白鷹オープンカップ2014 大会レポート


                           競技事業部 宮田 歩
大会開催に合わせるように、天気が悪く不成立が続いていた白鷹エリアでしたが、今年に入り5月のPNLも米沢ゴールタスクが成立!そして今回も天気の心配をしなくて良いほどの安定した秋晴れとなりました。本来の白鷹コンディションを存分に楽しんでいただこうとスタッフも準備万端です。




20日(土)
快晴の朝!!強烈な放射冷却によって気温は10度を下回っているようです。これは寒い!長井、米沢のある置賜盆地はきれいな雲海に覆われています。そんな寒い朝でしたが、温かい朝食でお出迎えです。地元の新鮮な野菜を使われた朝食は、本当に美味しい!選手は充電完了。





受付が終了したら、さっそくテイクオフへ移動。テイクオフから見える朝日連山は朝日を浴びて神々しい・・・。クリアーな大気のおかげで、いつもより近くに見えます。何だか飛んでいけそうな気にさせてくれます。



白鷹エリアのシンボル、レーダードーム前で、開会式が行われました。実行委員長植木さんから「これがいつもの白鷹です!」とのご挨拶。続いて競技委員長神林さんからジェネラルブリーフィングが説明されました。

10:00までは北寄りの風が続きましたが、太陽の南中に従い南風のブローが第一テイクオフに入ってくるようになりました。今日の風の読みは、山形県全域の風は弱いため、午後には白鷹周辺に北東風と南西風のコンバージェンスが形成されるいつものパターン。

タスクは、N2L、PCLほぼ同一内容とし、後半N2Lは対岸のアンテナ跡地と豚小屋の往復が追加されました。タスクの種類はRaceToGoal。シリンダーハンデのあるN2L選手がPCL選手を牽引するシナリオが組まれたのです。





ダミーの上りが良くなってきたこともあり、いよいよ12:00ウインドオープン!選手は次々とテイクオフしていきます。途中フォローになるタイミングもありましたが、スタート時間にはほぼ全選手が空中に待機。クラウドベースは2000mに達しています!そして、12:45には新山平へ一斉スタート!!

先頭を引っ張るのは絶好調のウイングキッス星田選手と、オープン参加の藤川選手。そして、2014年N2Lチャンピオンの関根選手、立山のリーダーこと中島選手が追走。PCL選手もシリンダーハンデをうまく利用し、同じグループで駒を進めることができます。






タスク前半は白鷹山を中心に3角形を周回するコース。途中、誰が先頭なのか!?わからなくなる展開となってきますが、数名が西側対岸の尾根へトランジットし始めました。N2Lの藤川選手と星田選手です。完全にガチンコ勝負の様相、フルスピードでカッ飛んでいくのが見えます。続いて宇都宮とちおとめチームの呑村選手、吉川選手、関根選手がトランジット開始。予報通り、北東風と下層の南西風が見事にぶつかり、クラウドベースは2100mを超えています。このまま、バンバンのコンディションで順調に進むと思われましたが、ここで運命の分かれ道が・・・。

活発なコンバージェンスは、白鷹山周辺に積雲発達を助長し、すっかりオーバーキャストさせてしまったのです。雲底近くは強い吸い上げリフトがあるのですが、低いところは渋い・・・。そして、東寄りの冷たい空気がエリア内に流れ込み、大きなシンク帯になってしまいました。異変を感じ、晴れ間のある西側平野部へ出た選手は、悠々と雲底まで上げ切っているのですが、白鷹山に執着した選手は、皆さんランディングを・・・。明暗を分けました。









N2Lのトップ選手が次々とファイナルグライドするのを見送りながら、寒風山向田選手、Coo山本選手と八方尾根黒木選手は沖の晴れ間で何とか生き残り、最終レグへ。PCLでは唯一、KPS中島選手が至福のファイナルグライドへ。パレス松風を超えたファイナルグライドは、移動したコンバージェンスで上がり続け、ゴールで500m以上高度が余ったそうです。

