第13回JPAパラグライダーカップ in 富士山


写真提供 藤川稔選手                 レポート 宮田 歩



JPAナショナルリーグ第1戦となる「第13回 PG Cup in 富士山」が朝霧高原で開催されました。今回は2016年PNLグランプリ対象大会でもあります。

今年も、「西富士友の会」のご協力を得てハンググライダーテイクオフを使用させていただきました。通常のPGテイクオフエリアがある前山よりも、200mほど高い位置にあるため、離陸後すぐにサーマルに入ることができ、安全に選手を上空に連れて行ってくれます。本当に助かります。ありがとうございました。





大会初日。
朝霧のベストコンディションとなりました。上空の北西風も弱く、サーマルトップは2300m。タスクコミッティはPNLに花鳥山脈を南北最大限に使った56㎞のタスクを。N2LはPNLタスクをもう少し小さくしたサイズ35㎞。両リーグともに富士山山頂から大きなシリンダーが設定。起点となる尾根、そしてどの尾根にもどるのかが選手の選択ポイントになります。






テイクオフは間欠的なサーマルブローで、難しかったようですが、11時のスタートにはほとんどの選手が空中一斉にスタートを切ります。PNLは宮田選手、高杉選手、藤川選手がトップグループを牽引します。そして、最初のポイント毛無山からの富士山13㎞シリンダーで明暗が分かれます。




真っ直ぐ富士山に向かった宮田選手は、井之頭前山TOへ戻り、セカンドグループは陣馬尾根に戻りました。しかし、エリア内は発達した積雲により、エリアは大きくオーバーキャスト。コンディションは一時的に渋くなりみんなスタック。いち早く抜け出したのは、井之頭前山組。そして、花鳥山脈の主稜線に上がってしまうと、朝霧ハイウェイに乗って一気に南下。PNLは宮田選手、只野正一郎選手が抜け出し一騎打ちとなりました。

そして、2回目の毛無山で先行していた宮田選手は、富士山14㎞を取った後、手堅く毛無山に戻るルートを選択。追い上げる只野正一郎選手は、そのままダイレクトに養毛東尾根に低く入り込みます。そして、見事リフト帯へ滑り込み、トップに躍り出ます。そのまま、ファイナルグライドまで逃げ切り、2位宮田選手に1分の差をつけ独走のトップゴールを決めました。





N2Lも抜群のコンディションの中、朝霧を知り尽くした天野選手、飯塚選手に宇都宮の田村選手を加えた、熾烈なトップ争いが繰り広げられました。陣馬尾根でのスタックを掻いくぐった天野選手が2位に7分もの差をつけトップ。さすがです。







朝霧らしいハードなコンディションでしたが、PNL38名。N2L15名がタスクをコンプリート!3時間以上ものフライトで見事ゴールを達成した選手も多かったようです。最長フライトは3時間21分でN2L初ゴールのCoo横堀選手。がんばりました!ハードだったタスクを称え合い、ゴールはたくさんの選手の笑顔で溢れていました。タスク1の詳しい結果はこちらから、PNLN2L.



夜は、まかいの牧場でのウェルカムパーティが盛大に開催されました。たっぷり飛べた後のパーティは盛り上がります。テイクオフでの珍プレイ映像も盛り上がりました。皆さんテイクオフをもっと練習しましょうね。







パーティでは鈴村さんの2015年PNL総括発表。何とか王表彰も行われ盛り上げていただきました。鈴村さんいつもありがとうございます。





今回、テイクオフをご協力いただいた「西富士HG友の会」の皆様もこのパーティに駆けつけてくれました。ありがとうございました。

また、スポンサー参加いただいた「テクニカジャパン」の土屋様、「パタゴニア」八木様、「ニューハレックス」芥田様、そしてGinglidersのMrGinからもユニークなプレゼンテーションをしていただきパーティに花を添えていただきました。







