PNL第5戦オールジャパンしらたか & PCL第3戦チャレンジしらたかレポート

開催地 : 山形県白鷹町 白鷹スカイパーク
主催:トントンとんびPGスクール
レポート:テクニカルデリゲート 藤川 稔


<プロローグ>
 毎年恒例のゴールデンウイークin白鷹ですが、今年は、大変な年になりました。みなさんご承知のとおり、3月11日に東北地方を襲った東日本大震災、大変な被害が東北地方でも発生しています。その東北地方での大会ということもあり、当初は、開催そのものが危ぶまれました。しかし、復興にむけた活力に少しでもなればと、開催を決断していただきました。トントンとんびパラグライダースクール植木校長はじめスタッフのみなさん本当にありがとうございます。また、選手たちも「東北に元気を!」の合言葉に、70名の方々がここ白鷹に駆けつけていただきました。ありがとうございます。
 天候も好天に恵まれ、大きなタスクができそうな予感です。タスクコミッティは、前日から念入りに打ち合わせを行い、選手たちが最大限パフォーマンスを発揮できるようにタスクを組み上げていきます。
 白く染まった朝日連山が美しい景観を見せる中、いよいよオールジャパン白鷹、そして、併催のチャレンジ白鷹開催です!
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<5月3日> 
 大会初日、いつものように、まぁ・どんなれすとらん様より用意していただいている地元の食材を使ったヘルシーで温かい朝食で体力を蓄えて、競技に臨みます。
 予報では、弱い東よりの風から午後には南風が吹き込むことが予想されます。ここ白鷹では、東よりの風が吹くとき、パレス松風から豚小屋にかけての沖の稜線が抜群のコンディションとなります。そして、午後の南風に対応して、設定したゴールは、初めての試みとなる大江ゴール。エリアから北上約20キロ、選手たちにとって完全に未知の領域です。
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 不安定なテイクオフコンディションのためエアラップスタイムレースでの競技スタート。テイクオフを中心とした周回をこなしたあと、沖の稜線に舞台は移動します。ここで早くも波乱の展開、早い時間にスタートをきった先頭が渋い条件に大スタック、後続に飲み込まれ先頭集団は、十数名の大きなグループになります。集団は、そのまま順調に周回を重ね大江ゴールへむけたファイナルレグに突入します。しかし、またまたここで波乱が!午後に予想された南風がファイナルレグでは一転、なんと北風が吹いています。さらに加えて、高層の雲は張り出し、サーマル活動は一気に沈静化。トップゴールを目指しファイナルレグに飛び込んだ多くの選手が次々とゴール手前に撃沈していきます。ここで抜け出したのは、最初にサーマルをヒットした伊藤選手、ゴールへの最短距離を走りファーストゴール。これに続いたのが廣川選手、絶妙なコース選択で2番手ゴール。さらに植田選手宮田選手が粘り上げてゴールイン。植田選手は、2時間23分の最速タイムをたたき出して、この日のタスクトップです。そして、やや遅れたものの独自のルートに活路を見出した橋村選手増子選手がゴールまでのグライドを成功させました。予想外の気象変化に翻弄される厳しい条件の中ゴールを成し遂げた6名の選手のみなさんおめでとうございます。また、厳しい条件にもかかわらす、多くの選手が40キロオーバーをフライトされました。
 チャレンジリーグでも選手たちは、素晴らしいフライトを見せてくれました。湾内周回のあと萩野ゴールを目指す16.5キロのタスクをなんと6名の選手がゴールメイク。上位に入ったのは岩崎選手、多田選手、宮手選手です。ゴールした選手のポイントは拮抗しているためタスク2まで勝負の行方は分かりません。タスク2に勝負をかけたフライトが期待できそうです。
 真っ白な朝日連山が見下ろす素晴らしい景観の中での長時間のフライトに選手たちも充実感を得られたのではないでしょうか?
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 帰着後は、交流会を開いていただき、選手たちは、本日のフライトを振り返りながら楽しい時間をすごしました。提供いただいた本格手打ちそばは、抜群の味です。山形のみなさん、いつも暖かいおもてなし本当にありがとうございます。
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<5月4日>
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 大会2日目、低気圧が接近してしまい朝から強風。これでは、終日フライトは望めないため早々にキャンセルが発表されました。
 キャンセル後、競技事業部では、選手ミーティングを開催。選手育成基金の運用方法や、大会ルールなど、様々な事案に対して活発な議論が行われました。貴重なご意見を出していただいた選手のみなさんありがとうございます。
 明日は、高気圧が張り出し抜群のコンディションが予想されます。選手たちは早々に解散し、明日のビッグフライトに向けて英気を養うべく休息の時間となりました。

