第34回 デサントバードマンカップ獅子吼2015


獅子吼の夏恒例となるデサントバードマンカップは、第34回目を迎え、好天の中両日ともに歴史のある大会としてふさわしいタスクが成立しました。




獅子吼高原エリアでは、南側と北側を大きな高圧線が渡っている特徴から選手の安全を喫し範囲5km程度の山並みの中高圧線を跨がないように飛ぶ往復タスクが組まれます。毎年同じようなタスクなのですが、午前中にスタートした場合海風の侵入とともに、それまで活発だったサーマル活動が弱くなり、着陸してしまうリスクをどうこなすかなど、風の読、判断、決断、そしてゴールラインまでたどり着くというパラグライダーレースの醍醐味を味わえるのがデサントバードマンカップです。




8月1日、2日、獅子吼高原は強い太平洋高気圧の圏内で沈降性逆転層に覆われサーマルコンディションは渋く、速度を競う大会ではあるものの高さを保ちながら少しでも速く(ゆっくり)ゴールを目指すという、コンディションを確実に読み切った選手が勝利を得るテクニカルなものとなりました。








チャレンジリーグで集まった選手たちはグランプリ大会ということと、今年から名前を刻むことができるデサント獅子頭杯が贈呈されることもあり選手は気合が入っています。N2リーグは34回目となる獅子吼杯にどうしても名前を刻みたい選手が顔を並べデットヒートが予測されます。





大会初日タスクコミッティーからは、N2リーグ29.9km、チャレンジリーグ17.1kmのタスクが発表され、午前中のゲートオープンの為海風の侵入のリスクを考慮しながらも、選手は続々とテイクオフしていきます。レースが始まるころに最高に達したこの日の最大到達高度は低く、ゴールを目指す選手たちにとってはサーマルを見つける度に、サーマルトップに選手がひしめき合う形となり緊張感が漂います。選手たちにとっては、いつも以上に周りを警戒するための集中力を保ち、猛暑との戦いも制する必要があり、駆け引き、上昇技術、そして体力を使いゴールを目指しました。






初日N2リーグ、ゴールを真っ先に切ったのはJMB立山所属の藤野選手。地元北陸がホームでありどうしてもデサント獅子頭杯に名前を刻みたいパイロットの一人です。そして、久しぶりに中井選手が粘りの飛びを見せさすがの2位。3位に最近絶好調の鈴村選手。そして、今大会デッドヒートを繰り広げた女子達の中で、麻生選手、河野選手、星田選手、佐藤選手がトップ10内でゴールを決め女子パワー炸裂の初日を終えました。

チャレンジリーグは、エラップスタイムレースということもありゆっくりテイクオフしていく感じのスタートでしたが、1時間30分台で、田村選手、広瀬選手、藤本選手がゴールに飛び込み、グランプリ覇者を狙いる位置をキープしました。選手の中には、4時間飛んだけれどもゴールにたどり着けなかった選手も現れるほど渋いコンディションでしたが、これがパラグライダー大会の醍醐味といえるでしょう。





2日目、タスクコミッティーからは昨日ゴールにたどり着けなかった選手たちのリベンジということで同じタスクが組まれました。チャレンジリーグはエラップスタイムからレースツーゴールに変更され上位3名の選手のうち、真っ先にゴールに飛び込むことが出来る選手がグランプリ覇者となります。オープン参加の選手を含めたN2リーグの選手たちは、昨日よりは良い飛びをしたいと意気込みながらテイクオフしていきました。





N2リーグはこの日もオープンクラスで1位となった高杉選手をマークしながら飛んだ藤野選手がトップでゴールし、デサント獅子頭杯に名前を刻む栄光を手にしました。3位には女子の吉川選手がトップと遜色のないタイムでゴールし、女子の実力を見せつけました。そして、グランプリをかけたチャレンジリーグのデッドヒートを制したのは、JMB中部の樋口選手。速度のあるトランジッションが目立ち、昨日トップ3の中から抜け出した藤本選手と至福のファイナルグライドを決めました。