大会2日目。
朝から曇りベースですが、気温減率が良く曇っていてもタスクができそうです。早い時間、テイクオフは小雪がちらつく寒ーい状況でしたが、タスクコミッティはPNL28㎞。N2L25㎞のミニマムタスクを設定。準備万端で、南から接近する晴れ間を待ちます。ブリーフィングにおいて岡田競技委員長からの「周辺は晴れ間もあり、好転するチャンスは必ずある!」力強いお言葉!集中力が切れないように選手はウェイティング・・・。






そして、テイクオフに南風が入り始め、狙い通りコンディションは劇的に好転!慌ただしくウインドオープンとなりました。両リーグともにエラップタイムレース。スタートラインはテイクオフ目前。早めにテイクオフできた選手は11:20のデパーチャーオープンまで、東と西風のコンバージェンスラインで、主稜線上に形成されたで「西富士グローリー」の雲の上で待機します。絶景です!







午後から弱まる日照予報に、とにかく時間との勝負!11:20からのデパーチャーオープンで、間に合ったグループから、きっちりスタート!しかし、前半は未だ雲量が多く、先頭グループはスピードよりも高度維持で駒を進める、ゆっくりな展開となります。

ファーストグループの思惑に反し、上空の高層雲の張り出しは予想より遅れた結果に。おかげで、コンディションは尻上がりに良くなっていきます。こうなると主稜線には1700mの朝霧ハイウェイが!スピードはどんどん速くなっていきます。



PNLトップグループは前半、宮田選手、藤川選手の一騎打ち。その後、遅いスタートからショートカットに成功し、沖から現れた扇澤選手を交え三つ巴のバトルとなります。そして、勝負は、天子からのファイナル勝負までもつれました。常に高いポジションを維持していた宮田選手は、最終パイロン長者トップ手前からスパート!やや低く扇澤選手が・・・。YMCAまでのフルスピードガチンコ勝負となりましたが、4秒差で扇澤選手がファーストゴール!2番手宮田選手。3番手藤川選手と続きます。その後も続々と選手はYMCAゴールなだれ込んできました。




そんなPNL選手に交じり、N2Lぶっちぎりタイムでゴールに飛び込んできたのは九州の富重選手。最初にスタートし、最速タイムで、最初にゴール!3冠王達成。1000点が難しいと言われるエラップスタイムレースで満点を叩き出しました!続いて天野選手。平松選手。

心配されていた日照は14時近くまで続き、コンディションは予想に反し好転!アッというまに終わってしまったタスクですが、おかげで今日もPNL,N2L多くの選手がタスクをコンプリート!変化のある 大逆転な展開に、ショートタスクでしたが盛り上がったタスクとなったのです。何とPNL44名、N2L12名もの選手がタスクをコンプリート!
タスク2の詳しい結果はこちらから。PNL.N2L



2日間のレース展開はLivetrack24のイベントページからリプレイできます。
自分のフライトログだけでなく、他の選手がどのようなコースを選択したのか良くわかります。解析することで、次回に生かしてみてください。

PNLは2日間安定した成績で宮田選手が総合優勝!昨年の四国三郎に引き続き、PNLグランプリ連覇となりました。2位は2日目トップの扇澤選手。3位は地元藤川選手。女子優勝は小森さちよ選手。小森選手は2013年女子チャンピオンですが、再び返り咲きました!PNL総合成績はこちらから







N2L優勝はぶっちぎりで地元の天野選手。2位は浜名湖のホープ飯塚選手。そして、3位は宇都宮の田村選手。今年のN2Lは、この3名の熱い戦いとなりそうです。女子優勝はバーズ河野選手!N2L総合成績はこちらから





2日間、朝霧らしい素晴らしいコンディションが続き、2本成立する結果となりました。PNLグランプリチャンピオンを決定するには、ふさわしい大会だったと思われます。今シーズンも始まったばかり、この調子で全大会が成立することを願いたいですね。



スタッフの皆様、お疲れ様でした。また来年もよろしくお願いします。ありがとうございました。



ファイナル 朝霧 2015

レポート 競技委員長 岡田 直久

11月14日(土)
今季のN2、チャレンジリーグ最終戦「ファイナル朝霧」。朝からの雨にもかかわらず、時間には続々と選手がチェックイン。今日のタスクは早々とキャンセルとなりましたが、開会式が井之頭区民館で行われました。木の香りたっぷりの井之頭区民館は非常に居心地よく、ジェネラルブリーフィング、競技事業部からのお知らせ、宮田チャンピオンによる朝霧攻略法とお昼すぎまで色々なことができました。




