宇都宮 Open Cup 2014


レポート 水沼典子
11月8日
 宇都宮の大会成立記録をまた今年から更新し続けるぞ~、と準備をしてきた今大会。週間天気予報は例によって刻々と変わっていくので気をもみます。そして迎えた初日は、青空の朝!

しかし、選手全員がテイクオフに上がった頃から南の方から徐々に雲の列が近づいてくるのがはっきりと見て取れます。それが来てしまったらサーマルはあまり期待できそうにありません。何とかみんながゴールするまで陽射しが持ってくれないかな。と、早め早めの展開で開会式もそこそこに、タスクはN2・チャレンジともエリア内は同じパイロンを周回し、チャレンジはメインランディングゴールの20.3km、 N2はその後今年から新設した北の大桑ゴールまでの34.3kmに決定し、10時15分ゲートオープン。




ゲートオープンと同時に次々と選手はテイクオフしていきます。しかし、時間も早いのでスティはできても獲得高度はせいぜい200m前後。しかもそれだけ上がれば良い方で、リフトは間欠的。




少し移動したり、沖のパイロンを取りに行ったりしたらあっという間に高度はなくなりランディングへ吸い込まれていきます。そうこうしているうちにすぐそこまで雲の列が迫ってきてリフトも弱弱しくなってきている…。




で、ゲートオープンから1時間くらいで一度全員が降りてしまい、半分以上の選手がリフライトに上がって行きましたが、12時前には無情にもあたり一面を雲が覆ってしまい、その後コンディションが回復することはありませんでした。


そして、ほとんどの選手が周回できずにランディングしてしまいましたので、気になるのは大会として成立するかどうか、というところ。この1本のフライトが成立することによってN2リーグは年間ランキングに計上される本数が3本から4本に変わり、順位もシャッフルされることになるようですが、はたして、結果は…?



なんと、N2はオープンクラス№7隅選手のみが6.5km(シリンダー間の実質フライト距離)をフライトしミニマムクリアーで成立、チャレンジは№517関根睦選手が唯一7.8km(GPSの距離)のフライトでダントツトップ、こちらもミニマムクリアー、成立です!今日は両リーグ合わせてミニマムをクリアーしたのはこのお二人だけでした。




ランディング場ではちょっとフライトに物足りなさを感じている選手のために、猪の丸焼き(今年は80㎏の巨体でした)や熊鍋、水餃子、石焼いもなどなどがふるまわれ、曇ってきて少し肌寒くなった体を温めていただきました。


そして18時からのウェルカムパーティではファイナル恒例、競技事業部鈴村氏による今年のリーグ戦を振り返っての総括や、ユニークな「○○王」の表彰が行われ、たくさんの方に表彰状が贈られ楽しい時間を過ごしました。鈴村さん、いつもありがとうございます!





11月9日
昨夜までもしかしたらフライトの可能性があるかも?と期待しておりましたが、朝起きてみるとやっぱり曇り空。そして時間とともに雨雲も接近してくる予報のため早々に本日のタスクはキャンセル決定、9時から閉会式&表彰式を行いました。

N2は隅選手がミニマムをクリアーしたものの点数は全員2点になってしまい順位がついておりませんでしたが、フライト距離で順位をつけ、宇都宮OPEN CUPとして表彰させていただきました。チャレンジは睦選手が文句なし総合&女子優勝です。皆様おめでとうございます!






その後、年間のリーグ表彰が行われ2014年のN2・チャレンジリーグは無事終了となりました。







大会開催にあたり、快くご協力いただきましたスタッフの皆様、JPA役員の皆様、エリアの皆様、いつも本当にどうもありがとうございます。
来年はチャレンジクラスの楽しい大会を開催する予定です。皆様のご参加をお待ちしております!