第34回デサントバードマンカップN2リーグ優勝は、2日間トップゴールを決めた藤野選手が完全優勝の名誉とともに、憧れのデサント獅子頭杯に名前を刻みました。熱い女子の戦いを制したのは、2日間好タイムでゴールを決めた河野選手。強豪を抑えての優勝は圧巻でした。そして、グランプリをかけたチャレンジリーグは2日間ともにトップに絡む飛びをした藤本選手がグランプリチャンピオンという栄光とともにデサント獅子頭杯杯に名前を刻むことになりました。






デサントバードマンカップでは毎年上位入賞の皆様はもとより全選手に、株式会社デサントより多くの賞品が配られます。今年は、GINGLIDERSからの賞品も加わり、いつもに増して豪華な賞品を手にした上位選手でした。暑い夏ですが、フライト確立が高く参加選手にとって満足度の高いデサントバードマンカップは来年も開催予定です。選手の皆様はお誘いあわせのうえ、ぜひパラグライダーレースの醍醐味を味わいに、数々の賞品を獲得するために、憧れのデサント獅子頭杯に名前を刻むためにいらしてください。






最後に、多大なご協力を頂きました地元白山市、スカイ獅子吼パーク獅子吼の皆様、そして獅子吼レッズの皆様に厚く御礼申し上げます。



白鷹オープンカップ2015


                      レポート 大会実行委員長 植木 亨
白鷹では今回初めての6月開催となりました。
例年良く飛べている時期ですので天候はあまり心配していませんでしたが、大会当日は怪しい天気予報に変わりどきどきさせられました。



山形はこの時期、山形名産さくらんぼの季節です参加者の皆さんにウエルカムドリンクならぬウエルカムさくらんぼを用意させていただき山形のさくらんぼを味わっていただきました。



6月20日
曇り山頂でブリーフィングの後小雨が振り出し回復を期待し山頂で雨宿り、一時止みそうになりましたが二度目の雨は粒が大きく乾くまでの時間を考え中止を決め下山しました。

その後天候は回復し希望者のみフリーフライト15時ごろにはエリア全体も乾き1時間のサーマルソアリングが出来ていました。判断の難しさが痛感しました。




17時からパーティーを開催今回は、ビール、日本酒、さくらんぼ、かつおのたたき、山菜汁、おにぎり、アイスクリーム、などで楽しんでいただきました。





6月21日
日曜日朝から雨予報、しかし、エリアは陽がさしています。今日は駄目もとで山頂に移動し、早くからタスクを決め長めのゲートオープンで競技を行う作戦に決めました。選手の皆さんには受付後すぐに移動してもらいました。






作戦大当たり10時のダミーがソアリング出来ています。雲に入らないように選手全員に注意を行いすぐにゲートオープン、競技スタートしました。早く飛び出した選手はサーマルの間隔が長く山際のサーマルから平野のサーマルに乗り継ぐ難しい判断になりました。









遅めの選手は雲に着けるとひたすらアクセルを使い飛び回りゴールする選手多数出ました。雲の動きを注意深く見ながら競技を見守り11:40セーフティーコミッティーから近くのトンネルまで雨が降ってきており危険と情報が入りタスクストップといたしました。大会本部に選手全員の移動が完了したところで雨が降り出しぎりぎりまにあいました。








短い競技時間の忙しい大会となりましたが皆さんのご協力のおかげで全員安全にフライトを完了すぐ事が出来大会も成立することが出来ました。ありがとうございました。




2015栂池ジャパンカップ

                            レポート 宮田 歩
今年、梅雨入り前の白馬エリアは最高のコンディションが続いたようです。連日北アルプス主稜線を安全に飛べたとのレポートもされ、選手のモチベーションも最高潮!そして、大会前の天気予報は2日間ともに晴れ予報に主催者もホッと一安心。西日本では梅雨入り宣言されましたが、長野県でも北に位置する白馬エリアは、どちらかというと北陸の天気予報が当てはまるようです。今回はN2Lグランプリ対象大会となっています。さあ、今年の栄冠は誰の手に!?