ジェネラルブリーフィングでは、明日はフライトできそうということを念頭に、朝霧のローカルルールが細かく説明されました。競技事業部からは来年のスケジュール、ルール改定、そしてこの朝霧大会から運用されるライブトラッキングのコンペティションモードに関して競技事業部の藤野さんから丁寧な解説をいただきました。とどめは、こうすれば明日勝てる!というおなじみのエリア攻略法がグーグルアースをふんだんに使いわかりやすく行われました。信じるか信じないかはあなた次第です?!競技事業部のみなさん、ありがとうございました。




お昼でいったん解散となり、選手は富士急ハイランドや海の幸を食べに、それぞれに雨の朝霧を満喫されたようです。そんななか、競技事業部の鈴村さんは夜のパーティーのネタを入念に仕込んでいました。お疲れ様です!

そして18時から予定通りウェルカムパーティー。最終戦恒例の「なんとか王」の発表、リーグ戦の総括が行われました。好評のまかいの牧場のバイキングに舌鼓を打ちながら、鈴村さんのプレゼンテーションを楽しみました。パワーポイントを使いこなしたプレゼンはお見事そのもの、スクリーンを見入る選手の笑顔も印象的でした。N2、チャレンジリーグらしく非常にアットホームに時間ぎりぎりまでパーティーを楽しみました。選手はお酒もそこそこに明日のタスクに備えることとしました。












11月15日(日)
今日も雨の音で起こされることとなりました。ただ、これは想定内、お昼前には雨も上がり、タスクが行える可能性があります。そんな期待を胸に受付を済ませた選手のみなさんは井之頭区民館で待機。雨雲レーダーとのにらめっこはしばらく続きましたが、予報どおり10時過ぎには雨も上がりました。あとは稜線が開くのを祈るばかりです。



いっとき、日差しも注ぎ、これをきっかけにテイクオフに上がることにしました。が、しかし到着したテイクオフはマイナスイオンたっぷりのミストシャワー。自然の恵みを受け、すぐに撤収。ここで今日のキャンセルが決定。と同時に今季の年間ランキングが決定しました。




N2リーグでは途中からダントツの首位をひた走った藤野選手(JMB立山)がこの朝霧の大会を待たずして優勝を決めました。女子では総合でも6位入賞をした河野選手(バーズ)が優勝です。そしてデッドヒートの続いたチャレンジリーグは2位の田村選手(スカイパーク宇都宮)を僅差で抑えた平松選手(エアパークCOO)が優勝、女子では高瀬選手(スカイ獅子吼)がぶっちぎりの優勝を飾りました。みなさま、おめでとうございます。











秋の好コンディションを期待してセットされたファイナル朝霧でしたが、今回ばかりは天気に見放されてしまいました。とはいえ、選手、スタッフのみなさまのおかげで、飛べないながらも盛り上がった2日間となりました。ありがとうございました。来年もここ朝霧でN2リーグ第一戦が行われます。

来年も盛り上がっていきましょう!




高嶺カップ2015

レポート 鈴村 恵司

長野県の最南端、愛知県との県境に近い平谷村で行われている高嶺カップ(たかねと呼称します。)。今年は2本のタスクが成立した。今年は、“ユダン”と“ガマン”の2つの言葉で象徴される大会となった。

【一日目】
前日の日中発表の予報は朝から雨、良くても午後曇り。夕方の更新で晴れに変わった予報もあったが、移動中で情報を得ず、重い気分で集まってきた選手も多かったろう。「受付はゆっくりするとして、あんな山奥のエリアで何して時間を潰そうか」という気分の選手達を出迎えたのは晴天の朝だった。ユダン禁物である。


