選手のみなさまへ

2015年シーズンのリーグ登録、大会受付を開始いたしました。 リーグ登録がお済みでない方は、JPAのホームページより登録手続きをお願いいたします。

また、2015年シーズンからは各大会において「LiveTracking」を実施する予定です。 当面の間は、既存の仕組みとの併用により「LiveTracking」の問題点や有効性などを検証することになりますので、あくまで「選手ご自身の意思」によってご協力をいただくかたちとなります。

選手のみなさまには、

「より安全で有意義な仕組みを選手とともに作り上げる」

と言う趣旨にぜひともご賛同いただき、「LiveTracking」の準備をお願いするとともに、大会参加時にはご協力をお願いいたします。

なお、「LiveTracking」を行うにあたり、以下のサイトを参考に準備を進めて下さい。

LiveTrackの参考サイト

以上、よろしくお願いいたします。


四国三郎ジャパンカップ2014


                レポート   扇澤 郁


日本3大暴れ川の一本とされ四国三郎の異名を持つ吉野川は徳島県を西から東に流れ、ヨーロッパで見受けられるようなクロスカントリー飛行に最適なロケーションを我々に与えてくれている。離陸場の在る三頭山は、讃岐山脈の最高峰竜王山を分けて流れ込む北風、そして吉野川に沿って吹く山谷風が集まり、ソアリングスポーツに不可欠な上昇気流の宝庫と言える。JPAが開催時期を11月に設定しているのは、四国三郎の異名のごとく春先は風も暴れすさまじいサーマルが発生し、穏やかな大会が望めないからである。三頭山では毎年この時期ナショナルリーグの最終戦として勝者を決めるのにふさわしいレースが開催されてきたが、今年も3本のタスクが成立し、風を読み上昇気流を捉えてゴールを目指すソアリングスポーツの醍醐味を存分に味わえた大会となった。




11月22日大会初日(サーマルの中だるみを生き残れるか)



タスクコミッティーからは谷あいの逆転層が強くコンディションは渋めということで、スタンダードなアウト&リターンで29.4kmのエラップスタイムレースが発表された。11:50にゲートが開き真っ先に空中へ飛び出したのは、2014JPAナショナルリーグで表彰台を狙える位置にいる藤川選手、ワールドカップを転戦し久しぶりにJPAナショナルリーグで飛ぶ廣川選手、スーパーファイナル帰りの青木選手等ワールドカッパー達だ。この時、過去10年以上この三頭山で大会を主催しコンディションを肌で感じ取ることのできるJMB四国代表の高木選手、このエリアにめっぽう強い只野選手、ほぼリーグ優勝を手中にしている大沢選手、そしてこの大会3本点数をまとめてリーグ戦上位に食い込みたい私等、熟練組は空を眺めながらコンディションの好転を待っていた。そしてサーマルの中休が終わり12:20頃からサーマル活動が活発になり始めデパーチャーオープン時間に誰一人間に合うことなくタスク1がスタートした。







13:00デパーチャークローズ10分前に高度900mで先行したのは、もみじ温泉から3kmのスタートラインまで最初に谷渡りをした組の中で生き残った大沢選手、高木選手、隅選手。そして先行した組の動向を観察しながらデパーチャークローズ時間まで待ち、高度1300mとサーマル活動が活発化してきたところで私、竹尾選手、高杉選手、そして山周りでスタートラインにいた正木選手が先行組を追いかけるかたちでスタートを切った。スタート直後さらにサーマル活動は活発となり、北風をついて稜線まで戻った私は1600mのクラウドベースをゲットし、半ば勝利を確信しフルスピードでセカンドターンポイントへ向かう。しかし、三角点のターンポイントをリターンしたころから西の空に中層の雲が張り出してき来るのが見えたと思ったらすぐにエリア全体がシャドーとなりサーマルが乏しくなりかけてきた。速度を出し過ぎた私高度を保てなくスタックする。その中でもあせらず順調に駒を進めていった大沢選手が高杉選手を12分抑えて渋くなる前にさすがのゴールを決める。扇澤、竹尾選手、隅選手、高木選手、正木選手は高度を稼ぎ切れずにファイナルグライドにはいり万事休す。その時間帯はサーマル活動が乏しく、限られたサーマルポイントから外れていた選手はほぼ着陸を余儀なくされたが、山林の中にたまった熱気にしがみつき生き残った只野選手、廣川選手、藤川選手が、日照が戻りクラウドベースが1800mまで達するコンディションまで耐え切り至福のゴールを決めることになった。女子は星田選手が18kmの距離を飛び、2位の岡本選手、3位の水沼選手を1歩リードしてこの日を終えた。