高嶺カップ 2014

レポート:鈴村 恵司(競技委員長)
フォトアルバムはこちら
【初日】

結果的には全員がゴール出来るようなコンディションにはならなかった。ゆえに15:00ごろのランディングは悔しそうな顔をしている選手の方が多い。でも多く選手の会話に中の「でも紅葉がきれいだったね。」という言葉は単に自分を慰めているだけというわけではなさそうだった。
地元のフライヤーですら「高嶺(たかね)の紅葉ってこんなにきれいだったっけ」というぐらいに、この日の高嶺山近辺の山々が紅葉により例年よりずっと鮮やかな赤色を湛えていたのは事実だ。




そんな紅葉の上を飛ぶタスクの設定は、N2リーグが44km、チャレンジリーグは28km、ちょっと長めの距離だ。(但しN2タスクのWP、B12の平谷ゴルフ場は800mシリンダーで実フライト距離36kmほどである。)どちらも高嶺山頂側の三角パイロンを周回した後に国道を西から東に横切り、ランディング側の三角パイロンを周回する設定である。

【N2リーグ】
D21→B25→B04→B03→B12→B04→B03→B12 →B04→B03→B12→B04→B03→B09→B18→B05→B09→B18→A42
【チャレンジリーグ】
D21→B25→B04→B28→B25→B04→B28→B09→B18→B05→B09→B18→A42

(快晴、風も強くない。サーマルトップも2000mを越える予報。1500m以上の減率がそんなに高くないことは判っていたけど、ちょっと無理してみたくなるじゃないか。)




11:30、N2リーグのウインドゥオープン直後の高嶺側のコンディションは“ややシブ”、強いサーマルを探してさまよう選手からはため息が聞こえそうだ。とは言え、探せばどこかにはリフトがあり、時に高層雲に弱められるとはいえ我慢していればじわじわと高度を稼ぐことも出来る。
そうして、まずはチャレンジリーグの選手達が高嶺側三角パイロン2周を終えランディング側へ移動し始める。(チャレンジ選手の80%以上が山側2周回をクリアしていた。)N2選手も時間はかけながらも高嶺側の4周(ゴルフ場3回!)をこなしランディング側へ随時移動し始める。(N2も半分以上が山側3周をクリア。)








そしてランディング周りが生き残りレースとなった。通常はむしろ高嶺側より安定しているランディング側がおそらくは風向き違いなどでリフトの発生時間帯が大幅に遅れてしまったのだ。
デパーチャーオープンが30分遅いとはいえ、短く周回数も少ないチャレンジリーグ選手は12時40分過ぎには早めにランディング向かっている。ゆえに、その殆どがランディング側三角を周回できずに終わる。唯一、地元の利を活かした(のかどうか?)河井選手だけが24kmまで距離を伸ばした。とは言えゴール者なし。タスクセッターは(筆者です。)大反省すべきだ。すいません。
N2リーグはゴール者が8名出た。メンター3の黒木選手もゴールしている。ランディング脇にある東方子(トーホーシって呼んでます)という小山からのサーマルは1時半近くになってやっと本来の調子が出てきた。その時点で空中にいた選手、或いは遅れて入ってきた選手はゴール出来たようだ。


リザルトはこちら


リードアウトポイントがついた選手をリードアウトポイント順に並べかえると上の表になる。
ゴールレースだから、この順番がおそらくランディング方面に移動した順に近いと想像できる。
星田選手、薬師寺選手は早めにランディング方面に入ってもなんとか粘ってタスクをコンプリート。それ以外の早めの移動の選手はランディング。リフトが盛り返し始めた当たりで田前(英)選手や麻生選手らが入ってきたのではないか。黒木選手はゆっくり確実の移動が、ランディング周りのコンディション好転とタイミングが合ったのではないか。
N2リーグは、呑村選手がトップ。おそらくランディング側でまくってフライト時間を短縮したことが効いている。ゴール順は薬師寺選手に次ぐ2番目のほぼ2時ジャスト。オープン参加の薬師寺選手はそれより3分早くゴールして全体でのトップになっている。

薬師寺選手はゴール後に高嶺側に戻りテイクオフのスタッフに手を振っていた。北東方向に南アルプスの向こうに富士山を見た人もいる。また、そこで起きた悲劇に哀悼の意を持ちつつも、見つけられたことのうれしさから複雑な気持ちで御嶽山の噴煙を見た選手もいる。そして、すべての選手が紅葉を楽しんだ。飛びガイがあったと何名かの選手の言葉が聞けた。タスク設定をしくじった競技委員長としては救われる言葉だ。

平谷村が誇る(?)温泉「ひまわりの湯」を味わってから集まった選手交流会の開始は18:00。鍋を囲んで、今日のフライト談議が始まる。
今日の成績上位者を讃えたあとは、「空ともパラグライダースクール」と「浜名湖パラグライダースクール」混成メンバーでのパフォーマンス。交流会は最大の盛り上がりを見せる。明日の予報は、曇りだったり、一時雨だったりとあまり芳しくはない。まぁ明日は明日。今日は楽しかった。今も楽しい。それで良いといったところだ。
交流会の様子はこちらから