だからと言って、タスク成立が保証されているわけではない。南西風を基本とする高嶺山エリアに対して、朝の天気予報は東風強め。いささか苦手な風向だ。フリーフライトなら問題ないが、競技となるとちょっとタスクが組みにくい。東風ではLD付近のリフトが発生しにくいことが多く、タスク距離が伸ばせる高嶺山山頂WPも使いにくい。ここは北西方向にあり、強い東風に捕まるとLDに届かなくなる可能性もあるからだ。


TOに上がり開会式、ジェネラルブリーフィング。雲の形は確かに東風。しかしTOに吹き付ける風は“いつもの高嶺”の西風。タスクを起案する競技委員長(私です。)、それを吟味するコミッティ、悩ましい気象条件の中、西風ベースを想定するものの万一の東風への急変にも構えるといったタスクを、N2、チャレンジにそれぞれ設定した。N2が実質19.1km、チャレンジは実質12.5kmの距離である。


■チャレンジリーグTASK1 シリンダ半径400m
D21→B04(start600m)→B04→B25→D22→B04→B25→D22→B04→B25→D22→A42→B18→B26→B09→A42(ESS500m)→A42



■N2リーグ TASK1 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B04(ESS600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B09(400m)→A42(ESS500m)→A42(400m)



ウィンドダミーが順調に上昇し、10時45分にはウインドウオープン。11時30分デパーチャーオープンのゴールレースが開始された。
腕に自信を持つ選手からテイクオフ。その選手達を待っていたのは“激シブ”のコンディション。雲に日射が遮られた時間帯もあり、谷底深くまで沈んでしまいLDに戻らされる選手も出た。それでも12時過ぎ当たりまでガマン出来た選手には、の上限高度の上がったサーマルや、
雲底につけると沈まずに移動できる条件が与えられた。




N2の藤野選手が12:30にゴール。チャレンジの芦田選手はそれに先んじて12:22にゴールしている。ウインドオープンとほぼ同時にテイクオフした藤野選手はそれなりのガマンのフライト。一方、芦田選手はあまりガマンせずにスイスイとタスクをこなすことが出来たのではないか。(間違っていたらごめんなさい。)
N2リーグは9名がゴール。オープンクラスを含めると14名。大会としてはまずまずの結果。チャレンジリーグは二位の飯塚選手までの2名がゴール者で少なめの結果。3位の岩瀬選手、最終WPの20m手前でナビバリオが通過音を(なぜか)出してしまったそうで無念のノーゴール。
チャレンジリーグの選手がN2リーグ選手に比べれば経験値が低いのは仕方ないところ。今日のようなタスクで競技することで、待つべきところは待ち、移動はキープハイといった、渋い条件でのタスクのこなし方を学んでゆけばもっとゴール者は増えるはず。

試合の展開に戻る。時間の経過とともにテイクオフ側の雲が力強さを増した。リフライトの選手達が、「一本目はガマンのフライトだったけど、このままスイスイ、ゴールできるんじゃないか」とユダンし始めたころ、LD側でフライトしている選手から“雨がちょっと降ってます”の連絡が入る。気が付くとLD上空の雲は黒味を帯びており、この後、雨が止む様子はない。少し雨が強く成りかけたところでタスクペンディングを競技委員長が宣言。まだ雨のない高嶺側でフライトしていた選手はトップランしたり、やむなく雨の強まったLDへ向かった。グライダーの速度をできるだけ高くキープし、無駄なブレーク操作を行わない。LD直前のフレアは充分気を付け行い、滑り込むか走り抜ける。結果として、インシデント発生は抑えることが出来た。高度を下げたいのにスパイラル(の終了時点のフレア)も翼端折りも失速につながるから禁止。雨中飛行を強いられた選手はさぞやガマンのフライトであったろう。
雨雲レーダを1時過ぎに確認し、近辺に雨雲は無かった。雨雲の進入予報も4時過ぎとなっていた。ヒョウも降っていたとの選手のレポートもあった。休息な寒気の進入が雨をもたらせたのであって予測は不可能であったのかも知れないが、ダメと思っていたタスクが成立したことに、競技委員長は、ちょっとユダンしていたのではと言われてもしかたない。すいません。
【TASK1リザルトはこちら】


