白馬八方尾根JapanCup(PNL、N2L)

レポート:前堀 善斗

爆弾低気圧が北海道沖に移動したものの、強い西風が残る予報の週末。
6:30のスタッフミーティングで幕開け。



初日の朝、天気は快晴!北アルプスが綺麗に見える最高のロケーション。
少しの高層雲があるだけで中層以下はブルーなので見た目では強い西風の影響が分かり難いコンディション。

標高1650m地点に設置してある風速計の数値を参考に空域の風を予測。時折上空の強い西風の影響が出ているのでフライト可否の判断が難しく、競技委員長は頭を悩ませます。



8:00には標高の高い大会用テイクオフからのフライトは難しいと判断し、ゴンドラ山頂駅横の通常のテイクオフを使用する事を決定。その上でできる限りのタスクを考え準備を進めます。


しかし、急激に西風が影響し危険なコンディションになる可能性が高いことを考え、タスクキャンセル。

しばらくはフライトできそうなので、希望者はフリーフライトとなりました。




1600m付近に強固な逆転層があり、その逆転層が上空の西風をブロックしてくれているようでした。




結果的に逆転層はブレイクせず、終日フライト可能なコンディションが続きましたが、今までエリア管理してきた中でもこのような条件で日中フライトできたことは無かったので初めての経験です。

残念ながらタスクはキャンセルでしたが、最高のロケーションの中フリーフライトしていただくことができて良かったです。

大会本部では扇澤氏がGin Glidersのブースを設置してくれ、製品を見たり触れたりしながら食事班からカレーライスの振る舞いです。夕方には予定より少し早めにレセプションパーティーが行われました。




2日目も変わらず強い北西風予報ですが、1日目の事を考えると十分に可能性がありました。
しかし、雲底が低く1600mにある大会用テイクオフの使用は無理と判断し、ゴンドラ山頂駅横テイクオフへ移動。

コミッティー達は、低い雲にブロックされているもののいつ影響してくるか分からない上空の北西風と強く入ってくる予報のバレーウィンドのことを考えた上での最良のタスクを考えます。

日射はあるので雲底さえ上がればタスクはできる!そう考えタスクを発表し、残るはウィンドオープン時間を発表するだけの状態でスタンバイ。



残念ながら13:30頃テイクオフからの視界が確保できそうな頃には北西の影響が混ざった乱れたバレーウィンドが流入し、タスクキャンセルとなりました。

テイクオフでの雲中ウェイティングで冷えてしまった選手・スタッフ達には大会本部で温かいうどんの振る舞いです。



閉会式では昨年のグランプリチャンピオンの返還式を行ない、グランプリ大会は四国三郎へ持ち越しとなりました。




秋の八方での大会では初めての不成立となってしまいましたが、たくさんの選手に参加して頂きありがとうございました。



スタッフとしてご協力いただいた皆様、ほんとうにありがとうございました。
そして、来年もまたよろしくお願いします!!



ジャム勝・サマーカップ2015

    レポート 鈴村 恵司
【一日目】
実際に選手に与えられた時間は短かった。最初に実質的なソアリングを開始する宮田選手がテイクオフしたのが13時30分。最終的に初日タスクのトップとなった青木選手が次のウェイポイントを取るのをあきらめてランディングに向かったのが14時45分ごろ。この時間帯をいかにうまく使うで勝負が決まった。といっても状況は単純でなかったのだが。

いろいろな天気予報があった。雨?午後から晴れ?「いつもこんな予報や状況で成立するのがジャムの大会なので、…」大会実行委員長の堀さんが開会式で挨拶した。去年や3年前の朝は快晴で成立に疑いのないコンディションであった。ので、“いつも”ではないのだが、確かにこの時点で外はしっかりと雨。「雨が止めば飛べるぐらいは出来るかな」が大多数の選手の思いであったろう。
チャレンジリーグ参加選手が32名、N2リーグが26名。チャレンジリーグ参加人数がN2を上回った。N2リーグの参加者の少なさは気にかかるがチャレンジリーグの盛り上がりは、頼もしい。じわじわでも良い、競技フライトの面白さを味わうフライヤーの数が増えていって欲しい。



