| 大会レポート
2015 Coo Spring Cup
レポート 宮田 歩
2日間良いタスクが成立した3月のXCカップ。まだ余韻が残る茨城県エアパークCooにおいて、春の2戦目となるSpringCupが開催です。筑波エリアはまだXCシーズン真っ盛り。選手の希望は、やはりXCタスク!今回はPNLとN2Lの併催です。
11日の初日は低気圧の通過により朝から雨・・・。午後から急速に回復する予報に期待して、午前中は開会式とセミナーがクラブハウスで行われました。まずは教育事業部岡田さんと扇澤さんからフロントコラップスとパラシュート開傘について、前回に実際に起きたアクシデントを解説していただきました。そして、小野寺会長からもフロントコラップス後の2ライナー機特有の挙動、対応方法など貴重なアドバイスをいただきました。
続いて、タスクコミッティ宮田が予想タスクをガイド。フライト前に先入観を持ちすぎることは危険ですが、パイロットの判断選択肢をどのポイントにしているか!?タスクコミッティの意図を読み取ることで、フライト前のイメージを作ることができます。もちろんシナリオ通りにならないこともありますが、それを空中で補正することが技術の差となってくるのです。パラグライダー競技の本質は判断力を競い合うことにあります。
雨でしたが、午前中は有意義に過ごすことができました。セミナー後も降り続く雨に、本日のタスクは、残念ながらキャンセルとなりました。
13:00ごろからは雨も止み、少し日照も出るようになりました。雲底は低いものの、良い気温減率のおかげで、フリーフライトしたパイロットは楽しめたようです。明日に期待です。
12日は快晴の朝を迎えました。恒例となった暖かい朝食サービスで選手はパワー蓄積!気合も十分でバスに乗り込みテイクオフへGo!テイクオフに着くと、心配されていた東風も弱く、すでにフライトを開始しているスクール生も順調に高度を上げています。筑波山上空には、すでに積雲が形成されるのが見えます。これは良さそうです!
午後になり、張り出してくる高層雲が心配ですが、コミッティは仮発表されていた予想タスクをそのまま決定。前半は筑波山系を往復させ、PNLはスカイパーク宇都宮ゴールの63㎞。N2Lは真岡ゴールの30㎞。筑波山頂3㎞シリンダーを取った後、どの場所から平野部に離脱するかが選択肢となります。燕山、天引鉄塔と筑波山系を大きく迂回する通称「良い子コース」か!?筑波山からダイレクトに西へ行く「漢(おとこ)コース」か!?もちろんリスクがありますが、一気に抜け出すことができます。さあどうなる?
10:15のウインドオープンとともに選手は続々とテイクオフしていきます。やや強めの東風で流されますが、サーマルは1200mまでしっかり立ち上がっています。そして11:15に空中一斉にスタート!抜群のスタート切ったのは藤川選手。続いて他の選手も追従します。サーマル活動は活発となり、春らしい荒れた強烈なサーマルが迎えてくれます。
ここで、エリアを熟知している宮田は強烈な上昇帯を回さず、そのままサル公園へトランジット抜け出します。逆に扇澤選手、喜多選手はリターンした加波山で上げきり、逆転層の上からダイレクトに筑波山をゲット。扇澤選手、一瞬「漢コース」を行きそうになりますが、なんとか踏みとどまり、燕山方向へ。結局、先頭グループは全員が燕山に集合し、仲良く天引鉄塔へ「良い子コース」選択することとなったのです。
PNL12人に加え、N2L富重選手、和田選手も追従。こうなると良い集団にいるとサーマルはよく分かります。抜きつ抜かれつトップは入れ替わりながら、サーマルの強いところを見つけ出します。
N2Lの富重選手は天引鉄塔から北の富谷山の採石場へトランジット。強烈なサーマルをヒットしそのまま単独ファイナルグライドヘ突入!ダントツのトップゴールを決めました。続いて4分遅れで和田選手もフィニッシュ!3位は単独フライトだった河野選手も見事ゴール!もちろん女子優勝です。N2Lは合計6名もの方がゴールを達成しました。おめでとうございます。
さて、一方PNLは12名のトップ集団はそのままゴール手前15㎞まで駒を進めてきました。ほとんど差はなく、あとは誰が最初に10㎞のESS(タイム計測終了)をカットするかの勝負となってきました。生憎、高層雲は厚みを増し、日照はどんどん弱くなってきています。残り5km!勝負に出たいのですが、ここまできてESSカットした後に下りてしまうわけにはいきません。
こんな時、勝負に出たのはやっぱりOgiこと扇澤選手。コース上西側のゴルフ場がある丘陵地に突っ込みます。「緑のBoomerang,Ogiについて行ってはいけない!!」お決まりのパターンに誰も追わず・・・のはずでしたが、唯一追従するオレンジのグライダーがあります。絶好調の矢野チャンプです。それを横目に、他の10人は迷わず東側の太陽光発電所へ!さあどっちに軍配が!?
太陽光発電所は期待通りにサーマルあり、思わず回してしまいます。扇澤選手はどうなの?気にはなりますが、見るとESSをカットした扇澤選手は、その後どんどん下がっていきます。そして矢野選手はさらに低い!やっぱりOgiの必殺技「誘い落とし」だったか・・・。と思ったところで何と矢野チャンプが低いところで回し始めたのです!!それを見た太陽光組10名は慌ててESSへなだれ込みますが、時すでに遅し・・・。
結局、矢野チャンプがひっかけたサーマルにみんな潜り込み、全員が何とか復活。至福のファイナルグライドとなったのです。ところが、鹿沼市街上空は良かったのですが、サーマルが活発な古賀志山エリア手前は、反面強いシンク帯となっており数名はぎりぎりの高度でゴール。さらにセカンド集団に至っては9名がESSをカットした後、ゴール直前に無念のランディグとなったのです。それでも15名がこの難タスクをコンプリート!
スカイパーク宇都宮では、谷田校長はじめクラブ員の皆さんLivetrack24でこのレースを観戦していました。地元喜多選手の活躍はもちろんですが、呑村選手のゴールと吉川選手の痛恨の500mショートには大興奮だったそうです。このお二人、筑波山後は「漢コース」単身突き進みことを選択していたようです。Teamトチオトメ恐るべし・・・。レースに参加できなかった皆さんもLivetarckingで観戦、応援できるこのシステムは本当に素晴らしいですね。
筑波エリア内の東風は海風の侵入が加わり、さらに強さを増したようです。しかし、平野部の風の流れは、ほぼ予想通り。珍しく、タスクコミッティのシナリオ通りとなったようです。
PNLは文句なく扇澤選手が1000点を叩き出し優勝!2位はリーディンポイントのおかげで、辛うじて宮田。3位は最後に漢を見せた矢野チャンプ。矢野選手は初のPNL表彰台でしたが、今回ついにブレークの兆しを見せています。恐ろしい存在になりそう!?女子優勝はゴール手前500mに痛恨のショートだった吉川朋子選手。ホームエリアへの凱旋ゴールは次回持越しとなりましたが、今回も大健闘です。
N2Lは総合優勝の冨重選手、女子優勝の河野選手はお二人とも初戦富士山に続き2連覇!!そして、PNLは久しぶりの扇澤選手の優勝。女子優勝はもちろん吉川朋子選手!みなさんおめでとうございました。
Coo春のXC勝負は2戦ともに素晴らしいタスクが成立する結果となりました。春の気まぐれな天候の中、よいコンディションに恵まれたのは、万全の態勢で準備していただいたスタッフの皆様のご尽力につきます。ありがとうございました。
次は立山で勝負!楽しみですね。