11月23日(四国三郎ベストコンディション)





三頭山テイクオフには東か西か迷うようなどっちつかずの風が吹いてきた。これは北風ベース良好なサーマルコンディションの時に起きる現象だ。そのような難し環境でも、サポーターの手際のよい動きでテイクオフは順調に進み、良好な上昇気流は選手たちをもれなく1500mのクラウドベースまで運んでくれた。選手は最高のコンディションの中、もみじ温泉の3000mシリンダーにセットされたスタートラインを、ベストなポジションとタイミングでカットするために翻弄する。そしてレース開始時刻11:50スタートラインに一番近い1,500mのクラウドベースから隅選手、廣川絵美選手、青木選手等が抜群のスタートを切った。リーグ戦上位進出のためどうしても950点以上の得点がほしい藤川選手は、お互いに相手をベンチマークと思っている廣川選手と一緒にサーマルのサイクルを外してしまい、若干遅れてスタートを切る。私、大沢選手、水沼選手はファーストレグが追い風となる山周りコースで低いながらもスタートを切り混戦模様のレースがスタートした。




発表されたアウト&リターン47.2kmのタスクは四国三郎らしい良好なコンディションではいかに早く飛ぶかがキーとなる。速く飛ぶコツは、主稜線の形状、支尾根の角度と傾斜、入り組んだ谷の形状、太陽の位置と日射の差し込み具合、山谷風の変化などから風がぶつかって盛り上がっているコンバージェンスラインの発生位置を三次元空間の中で想像し、ラインを外さないで飛ぶことだ。もちろんスピードバーは高度を損失しないのならできるだけ踏んでいく必要がある。




昨日のミスを挽回するために是非他を引き離して1000点を取りたい私は、他の選手から見れば無謀と思われる先行逃げ切りの直線コースをとった。ベストポジションからスタートした隅選手たちは、私の動向を確認しながら余裕の高さで追従。昨日トップの大沢選手は確実なラインを取るために山周りコースを取る。そして、出遅れた藤川、廣川コンビは後ろから前の選手の様子を見ながら可視化されたコンバージェンスラインをフルスピードで追従する形でレースが進む。私は、ファイナルグライドに入りたい高さ1200mを目安に速度を調整した。それ以上にも以下にもならないようにファイナルグライドに入りたいからだ。自分に言い聞かせる言葉は「回さないぞ」の一言だ。しかし、レース序盤鳥小屋ターンポイントを取るときに、あまりにも直線的に狙いすぎたため北風の吹き降ろしにつかまり高度ロス。痛恨のミスにも思えたが、ターンポイントを取った後その吹き降ろしの谷風が拡散するところまでひるむことなくグライドし、三角点尾根突端高度400mから良好なサーマルを捉え1200mまで上昇しグライドに入る。その後は、順調にコンバージェンスラインにのり予定通り1200mでファイナルグライドに入るまで6回のセンターリングのみでファイナルターン。フルスピードでゴールへ向かいアベレージ37.41km/hでトップゴールを決める会心のレースとなる。2番手でゴールへグライドしたのは、速度を保って飛ぶ技術を持つ藤川・廣川コンビが前にいた選手全員を抜き去り実力のあるところを見せた。その後も選手は続々とゴールを決め、吉野川エリアの素晴らしさを感じ取りながらファイナルグライドを楽しんだ。


総合成績は、無難にゴールを決めた大沢選手が1位、2位にはこの日1000点を獲得した扇澤、3位、4位に廣川、藤川コンビが入りここまでが3日目を残し表彰台の真ん中を狙える位置に顔を並べた。


