高嶺カップ 2014

レポート:鈴村 恵司(競技委員長)
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【初日】

結果的には全員がゴール出来るようなコンディションにはならなかった。ゆえに15:00ごろのランディングは悔しそうな顔をしている選手の方が多い。でも多く選手の会話に中の「でも紅葉がきれいだったね。」という言葉は単に自分を慰めているだけというわけではなさそうだった。
地元のフライヤーですら「高嶺(たかね)の紅葉ってこんなにきれいだったっけ」というぐらいに、この日の高嶺山近辺の山々が紅葉により例年よりずっと鮮やかな赤色を湛えていたのは事実だ。




そんな紅葉の上を飛ぶタスクの設定は、N2リーグが44km、チャレンジリーグは28km、ちょっと長めの距離だ。(但しN2タスクのWP、B12の平谷ゴルフ場は800mシリンダーで実フライト距離36kmほどである。)どちらも高嶺山頂側の三角パイロンを周回した後に国道を西から東に横切り、ランディング側の三角パイロンを周回する設定である。

【N2リーグ】
D21→B25→B04→B03→B12→B04→B03→B12 →B04→B03→B12→B04→B03→B09→B18→B05→B09→B18→A42
【チャレンジリーグ】
D21→B25→B04→B28→B25→B04→B28→B09→B18→B05→B09→B18→A42

(快晴、風も強くない。サーマルトップも2000mを越える予報。1500m以上の減率がそんなに高くないことは判っていたけど、ちょっと無理してみたくなるじゃないか。)




11:30、N2リーグのウインドゥオープン直後の高嶺側のコンディションは“ややシブ”、強いサーマルを探してさまよう選手からはため息が聞こえそうだ。とは言え、探せばどこかにはリフトがあり、時に高層雲に弱められるとはいえ我慢していればじわじわと高度を稼ぐことも出来る。
そうして、まずはチャレンジリーグの選手達が高嶺側三角パイロン2周を終えランディング側へ移動し始める。(チャレンジ選手の80%以上が山側2周回をクリアしていた。)N2選手も時間はかけながらも高嶺側の4周(ゴルフ場3回!)をこなしランディング側へ随時移動し始める。(N2も半分以上が山側3周をクリア。)








そしてランディング周りが生き残りレースとなった。通常はむしろ高嶺側より安定しているランディング側がおそらくは風向き違いなどでリフトの発生時間帯が大幅に遅れてしまったのだ。
デパーチャーオープンが30分遅いとはいえ、短く周回数も少ないチャレンジリーグ選手は12時40分過ぎには早めにランディング向かっている。ゆえに、その殆どがランディング側三角を周回できずに終わる。唯一、地元の利を活かした(のかどうか?)河井選手だけが24kmまで距離を伸ばした。とは言えゴール者なし。タスクセッターは(筆者です。)大反省すべきだ。すいません。
N2リーグはゴール者が8名出た。メンター3の黒木選手もゴールしている。ランディング脇にある東方子(トーホーシって呼んでます)という小山からのサーマルは1時半近くになってやっと本来の調子が出てきた。その時点で空中にいた選手、或いは遅れて入ってきた選手はゴール出来たようだ。


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リードアウトポイントがついた選手をリードアウトポイント順に並べかえると上の表になる。
ゴールレースだから、この順番がおそらくランディング方面に移動した順に近いと想像できる。
星田選手、薬師寺選手は早めにランディング方面に入ってもなんとか粘ってタスクをコンプリート。それ以外の早めの移動の選手はランディング。リフトが盛り返し始めた当たりで田前(英)選手や麻生選手らが入ってきたのではないか。黒木選手はゆっくり確実の移動が、ランディング周りのコンディション好転とタイミングが合ったのではないか。
N2リーグは、呑村選手がトップ。おそらくランディング側でまくってフライト時間を短縮したことが効いている。ゴール順は薬師寺選手に次ぐ2番目のほぼ2時ジャスト。オープン参加の薬師寺選手はそれより3分早くゴールして全体でのトップになっている。

薬師寺選手はゴール後に高嶺側に戻りテイクオフのスタッフに手を振っていた。北東方向に南アルプスの向こうに富士山を見た人もいる。また、そこで起きた悲劇に哀悼の意を持ちつつも、見つけられたことのうれしさから複雑な気持ちで御嶽山の噴煙を見た選手もいる。そして、すべての選手が紅葉を楽しんだ。飛びガイがあったと何名かの選手の言葉が聞けた。タスク設定をしくじった競技委員長としては救われる言葉だ。

平谷村が誇る(?)温泉「ひまわりの湯」を味わってから集まった選手交流会の開始は18:00。鍋を囲んで、今日のフライト談議が始まる。
今日の成績上位者を讃えたあとは、「空ともパラグライダースクール」と「浜名湖パラグライダースクール」混成メンバーでのパフォーマンス。交流会は最大の盛り上がりを見せる。明日の予報は、曇りだったり、一時雨だったりとあまり芳しくはない。まぁ明日は明日。今日は楽しかった。今も楽しい。それで良いといったところだ。
交流会の様子はこちらから








【二日目】

となり村の浪合村は、全国で一番「星空の観測に適した場所」だそうな。当然、平谷村の星空もきれいだ。この夜、午前3時過ぎまではきれいな星空が続いていたそうだ。
しかし、朝起きた選手達を待っていたのは曇天の空。ここから先、レポートすべき内容はあまりない。もしかしたらの可能性を探して定刻通りにテイクオフに移動、どちらかといえばフライダウンの為のダミーを出した時点で霧雨のカーテンが平谷村を通り抜け、下山決定。




その時点では雨が上がっていて表彰式が屋外で開催出来たのは救いだった。表彰台に登れることを素直に喜ぶ選手達の中で、チャレンジリーグ総合優勝の河井選手のいかにも不慣れで落ち着かない様子が印象的だった。
これで宇都宮ファイナルへの招待選手や優待選手も決定した。年間チャンピオン争いも大詰めである。

「来年も開催することが出来たら、ぜひ参加お願いします。」主催者、実行委員長の片桐さんのしめの挨拶。ちょっと中途半端な案内だったがきっと来年も開催される。
来年はもう噴煙を吐かなくなった御嶽山が見られるだろう。当然、富士山は健在だろうし、高嶺山の紅葉もきっときれいに違いない。村全体がフライトエリアといったコンパクトな環境の中に大きな温泉施設もある。空ともPGSのパフォーマンスも恒例となっているかも知れない。
TO1570mhの日本屈指の山岳フライトエリア。競技フライトに最適とは言いにくい環境ではあるが飛び応えは保証出来ます。おそらく普段のフライトとは違う世界を味わうことが出来ます。皆様、来年、ぜひご参加を。

大会運営をサポートして頂いた開催エリアの「JMB中部パラグライダースクールとんびいず」の皆さん、愛知県から駆け付けてくれた「空ともパラグライダースクール」の皆さん、「浜名湖パラグライダースクール」の方もサポートしてくれました。ありがとうございました。