6月6日(土)
初日、昨晩に降った雨により白馬盆地はしっとり・・・。雨は朝には上がったものの、北アルプスは上空に残った寒気のせいでテイクオフは霧の中。午後から天気は急速に回復する予報ですが、強めの北風が吹く予報も出ています。




受付終了後は、クラブハウス内で開会式とカップ返還式とジェネラルブリーフィング。そして予想タスクを基にした栂池攻略法セミナーが開催されました。競技フライト前に、強い先入観を持つことは危険ですが、一般的なエリアのセオリーを知っているうえでのフライトは必要です。初めて栂池エリアを飛ぶパイロットも多くいましたが、参考にしていただけたようです。





お昼前にはセミナーも終了。さあどうかな?と外を眺めると、やっぱり霧は取れず、そして、予報通り北風が吹き込み本日のタスクはキャンセルが決定。選手はエリア内の緊急ランディング確認組と北風のお助けエリア「生坂エリア」ビジターフライト組に分かれました。




夕方には再度、栂池クラブハウスに集合し、懇親会が行われました。2014年N2Lチャンピオン関根選手の「今年もいただきます!」との勝利宣言と乾杯のあいさつをいただき、懇親会は盛り上がりました。翌日の好天予報に、皆さんふつふつと闘志を燃やし明日に備えるのでした。







6月7日(日)
早朝は、予報通り雲一つない快晴!!青い空に残雪が残る北アルプスは息をのむ絶景です!選手の皆さんはもちろんですが、スタッフも興奮を押さえつつ、ゴンドラに乗り込み、テイクオフへGO!






9時にはダミースタッフがフライト開始。テイクオフレベルにある逆転層のせいか、なかなかトップアウトできません。逆にランディングはすでに活発にサーマルが発生し、下りません・・・。テイクオフレベルの逆転層がブレークする時間を見守りながら、タスクコミッティは時間を検討します。タスクの内容はすでに発表されている予想タスクですが、N2L最大の難所「岩岳」シリンダーを大きくするか?ダミーが到達したサーマルトップで決定することとなりました。





10:00。ダミーの小林宙さんが2500mの雲底から岩岳を余裕でゲット!した時点でコンディションは十分と判断!N2Lは北の小谷エリアから南は岩岳まで最大限に使った28㎞。PCLはその内側を周回する18.5㎞が決定しました。









広い栂池テイクオフから選手は、あっという間に出ていきます。(いつもこうあってほしいです・・)そしてもれなく2400m付近の雲底で待機します。過去に経験したことのないようなスーパーコンディションに、スタート前の選手は、栂池自然園上空にまで広がっています。下から見ている監視スタッフはちょっと心配でしたが、空中のコミッティからの「レベル1」コールにどうやら上空も安定しているようです。選手はスタート前までの時間、北アルプスの絶景を空中から堪能しているようでした。ウーンうらやましい!




N2Lは11:30。PCLは12:00に一斉にスタート!!N2Lは、スタートポジションで大きな差が出たようです。上空が南西風だったこともあり、高かった鵯山頂からよりも、風上となるテイクオフ南側雲底からスタートしたほうが早く、高くスタートポイントをゲット!そのまま、前半はオープン参加の薬師寺選手がトップ集団を牽引します。PCL選手もはるか雲底から確実にスタート!やはり空中一斉スタートは見ごたえがあります。そして、順調にタスクをこなしていくかと思われました。

N2Lに動きがあったのは、やはり難所と思われた岩岳でした。しかし、南風の谷風が弱くなるにつれて、岩岳付近のサーマルは活発化し、ご立派な積雲となり発達します。これを狙っていたかのように、ダイレクトに突っ込んだのは、立山の藤野選手。岩岳ピークよりやや西に位置する「くびれ」上空において、ハイバンクでグリグリと上がっていく姿は、まさに赤い昇竜。すかさず星田選手も飛び込みます。そして、テイクオフ西側を経由した集団から抜けだすことに成功します。



栂池エリア周辺のサーマル活動は12:30をピークに達し、ひとたび雲底まで達した選手たちはガンガンのスピードレースとなりました。雲底下では雲に吸われないように、高度調節が必要なほど!!N2Lグランプリに相応しいコンディションとレース展開に、見ているほう(監視)もドキドキです。さあ誰が最初にゴールへ飛び込むのか!?