10時30分に雨が止むと同時に入山開始。一旦はガスに包まれたテイクオフも12時ちょい前に選手が全員そろう頃に、下界の視界がクリアとなった。



多くは望まない、といってもコンディション好転への備えは持ちたい。両リーグともにノミナル距離をぎりぎり満たすタスクをコミッティが設定し12時45分にウインドゥオープン。ゴールレースのデパーチャーオープンは13時15分だが、ここで全機空中待機とは考えていない。より早く勝負をかける選手に対して、エラップスタイムよりも高いアドバンテージを与えるためのゴールレースの選択だ。
チャレンジリーグタスクは
D97(テイクオフ)→スタートA86(メインランディング)600m→A86→D97→B61(スタッフロッジ)→D97→B59(料金所)→D97→B61→D97→ESS A86 600m→A86 GOOL
N2リーグタスクは、
D97(テイクオフ)→スタートA86(メインランディング)600m→A86(200m)→B58(200m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→ESS A86(600m)→A86(200m)GOOL
N2リーグはシリンダー半径設定が自在となってからタスクの設定がずいぶん楽になった。両リーグとも、さほどゲインがなくてもなんとか移動できるWP(ウェイポイント)を結んだルートをタスクとした。

■N2リーグタスク



■チャレンジリーグタスク



12:45 ウインドゥオープン
13:15 ゴールレースとしてのデパーチャオープン。
勝山エリア周りは依然、曇り。こんな天気だ、万一の雨に備えての押さえの一本を飛んでおこうと数名はテイクオフするものの試合が始まるという雰囲気はない。
この時点で遠く西の海岸方面はしっかりした日射と積雲の発生が目視出来ていた。「あの日射がここまで届けばねー。」半信半疑の会話が交わされていたが、実際、13:30ごろにはエリア内に日が差し始めた。
この状況に反応したのが、オープン参加の宮田選手。テイクオフ準備を素早く終えゲートに入る。リフト発生のわずかな兆候を見つけだし、判断し、誰もソアリングしていない空域へ自分を信じてテイクオフしてゆく。最初、目線下で始まったセンタリングが徐々に目線レベルになってゆく、さすがと言ったところ。藤野選手、矢野選手、河野選手、岩崎選手、ちょっと遅れて中嶋選手が続いてテイクオフしており小さなガーグルが出来て本格的に試合開始となった。最終的な結果は、矢野選手がオープンを含めたクラスでトップ。河野選手、岩崎選手は純粋N2クラスで同率の2位、中嶋選手は同4位を得ている。




しかし、純N2クラストップとなった青木選手は、実はこの集団で距離を稼いだのではない。青木選手のテイクオフは13:54。最初の集団がスタート(A86)し、テイク裏(東側)のB58を取ったものの、日射が弱まり、アンテナ(B30)に向かおうとLD周りであえいでいた頃だ。そのあえいでいた集団の上にテイクオフから直接入り、高い高度で持ち直した弱いサーマルをキャッチした。スタートWP(A86)を、そのまま取れることから、最初の集団より移動時間が短縮出来、この後弱まる一方のリフトの中、最高フライト距離を出した。チャレンジリーグは佐藤選手、芦田選手、藤本選手、北口選手の4名が同率の1位。佐藤選手、藤本選手のテイクオフはN2青木選手とほぼ同一時刻であった。実は宮田選手と同時期にテイクオフしたチャレンジの選手は距離が伸ばせていない。




成立とは言うもののN2はミニマム5kmを越えた選手はオープンクラスを含めても6名。チャレンジリーグもミニマム3km越えは5名。(チャレンジのトップは、テイクオフ(D97)とちょい沖のWPを2往復している。)
結果から言えば、誰かが上げてからそこに行くのでは遅かった。宮田選手のように、青木選手のように上がる兆候を見つけ、そこで自らリフトを捕まえる。経験によりその流れを意識出来、それを捕まえるスキルを持った選手達がわずかなチャンスを活かすことが出来た。
リザルトはこちら