【二日目】

となり村の浪合村は、全国で一番「星空の観測に適した場所」だそうな。当然、平谷村の星空もきれいだ。この夜、午前3時過ぎまではきれいな星空が続いていたそうだ。
しかし、朝起きた選手達を待っていたのは曇天の空。ここから先、レポートすべき内容はあまりない。もしかしたらの可能性を探して定刻通りにテイクオフに移動、どちらかといえばフライダウンの為のダミーを出した時点で霧雨のカーテンが平谷村を通り抜け、下山決定。




その時点では雨が上がっていて表彰式が屋外で開催出来たのは救いだった。表彰台に登れることを素直に喜ぶ選手達の中で、チャレンジリーグ総合優勝の河井選手のいかにも不慣れで落ち着かない様子が印象的だった。
これで宇都宮ファイナルへの招待選手や優待選手も決定した。年間チャンピオン争いも大詰めである。

「来年も開催することが出来たら、ぜひ参加お願いします。」主催者、実行委員長の片桐さんのしめの挨拶。ちょっと中途半端な案内だったがきっと来年も開催される。
来年はもう噴煙を吐かなくなった御嶽山が見られるだろう。当然、富士山は健在だろうし、高嶺山の紅葉もきっときれいに違いない。村全体がフライトエリアといったコンパクトな環境の中に大きな温泉施設もある。空ともPGSのパフォーマンスも恒例となっているかも知れない。
TO1570mhの日本屈指の山岳フライトエリア。競技フライトに最適とは言いにくい環境ではあるが飛び応えは保証出来ます。おそらく普段のフライトとは違う世界を味わうことが出来ます。皆様、来年、ぜひご参加を。

大会運営をサポートして頂いた開催エリアの「JMB中部パラグライダースクールとんびいず」の皆さん、愛知県から駆け付けてくれた「空ともパラグライダースクール」の皆さん、「浜名湖パラグライダースクール」の方もサポートしてくれました。ありがとうございました。



白馬八方尾根Japan Cup 大会レポート

レポート:小宮山亜希子


上部では紅葉が色づき、紅葉祭りも行われている八方尾根ですが、大型台風18号が近づき白馬ジャンプ台のすぐ上まで雲の中という朝、「PNL第5戦白馬八方尾根Japan cup」は初日を迎えました。

それでも初日はなんとか競技できるコンディションで飛べるのではという予報と、過去八方でこの時期に行われた大会はすべて成立しているという実績を信じ、選手の方々も期待しながら朝の時間を過ごしておられました。


4日(大会1日目)

8:00より、受付開始。受付を済ませた選手は順次テイクオフへ。


 この時期の週末のテイクオフへ向かうゴンドラ乗り場は、紅葉を見にくるお客さんでいつも長い列なのですが、やはり台風の影響もあるのかスムーズに乗ることができました。まだこの時間は雲底は低く、ゴンドラの途中からどんどん雲の中へ入っていきました。

テイクオフも完全に雲中でまっ白でしたが、9:30より開会式。
前堀実行委員長よりあいさつ、清水競技委員長より八方は朝から北風が入っていると、日中はさらに強くなりやすいことが多いので、予報をみながらタスクを決めていきたいという天候のこと、タスクコミッティの紹介、ローカルルールの説明等がありました。そのままジェネラルブリーフィングがあり、10:00より2回目のブリーフィング。この頃には、雲底もあがってきて白馬の街が見え隠れ。ですが、下層の風が平均5mくらいで強めなので、様子を見る事に。




10:15より、もう一度ブリーフィング。本日のタスクが発表されました。




D73(八方テイク)テイクオフ → B28(月夜棚山頂)スタート4000m Enter 
 →B28→B18→B28→B18→B28→B18
   ESS 1000m(A58に対して)
→ゴールA58(さのさかゴール)400シリンダー
28km ミニマム5kmのエラップスタイムレースです。

11:00、白馬の街の景色はクリアに見えているのですが、下層の風速がおさまらず
中々ダミーもテイクオフ出来ません。
その頃八方のランディングでは、マックスで6~7mの風が吹いていました。