パーティでガマンした人はいなかったと思う。実行委員長のJMB中部とんびいず校長の片桐さんの手製の鳥の燻製を頬張りながら鍋を囲む楽しいパーティとなった。ガマンの量が多いほど会話は弾むものでしょう。
【パーティの様子はこちら】


【二日目】
小雨は夜半まで続いていたが、深夜3:00時には満点の星空に変わっていたそうな。ちなみに隣村の阿智村浪合地区は日本一星空観察に適した場所だそうです。
朝は雲のない真っ青な空。北風予報が気になるものの、今日は“いつもの高嶺”になることは間違いなかった。但し、“いつもの高嶺”には、それに慣れていない選手への落とし穴が含まれていた。
昨日は遠慮した高嶺山頂側のWPを使って、N2、チャレンジで長短はあるものの高嶺側3周、LD側2周の“三角パイロン“タスクを設定。の予定であったが、タスクコミッティから「良いコンディション予報なら長く飛べるタスクをやりたい。」との申し入れがあり、N2はLD側2周を1周+高嶺山頂側までのリターンに変更した。N2リーグは実質29.5kmのロングタスク、チャレンジリーグは、高嶺側3周、LD側2周のコンセプトを維持した18km強のタスクとなった。


■N2リーグ TASK2 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B02(SS600m)→B02(400m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B12(1500m)→B18(400m)→ B16(1200m)→A42(ESS500m)→ A42(400)



■チャレンジリーグ TASK2 シリンダー半径400m
D21→B04 (START600m)→B04→B03→B02→B04→B03→B02 →B04→B03→B02→B04→B20→B18→B26→B20→B18→B26→A42 (ESS600m)→A42



例によって渋い中、10時30分ウインドウオープン。ゴールレースのデパーチャオープン時刻は最終的に11時30分に設定された。
昨日タスクトップの藤野選手が、何のてらいもなく先陣を切ってテイクオフ。じわじわとそれに続く選手達といった様相。残念ながら耐え切れずにLD向かう選手もいる中、11時30分直前にはコンディションも上がりTO前にガーグルが出来、ゴールレースが展開された。
本日のタスクの要、LD方面から高嶺山頂側へのリターンを奇しくも最初に行ったのは、ゼッケン312 の和田選手であった。レーススタート前の渋い時間帯に高度を失いLDに向かったところLD側のリフトで高度を稼ぎ、高嶺側まで戻ったのだ。こうなれば今日のN2タスクの成立は間違いない。あとはゴール者がどれぐらい多くなるかは風がどこまで強くなってしまうかに依存する。
バレーウインド。高嶺山エリアは北西方向から南東方向、南南西方向から北北東方向の2つ谷が平谷村を中心に十字路のように交差している。尾根より高い位置では影響はないが、風の強まりとともに十字路をバレーウインドが駆け抜けるのが、風が強い時の“いつもの高嶺”だ。局所的に流速が上がった空域は当然、気圧が下がり、強いシンク帯となる。LD側で高度を稼いでも直線的に高嶺側に向かうとバレーウインドの上を長く通過し、高度を失うことになる。バレーウインドに捕まりながら高嶺リターンをあきらめLDに戻った選手も少なからずいた。ただこれは選手のユダンとは言えないだろう。かと言って単なる不運だったですませてしまうのはもったいない。先行する選手がどんなコースをとっているのかの観察できなかったのか、なぜその選手がそのコースを選んだかの分析は行えたか、知識や経験を高めてゆくチャンスでもある。


さて終盤、強まる西風に、主催者側のガマンが始まる。
チャレンジリーグの選手はもう高嶺側にはいない。N2のLDからのリターン組がTO前で低く、強い風にピッチアップしながらあえいでいる。レベル3とは言えないまでも気楽に見ていられるグライダー挙動ではない。こういった時、はたで見ているよりやってる選手の方が冷静で余裕がある。それが判っているから、タスクストップはかけずに見守るしかない。ガマン、ガマン。
2時を過ぎた辺りでサーマルの挙動も少し穏やかになり、風が強いながらもリターン組を安心して見ていられるようになった。

