PNL第2戦COOクロカンカップ レポート

開催地 : 茨城県石岡市 エアパークCOO
主催:COOクロカンカップ 大会実行委員会
リポート : 宮田歩


<プロローグ>
 絶好のXCコンディションとなるつくばエリアで、恒例となったCooXCカップが開催です。昨年は横岡ゴール(88km)、黒羽ゴール(68km)と恒例の北上するビックタスクだけでなく、西の平野への未知なる世界だった宇都宮ゴール(61km)も成立し、距離だけでないテクニカルなタスクも選手をワクワクさせてくれました。
果たして今年はどんなタスクが設定されるのか!?楽しみです。


<3月20日(土)>
 移動性高気圧に覆われて快晴の朝です。朝7時から選手たちは受付までの長蛇の列をつくります!選手も気合十分!そんな選手へ朝食サービスが振る舞われました。炊き立てのご飯カニの味噌汁。スタッフの皆様には毎年、本当に感謝です。お腹いっぱいでパワーは十分!さあテイクオフへGo。
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高気圧圏内ですが、接近する前線に向かって南風が吹き込む予報。700m付近には強い逆転層があり、上空の南風から守ってくれているようです。予報ほどテイクオフの風は強くなりません。しかし、逆転層のブレークと共にテイクオフレベルの南風が強まることは必至・・・。渋いながらもその前に、エリアから出ていれば可能性はあります!ストレートに北上する48kmの烏山ゴールが決まりました。
テイクオフレベルの風は西風となったため、西テイクオフへ移動しましたが、そのころにはやはり南風が強まってしまいました。時折強く吹くガストに、安全に競技はできないと判断、残念ながらタスクはキャンセルが発表されました。
下山した選手には、おいしい牛丼が振る舞われました。これでさらにパワー充電です。
明日は寒冷前線の通過により、春の嵐予報。こんな時は焦らずのんびり休みましょう。
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<3月21日(日)>
 朝から凄まじい南風となりました。そして、黄砂が!!テイクオフがほとんど見えないほど。これで心置きなく休めそうです。前日のインフォメーションどおり、10時からはセミナーが行われました。
まずは、JPA安全事業部岡田さんから「レスキューパラシュート」についてです。春の強いコンディションでは空中でアクシデントが起こる確率は高くなります。実際に起こった状況からグリップの引き出しにくいパターンが説明されました。またリアルな空中接触の映像も紹介され、パラシュート開傘後の安全確保など、とても役に立つ講義となりました。半谷顧問からも再度、安全に対するご指導を頂き、選手は気が引き締まります。テイクオフ後、スタート前に空中でグリップに触わることを習慣付けましょう。アンコントロールを感じ、旋回に加速を感じたらすぐに投げる!パラシュートはやっぱりラストチャンスです。
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次に競技事業部宮田よりこれも恒例「つくばXCセオリー」を行いました。このエリア初めてXCフライトをされる選手だけでなく、毎年聞いていただいている選手にも好評!?だったと思っています。あくまでセオリーですから、皆さん話半分で参考にする程度で、空中では自分の判断で飛んでくださいね。
さて、お昼にはきつねうどんが用意され、悪天候の中集まってくれた選手の心を温めてくれました。明日は絶好の天気予報です。やるぞー!


<3月22日(日)>
 昨日までの爆風もすっかり収まり、絶好のコンディションとなりました。早い時間は上空北西風が強いものの、徐々に南西に向きを変え風は弱まる予報。そして、雲底は2000m!気温減率も良く、サーマル対流も期待できます。
西テイクオフから筑波山系を2往復し、北西のゴールデンレークスゴルフ場を取った後、烏山ゴールの78kmのテクニカルなタスクが発表されました。クロスウインドで向かう最終パイロンのゴールデンレイクスを如何に攻略するかがポイントとなりそうです。
11:20のウインドウオープンから選手は次々とテイクオフ。春特有の荒れたサーマルの中、1500mのサーマルトップまで何とか上がっていきます。やはり1500m付近は西風が強く、流しすぎると、出てくるのが大変です。
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11:50のデパーチャーオープンぴったりでスタートしたのは扇澤、宮田の2選手。スタートポイントを取った後そのまま加波山南斜面へ突っ込みます。セカンドグループは確実にテイクオフ前に戻り稜線上を北上。扇澤選手がテイクオフ前に戻ってきたころには、1000m付近の南西風は強まりツバメからのリターンは至難を極めることに。稜線上を戻った選手は、風の吹き抜けにつかまり東側へ・・。逆に西の沖を戻った選手は、それほど苦も無くテイクオフ前に戻ることができていたようです。多くの選手がこのリターンでランディングを余儀なくされる中、良いコース取りをした16名の選手は最後の難関のゴールデンレイクスへ、クロスウィンドへアタック開始です。
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この中には佐藤選手、田前選手の2名の女子選手も含まれています。
加波山上空のサーマルは予報通り2000mまで上昇しますが、回すほど流され、すぐ近くに見えるゴルフ場まで近づけません。上げては風上へ・・。先頭を引っ張るのはデリゲートの正木選手。さすが空中でも良い仕事をします。しかし・・・。ほかの選手も強い南西風に阻まれ、次々にランディングしていきます。それでも最初にゴルフ場に到達したのは大澤選手。ランディング間際から地を這うようなリフトを掴み、上昇し始めます。風上にいた宮田選手はすかさず下に入り込み生き残り最終パイロンをゲット!
ゴールデンレイクスをクリアーした15:00には劇的に西風成分は弱まり、セオリーどおりゴルフ場からは安定したサーマルが2000mまで上昇していたのです。ベテラン長島選手、と昨年の勝者岩沢選手、シリアルクラス塚本選手もファイナルレグに!
やはり最後はファイナルグライドまでもつれました。
東寄りのコースから大澤選手。下層の北西風を予想した宮田選手は西から勝負!残り15kmのファイナル勝負となりました。烏山ゴール付近は北風と南風のコンバージェンスが那珂川上で形成されていて近づくほどリフトがかってきます。東の大澤か、それとも西の宮田か!?
軍配はリフト帯を飛んだ東側の大澤選手!20秒差で逃げ切りファーストゴールを決め、優勝を手にしました。3位はシリアルクラスの塚本選手!4位は長島選手。5位は岩沢選手。5名の選手のゴールメイクでした。おめでとうございました。
ゴールからのバスが戻る19:00まで多くの選手とスタッフが本部で待ってくれていて、ゴールした選手を拍手で出迎えてくれました。感動しました。
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女子は佐藤選手、田前選手が仲良く同点優勝!シリアルクラスは文句なく塚本選手優勝!タフなコンディションでしたが、素晴らしいフライトを見せてくれました。
頑張った選手を讃えた表彰式も盛り上がりました。選手、スタッフみんなで作り上げた本当に素晴らしい大会となったように感じます。
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皆さんご苦労様でした。ありがとうございました。