11:15頃、風が少し弱まったタイミングで1人目のダミーがテイクオフ。すべてのダミーがテイクオフし上りをみて、11:30にウィンドオープンする事が発表されました。

11:30いよいよウィンドオープン。

選手の皆さんが次々テイクオフしていきました。テイクオフは風が弱く、時折フォローになるときもあり苦労する場面もありましたが、雲が晴れた白馬の空に色とりどりの機体が飛ぶ様子は、何度見ても圧巻です。






今回はウィンドオープンタイムがそのままデパーチャーオープンだったので、テイクオフして八方で上がった人はどんどん五竜に渡りスタートして行きました。なので、フライト中に順位を把握することは難しくリザルトを見るまで分からないという状況でした。

最初にスタートしていった選手達は渋いコンディションに苦しみながら、セカンドグループは徐々に上がった八方の雲底につけて高くスタート。その後下層の北風が強くなり競技委員長がレース続行を悩む中、その風のおかげで上空のコンディションは好転。渋かった時間帯を乗り切った選手達は次々とゴール。今回のレース展開はシンプルでした。

結果、38名の選手が本日ゴールされました。おめでとうございます。 








16:00より大会本部前でレセプションが行われ、本日の結果発表などが実行委員長、JPA競技事業部鈴村氏よりありました。選手の皆さんには、温かいカレーやお料理が振る舞われ、台風が近づく明日のお天気を心配しながらも、リラックスした雰囲気で本日のレースを振り返っておられるようでした。






5日(大会2日目)


昨夜から雨が降り続き、薄暗い朝。
予報を見ても、天候の回復は見込めないとし、早々に競技キャンセルが発表されました。



そして今大会のリザルトが発表され、9:00より閉会式になりました。

実行委員長のあいさつ、そして白馬八方尾根の大会では、富山の美味しい新米とステンドグラスがランプになった素敵なトロフィーが入賞者の方に授与されます。
その製作者のkirakira glass.の美緒さんより、今回のトロフィーは「勝利・栄光」の花言葉を持つ月桂樹をモチーフにして制作されたお話があり、そのまま表彰式へ。

月桂樹トロフィーや新米を手にされた選手の皆さま、おめでとうございます。








総合
1位 大澤行英 選手
2位 菊地 浄 選手
3位 高杉慎吾 選手
4位 稲見祐二 選手
5位 扇澤 郁 選手
6位 宮内邦夫 選手



女子
1位 水沼典子 選手
2位 岡本洋子 選手
3位 吉原紀子 選手



チーム戦
1位 とちおとめ
2位 瀬戸内少年飛行団
3位 のりのりとちおとめ


そして、今回協賛いただいておりますアエロタクトの扇澤郁氏、アドバンスジャパンの松原氏より、
今開発中のグライダーやハーネスの開発過程のお話などを聞かせていただき、最後、競技委員長よりあいさつ、記念撮影となりました。

その後、選手の皆さん、スタッフの皆さんにも温かいうどんが振る舞われ、2014白馬八方尾根japan cupが閉会となりました。





最後の競技委員長のあいさつにもありましたが、白馬はこの大会の頃が一番紅葉が見頃のいい季節です。是非来年も八方の大会にチャレンジするもよし、フリ―フライトでのんびりでも、この最高の景色を多くの皆さんに楽しんでいただけたらとおもいます。

今年も、成立は1日だけになってしまいましたが大会も無事成立し、参加された57名の選手の皆さん、大会を裏で支えてくださったたくさんのスタッフの皆さんが誰も大きな怪我などすることなく、地元の皆さんのご協力もあり、無事終わる事が出来、本当に感謝しております。

皆様ありがとうございました。



白鷹オープンカップ2014 大会レポート


                           競技事業部 宮田 歩
大会開催に合わせるように、天気が悪く不成立が続いていた白鷹エリアでしたが、今年に入り5月のPNLも米沢ゴールタスクが成立!そして今回も天気の心配をしなくて良いほどの安定した秋晴れとなりました。本来の白鷹コンディションを存分に楽しんでいただこうとスタッフも準備万端です。




20日(土)
快晴の朝!!強烈な放射冷却によって気温は10度を下回っているようです。これは寒い!長井、米沢のある置賜盆地はきれいな雲海に覆われています。そんな寒い朝でしたが、温かい朝食でお出迎えです。地元の新鮮な野菜を使われた朝食は、本当に美味しい!選手は充電完了。