さて、13:00頃には予想していた北風が低いところに侵入してきました。冷たい北風はサーマル活動を一時的に衰退させますが、その入り始めはもちろんトリガーとなり、小谷=岩岳方向にクラウドストリートが形成されたのです。こうなると遠回りの鵯尾根経由を取らなくとも真っ直ぐ勝負に!ここでのコース選択でも差が出たようですね。



尻上がりに良くなるコンディションの中、N2Lは立山の藤野選手がオープン参加の薬師寺選手を数秒抑えトップゴール!そして続々とN2L選手がゴールになだれ込んでいきます。ゴール後、ランディング上空は活発なサーマル活動で降りるのが大変なほどに!



この北風侵入によりランディング東側は強い上昇風隊になった反面、テイクオフから続くゴンドラ尾根周辺は下降気流帯に・・・。上げなおしのタイミングと重なったほとんどのPCL選手はこの吹きおろしに捕まり無念のランディングとなってしまいました。

早めにランディング上空に出てきた数名は、上げ直しに成功し、何とか生き残ります。そして、テイクオフレベルも安定した北東風となり、サーマルコンディションも何とか復活。トリッキーなタイミングを耐え抜いた立山の東選手、TAK藤本選手は再び雲底へ到達し、至福のファイナルグライドを決めることができたのです。

N2Lは28名がゴール! 2015年N2Lグランプリチャンピオンは藤野選手。女子チャンピオンは宇都宮の吉川選手に決定しました。PCLは2名がゴール!優勝は立山の東選手。女子優勝は寒風山の籾山選手でした。入賞された選手の皆様おめでとうございます。













2015年栂池ジャパンカップは、N2Lグランプリに相応しいスーパーコンディションコンディションと素晴らしいタスクが成立することとなり、選手の記憶に残る素晴らしいフライトになったことでしょう。これも、大会を準備していただいた後藤校長をはじめ栂池クラブ員のご尽力のおかげです。皆様ありがとうございました。来年のこの季節の大会開催を楽しみにしています。




2015立山らいちょうバレーカップ


藤野 光一


「春の立山は怖い・・・」。良く聞くセリフではありますが、今年も5月下旬にスケジュールされた立山らいちょうバレーカップが5月23日・24日に開催されました。

山岳エリアで春と言えばサーマル活動は活発で怖いイメージですが、昨年は程よく高層雲も張った比較的穏やかな条件だったことを思い出しました。

そして、今年の競技初日も晴れ予報ではあるものの、高層雲が張り若干渋そうなムードを漂わせて始まったのでした。



5月23日(1日目)


今回はナショナルリーグ55名、チャレンジリーグ25名、合計80名の選手が立山エリアで2日間の競技を戦うことになります。当初の気象予報では日曜日が曇りベースで確実に競技が可能と思われるのは初日だけ。選手もそのように思っていたに違いありません。

 

9時30分から極楽坂テイクオフで行われた開会式では、立山パラグライダースクール関沢校長からの挨拶に始まり、北陸電力様から送電線に関する注意事項、岡田競技委員長による競技説明などジェネラルブリーフィングと進みました。




気象条件が整うのは当初予想よりも遅めと判断して、立山エリアが初めてのチャレンジ選手には「エリア攻略セミナー」が急遽扇澤さんにより開講しタイミングを待つことになりました。

ウィンドダミーにより空域を確認すると、高層が張っている割には既にソアラブルな状況となっており、予め予定していたタスクを発表して準備に入ります。

今回は、エリア東側にある北アルプスの獅子岳や北にある上市第二ダム、上滝にある大山寺ゴールのポイントを使ったビッグシリンダーを活用し、選手によるルート選択が可能なタスクにチャレンジしてみました。


