップグループは順調にタスクをこなします。
後続の選手の中には渋くなりつつあるコンディションに無理して低くて移動して降ってしまう人も現れ始めます。
さてレースも終盤、コンディションはさらに渋くなって行きます。でもそこはトップグループ、競い合いをやめるわけにはいかないのでしょう、無理がたたったのかトップグループはゴールからひとつ前のTOKYO UNIV.で降りてしまいました。ゴール1km手前のタイム計測シリンダーにも届いていません。
結局、セカンドグループの中から植田選手がトップでゴール、タスクとしては全体的に先行して飛んだ隅選手が高いリードアウト得点を得ることで997点をとりタスクトップとなりました。
#アリーナゴール
#うどんをいただきます。 #うどんをつくります。
#本日2位の植田選手 #夕方の富士山
この日のゴール者は16名、朝の予測よりは少なめでした。
でも富士山大会としては3年ぶりのタスク成立に多くの人々が笑顔の帰着です。
夜には選手懇親会も行われ、フライトログを見たり、本日の成績優秀者を紹介したりと、楽しいひとときを過ごしました。やっぱり成立すると夜も盛り上ります。 楽しいなぁ。
#懇親会を仕切る扇澤競技委員長 #おまけ(懇親会後のお話し)
【二日目】
#しぶーい感じの朝のテイクオフ
もともとド安定のゲキシブ予測の天気予報でした。実はこのコンディションでのタスクは"いつもの"というのがあります。テンシの南側とジンバの往復をベースとしたタスクです。これだと稜線上まで雲が降りてきても、そして日射がよわくなってもリフトの乗り継ぎがなんとか出来るのです。
もちろん、リフトを乗り継げるかどうかは確率の問題になり全員がゴールするようなことは望み薄ですがタスクの成立は大いに期待出来ます。
とは言うものの「ホントになんとかなるのか。」の思いを持ったまま西富士のハングテイクオフでリフトの発生を待ちます。ハングテイクオフ前はなかかな働き始めませんが、猪の頭の前山付近ではグライダーがソアリングを始めました。
さてウインドオープン。レースの先行度を競うリードアウトポイントを使用するエラップスタイムレースです。まぁ結局、そのレース種選択の意味はなかったのですが。
デパーチャオープンまで前山で多くのグライダーが待機しました。デパーチャオープン時刻で多くのグライダーがレースをスタートします。ジンバのスタートパイロン付近ではステイできますがチョウジャ、テンシへと向かうことは簡単には行きませんでした。テンシ南まで届いても、うまくリターン出来なかった選手は降りてしまいます。
結局、ゴール者はたった一人、岩沢選手のみでした。この人、この朝霧のコンディションでのレースは得意としています。グライダーの性能が高くない時代から朝霧を飛び込んでいるからでしょうか。
岩沢選手がゴールを決めた1時40分ごろ、みんなが終わったと思ったこの日のコンディションに変化が出ました。雲が切れ、なんと薄日がさして来たのです。
あきらめない心、大切ですよね。TASK1で1位の隅選手も2位の植田選手も実はこの時にリフライトに向けてテイクオフに待機していたのです。
満を辞しての渾身のリフライト、残念ながら隅選手は距離を延ばせませんでしたが植田選手は11キロを飛び、それなりの得点を稼ぎだしました。
生き残りレースの度合いが高すぎて、この日のタスクバリディティは0.238、すなわち岩沢選手のトップ得点は238点のみとなりました。
素晴らしいゴールも高得点には結びつかず、トータルでは岩沢選手は6位に留まり、植田選手が大会優勝者となりました。
#唯一のゴール者、岩沢選手
得点集計ソフトのトラブルがあり集計がおくれました。申し訳ありませんでした。
表彰式も暫定のちょっとパットしない幕切れでした。5時過ぎまで待って頂いた選手の皆さん、ありがとうございました。正式な表彰は次回のCOO大会で行われるそうです。
#岩沢選手の表彰 #暫定の表彰
ともあれ2012年シーズンのスタートは2タスク成立の良い大会となりました。昨年は東日本震災の影響は大きく、さらにシーズン途中に2ライナーグライダーの使用が出来なくなるなど、まさに激動の年であったと思います。2012年シーズン、シリアル機でちょっと肩の力を抜きつつ、でもしっかりアクセル踏んで戦うレースは、いままでとちょっと違ったものとなるかも知れません。では、今年一年、皆さまよろしくお願い致します。