受付が終了したら、さっそくテイクオフへ移動。テイクオフから見える朝日連山は朝日を浴びて神々しい・・・。クリアーな大気のおかげで、いつもより近くに見えます。何だか飛んでいけそうな気にさせてくれます。



白鷹エリアのシンボル、レーダードーム前で、開会式が行われました。実行委員長植木さんから「これがいつもの白鷹です!」とのご挨拶。続いて競技委員長神林さんからジェネラルブリーフィングが説明されました。

10:00までは北寄りの風が続きましたが、太陽の南中に従い南風のブローが第一テイクオフに入ってくるようになりました。今日の風の読みは、山形県全域の風は弱いため、午後には白鷹周辺に北東風と南西風のコンバージェンスが形成されるいつものパターン。

タスクは、N2L、PCLほぼ同一内容とし、後半N2Lは対岸のアンテナ跡地と豚小屋の往復が追加されました。タスクの種類はRaceToGoal。シリンダーハンデのあるN2L選手がPCL選手を牽引するシナリオが組まれたのです。





ダミーの上りが良くなってきたこともあり、いよいよ12:00ウインドオープン!選手は次々とテイクオフしていきます。途中フォローになるタイミングもありましたが、スタート時間にはほぼ全選手が空中に待機。クラウドベースは2000mに達しています!そして、12:45には新山平へ一斉スタート!!

先頭を引っ張るのは絶好調のウイングキッス星田選手と、オープン参加の藤川選手。そして、2014年N2Lチャンピオンの関根選手、立山のリーダーこと中島選手が追走。PCL選手もシリンダーハンデをうまく利用し、同じグループで駒を進めることができます。






タスク前半は白鷹山を中心に3角形を周回するコース。途中、誰が先頭なのか!?わからなくなる展開となってきますが、数名が西側対岸の尾根へトランジットし始めました。N2Lの藤川選手と星田選手です。完全にガチンコ勝負の様相、フルスピードでカッ飛んでいくのが見えます。続いて宇都宮とちおとめチームの呑村選手、吉川選手、関根選手がトランジット開始。予報通り、北東風と下層の南西風が見事にぶつかり、クラウドベースは2100mを超えています。このまま、バンバンのコンディションで順調に進むと思われましたが、ここで運命の分かれ道が・・・。

活発なコンバージェンスは、白鷹山周辺に積雲発達を助長し、すっかりオーバーキャストさせてしまったのです。雲底近くは強い吸い上げリフトがあるのですが、低いところは渋い・・・。そして、東寄りの冷たい空気がエリア内に流れ込み、大きなシンク帯になってしまいました。異変を感じ、晴れ間のある西側平野部へ出た選手は、悠々と雲底まで上げ切っているのですが、白鷹山に執着した選手は、皆さんランディングを・・・。明暗を分けました。









N2Lのトップ選手が次々とファイナルグライドするのを見送りながら、寒風山向田選手、Coo山本選手と八方尾根黒木選手は沖の晴れ間で何とか生き残り、最終レグへ。PCLでは唯一、KPS中島選手が至福のファイナルグライドへ。パレス松風を超えたファイナルグライドは、移動したコンバージェンスで上がり続け、ゴールで500m以上高度が余ったそうです。

最終パイロンを残してゴールできなかった選手も多く、もう少しだったのに!と悔しそうな選手にも笑顔が。ゴールできた選手もできなかった選手も、最高のコンディションに挑戦し、白鷹の空を楽しんでいただけたようです。






やっぱり良いレースができた夜のパーティは盛り上がります。見事ゴールを達成された選手は壇上で一言!特にN2L初ゴールの向田選手、黒木選手、山本選手は本当に嬉しそう。皆さん、おめでとうございました。笑顔の懇親会で、秋の夜長は更けていきます。


21日(日)
今日も快晴の朝です。移動性高気圧はさらに押し進み、昨日よりも安定した大気予報。サーマルトップ予報は1700mと低めながら、昨日の様なオーバーキャストの可能性は低いとの読みです。さあどうなる!?






タスクミッティは、両リーグ昨日とほぼ同じのリベンジタスクを設定。PCLは全員に9kmのファイナルグライドを経験してただこうと、周回数を減らしたショートタスクとされました。もちろん、今日もRaceToGoalです!