タスクログ(ゴール者5名)

タスクログ


PCL第1戦 京の都カップ 大会レポート

開催地 : 京都府 南丹市&亀岡市 パラパーク京都
協力スクール:びわこパラグライダースクール、京北パラグライダースクール、TAKパラグライダースクール
主催:BIRDSパラグライダースクール 八木町観光協会
リポート : 大澤行英


<プロローグ>
 昨年初めての大会開催で成立していることから、チャレンジリーグの初戦にもかかわらず77名ものエントリーを頂きました。その参加メンバーの中には、大会初参加の方もおられました。チャレンジリーグでは大会が初めての方でも楽しんでいただける大会運営を目指しておりますのでうれしい限りです。


<2010年3月13日>
 一週間前から毎日のように変わる天気予報とにらめっこする日々が続き、大会初日は寒冷前線の影響を受けることになりました。風事態は良いのですが時折雨も降っていることから、本部で開会式、諸説明を行い、藤野光一講師によるチャレンジベーシックセミナーを行いました。大会初参加の方は勿論、多くの方にも理解が深まったようです。
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セミナー終了後は雨がやんだことからテイクオフへ。しかし、競技そのものは寒冷前線の影響を受けるためキャンセルとなりました。フリーフライトで半数ほどの選手が飛ばれましたが、寒冷前線の接近により、他の方は勇気ある撤退となりました。


 夕方6時からのパーティーは協賛企業様「アニー商会ラーメン」「男前豆腐」「メグミルク」「和食さと」のご提供素材をBIRDSスタッフが丹精込めて作るおいしい手作りの料理がふるまわれ盛大に行われました。
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<2010年3月14日>
 天気は最高、朝の気温は低く、その後急激に暖かくなる予報です。風向きは裏風となる北東ですが、予報で見る限り弱いので対流が起これば良いコンディションになると期待されました。選手の皆様も気合が入っているようで、ずいぶんと早い時間から受付前に列ができました。


 そしてテイクオフに着くと、まずは予報通りの裏風。10時過ぎになり対流が起こり始めると向かい風となりフリーフライトの方もソアリングが可能になりました。でも、まだまだ競技をするにはタイミングは早いです。タスクコミッティー間で何度も協議を重ね、またブリーフィングで選手と意見を交わし、じっくりと待って12時20分、オープンクラス43キロ、12時50分チャレンジクラス33キロのエラップスレースが始まりました。タスク内容は尾根上往復2回、三角パイロン2周で最北端のパイロンを取った後、南へ約7~9kmキロ先のゴールへのファイナルグライドです。
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 基本的に裏風でリーサイドとなるため、荒れている時間帯もありましたが選手たちはファーストサーマルをヒットすると一気に上げていきます。パラの蚊柱ができ、デパーチャーオープン時間とともにレースがスピーディーに展開されます。今年のオープンクラスはナショナルのトレーニングやトップリーグを意識し、ナショナルリーグへの架け橋となる大会を目指すという、オープンクラスの趣旨通りの展開です。ファーストグループ、セカンドグループがしっかりと形成されどんどんと距離を伸ばしていきます。常にレースを引っ張ったのがナショナル常連の高杉選手。早々と最北端のパイロンを取りリターンします。少し遅れてやはりナショナルの選手が続きます。そして、高杉選手は他を引き離してゴール。少し遅れて集団がゴール。シリアルクラスの選手もチャレンジの選手も負けてはいません。すぐ後にどんどんとゴールに向かっていきます。シリアルクラスでは、ベテランの山本選手、チャレンジクラスでは、JPA大会初参加の植村選手がみごとトップでゴールを果たしクラス別優勝となりました。女性の部においては田前英代選手、高橋苗月選手、榊原怜奈選手、原良江選手がゴールされ、女子のレベルアップがうかがえました。おめでとうございます。最終的にオープン20名、チャレンジでは6名のゴールとなりました。ゴールされた皆様おめでとうございます。また、残念ながらゴールできなかった選手たちも「とても楽しかった」と、とても満足そうでした。
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 表彰式を終えたのが7時を過ぎてしまいましたが、選手全員で入賞者をたたえ、スポーツマンらしい非常に良いムードとなりました。皆様遅い時間までありがとうございました。