D92(テイクオフ)

B06(SSS・1Km)-B06-D91-B04-B34(10Km)-B09-A82(8Km)-B33(13.5Km)-A82(8Km)-A77-A78-A77-A78-B13-A72(ESS・1Km)-A72

タスク距離:48.4Km



今回は大きなシリンダーを使ったことと、タスク後半のA77とA78の往復が大きなポイントとなります。そして、予想どおりにドラマがありました。

 

チャレンジリーグは例年どおりに「より多くの選手にゴールしてもらいたい」と言う思いと、初日で風が強くなる懸念もあったことから最終パイロンの美女平を粟巣野に変更しての立山ゴールドパスタスクアレンジ版。



D92(テイクオフ)

B27-B03-B02-B27-B03-B02-D91-B24-A72

タスク距離:15.9Km




ナショナルリーグは11時15分ウィンドウオープン、12時デパーチャーオープンのゴールレース。時間と同時に選手が一斉にテイクオフして行きますがエリア内のサーマルは思った程高度が取れず、エリア東側の瀬戸蔵や大品山付近で上げていたダミーを見て選手がそちらへ移動しました。殆どの選手が2000mオーバーの高度でスタートまでの時間を過ぎしつつ、雄大な北アルプスの景観を楽しんだ様です。待機中に通常のエリア内には誰も選手が居ないと言う不思議な光景ではありましたが、スピードレースになることは確実でした。

 

時間と同時に55名の選手がB06与四兵衛山のSSをカットし序盤の三角コースを周回して行きます。B06からB09の手前まではワングライドでこなし、B09付近で再び高度を上げてエリア西側のA82・8Kmシリンダーを目指します。団子状態ではコース取りはほぼ同一となり、大きな差は生まれません。B33・13.5Kmもほぼ同様な展開となり、レースが動いたのは2度目のA82からA77へのコースでした。

安全を期すならばエリア側で高度を取ってA77、再びエリア側で高度を取ってA78とこなすのがセオリーですが、勝負師である扇澤選手はじめ数名はダイレクトで対岸へ渡り最短コースでA77へ。しかし、対岸の南斜面は働いておらずみるみる高度を失ってトップ争いから脱落してしまいます。

エリアには戻らないが常願寺川上のリフト帯を上手く使ってタスクをこなしたのが宮田選手。途中のリフトも拾いつつ効率の良い飛びでトップゴール。僅かに遅れた高杉選手が2番手。3番手には地元の中島選手が飛び込み、その後も続々と選手がゴールして半数以上の35名がゴールする素晴らしいタスクとなりました。

 

チャレンジリーグは12時45分ウィンドウオープン、13時15分デパーチャーオープンのゴールレースでしたが、強めの風に翻弄されてテイクオフには苦労した様です。どこの大会でも同じですが、テイクオフは最も重要なパートの一つ。どの様な場所や状況であっても、日頃と同じ様に出られるよう練習しましょう。

 

チャレンジリーグもデパーチャーオープンからは条件が良くなり、スピードレースとなりました。この条件でこのタスクは簡単だったようで、警戒して設定した最終パイロンの粟巣野は美女平でも良かったのかな?と思いましたが、それもあってかトップの清水選手は

31分45秒と超ハイペースでのゴール。2位は地元立山の広瀬選手で32分51秒とほぼ1分差でした。14名の選手がゴールメイクして、こちらも良いタスクとなりました。





立山山麓家族旅行村で行われた夕方からの懇親会バーベキューは、みなさん今日のフライトの話で大いに盛り上がりました。不安だった翌日の天気予報も良い方向に変わっているのも良い情報でしたね。ミニライブもあって、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。








5月24日(2日目)



大会2日目は予報以上の快晴。雲一つない青空が待っていました。

今日も9時30分から極楽坂テイクオフでブリーフィングですが、日中は高層雲がやや多くなる予想となっているため、可能ならば前倒しで競技が出来ればと考えていました。

 