女子は好スタートを切った廣川絵美選手、水沼選手をはじめ参加選手全員がゴールし、2日目を終えた。総合順位は混戦となり、岡本選手、廣川選手が同率1位、水沼選手が僅差で3位の好位置をキープし最終日を迎えることになる。



11月24日(激渋コンディション)


昨日のタスクで、JPAのナショナルリーグタスク成立本数が8本以上となり、得点に計上できるタスク本数が4本となったため、最終日の結果を待たずして大沢選手の年間総合優勝が決定した。トップ3に食い込みたい、藤川選手は昨日上位でゴールするもその得点を計上することができず、やはりトップ3圏内にいる地元稲見選手とともに最終タスクで950点以上の得点を取りたいところだった。


渋めのコンディションの中設定されたタスクは、7000m、2500mのビッグシリンダー用い、コース取りに選択肢がありテクニカルで、選手の能力が問われる最終タスクとしてふさわしいものと思えた。1年間リーグ戦を追いかけていた選手たちにとってこの大会は慰労の為のツアーでもあり、選手は各々の思いで最終タスクに臨んでいったにちがいない。


真っ先にテイクオフしていった選手達は午前中のサーマルで上昇し大地の上のサーマルを狙いにいくしかし残念なことに思いもかけなかった高層雲が太陽を覆いはじめサーマル活動がほとんどなくなってしまう。その中でも何とか日差しが戻るまで、選手たちは頑張り続けるがかすかなサーマル活動を打ち消すように低い逆転層の下を湿った海風がエリアまで侵入してしまい、着陸を余儀なくされてしまう残念な結果となった。



2015四国ジャパンカップの優勝は、本年度5大会に出場し3大会優勝と安定した飛びを見せた大沢選手、準優勝はずば抜けて速い飛びをすることもあるが、ミスの多い扇澤、3位にパラグライダーを始めた時から世界一になる夢を追いかけ続けている廣川選手となった。女子優勝は、夫婦で世界を追いかけている廣川絵美選手とやはり夫婦で大会を追いかけている岡本選手、そして安定した飛びを見せる水沼選手が3位となり幕を閉じた。



四国ジャパンカップ2014 総合成績




四国ジャパンカップ2014 女子総合順位





JPAナショナルリーグ2014
総合優勝 大澤行英
準優勝  高杉慎吾
第3位  隅秀敏
JPAナショナルリーグ2014女子
優勝   水沼典子
準優勝  吉川朋子
第3位  岡本洋子






パラグライダーの大会は、参加選手の代表がその日のタスクを決め、安全確実にできるだけ速くゴールへ到達することを競います。風を読むことは奥が深く、その日トップでゴールをしても、その飛びがベストであったかどうかはわかりません。しかし、選手全員が同じ目的でフライトすることで、一人では見えない風、読めない風が少しずつわかるようになってきます。そして、風を読めるようになることで安全にパラグライダーを楽しめるのだと思っています。この場をお借りして、一緒に飛んでいただいた選手の方々にお礼を申し上げます。そして、この素晴らしいエリアを管理していただいている美馬スポーツ協会の皆様、大会を開催していただいた四国三郎ジャパンカップ実行委員会の皆様、スタッフとしてご協力いただいたトントントンビパラグライダースクール、バーズパラグライダースクール、浜名湖パラグライダースクール、JMB四国パラグライダースクール、TAKパラグライダースクール、エアーパークCOOの皆様に感謝します。そして、これからも皆様と一緒に末永くパラグライダーを楽しんでいければと思います。

ありがとうございました。



宇都宮 Open Cup 2014


レポート 水沼典子
11月8日
 宇都宮の大会成立記録をまた今年から更新し続けるぞ~、と準備をしてきた今大会。週間天気予報は例によって刻々と変わっていくので気をもみます。そして迎えた初日は、青空の朝!