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今回の大会開催にあたり、たくさんのご協力ありがとうございました。
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タスクログ


オープンクラス
総合TOP3、シリアルTOP3、女子の部TOP3


チャレンジクラス
ゴール者6名


ナショナルリーグ第1戦第7回JPA PG カップ in 富士山 レポート

開催地 : 静岡県富士宮市猪之頭フライトエリア及び朝霧高原
リポート : テクニカルデリゲート 松原正幸


<プロローグ>


今年で7回をむかえたJPA PG カップin 富士山


この季節、「猪之頭エリア以上に飛べる場所は日本にナシ」と断言できるほど、フライト確率、抜群のコンディションはご承知の通り。初回開催から連続成立を誇る大会だ。


雄大にそびえる霊峰富士を望むフライトは、日本人だけにとどまらず、世界各国のフライヤーが憧れる場所でもある。


時期、場所ともに最高レベルにある大会だけに、参加選手たちの期待度も高い。


成立するのが当たり前と思われているふしもある。大寒波や強烈な冬型にならない限りはという条件付きではあるのだが・・・。


2月第一週、広域に亘り降雪があった。猪之頭においても10年に一度というほどの降雪量。昨年に引き続いて使用する西富士テイクオフは雪に覆われてしまった。そしてテイクオフへの道路も、樹木が雪の重さに耐え切れず、ぽっきりと折れ、所どころ道を塞ぐ。また人の手では簡単に動かすことのできない大きさの落石と、開催間近にこの試練。連続成立を誇る大会に立ち込める暗雲。だがそこは大会実行委員長の中川氏の素早い対応で、アクセスは確保されてオールグリーン。飛べれば大会史上初?の真っ白なスノーテイクオフ。「雪があってもサーマルはでるからっ」と実行委員長の言葉通り、雪化粧した猪之頭エリアのコンディションは上々。あとは当日の良い天気をお祈りするだけ。


<2010年2月6日>


昨年同様「富士山YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジ」に大会本部を設置。続々と集まる選手たちは旧交を温める。


予報では、きつめの冬型の気圧配置。競技は難しいかもしれないが、可能性はゼロではない。予想された北風の流入もまだないということで、エリア麓にあるウイングキッスのクラブハウスへ移動。ウェイティング時間を利用しての開会式が行われる。


ほどなく、予報どおり爆風が吹きすさぶ。こういう予報はハズレて欲しいものなのだが。


北日本、東日本を中心とした冬型の気圧配置は、5000m上空にマイナス45度以下の強烈な寒気をともなって、日本海側には暴風雪や高波をもたらした。駿河湾を望む猪之頭エリアにおいてもその影響を真ともに受けることになる。


時折吹きすさぶ突風は、クラブハウスを揺るがすほど。11時45分にキャンセルを発表。


富士山YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジへ戻って、温かいカレーうどんのサービス。選手は舌鼓をうつ。





<2010年2月7日>


天気予報では、日本海側にある高気圧が急激に南下するとのこと。本当なの?と目を疑うほどの急展開は、大会成立を願うみんなにとっては嬉しいニュース。


だがしかし、昨日から比べれば幾分か和らいだ爆風も、飛べるほどには収まっていない。


わずかな可能性に賭け、11時までウェイティング。その間、扇澤氏による世界動向に関する報告や、競技事業部による選手育成基金に関する選手へのヒアリングが行われた。


「まさかねぇ、けど予報だからねぇ」疑ってはいたものの、高気圧の張り出しにちょっぴり期待をしただけに、カッガリ気分。北海道東沖にある低気圧は停滞。強い冬型の気圧配置は依然として変わらず。残念ながら第一戦はキャンセルとなってしまった。


美味しい水団サービスの後、閉会式。大会賞品をくじ引きで分配し、富士山をバックに記念撮影、解散となった。


年々向上する機体性能をうけ、芝川リターンのロングタスクが用意されていただけに不成立は残念。来年こそはビックタスク成立を期待したい。


最後に、西富士友の会、怪鳥倶楽部、大会運営スタッフの皆様、そして参加された選手の皆様、お疲れ様でした。そしてありがとうございます。どうぞ来年も宜しくお願いいたします。