テイクオフは早い時間から良い風が入っていますが、日中は北風が強くなる予想。

条件も昨日とは違って春の立山らしいものになりそうな気配があり、ブリーフィングで仮タスクの注意点や気象状況を共有しました。

 

ウィンドダミーが飛ぶ前から、スクールツアーで訪れているフリーフライトの機体がソアリングを始めていることから、予定どおり早めの展開となりました。

ナショナルリーグは昨日と同様ビッグシリンダーを活用したタスクながら距離はそこそこの仮タスクをそのまま正式採用しました。



D92(テイクオフ)

B06(SSS・1Km)-B06-B04-B09-A82(8Km)-B33(13.5Km)-B20(4Km)-B31(2.5Km)B20(4Km)-B13-A72(ESS・1Km)-A72

タスク距離:36.8Km



B20とB31の往復をどのコースでこなすかがポイントとなります。そして、昨日同様ここでドラマがありました。

 

チャレンジリーグは今日こそ美女平を使ったタスクを設定。

D92(テイクオフ)

B02(SSS・600m)-B02-B04-D91-B02-B04-D91-B02-B04-D91-B13-A72(ESS1Km)-A72

タスク距離:27.8Km



練習も兼ねてスピードセクションを設けたタスクとなりました。

ナショナルは10時30分ウィンドウオープン。11時スタートのゴールレース。今日もエリア内はそれ程高度が取れない状況でしたが、やはり昨日と同じ瀬戸蔵山や大品山方面では2000m付近まで上昇することが出来ました。大半の選手はこの付近でスタートを待ちます。

そして時間に合わせて今日もB06へ向けたグライダーの列を見ることが出来ました。

 

前半から集団を引っ張るのは扇澤選手。猛スピードで先頭を突き進み次々にターンポイントを回って行きます。エリア主稜線のコンディションも時間が進みにつれてバンバンになり、何もせずに上昇する状況でタスク後半のB20とB31の往復レグを迎えました。

高さも十分で扇澤選手を含むトップ数人は対岸コースを選択。しかし対岸は今日もそれ程上がらず高度を下げながらB31をリターンしB20方面で見えなくなりました。後を追っていた高杉選手は川の上を直線的に飛び成功。その他の選手は一旦主稜線に戻るセオリー通りのコース取りでゴールを目指しました。

結果、高杉選手が1時間7分5秒とトップゴール。2番手が宮田選手は1時間12分ジャスト。3番手には稲見選手が1時間17分30秒と続き、2日目もリフライトでゴールメイクした亀山選手を含めて40名ゴールとなりました。



チャレンジリーグは11時15分ウィンドウオープン11時45分スタートのゴールレースとなりました。昨日よりも距離もエリア内の周回も多いハズですがバンバンの条件によってハイスピードレースとなり、トップゴールの有田選手が45分30秒、2番手芦田選手・樋口選手が45分54秒、初日トップの清水選手は4番手46分12秒、5番手平松選手が46分25秒となだれ込むようにトップグループがゴール。その後もゴール者は続き、美女平から至福のファイナルグライドを手に入れた選手は15名でした。