今日もN2トップは藤野選手。今日は1時間16分弱。扇澤選手をして、「藤野にしてやられた」と言わしめたフライトだったようです。チャレンジは飯塚選手が1時間を切り59分のタイムでトップとなった。1000点満点を得て、二日間総合で芦田選手を抜き大会優勝となった。タスク2のゴール者数はN2が13名、チャレンジは4名。
N2の7位、9~13位は女性フライヤーが占めた。女子トップの7位は地元の利も活きたか、田前(英)選手。9~12位の河野、片貝、麻生、小川の4選手はLDからのリターンの段階から集団でデッドヒート。連続してゴールメイクした。11位の河野選手は、一度LD側からの高嶺リターンを仕掛けてバレーに捕まり、ぎりぎりでLDに戻り、再び上げ直してリターンの末のゴールであった。最後のゴール者、星田(苗)選手は、この集団から約30分遅れでのゴールとなったがリードアウトポイントが高く、10位となっている。ゴールレースの場合、トップのフライト時間に対して長くなりすぎるとタイム得点はつかなくなる。しかし、レースをどれぐらいまで先行したかの得点であるリードアウト得点は、一旦、得られれば消えることがない。星田(苗)選手はおそらく、序盤はトップグループ付近でレースを進め、それが成績に活きた。それを上回るリードアウト得点の片貝選手。4位の中村選手と同一得点である。最後は遅れたものの、きっと途中までは4~5位あたりでレースをしていたと想像される。この人、前回の白馬八方からのN2参戦のようです。八方はキャンセルで結果は出ていないが、今後の活躍に期待といったところ。
【TASK2 リザルトはこちら】


二日間総合での大会としての勝者は、N2リーグは藤野選手、チャレンジリーグは二日目で逆転した飯塚選手となった。N2の中村選手、オープンを含めても5位の好成績。扇澤選手のグライダーはともかく、周りの選手の中がEN-D或いはフルコンペ仕様の中、EN-Cグライダーで検討。そして女性、麻生選手、片貝選手が5位、6位に入っている。





「来年、大会が開催できたら、また参加して下さい。」実行委員長の片桐さんの閉会式での挨拶の言葉。去年も同じようなコメントだった。事前準備、対外交渉、スタッフ集め、大会を開くのは大変だ。そして、今年もスタッフでサポートして下さったJMB中部とんびいずのメンバーにも感謝したい。
とはいうものの、来年も同時期に開催されることが決まったようです。選手の皆様、来年も参加のほど、よろしくお願い致します。



白馬八方尾根JapanCup(PNL、N2L)

レポート:前堀 善斗

爆弾低気圧が北海道沖に移動したものの、強い西風が残る予報の週末。
6:30のスタッフミーティングで幕開け。



初日の朝、天気は快晴!北アルプスが綺麗に見える最高のロケーション。
少しの高層雲があるだけで中層以下はブルーなので見た目では強い西風の影響が分かり難いコンディション。

標高1650m地点に設置してある風速計の数値を参考に空域の風を予測。時折上空の強い西風の影響が出ているのでフライト可否の判断が難しく、競技委員長は頭を悩ませます。



8:00には標高の高い大会用テイクオフからのフライトは難しいと判断し、ゴンドラ山頂駅横の通常のテイクオフを使用する事を決定。その上でできる限りのタスクを考え準備を進めます。


しかし、急激に西風が影響し危険なコンディションになる可能性が高いことを考え、タスクキャンセル。

しばらくはフライトできそうなので、希望者はフリーフライトとなりました。




1600m付近に強固な逆転層があり、その逆転層が上空の西風をブロックしてくれているようでした。




結果的に逆転層はブレイクせず、終日フライト可能なコンディションが続きましたが、今までエリア管理してきた中でもこのような条件で日中フライトできたことは無かったので初めての経験です。