しかし、選手全員がテイクオフに上がった頃から南の方から徐々に雲の列が近づいてくるのがはっきりと見て取れます。それが来てしまったらサーマルはあまり期待できそうにありません。何とかみんながゴールするまで陽射しが持ってくれないかな。と、早め早めの展開で開会式もそこそこに、タスクはN2・チャレンジともエリア内は同じパイロンを周回し、チャレンジはメインランディングゴールの20.3km、 N2はその後今年から新設した北の大桑ゴールまでの34.3kmに決定し、10時15分ゲートオープン。




ゲートオープンと同時に次々と選手はテイクオフしていきます。しかし、時間も早いのでスティはできても獲得高度はせいぜい200m前後。しかもそれだけ上がれば良い方で、リフトは間欠的。




少し移動したり、沖のパイロンを取りに行ったりしたらあっという間に高度はなくなりランディングへ吸い込まれていきます。そうこうしているうちにすぐそこまで雲の列が迫ってきてリフトも弱弱しくなってきている…。




で、ゲートオープンから1時間くらいで一度全員が降りてしまい、半分以上の選手がリフライトに上がって行きましたが、12時前には無情にもあたり一面を雲が覆ってしまい、その後コンディションが回復することはありませんでした。


そして、ほとんどの選手が周回できずにランディングしてしまいましたので、気になるのは大会として成立するかどうか、というところ。この1本のフライトが成立することによってN2リーグは年間ランキングに計上される本数が3本から4本に変わり、順位もシャッフルされることになるようですが、はたして、結果は…?



なんと、N2はオープンクラス№7隅選手のみが6.5km(シリンダー間の実質フライト距離)をフライトしミニマムクリアーで成立、チャレンジは№517関根睦選手が唯一7.8km(GPSの距離)のフライトでダントツトップ、こちらもミニマムクリアー、成立です!今日は両リーグ合わせてミニマムをクリアーしたのはこのお二人だけでした。




ランディング場ではちょっとフライトに物足りなさを感じている選手のために、猪の丸焼き(今年は80㎏の巨体でした)や熊鍋、水餃子、石焼いもなどなどがふるまわれ、曇ってきて少し肌寒くなった体を温めていただきました。


そして18時からのウェルカムパーティではファイナル恒例、競技事業部鈴村氏による今年のリーグ戦を振り返っての総括や、ユニークな「○○王」の表彰が行われ、たくさんの方に表彰状が贈られ楽しい時間を過ごしました。鈴村さん、いつもありがとうございます!





11月9日
昨夜までもしかしたらフライトの可能性があるかも?と期待しておりましたが、朝起きてみるとやっぱり曇り空。そして時間とともに雨雲も接近してくる予報のため早々に本日のタスクはキャンセル決定、9時から閉会式&表彰式を行いました。

N2は隅選手がミニマムをクリアーしたものの点数は全員2点になってしまい順位がついておりませんでしたが、フライト距離で順位をつけ、宇都宮OPEN CUPとして表彰させていただきました。チャレンジは睦選手が文句なし総合&女子優勝です。皆様おめでとうございます!






その後、年間のリーグ表彰が行われ2014年のN2・チャレンジリーグは無事終了となりました。







大会開催にあたり、快くご協力いただきましたスタッフの皆様、JPA役員の皆様、エリアの皆様、いつも本当にどうもありがとうございます。
来年はチャレンジクラスの楽しい大会を開催する予定です。皆様のご参加をお待ちしております!



高嶺カップ 2014

レポート:鈴村 恵司(競技委員長)
フォトアルバムはこちら
【初日】

結果的には全員がゴール出来るようなコンディションにはならなかった。ゆえに15:00ごろのランディングは悔しそうな顔をしている選手の方が多い。でも多く選手の会話に中の「でも紅葉がきれいだったね。」という言葉は単に自分を慰めているだけというわけではなさそうだった。
地元のフライヤーですら「高嶺(たかね)の紅葉ってこんなにきれいだったっけ」というぐらいに、この日の高嶺山近辺の山々が紅葉により例年よりずっと鮮やかな赤色を湛えていたのは事実だ。