終わってみれば2日間ともに最高のコンディションに恵まれ、両リーグともに素晴らしい競技が成立しました。

選手のみなさんは勿論ですが、いつも裏で支えて下さる大会スタッフのみなさまには本当に感謝いたします。

来年も5月下旬の大会開催を計画していると関沢校長からお言葉をいただきましたので、また違った立山のタスクを提供できるように研究しておきたいと思います。

次回も多くの選手が参加されることを願って大会レポートとさせていただきます。

結果



ナショナルリーグ

総合

優勝 高杉慎吾選手
2位 宮田 歩選手
3位 中島 伸也選手
4位 稲見 祐二選手
5位 大澤 行英選手
6位 薬師寺 哲選手



女子

優勝 小森 さちよ選手
2位 吉川 朋子選手
3位 水沼 典子選手



チーム

優勝 立山Team-C
2位 とちおとめ
3位 瀬戸内少年飛行団



チャレンジリーグ

総合
優勝 清水 浩一選手
2位 中村 裕昭選手
3位 芦田 智昭手
4位 樋口 栄二選手
5位 平松 久選手
6位 岸 幸民選手

オープン
優勝 河野 美樹選手


女子

優勝 八子 文恵選手
2位 籾山久美子選手
3位 高瀬美代子選手



チーム

優勝 CK2
2位 MAX JR
3位 チャレンジバーズ




2015 Coo Spring Cup


レポート 宮田 歩
2日間良いタスクが成立した3月のXCカップ。まだ余韻が残る茨城県エアパークCooにおいて、春の2戦目となるSpringCupが開催です。筑波エリアはまだXCシーズン真っ盛り。選手の希望は、やはりXCタスク!今回はPNLとN2Lの併催です。



11日の初日は低気圧の通過により朝から雨・・・。午後から急速に回復する予報に期待して、午前中は開会式とセミナーがクラブハウスで行われました。まずは教育事業部岡田さんと扇澤さんからフロントコラップスとパラシュート開傘について、前回に実際に起きたアクシデントを解説していただきました。そして、小野寺会長からもフロントコラップス後の2ライナー機特有の挙動、対応方法など貴重なアドバイスをいただきました。




続いて、タスクコミッティ宮田が予想タスクをガイド。フライト前に先入観を持ちすぎることは危険ですが、パイロットの判断選択肢をどのポイントにしているか!?タスクコミッティの意図を読み取ることで、フライト前のイメージを作ることができます。もちろんシナリオ通りにならないこともありますが、それを空中で補正することが技術の差となってくるのです。パラグライダー競技の本質は判断力を競い合うことにあります。

雨でしたが、午前中は有意義に過ごすことができました。セミナー後も降り続く雨に、本日のタスクは、残念ながらキャンセルとなりました。

13:00ごろからは雨も止み、少し日照も出るようになりました。雲底は低いものの、良い気温減率のおかげで、フリーフライトしたパイロットは楽しめたようです。明日に期待です。




12日は快晴の朝を迎えました。恒例となった暖かい朝食サービスで選手はパワー蓄積!気合も十分でバスに乗り込みテイクオフへGo!テイクオフに着くと、心配されていた東風も弱く、すでにフライトを開始しているスクール生も順調に高度を上げています。筑波山上空には、すでに積雲が形成されるのが見えます。これは良さそうです!







午後になり、張り出してくる高層雲が心配ですが、コミッティは仮発表されていた予想タスクをそのまま決定。前半は筑波山系を往復させ、PNLはスカイパーク宇都宮ゴールの63㎞。N2Lは真岡ゴールの30㎞。筑波山頂3㎞シリンダーを取った後、どの場所から平野部に離脱するかが選択肢となります。燕山、天引鉄塔と筑波山系を大きく迂回する通称「良い子コース」か!?筑波山からダイレクトに西へ行く「漢(おとこ)コース」か!?もちろんリスクがありますが、一気に抜け出すことができます。さあどうなる?








10:15のウインドオープンとともに選手は続々とテイクオフしていきます。やや強めの東風で流されますが、サーマルは1200mまでしっかり立ち上がっています。そして11:15に空中一斉にスタート!抜群のスタート切ったのは藤川選手。続いて他の選手も追従します。サーマル活動は活発となり、春らしい荒れた強烈なサーマルが迎えてくれます。

ここで、エリアを熟知している宮田は強烈な上昇帯を回さず、そのままサル公園へトランジット抜け出します。逆に扇澤選手、喜多選手はリターンした加波山で上げきり、逆転層の上からダイレクトに筑波山をゲット。扇澤選手、一瞬「漢コース」を行きそうになりますが、なんとか踏みとどまり、燕山方向へ。結局、先頭グループは全員が燕山に集合し、仲良く天引鉄塔へ「良い子コース」選択することとなったのです。




PNL12人に加え、N2L富重選手、和田選手も追従。こうなると良い集団にいるとサーマルはよく分かります。抜きつ抜かれつトップは入れ替わりながら、サーマルの強いところを見つけ出します。