残念ながらタスクはキャンセルでしたが、最高のロケーションの中フリーフライトしていただくことができて良かったです。

大会本部では扇澤氏がGin Glidersのブースを設置してくれ、製品を見たり触れたりしながら食事班からカレーライスの振る舞いです。夕方には予定より少し早めにレセプションパーティーが行われました。




2日目も変わらず強い北西風予報ですが、1日目の事を考えると十分に可能性がありました。
しかし、雲底が低く1600mにある大会用テイクオフの使用は無理と判断し、ゴンドラ山頂駅横テイクオフへ移動。

コミッティー達は、低い雲にブロックされているもののいつ影響してくるか分からない上空の北西風と強く入ってくる予報のバレーウィンドのことを考えた上での最良のタスクを考えます。

日射はあるので雲底さえ上がればタスクはできる!そう考えタスクを発表し、残るはウィンドオープン時間を発表するだけの状態でスタンバイ。



残念ながら13:30頃テイクオフからの視界が確保できそうな頃には北西の影響が混ざった乱れたバレーウィンドが流入し、タスクキャンセルとなりました。

テイクオフでの雲中ウェイティングで冷えてしまった選手・スタッフ達には大会本部で温かいうどんの振る舞いです。



閉会式では昨年のグランプリチャンピオンの返還式を行ない、グランプリ大会は四国三郎へ持ち越しとなりました。




秋の八方での大会では初めての不成立となってしまいましたが、たくさんの選手に参加して頂きありがとうございました。



スタッフとしてご協力いただいた皆様、ほんとうにありがとうございました。
そして、来年もまたよろしくお願いします!!



ジャム勝・サマーカップ2015

    レポート 鈴村 恵司
【一日目】
実際に選手に与えられた時間は短かった。最初に実質的なソアリングを開始する宮田選手がテイクオフしたのが13時30分。最終的に初日タスクのトップとなった青木選手が次のウェイポイントを取るのをあきらめてランディングに向かったのが14時45分ごろ。この時間帯をいかにうまく使うで勝負が決まった。といっても状況は単純でなかったのだが。

いろいろな天気予報があった。雨?午後から晴れ?「いつもこんな予報や状況で成立するのがジャムの大会なので、…」大会実行委員長の堀さんが開会式で挨拶した。去年や3年前の朝は快晴で成立に疑いのないコンディションであった。ので、“いつも”ではないのだが、確かにこの時点で外はしっかりと雨。「雨が止めば飛べるぐらいは出来るかな」が大多数の選手の思いであったろう。
チャレンジリーグ参加選手が32名、N2リーグが26名。チャレンジリーグ参加人数がN2を上回った。N2リーグの参加者の少なさは気にかかるがチャレンジリーグの盛り上がりは、頼もしい。じわじわでも良い、競技フライトの面白さを味わうフライヤーの数が増えていって欲しい。



10時30分に雨が止むと同時に入山開始。一旦はガスに包まれたテイクオフも12時ちょい前に選手が全員そろう頃に、下界の視界がクリアとなった。



多くは望まない、といってもコンディション好転への備えは持ちたい。両リーグともにノミナル距離をぎりぎり満たすタスクをコミッティが設定し12時45分にウインドゥオープン。ゴールレースのデパーチャーオープンは13時15分だが、ここで全機空中待機とは考えていない。より早く勝負をかける選手に対して、エラップスタイムよりも高いアドバンテージを与えるためのゴールレースの選択だ。
チャレンジリーグタスクは
D97(テイクオフ)→スタートA86(メインランディング)600m→A86→D97→B61(スタッフロッジ)→D97→B59(料金所)→D97→B61→D97→ESS A86 600m→A86 GOOL
N2リーグタスクは、
D97(テイクオフ)→スタートA86(メインランディング)600m→A86(200m)→B58(200m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→B30(1000m)→B98(1800m)→ESS A86(600m)→A86(200m)GOOL
N2リーグはシリンダー半径設定が自在となってからタスクの設定がずいぶん楽になった。両リーグとも、さほどゲインがなくてもなんとか移動できるWP(ウェイポイント)を結んだルートをタスクとした。