昨日よりも早くブローは上がり始め、11:20にウインドオープン。途中北風が入るタイミングはありましたが、第3テイクオフもオープンしていただき、選手はスムーズに空中へ!12:00のエアスタートには、昨日以上に選手が集まりました。慣れている選手はシリンダー風上の北側からアプローチ。一斉に新山平へGO!PCL選手も多くいます。いつもRaceのスタートはエキサイティングです。





今日もN2L選手がレースを牽引していきます。今日も白鷹山周辺は積雲がたっぷり・・・。雲底下は強い吸い上げリフトで回さなくてもドンドン上がっていくのですが、低いところはちょっと渋め・・・。これは低く走っては昨日と同じパターンになりそう。そんな心配も何のその、選手は前半のガンガンモードで低く突っ込んでタスクをクリアーしていきます。そして、PCLのトップ選手は、至福のファイナルグライドヘと突入。はるか荒砥ゴール方向へ消えていきます。






このまま順調に終わるかと思われましたが、13:00ごろから恐れていたオーバーキャスト発生。エリア周辺はやっぱり渋いコンディションに・・・。次々とランディングしていく選手を横目に、昨日の教訓どおり、沖出しをして生き残る選手もいました。N2Lの黒木選手とPCL地元白鷹の松田選手です。なんと松田選手は、日照を求め、はるか北西の豚小屋パイロン近くの雲底でコンディションの好転を待ちます。そして、再度エリア内が晴れてきたころに無事帰還。ゴールはできなかったものの、驚異の粘りを見せ健闘しました。低く突っ込んだN2L選手はほぼ撃沈・・・。生き残った黒木選手がしっかり距離を延ばし本日のN2Lトップとなったのです。

今日もエリア周辺のオーバーキャストに翻弄されたタスクとなりましたが、PCLで4名の方が見事ゴールを決めました。今回初PCL参戦である宇都宮の田村選手は初ゴール!おめでとうございます。





総合成績は、N2Lはウイングキッス星田選手が貫録の優勝!そして、PCLは2日間ともにトップゴールだったKPS中島さんの完全優勝となりました。2日間大きなトラブルもなく、ガッチリ飛べた白鷹エリアでしたが、これが本当の白鷹のポテンシャルなのです。参加していただいた選手の皆さんは、白鷹の良いイメージを持っていただけたことでしょう。












地元白鷹クラブ、そして大会ごとに駆けつけていただいたスタッフの皆さんへの恩返しも、良いタスクが成立し、満足していただいた選手の笑顔が一番だと感じました。PNLは置賜盆地を最大限に使ったビックタスク。そしてN2L,PCLはみんながゴールできる達成感のある荒砥ゴールタスク。また来年も白鷹でお会いしましょう。



ジャム勝・サマーカップ2014大会レポート

レポート:初日 藤野光一(副競技委員長)

連続して成立していたジャム勝山の大会は、遂に昨年天候に勝てず不成立となってしまいました。悪天予報を覆して成立のジンクスも一旦途切れてしまった訳ですが、何故か今年もテンションの上がらない天気予報の中、ジャム勝サマーカップ2014当日を迎えたのです。
 太平洋側に停滞する秋雨前線と日本海側をゆっくり移動する気圧の谷によって、北陸地方の東側は所々強い雨に見舞われる中、ここ勝山は意外にも太陽も顔を出す天候。当初予想よりも気象状況は好転している模様。今大会は、チャレンジリーグの日本グランプリに加えて、獅子吼から持ち越しとなったN2リーグの日本グランプリでもあり、さらに付け加えるならば昨年の不成立によりチャレンジリーグの日本グランプリ者は現時点で不在なのです。そう言った状況からも、毎回競技委員長を務める鈴村氏の代理として初日の競技委員長を務めることになった私(藤野)は成立に向けた強い決意で臨むことになったのです。

フォトアルバムもご覧ください。

【1日目】

 8時開始の受付。いつもの様に福井大学の学生諸君がスタッフとして選手を迎えてくれます。気象予報では十分競技が出来ると判断し、受付後はTOへ移動しての開会式。通常の日本グランプリ大会であれば、前年度グランプリ覇者からのカップ返還とレプリカの贈呈が行われるところですが、前述したとおり2013年のチャレンジリーグは日本グランプリ者が不在。よって、開会式は滞りなく終了しジェネラルブリーフィングへと進みます。ここでは、両リーグともに日本グランプリの成立要件の確認と、ルール上のペナルティなどを改めて確認するとともに、本日の気象状況を説明して選手の士気を高めます。