最終パイロンを残してゴールできなかった選手も多く、もう少しだったのに!と悔しそうな選手にも笑顔が。ゴールできた選手もできなかった選手も、最高のコンディションに挑戦し、白鷹の空を楽しんでいただけたようです。






やっぱり良いレースができた夜のパーティは盛り上がります。見事ゴールを達成された選手は壇上で一言!特にN2L初ゴールの向田選手、黒木選手、山本選手は本当に嬉しそう。皆さん、おめでとうございました。笑顔の懇親会で、秋の夜長は更けていきます。


21日(日)
今日も快晴の朝です。移動性高気圧はさらに押し進み、昨日よりも安定した大気予報。サーマルトップ予報は1700mと低めながら、昨日の様なオーバーキャストの可能性は低いとの読みです。さあどうなる!?






タスクミッティは、両リーグ昨日とほぼ同じのリベンジタスクを設定。PCLは全員に9kmのファイナルグライドを経験してただこうと、周回数を減らしたショートタスクとされました。もちろん、今日もRaceToGoalです!




昨日よりも早くブローは上がり始め、11:20にウインドオープン。途中北風が入るタイミングはありましたが、第3テイクオフもオープンしていただき、選手はスムーズに空中へ!12:00のエアスタートには、昨日以上に選手が集まりました。慣れている選手はシリンダー風上の北側からアプローチ。一斉に新山平へGO!PCL選手も多くいます。いつもRaceのスタートはエキサイティングです。





今日もN2L選手がレースを牽引していきます。今日も白鷹山周辺は積雲がたっぷり・・・。雲底下は強い吸い上げリフトで回さなくてもドンドン上がっていくのですが、低いところはちょっと渋め・・・。これは低く走っては昨日と同じパターンになりそう。そんな心配も何のその、選手は前半のガンガンモードで低く突っ込んでタスクをクリアーしていきます。そして、PCLのトップ選手は、至福のファイナルグライドヘと突入。はるか荒砥ゴール方向へ消えていきます。






このまま順調に終わるかと思われましたが、13:00ごろから恐れていたオーバーキャスト発生。エリア周辺はやっぱり渋いコンディションに・・・。次々とランディングしていく選手を横目に、昨日の教訓どおり、沖出しをして生き残る選手もいました。N2Lの黒木選手とPCL地元白鷹の松田選手です。なんと松田選手は、日照を求め、はるか北西の豚小屋パイロン近くの雲底でコンディションの好転を待ちます。そして、再度エリア内が晴れてきたころに無事帰還。ゴールはできなかったものの、驚異の粘りを見せ健闘しました。低く突っ込んだN2L選手はほぼ撃沈・・・。生き残った黒木選手がしっかり距離を延ばし本日のN2Lトップとなったのです。

今日もエリア周辺のオーバーキャストに翻弄されたタスクとなりましたが、PCLで4名の方が見事ゴールを決めました。今回初PCL参戦である宇都宮の田村選手は初ゴール!おめでとうございます。





総合成績は、N2Lはウイングキッス星田選手が貫録の優勝!そして、PCLは2日間ともにトップゴールだったKPS中島さんの完全優勝となりました。2日間大きなトラブルもなく、ガッチリ飛べた白鷹エリアでしたが、これが本当の白鷹のポテンシャルなのです。参加していただいた選手の皆さんは、白鷹の良いイメージを持っていただけたことでしょう。












地元白鷹クラブ、そして大会ごとに駆けつけていただいたスタッフの皆さんへの恩返しも、良いタスクが成立し、満足していただいた選手の笑顔が一番だと感じました。PNLは置賜盆地を最大限に使ったビックタスク。そしてN2L,PCLはみんながゴールできる達成感のある荒砥ゴールタスク。また来年も白鷹でお会いしましょう。