そんな紅葉の上を飛ぶタスクの設定は、N2リーグが44km、チャレンジリーグは28km、ちょっと長めの距離だ。(但しN2タスクのWP、B12の平谷ゴルフ場は800mシリンダーで実フライト距離36kmほどである。)どちらも高嶺山頂側の三角パイロンを周回した後に国道を西から東に横切り、ランディング側の三角パイロンを周回する設定である。

【N2リーグ】
D21→B25→B04→B03→B12→B04→B03→B12 →B04→B03→B12→B04→B03→B09→B18→B05→B09→B18→A42
【チャレンジリーグ】
D21→B25→B04→B28→B25→B04→B28→B09→B18→B05→B09→B18→A42

(快晴、風も強くない。サーマルトップも2000mを越える予報。1500m以上の減率がそんなに高くないことは判っていたけど、ちょっと無理してみたくなるじゃないか。)




11:30、N2リーグのウインドゥオープン直後の高嶺側のコンディションは“ややシブ”、強いサーマルを探してさまよう選手からはため息が聞こえそうだ。とは言え、探せばどこかにはリフトがあり、時に高層雲に弱められるとはいえ我慢していればじわじわと高度を稼ぐことも出来る。
そうして、まずはチャレンジリーグの選手達が高嶺側三角パイロン2周を終えランディング側へ移動し始める。(チャレンジ選手の80%以上が山側2周回をクリアしていた。)N2選手も時間はかけながらも高嶺側の4周(ゴルフ場3回!)をこなしランディング側へ随時移動し始める。(N2も半分以上が山側3周をクリア。)








そしてランディング周りが生き残りレースとなった。通常はむしろ高嶺側より安定しているランディング側がおそらくは風向き違いなどでリフトの発生時間帯が大幅に遅れてしまったのだ。
デパーチャーオープンが30分遅いとはいえ、短く周回数も少ないチャレンジリーグ選手は12時40分過ぎには早めにランディング向かっている。ゆえに、その殆どがランディング側三角を周回できずに終わる。唯一、地元の利を活かした(のかどうか?)河井選手だけが24kmまで距離を伸ばした。とは言えゴール者なし。タスクセッターは(筆者です。)大反省すべきだ。すいません。
N2リーグはゴール者が8名出た。メンター3の黒木選手もゴールしている。ランディング脇にある東方子(トーホーシって呼んでます)という小山からのサーマルは1時半近くになってやっと本来の調子が出てきた。その時点で空中にいた選手、或いは遅れて入ってきた選手はゴール出来たようだ。


リザルトはこちら


リードアウトポイントがついた選手をリードアウトポイント順に並べかえると上の表になる。
ゴールレースだから、この順番がおそらくランディング方面に移動した順に近いと想像できる。
星田選手、薬師寺選手は早めにランディング方面に入ってもなんとか粘ってタスクをコンプリート。それ以外の早めの移動の選手はランディング。リフトが盛り返し始めた当たりで田前(英)選手や麻生選手らが入ってきたのではないか。黒木選手はゆっくり確実の移動が、ランディング周りのコンディション好転とタイミングが合ったのではないか。
N2リーグは、呑村選手がトップ。おそらくランディング側でまくってフライト時間を短縮したことが効いている。ゴール順は薬師寺選手に次ぐ2番目のほぼ2時ジャスト。オープン参加の薬師寺選手はそれより3分早くゴールして全体でのトップになっている。

薬師寺選手はゴール後に高嶺側に戻りテイクオフのスタッフに手を振っていた。北東方向に南アルプスの向こうに富士山を見た人もいる。また、そこで起きた悲劇に哀悼の意を持ちつつも、見つけられたことのうれしさから複雑な気持ちで御嶽山の噴煙を見た選手もいる。そして、すべての選手が紅葉を楽しんだ。飛びガイがあったと何名かの選手の言葉が聞けた。タスク設定をしくじった競技委員長としては救われる言葉だ。