■N2リーグタスク



■チャレンジリーグタスク



12:45 ウインドゥオープン
13:15 ゴールレースとしてのデパーチャオープン。
勝山エリア周りは依然、曇り。こんな天気だ、万一の雨に備えての押さえの一本を飛んでおこうと数名はテイクオフするものの試合が始まるという雰囲気はない。
この時点で遠く西の海岸方面はしっかりした日射と積雲の発生が目視出来ていた。「あの日射がここまで届けばねー。」半信半疑の会話が交わされていたが、実際、13:30ごろにはエリア内に日が差し始めた。
この状況に反応したのが、オープン参加の宮田選手。テイクオフ準備を素早く終えゲートに入る。リフト発生のわずかな兆候を見つけだし、判断し、誰もソアリングしていない空域へ自分を信じてテイクオフしてゆく。最初、目線下で始まったセンタリングが徐々に目線レベルになってゆく、さすがと言ったところ。藤野選手、矢野選手、河野選手、岩崎選手、ちょっと遅れて中嶋選手が続いてテイクオフしており小さなガーグルが出来て本格的に試合開始となった。最終的な結果は、矢野選手がオープンを含めたクラスでトップ。河野選手、岩崎選手は純粋N2クラスで同率の2位、中嶋選手は同4位を得ている。




しかし、純N2クラストップとなった青木選手は、実はこの集団で距離を稼いだのではない。青木選手のテイクオフは13:54。最初の集団がスタート(A86)し、テイク裏(東側)のB58を取ったものの、日射が弱まり、アンテナ(B30)に向かおうとLD周りであえいでいた頃だ。そのあえいでいた集団の上にテイクオフから直接入り、高い高度で持ち直した弱いサーマルをキャッチした。スタートWP(A86)を、そのまま取れることから、最初の集団より移動時間が短縮出来、この後弱まる一方のリフトの中、最高フライト距離を出した。チャレンジリーグは佐藤選手、芦田選手、藤本選手、北口選手の4名が同率の1位。佐藤選手、藤本選手のテイクオフはN2青木選手とほぼ同一時刻であった。実は宮田選手と同時期にテイクオフしたチャレンジの選手は距離が伸ばせていない。




成立とは言うもののN2はミニマム5kmを越えた選手はオープンクラスを含めても6名。チャレンジリーグもミニマム3km越えは5名。(チャレンジのトップは、テイクオフ(D97)とちょい沖のWPを2往復している。)
結果から言えば、誰かが上げてからそこに行くのでは遅かった。宮田選手のように、青木選手のように上がる兆候を見つけ、そこで自らリフトを捕まえる。経験によりその流れを意識出来、それを捕まえるスキルを持った選手達がわずかなチャンスを活かすことが出来た。
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いつものようにバーベキューパーティで選手交流会。いつもの顔、新しい顔とあいさつやトーク。スタッフの学生さん達も選手テーブルに入り込んで、世代間でも交流が進んだ。
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【二日目】
明け方には雨が止んでいた。もしやと思った選手の少なくなかったと思う。しかし、予報的にも実質的にも、風は南東風で、勝山で飛べるコンディションではない。速やかにタスクキャンセル。飛べないなら早く大会を終わらせて勝山観光を楽しんでもらいたいという配慮で9:00より表彰式、閉会式。
ミニマムを越えた選手が順位をもらい、表彰された。大多数のそれ以外の選手は同率の順位となった。
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この大会の年間ランキングへの影響は極小であろう。でも全く(といっていいほど)あきらめていた状況から、全員がフライト出来、タスクまで成立した。選手の多くは、「儲けた。」思えたのではないか。
勝山市の誇る恐竜博物館は朝8:30からオープンしている。開館前に並ぶというわけにはいかなかったろうが、それでも速めに入館出来た選手は混雑をちょっとは避けられたかも知れない。

今年も全面的にサポートを頂いた福井県大のパラグライダー(正式)部の皆様。去年と比べてずいぶん人数が増えている。特に女性部員が増えたそうな。来年もよろしくお願いします。
今年8月最終週だった日程が、来年は9月初週になるそうです。皆様の参加をお待ちしています。