 タスクコミッティーと本日のタスクを協議します。N2リーグではあまり難易度を上げないものの、テクニカルな部分も残した沖だけのアウトアンドリターンを含めた23Km程度のものを提示。チャレンジリーグもテイクオフ後方のファンタジーレストハウスを起点としたアウトアンドリターンの17Km程度のものを提示。今日のコンディションとムードならば十分成立出来ると判断しました。気になる降水の予測では、昼以降にその可能性が見受けられることから、なるべく早い展開での競技開始を目論んで早めにタスクブリーフィングを行ってのタスク発表。ダミーを飛ばして状況を確認するが、テイクオフ後方に発達した積雲によってジャムのある台地全体の日射を奪われてしまいウェイティングとなりました。1時間程度待った12時前、なかなか衰退しない積雲は今後も状況に大きな変化がないと判断し、「まずは競技を成立させる」ことを最優先としてN2リーグ、チャレンジリーグ共12時20分にウィンドウオープン。デパーチャーも同時刻にオープンするエラップスタイムレースとしました。条件による運の要素は否定出来ませんが、過去の経験から待ち過ぎによる手遅れになることを避けるため、大会運営側と選手との「競技を成立させる」と言う意思統一を行うことによって、選手自身に競技を作ってもらうことに期待することにしました。


 ウィンドウオープンの12時20分には、タイミングを計ったかのように台地やテイクオフにも日射が戻ってきました。次々と選手が競技に向けて飛び立ち、徐々にレースが進行して行きました。しかし、サーマルは30分しか続かず最初に出た選手達は力尽きてランディングしてしまいました。まだ1本目の選手がテイクオフしていない中、リフライトの選手が再びテイクオフに到着した頃から状況に変化が現れます。テイクオフ後方の雲は相変わらずですが、太陽が南に移動したことで台地の日射が再び復活。もとより減率のい良い気象条件も手伝って急速にコンディションが好転。ようやくレースがスタートしました。

 13時30分以降はジャム勝エリアのかなりの空域で強い吸い上げ条件となり、雲を有効に利用しつつも雲中飛行にならない様に機体をコントロールしてタスクをこなす条件へと推移します。アクセルを踏んでも翼端を折っても雲に引き込まれてしまう中、ある者はスパイラルで下降するも高度を落としすぎて脱落、またある者は絶妙な見切りと機体コントロールで雲を使い切ってタスクをこなす。隙間のコンディションに当たってしまった者は、諦めずにリフライトで再び空中に飛び出す。「ゴールを目指す=競技を成立させる」と言う強い意志を共有した選手達は果敢にフライトを続け、15時以降からやや強まった北風に流されるサーマルに苦労しながらも、まさに地に足が着くまでフライトを続けてくれました。

 N2リーグはオープンクラス2名、N2クラス1名の3名が見事にゴールメイク。No.8薬師寺選手は15時13分にゴール。No.54岡本選手はN2クラスただ一人のゴールメイク。岡本選手と僅差でゴールはオープンクラスのNo.13矢野選手でした。
 チャレンジリーグは4名がゴールメイク。トップはNo.541東選手。2位には女性トップのNo.527横堀選手。3位はNo.509中島選手。4位はNo.524清水選手でした。
ゴールした選手のみなさん、おめでとうございます。チャレンジリーグは1名以上のゴール者要件を満たして日本グランプリが無事成立。N2リーグはタスクバリディティが0.67となり、残念ながら明日の成立に期待することになりました。

 18時から開催されたウェルカムパーティーでは、飛べた喜びと競技成立の喜びに浸る選手、スタッフの笑顔がたくさんありました。かくいう私(藤野)もとりあえず初日の大役を無事に終えることが出来たことと、チャレンジリーグの日本グランプリを成立出来た安堵感で一杯でした。選手のみなさんの頑張りに本当に感謝です。ありがとうございます。
パーティの様子はこちらから
これで明日は正式な?競技委員長の鈴村さんにバトンを渡すことが出来ます。明日も基本的には今日と大きく違わない気象予報。選手のみなさんには気を抜かないように注意を促して本日の任務を終えることにいたします。