平谷村が誇る(?)温泉「ひまわりの湯」を味わってから集まった選手交流会の開始は18:00。鍋を囲んで、今日のフライト談議が始まる。
今日の成績上位者を讃えたあとは、「空ともパラグライダースクール」と「浜名湖パラグライダースクール」混成メンバーでのパフォーマンス。交流会は最大の盛り上がりを見せる。明日の予報は、曇りだったり、一時雨だったりとあまり芳しくはない。まぁ明日は明日。今日は楽しかった。今も楽しい。それで良いといったところだ。
交流会の様子はこちらから








【二日目】

となり村の浪合村は、全国で一番「星空の観測に適した場所」だそうな。当然、平谷村の星空もきれいだ。この夜、午前3時過ぎまではきれいな星空が続いていたそうだ。
しかし、朝起きた選手達を待っていたのは曇天の空。ここから先、レポートすべき内容はあまりない。もしかしたらの可能性を探して定刻通りにテイクオフに移動、どちらかといえばフライダウンの為のダミーを出した時点で霧雨のカーテンが平谷村を通り抜け、下山決定。




その時点では雨が上がっていて表彰式が屋外で開催出来たのは救いだった。表彰台に登れることを素直に喜ぶ選手達の中で、チャレンジリーグ総合優勝の河井選手のいかにも不慣れで落ち着かない様子が印象的だった。
これで宇都宮ファイナルへの招待選手や優待選手も決定した。年間チャンピオン争いも大詰めである。

「来年も開催することが出来たら、ぜひ参加お願いします。」主催者、実行委員長の片桐さんのしめの挨拶。ちょっと中途半端な案内だったがきっと来年も開催される。
来年はもう噴煙を吐かなくなった御嶽山が見られるだろう。当然、富士山は健在だろうし、高嶺山の紅葉もきっときれいに違いない。村全体がフライトエリアといったコンパクトな環境の中に大きな温泉施設もある。空ともPGSのパフォーマンスも恒例となっているかも知れない。
TO1570mhの日本屈指の山岳フライトエリア。競技フライトに最適とは言いにくい環境ではあるが飛び応えは保証出来ます。おそらく普段のフライトとは違う世界を味わうことが出来ます。皆様、来年、ぜひご参加を。

大会運営をサポートして頂いた開催エリアの「JMB中部パラグライダースクールとんびいず」の皆さん、愛知県から駆け付けてくれた「空ともパラグライダースクール」の皆さん、「浜名湖パラグライダースクール」の方もサポートしてくれました。ありがとうございました。



白馬八方尾根Japan Cup 大会レポート

レポート:小宮山亜希子


上部では紅葉が色づき、紅葉祭りも行われている八方尾根ですが、大型台風18号が近づき白馬ジャンプ台のすぐ上まで雲の中という朝、「PNL第5戦白馬八方尾根Japan cup」は初日を迎えました。

それでも初日はなんとか競技できるコンディションで飛べるのではという予報と、過去八方でこの時期に行われた大会はすべて成立しているという実績を信じ、選手の方々も期待しながら朝の時間を過ごしておられました。


4日(大会1日目)

8:00より、受付開始。受付を済ませた選手は順次テイクオフへ。


 この時期の週末のテイクオフへ向かうゴンドラ乗り場は、紅葉を見にくるお客さんでいつも長い列なのですが、やはり台風の影響もあるのかスムーズに乗ることができました。まだこの時間は雲底は低く、ゴンドラの途中からどんどん雲の中へ入っていきました。

テイクオフも完全に雲中でまっ白でしたが、9:30より開会式。
前堀実行委員長よりあいさつ、清水競技委員長より八方は朝から北風が入っていると、日中はさらに強くなりやすいことが多いので、予報をみながらタスクを決めていきたいという天候のこと、タスクコミッティの紹介、ローカルルールの説明等がありました。そのままジェネラルブリーフィングがあり、10:00より2回目のブリーフィング。この頃には、雲底もあがってきて白馬の街が見え隠れ。ですが、下層の風が平均5mくらいで強めなので、様子を見る事に。




10:15より、もう一度ブリーフィング。本日のタスクが発表されました。




D73(八方テイク)テイクオフ → B28(月夜棚山頂)スタート4000m Enter 
 →B28→B18→B28→B18→B28→B18
   ESS 1000m(A58に対して)
→ゴールA58(さのさかゴール)400シリンダー
28km ミニマム5kmのエラップスタイムレースです。