いつものようにバーベキューパーティで選手交流会。いつもの顔、新しい顔とあいさつやトーク。スタッフの学生さん達も選手テーブルに入り込んで、世代間でも交流が進んだ。
パーティの様子はこちら

【二日目】
明け方には雨が止んでいた。もしやと思った選手の少なくなかったと思う。しかし、予報的にも実質的にも、風は南東風で、勝山で飛べるコンディションではない。速やかにタスクキャンセル。飛べないなら早く大会を終わらせて勝山観光を楽しんでもらいたいという配慮で9:00より表彰式、閉会式。
ミニマムを越えた選手が順位をもらい、表彰された。大多数のそれ以外の選手は同率の順位となった。
表彰式の様子はこちら

この大会の年間ランキングへの影響は極小であろう。でも全く(といっていいほど)あきらめていた状況から、全員がフライト出来、タスクまで成立した。選手の多くは、「儲けた。」思えたのではないか。
勝山市の誇る恐竜博物館は朝8:30からオープンしている。開館前に並ぶというわけにはいかなかったろうが、それでも速めに入館出来た選手は混雑をちょっとは避けられたかも知れない。

今年も全面的にサポートを頂いた福井県大のパラグライダー(正式)部の皆様。去年と比べてずいぶん人数が増えている。特に女性部員が増えたそうな。来年もよろしくお願いします。
今年8月最終週だった日程が、来年は9月初週になるそうです。皆様の参加をお待ちしています。



第34回 デサントバードマンカップ獅子吼2015


獅子吼の夏恒例となるデサントバードマンカップは、第34回目を迎え、好天の中両日ともに歴史のある大会としてふさわしいタスクが成立しました。




獅子吼高原エリアでは、南側と北側を大きな高圧線が渡っている特徴から選手の安全を喫し範囲5km程度の山並みの中高圧線を跨がないように飛ぶ往復タスクが組まれます。毎年同じようなタスクなのですが、午前中にスタートした場合海風の侵入とともに、それまで活発だったサーマル活動が弱くなり、着陸してしまうリスクをどうこなすかなど、風の読、判断、決断、そしてゴールラインまでたどり着くというパラグライダーレースの醍醐味を味わえるのがデサントバードマンカップです。




8月1日、2日、獅子吼高原は強い太平洋高気圧の圏内で沈降性逆転層に覆われサーマルコンディションは渋く、速度を競う大会ではあるものの高さを保ちながら少しでも速く(ゆっくり)ゴールを目指すという、コンディションを確実に読み切った選手が勝利を得るテクニカルなものとなりました。








チャレンジリーグで集まった選手たちはグランプリ大会ということと、今年から名前を刻むことができるデサント獅子頭杯が贈呈されることもあり選手は気合が入っています。N2リーグは34回目となる獅子吼杯にどうしても名前を刻みたい選手が顔を並べデットヒートが予測されます。





大会初日タスクコミッティーからは、N2リーグ29.9km、チャレンジリーグ17.1kmのタスクが発表され、午前中のゲートオープンの為海風の侵入のリスクを考慮しながらも、選手は続々とテイクオフしていきます。レースが始まるころに最高に達したこの日の最大到達高度は低く、ゴールを目指す選手たちにとってはサーマルを見つける度に、サーマルトップに選手がひしめき合う形となり緊張感が漂います。選手たちにとっては、いつも以上に周りを警戒するための集中力を保ち、猛暑との戦いも制する必要があり、駆け引き、上昇技術、そして体力を使いゴールを目指しました。






初日N2リーグ、ゴールを真っ先に切ったのはJMB立山所属の藤野選手。地元北陸がホームでありどうしてもデサント獅子頭杯に名前を刻みたいパイロットの一人です。そして、久しぶりに中井選手が粘りの飛びを見せさすがの2位。3位に最近絶好調の鈴村選手。そして、今大会デッドヒートを繰り広げた女子達の中で、麻生選手、河野選手、星田選手、佐藤選手がトップ10内でゴールを決め女子パワー炸裂の初日を終えました。