<5月5日>
 大会最終日、早朝に事務局より届いた気象データは、前日の予想通り、抜群の条件。タスクコミッティは、迷わず米沢にゴールを設定することを早々に決定します。さらに、それも簡単すぎると南下レグの途中に海生地区から滝野ピークへのリターンをタスクに組み込みます。米沢にゴールを設定するのは、これまた初めての試みであると同時にトントンとんび植木校長の長年の念願でもあります。果たして何名の選手がゴールすることができるのか?
 テイクオフでは、早い時間に飛び出したダミーが抜群の上昇を見せます。これをみたタスクコミッティは、すぐさまレースtoゴールでの競技を決定。久々の一斉スタートに選手たちの顔には、一気に期待と緊張が走ります。
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 スタート後、選手たちは、順調に周回を重ね白鷹エリアを離脱して行きます。長井方面への南下レグは、朝日連山を横目に見ながらのロンググライド、フライヤーたちにとって至福の時間です。
 レース前半、選手たちは順調に駒を進めるものの、海生地区からリターンするころには様相が一変します。空域には、予想に反して非常に強い南西風が、これではこの先ひたすら南下する米沢へのファイナルレグは、非常に厳しいものになります。果たしてゴール者は出るのか?
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 しかし、近年の驚異的なグライダー性能の進化と選手たちの技量の向上は、この難しい局面をも打破してしまいます。風向きの変化、地形、積雲の発生状況など、得られる情報を分析し、上位集団は、西風に乗って、東の山間部へ進路を取ることを決断します。降ろす場所の少ない山間部へ進路を取ることは、多くの経験、知識、技量、そして度胸を必要とします。ここで抜け出したのはやはり国内でも常にトップに君臨するパイロット達、宮田選手小幡選手が圧倒的な速さで1-2ゴール。後続を大きく引き離した素晴らしいフライトです。大きく遅れを取りつつも懸命に高度を稼ぎ南陽から米沢への平野部に出たのがセカンドグループの松原、正木、長島、藤川の4選手。4時間超の粘りのフライトへのご褒美か、最後の数キロでは、平野部に形成されたコンバージェンスによるクラウドストリートが出迎えてくれ、上昇しながらのゴールカットとなりました。
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 ゴールメイクはここまでか?と思い始めた矢先、クラウドストリートに乗って現れたシリアルグライダーが一機、ブーメランGTO宮内選手です。多くのコンペ機勢が撃沈していく中、粘りに粘ってのゴール、素晴らしいフライトでした。そして、タスククローズ間際に現れたシリアルグライダーがもう一機、オメガ8中井選手です。しかし、残された時間はほとんどありません。ゴールした選手たちは、時計を片手にカウントダウンしながら中井選手のフライトを見守ります。結果は...、わずかあと170mの地点でタイムアップ。残念ながら時間切れとなってしまいましたが、米沢ゴールまで到達したフライトは称えられるべきでしょう。米沢ゴールまでのロングディスタンスをコンプリートした選手のみなさん、おめでとうございます。そして、素晴らしいフライトをありがとうございます。
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 チャレンジリーグへ目を移すと、タスクは、ゴールを白鷹ゴールまで伸ばした28.5キロ。チャレンジリーグの選手にとっては相当なロングディスタンスです。タスク1に続いて素晴らしいフライトをみせたのは多田選手トップでゴールです。そしてタスク1ではゴールを逃した渡辺選手が2番手ゴール。2名がゴールを決めました。大会総合では、2本のゴールを揃えた多田選手が見事優勝!続いてベテランの味、中村選手が準優勝。安定感のあるフライトでポイントを稼いだ安藤選手が3位。女子の部では地元宮手選手が優勝、渡辺選手が準優勝、岩崎選手3位と続きました。入賞されたみなさん、おめでとうございます。
 さて、ナショナルリーグでは、今大会、初めての試みとなる大江ゴール、米沢ゴール2つのビッグタスクが成立しています。厳しいコンディションの中、トップパイロットたちがしのぎを削ったオールジャパン白鷹、大会総合での結果はいかに。
 やはり2つのビックタスクをコンプリートした選手が頂点に立ちます。宮田選手総合優勝、小幡選手準優勝です。3位には、タスク1でトップの植田選手が入りました。おめでとうございます。シリアル部門では、2タスク安定して距離を伸ばした3選手が上位に、中井選手が優勝、続いて宮内選手準優勝、3位に岡本(泰)選手となりました。女子の部は、今大会唯一の女性ゴールメーカー増子友美選手が優勝、準優勝には、機体性能の差を見事跳ね返した清水貴代子選手、素晴らしい成績です。3位には、岡本洋子選手が入りました。入賞された皆さんおめでとうございます。
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 最後に、今大会、東日本大震災の影響により大変厳しい状況にもかかわらず大会を開催していただいたトントンとんびパラグライダースクール植木校長および会員の皆様、スタッフとして応援に駆けつけてくれました今井浜フライングスクール等の皆様、そして、「東北に活気を」を合言葉に集まってくれた70名の選手の皆様、本当にありがとうございました。
 夏のしらたかオープン、そして、来年も今回以上にチャレンジングなタスクを用意して選手の皆様をお待ちします。腕に磨きをかけての参加をお待ちしますので、次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。



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がんばろう日本!
We are the Japan children.
Never Give Up!
11・3・11