11:00、白馬の街の景色はクリアに見えているのですが、下層の風速がおさまらず
中々ダミーもテイクオフ出来ません。
その頃八方のランディングでは、マックスで6~7mの風が吹いていました。




11:15頃、風が少し弱まったタイミングで1人目のダミーがテイクオフ。すべてのダミーがテイクオフし上りをみて、11:30にウィンドオープンする事が発表されました。

11:30いよいよウィンドオープン。

選手の皆さんが次々テイクオフしていきました。テイクオフは風が弱く、時折フォローになるときもあり苦労する場面もありましたが、雲が晴れた白馬の空に色とりどりの機体が飛ぶ様子は、何度見ても圧巻です。






今回はウィンドオープンタイムがそのままデパーチャーオープンだったので、テイクオフして八方で上がった人はどんどん五竜に渡りスタートして行きました。なので、フライト中に順位を把握することは難しくリザルトを見るまで分からないという状況でした。

最初にスタートしていった選手達は渋いコンディションに苦しみながら、セカンドグループは徐々に上がった八方の雲底につけて高くスタート。その後下層の北風が強くなり競技委員長がレース続行を悩む中、その風のおかげで上空のコンディションは好転。渋かった時間帯を乗り切った選手達は次々とゴール。今回のレース展開はシンプルでした。

結果、38名の選手が本日ゴールされました。おめでとうございます。 








16:00より大会本部前でレセプションが行われ、本日の結果発表などが実行委員長、JPA競技事業部鈴村氏よりありました。選手の皆さんには、温かいカレーやお料理が振る舞われ、台風が近づく明日のお天気を心配しながらも、リラックスした雰囲気で本日のレースを振り返っておられるようでした。






5日(大会2日目)


昨夜から雨が降り続き、薄暗い朝。
予報を見ても、天候の回復は見込めないとし、早々に競技キャンセルが発表されました。



そして今大会のリザルトが発表され、9:00より閉会式になりました。

実行委員長のあいさつ、そして白馬八方尾根の大会では、富山の美味しい新米とステンドグラスがランプになった素敵なトロフィーが入賞者の方に授与されます。
その製作者のkirakira glass.の美緒さんより、今回のトロフィーは「勝利・栄光」の花言葉を持つ月桂樹をモチーフにして制作されたお話があり、そのまま表彰式へ。

月桂樹トロフィーや新米を手にされた選手の皆さま、おめでとうございます。








総合
1位 大澤行英 選手
2位 菊地 浄 選手
3位 高杉慎吾 選手
4位 稲見祐二 選手
5位 扇澤 郁 選手
6位 宮内邦夫 選手



女子
1位 水沼典子 選手
2位 岡本洋子 選手
3位 吉原紀子 選手



チーム戦
1位 とちおとめ
2位 瀬戸内少年飛行団
3位 のりのりとちおとめ


そして、今回協賛いただいておりますアエロタクトの扇澤郁氏、アドバンスジャパンの松原氏より、
今開発中のグライダーやハーネスの開発過程のお話などを聞かせていただき、最後、競技委員長よりあいさつ、記念撮影となりました。

その後、選手の皆さん、スタッフの皆さんにも温かいうどんが振る舞われ、2014白馬八方尾根japan cupが閉会となりました。





最後の競技委員長のあいさつにもありましたが、白馬はこの大会の頃が一番紅葉が見頃のいい季節です。是非来年も八方の大会にチャレンジするもよし、フリ―フライトでのんびりでも、この最高の景色を多くの皆さんに楽しんでいただけたらとおもいます。

今年も、成立は1日だけになってしまいましたが大会も無事成立し、参加された57名の選手の皆さん、大会を裏で支えてくださったたくさんのスタッフの皆さんが誰も大きな怪我などすることなく、地元の皆さんのご協力もあり、無事終わる事が出来、本当に感謝しております。

皆様ありがとうございました。