チャレンジリーグは、エラップスタイムレースということもありゆっくりテイクオフしていく感じのスタートでしたが、1時間30分台で、田村選手、広瀬選手、藤本選手がゴールに飛び込み、グランプリ覇者を狙いる位置をキープしました。選手の中には、4時間飛んだけれどもゴールにたどり着けなかった選手も現れるほど渋いコンディションでしたが、これがパラグライダー大会の醍醐味といえるでしょう。





2日目、タスクコミッティーからは昨日ゴールにたどり着けなかった選手たちのリベンジということで同じタスクが組まれました。チャレンジリーグはエラップスタイムからレースツーゴールに変更され上位3名の選手のうち、真っ先にゴールに飛び込むことが出来る選手がグランプリ覇者となります。オープン参加の選手を含めたN2リーグの選手たちは、昨日よりは良い飛びをしたいと意気込みながらテイクオフしていきました。





N2リーグはこの日もオープンクラスで1位となった高杉選手をマークしながら飛んだ藤野選手がトップでゴールし、デサント獅子頭杯に名前を刻む栄光を手にしました。3位には女子の吉川選手がトップと遜色のないタイムでゴールし、女子の実力を見せつけました。そして、グランプリをかけたチャレンジリーグのデッドヒートを制したのは、JMB中部の樋口選手。速度のあるトランジッションが目立ち、昨日トップ3の中から抜け出した藤本選手と至福のファイナルグライドを決めました。




第34回デサントバードマンカップN2リーグ優勝は、2日間トップゴールを決めた藤野選手が完全優勝の名誉とともに、憧れのデサント獅子頭杯に名前を刻みました。熱い女子の戦いを制したのは、2日間好タイムでゴールを決めた河野選手。強豪を抑えての優勝は圧巻でした。そして、グランプリをかけたチャレンジリーグは2日間ともにトップに絡む飛びをした藤本選手がグランプリチャンピオンという栄光とともにデサント獅子頭杯杯に名前を刻むことになりました。






デサントバードマンカップでは毎年上位入賞の皆様はもとより全選手に、株式会社デサントより多くの賞品が配られます。今年は、GINGLIDERSからの賞品も加わり、いつもに増して豪華な賞品を手にした上位選手でした。暑い夏ですが、フライト確立が高く参加選手にとって満足度の高いデサントバードマンカップは来年も開催予定です。選手の皆様はお誘いあわせのうえ、ぜひパラグライダーレースの醍醐味を味わいに、数々の賞品を獲得するために、憧れのデサント獅子頭杯に名前を刻むためにいらしてください。






最後に、多大なご協力を頂きました地元白山市、スカイ獅子吼パーク獅子吼の皆様、そして獅子吼レッズの皆様に厚く御礼申し上げます。



白鷹オープンカップ2015


                      レポート 大会実行委員長 植木 亨
白鷹では今回初めての6月開催となりました。
例年良く飛べている時期ですので天候はあまり心配していませんでしたが、大会当日は怪しい天気予報に変わりどきどきさせられました。



山形はこの時期、山形名産さくらんぼの季節です参加者の皆さんにウエルカムドリンクならぬウエルカムさくらんぼを用意させていただき山形のさくらんぼを味わっていただきました。



6月20日
曇り山頂でブリーフィングの後小雨が振り出し回復を期待し山頂で雨宿り、一時止みそうになりましたが二度目の雨は粒が大きく乾くまでの時間を考え中止を決め下山しました。

その後天候は回復し希望者のみフリーフライト15時ごろにはエリア全体も乾き1時間のサーマルソアリングが出来ていました。判断の難しさが痛感しました。




17時からパーティーを開催今回は、ビール、日本酒、さくらんぼ、かつおのたたき、山菜汁、おにぎり、アイスクリーム、などで楽しんでいただきました。





6月21日
日曜日朝から雨予報、しかし、エリアは陽がさしています。今日は駄目もとで山頂に移動し、早くからタスクを決め長めのゲートオープンで競技を行う作戦に決めました。選手の皆さんには受付後すぐに移動してもらいました。