【二日目】
レポート 鈴村恵司(競技委員長)※変則的なリレーレポートとなります。


明けて31日の朝。曇り、薄日あり。テイクオフ周りは雲にまかれている。もとよりどっちつかずの天気だとはわかっているものの、初日トップの岡本選手の心境たるや、いかばかりか。


ウェザー予報は、初日と非常に似通っているものの、午後早めに曇ってしまうとの情報。タスクをN2リーグは少し簡単にして、チャレンジリーグは初日と同一、1/3ほどいたボムアウト(ミニマム距離以下のフライト距離)の選手にリベンジの機会が与えられた。



11:20ウィンドゥオープン。ウインドダミーは、なんとか浮いているぐらいのコンディションであるが、早めの好転を期待して続々テイクオフ。
十数名が飛び立ったのちに、やはり、コンディションは“タレ”てしまう。結果としてファーストアプローチ組は全員リフライトとなった。

11:40のちょい前にコンディションがやや復活、ここぞとばかりにセカンドアプローチが始まる。このセカンドアプローチ組も12:00前後には少しコンディションが落ちた。しかし、そこを乗り切った関根選手が結果的に単独ゴールを決めることなる。
「無理せずに時間をかけて高い高度を稼がない限り移動をかけない」セオリーはわかっている。しかし、それでリフトのある時間帯が終わってしまってはゴールは出来ない。選択にまよう。多くの選手がD92テイクオフからB37砂防ダムへの移動をダイレクトで行うなか、一旦、テイク前方のリフト帯で上げきってから砂防ダムをとる道を選んだ関根選手が唯一無二の正解を手に入れることとなった。



2014シーズン、COOのスプリングカップではタスク1:11位、タスク2:6位。栂池では22位ながら獅子吼では10位、そして昨日の勝山タスク1は4位。
この人、今年に入って調子を上げ、成績の出し方がわかって来ているという雰囲気だ。
関根選手のゴールは12:52。小雨がパラツキ出し、雨のカーテンが迫ってきたためタスクストップしたのが12:58.まさにチャンスを最大限に活かしたフライトとなった。
リフライト組も十分なリフトの中、早いスピードでタスクをこなし、タスクストップまでに多くの選手がフライト距離を稼いだことからタスクバリディティは上がり、関根選手は716点を手に入れた。二日間の総得点が1000点を越え総合1位の関根選手は逆転で見事、N2日本グランプリチャンピオンに輝いた。
女子のN2日本グランプリチャンピオンは星田苗月選手。二日目では麻生選手に上をいかれたが、初日のアドバンテージが効いた。
EN-C以下クラスは初日の成績が効いて陳選手が優勝。今となっては知る人ぞ知るという域の選手であるが、今後もEN-Bグライダーで活躍してしまいそうだ。
また、オープンクラスまで含めると薬師寺選手が二日間安定した成績で大会全体の一位を得ている。


栄誉に輝いた皆さんの様子はこちら


チャレンジリーグでは波乱は起きなかった。サードアプローチ組といえる11:50前後のスタート組にいた東選手はフライト時間51分でゴール。しかし、ファーストアプローチで早々にランディングし、リフライトでデパーチャークローズ時刻前の12時過ぎに“リ”スタートした選手達の方がフライト時間は短かった。むしろ遅くスタートするほどコンディションが良くなっていったことが各選手のフライト時間から読みとれる。(デーパーチャークローズ時刻12:20過ぎにスタートし、フライト時間が実際より長く記録されるにも係わらず、トップの吉田選手は29分を切る最速タイムを叩き出している。)
チャレンジTASK2
それでも、しっかりゴールし得点を確保した東選手に、横堀選手、中嶋選手が逆転することはなく、東選手がチャレンジリーグ日本グランプリチャンピオンとなった。女子は総合でも2位の横堀選手、文句なしの女子チャンピオンである。


大会を終えた翌日、雨模様となった9月1日は、8月32日ではなく、すっかり秋の気配が感じられる9月であった。おそらく多くのフライヤーが欲求不満に感じた2014年の夏は終わったようだ。次は9月第3週の白鷹エリア。選手は、ほぼ間違いなく秋のコンディションに迎えられることになる。トリッキーな夏コンディションに悩まされた選手の皆さん、リベンジの機会です。