N2Lの富重選手は天引鉄塔から北の富谷山の採石場へトランジット。強烈なサーマルをヒットしそのまま単独ファイナルグライドヘ突入!ダントツのトップゴールを決めました。続いて4分遅れで和田選手もフィニッシュ!3位は単独フライトだった河野選手も見事ゴール!もちろん女子優勝です。N2Lは合計6名もの方がゴールを達成しました。おめでとうございます。





さて、一方PNLは12名のトップ集団はそのままゴール手前15㎞まで駒を進めてきました。ほとんど差はなく、あとは誰が最初に10㎞のESS(タイム計測終了)をカットするかの勝負となってきました。生憎、高層雲は厚みを増し、日照はどんどん弱くなってきています。残り5km!勝負に出たいのですが、ここまできてESSカットした後に下りてしまうわけにはいきません。

こんな時、勝負に出たのはやっぱりOgiこと扇澤選手。コース上西側のゴルフ場がある丘陵地に突っ込みます。「緑のBoomerang,Ogiについて行ってはいけない!!」お決まりのパターンに誰も追わず・・・のはずでしたが、唯一追従するオレンジのグライダーがあります。絶好調の矢野チャンプです。それを横目に、他の10人は迷わず東側の太陽光発電所へ!さあどっちに軍配が!?




太陽光発電所は期待通りにサーマルあり、思わず回してしまいます。扇澤選手はどうなの?気にはなりますが、見るとESSをカットした扇澤選手は、その後どんどん下がっていきます。そして矢野選手はさらに低い!やっぱりOgiの必殺技「誘い落とし」だったか・・・。と思ったところで何と矢野チャンプが低いところで回し始めたのです!!それを見た太陽光組10名は慌ててESSへなだれ込みますが、時すでに遅し・・・。

結局、矢野チャンプがひっかけたサーマルにみんな潜り込み、全員が何とか復活。至福のファイナルグライドとなったのです。ところが、鹿沼市街上空は良かったのですが、サーマルが活発な古賀志山エリア手前は、反面強いシンク帯となっており数名はぎりぎりの高度でゴール。さらにセカンド集団に至っては9名がESSをカットした後、ゴール直前に無念のランディグとなったのです。それでも15名がこの難タスクをコンプリート!






スカイパーク宇都宮では、谷田校長はじめクラブ員の皆さんLivetrack24でこのレースを観戦していました。地元喜多選手の活躍はもちろんですが、呑村選手のゴールと吉川選手の痛恨の500mショートには大興奮だったそうです。このお二人、筑波山後は「漢コース」単身突き進みことを選択していたようです。Teamトチオトメ恐るべし・・・。レースに参加できなかった皆さんもLivetarckingで観戦、応援できるこのシステムは本当に素晴らしいですね。





筑波エリア内の東風は海風の侵入が加わり、さらに強さを増したようです。しかし、平野部の風の流れは、ほぼ予想通り。珍しく、タスクコミッティのシナリオ通りとなったようです。

PNLは文句なく扇澤選手が1000点を叩き出し優勝!2位はリーディンポイントのおかげで、辛うじて宮田。3位は最後に漢を見せた矢野チャンプ。矢野選手は初のPNL表彰台でしたが、今回ついにブレークの兆しを見せています。恐ろしい存在になりそう!?女子優勝はゴール手前500mに痛恨のショートだった吉川朋子選手。ホームエリアへの凱旋ゴールは次回持越しとなりましたが、今回も大健闘です。





N2Lは総合優勝の冨重選手、女子優勝の河野選手はお二人とも初戦富士山に続き2連覇!!そして、PNLは久しぶりの扇澤選手の優勝。女子優勝はもちろん吉川朋子選手!みなさんおめでとうございました。






Coo春のXC勝負は2戦ともに素晴らしいタスクが成立する結果となりました。春の気まぐれな天候の中、よいコンディションに恵まれたのは、万全の態勢で準備していただいたスタッフの皆様のご尽力につきます。ありがとうございました。

次は立山で勝負!楽しみですね。