作戦大当たり10時のダミーがソアリング出来ています。雲に入らないように選手全員に注意を行いすぐにゲートオープン、競技スタートしました。早く飛び出した選手はサーマルの間隔が長く山際のサーマルから平野のサーマルに乗り継ぐ難しい判断になりました。









遅めの選手は雲に着けるとひたすらアクセルを使い飛び回りゴールする選手多数出ました。雲の動きを注意深く見ながら競技を見守り11:40セーフティーコミッティーから近くのトンネルまで雨が降ってきており危険と情報が入りタスクストップといたしました。大会本部に選手全員の移動が完了したところで雨が降り出しぎりぎりまにあいました。








短い競技時間の忙しい大会となりましたが皆さんのご協力のおかげで全員安全にフライトを完了すぐ事が出来大会も成立することが出来ました。ありがとうございました。




2015栂池ジャパンカップ

                            レポート 宮田 歩
今年、梅雨入り前の白馬エリアは最高のコンディションが続いたようです。連日北アルプス主稜線を安全に飛べたとのレポートもされ、選手のモチベーションも最高潮!そして、大会前の天気予報は2日間ともに晴れ予報に主催者もホッと一安心。西日本では梅雨入り宣言されましたが、長野県でも北に位置する白馬エリアは、どちらかというと北陸の天気予報が当てはまるようです。今回はN2Lグランプリ対象大会となっています。さあ、今年の栄冠は誰の手に!?

6月6日(土)
初日、昨晩に降った雨により白馬盆地はしっとり・・・。雨は朝には上がったものの、北アルプスは上空に残った寒気のせいでテイクオフは霧の中。午後から天気は急速に回復する予報ですが、強めの北風が吹く予報も出ています。




受付終了後は、クラブハウス内で開会式とカップ返還式とジェネラルブリーフィング。そして予想タスクを基にした栂池攻略法セミナーが開催されました。競技フライト前に、強い先入観を持つことは危険ですが、一般的なエリアのセオリーを知っているうえでのフライトは必要です。初めて栂池エリアを飛ぶパイロットも多くいましたが、参考にしていただけたようです。





お昼前にはセミナーも終了。さあどうかな?と外を眺めると、やっぱり霧は取れず、そして、予報通り北風が吹き込み本日のタスクはキャンセルが決定。選手はエリア内の緊急ランディング確認組と北風のお助けエリア「生坂エリア」ビジターフライト組に分かれました。




夕方には再度、栂池クラブハウスに集合し、懇親会が行われました。2014年N2Lチャンピオン関根選手の「今年もいただきます!」との勝利宣言と乾杯のあいさつをいただき、懇親会は盛り上がりました。翌日の好天予報に、皆さんふつふつと闘志を燃やし明日に備えるのでした。







6月7日(日)
早朝は、予報通り雲一つない快晴!!青い空に残雪が残る北アルプスは息をのむ絶景です!選手の皆さんはもちろんですが、スタッフも興奮を押さえつつ、ゴンドラに乗り込み、テイクオフへGO!






9時にはダミースタッフがフライト開始。テイクオフレベルにある逆転層のせいか、なかなかトップアウトできません。逆にランディングはすでに活発にサーマルが発生し、下りません・・・。テイクオフレベルの逆転層がブレークする時間を見守りながら、タスクコミッティは時間を検討します。タスクの内容はすでに発表されている予想タスクですが、N2L最大の難所「岩岳」シリンダーを大きくするか?ダミーが到達したサーマルトップで決定することとなりました。





10:00。ダミーの小林宙さんが2500mの雲底から岩岳を余裕でゲット!した時点でコンディションは十分と判断!N2Lは北の小谷エリアから南は岩岳まで最大限に使った28㎞。PCLはその内側を周回する18.5㎞が決定しました。









広い栂池テイクオフから選手は、あっという間に出ていきます。(いつもこうあってほしいです・・)そしてもれなく2400m付近の雲底で待機します。過去に経験したことのないようなスーパーコンディションに、スタート前の選手は、栂池自然園上空にまで広がっています。下から見ている監視スタッフはちょっと心配でしたが、空中のコミッティからの「レベル1」コールにどうやら上空も安定しているようです。選手はスタート前までの時間、北アルプスの絶景を空中から堪能しているようでした。ウーンうらやましい!




N2Lは11:30。PCLは12:00に一斉にスタート!!N2Lは、スタートポジションで大きな差が出たようです。上空が南西風だったこともあり、高かった鵯山頂からよりも、風上となるテイクオフ南側雲底からスタートしたほうが早く、高くスタートポイントをゲット!そのまま、前半はオープン参加の薬師寺選手がトップ集団を牽引します。PCL選手もはるか雲底から確実にスタート!やはり空中一斉スタートは見ごたえがあります。そして、順調にタスクをこなしていくかと思われました。

N2Lに動きがあったのは、やはり難所と思われた岩岳でした。しかし、南風の谷風が弱くなるにつれて、岩岳付近のサーマルは活発化し、ご立派な積雲となり発達します。これを狙っていたかのように、ダイレクトに突っ込んだのは、立山の藤野選手。岩岳ピークよりやや西に位置する「くびれ」上空において、ハイバンクでグリグリと上がっていく姿は、まさに赤い昇竜。すかさず星田選手も飛び込みます。そして、テイクオフ西側を経由した集団から抜けだすことに成功します。



栂池エリア周辺のサーマル活動は12:30をピークに達し、ひとたび雲底まで達した選手たちはガンガンのスピードレースとなりました。雲底下では雲に吸われないように、高度調節が必要なほど!!N2Lグランプリに相応しいコンディションとレース展開に、見ているほう(監視)もドキドキです。さあ誰が最初にゴールへ飛び込むのか!?

さて、13:00頃には予想していた北風が低いところに侵入してきました。冷たい北風はサーマル活動を一時的に衰退させますが、その入り始めはもちろんトリガーとなり、小谷=岩岳方向にクラウドストリートが形成されたのです。こうなると遠回りの鵯尾根経由を取らなくとも真っ直ぐ勝負に!ここでのコース選択でも差が出たようですね。



尻上がりに良くなるコンディションの中、N2Lは立山の藤野選手がオープン参加の薬師寺選手を数秒抑えトップゴール!そして続々とN2L選手がゴールになだれ込んでいきます。ゴール後、ランディング上空は活発なサーマル活動で降りるのが大変なほどに!



この北風侵入によりランディング東側は強い上昇風隊になった反面、テイクオフから続くゴンドラ尾根周辺は下降気流帯に・・・。上げなおしのタイミングと重なったほとんどのPCL選手はこの吹きおろしに捕まり無念のランディングとなってしまいました。

早めにランディング上空に出てきた数名は、上げ直しに成功し、何とか生き残ります。そして、テイクオフレベルも安定した北東風となり、サーマルコンディションも何とか復活。トリッキーなタイミングを耐え抜いた立山の東選手、TAK藤本選手は再び雲底へ到達し、至福のファイナルグライドを決めることができたのです。

N2Lは28名がゴール! 2015年N2Lグランプリチャンピオンは藤野選手。女子チャンピオンは宇都宮の吉川選手に決定しました。PCLは2名がゴール!優勝は立山の東選手。女子優勝は寒風山の籾山選手でした。入賞された選手の皆様おめでとうございます。













2015年栂池ジャパンカップは、N2Lグランプリに相応しいスーパーコンディションコンディションと素晴らしいタスクが成立することとなり、選手の記憶に残る素晴らしいフライトになったことでしょう。これも、大会を準備していただいた後藤校長をはじめ栂池クラブ員のご尽力のおかげです。皆様ありがとうございました。来年のこの季節の大会開催を楽しみにしています。