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2014立山らいちょうバレーカップ

競技委員:藤野 光一

 今年から5月開催となった「立山らいちょうバレーカップ」ですが、過去を紐解くと5月の大型連休中に開催されていたのです。立山エリアでは1989年から大会が開催されており、スキー場の名称が変わるまでは「立山ゴンドラカップ」として開催されていました。また、それ以外にも「立山マスターズカップ」、「立山ロッジカップ」、「立山オータムカップ」などと年に数回開催されていた時期もあり、実行委員長である関沢校長が発した「伝統の一戦」と言う表現も、あながち間違いではないと言えるでしょう。
 今年はナショナルリーグ41名、チャレンジリーグ31名、総勢72名の選手が春の立山に集っての大会開催となりました。


大会初日


お天気の巡り合わせにも恵まれ、今年も狙ったように土曜日・日曜日の2日間は晴れマーク予報。春の厳しいコンディションは気になるところでしたが、まずはお天気が良くなければ大会は成り立ちません。昨日の雨が嘘のように晴れ渡った立山エリアの極楽坂テイクオフにおいて開会式、ジェネラルブリーフィングと続きます。扇澤競技委員長は「パラグライダーは風を読むことが重要。その機会をより多く経験出来るのが競技会です」との深いお言葉もあり、選手一同納得の様子でした。


初日のタスクは、ナショナルリーグが対岸を使わないながらも昨年鬼門となったB10大品山パイロンが含まれた実距離44KmのRace to Goal。さらに、通常B04を使うところ西に400m移動した仮想パイロンB22と、最終パイロンにはB13美女平ではなくこちらも東へ400m移動させたB23パイロンが使われました。

D92-B22(SS:1Km)-B09-B22-B06-B10-B12-B17-B24-B12-B23-A72(ES:1Km)
※シリンダー200m
ウィンドウオープン11時10分
デパーチャーオープン11時40分


チャレンジリーグは湾内を大きく回る三角パイロンを基本とし、最終パイロンに美女平を周って山野グラウンドにゴールする31Kmのエラップスレースが組まれました。

D92-B04(SS:1Km)-B27-B04-D91-B02-B04-D91-B02-B04-B05-B13-A72(ES:400m)
※シリンダー400m
ウィンドウオープン12時00分
デパーチャーオープン12時30分
デパーチャークローズ13時30分


ナショナルリーグの選手が続々とテイクオフして行くものの、昨日までの雨が悪さをしてか条件は渋めで推移。それでも、スタート時間にはほとんどの選手がB22へ向かって一斉に移動しスタートを切って行きます。タスクとしては沖出しから標高の高いパイロンを取るコースになるため、序盤は渋さも手伝って安全策でコマを進めます。レースが進むにつれて尻上がりに条件も良くなり、最初に形成されたトップ集団がそのまま終盤までレースを引く形が崩れることなくゼッケン12番大澤選手を先頭にフィニッシュとなりました。


チャレンジリーグもエラップスレースとは言うものの、多くの選手はデパーチャーオープン時間にレース開始。2回のB02沖出しパイロンがあるものの、多くの選手はものともせずにコースを周回します。その中で淡々と、しかも最速でファーストゴールを決めたのが地元立山のゼッケン508番吉田選手です。最初にスタートして最初にゴール。1時間13分23秒でフィニッシュでした。お見事です。


この日はナショナルリーグが30名、チャレンジリーグは21名がゴールしました。みなさん、おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。

17時30分からは立山山麓家族旅行村においてバーベキューパーティーです。昨年同様、初日に飛べて多くのゴールが出たとなれば、盛り上がらないはずがありません。初めてゴールした選手も含まれていて、大いに飲んで食べて盛り上がりました。


2日目


高層雲に覆われた空で2日目を迎えました。それでも、気象データでは減率が悪くないことから、十分競技が可能であるとみて極楽坂テイクオフへと移動します。9時30分からのブリーフィングでは、高層雲の影響も考慮してナショナルリーグ、チャレンジリーグ共にミニマムタスクを基本として準備していることが告げられました。しかし、ダミーがフライトしてみるといかにも渋そうな見た目の状況とは異なり、十分にソアリング出来るコンディションであることが確認されました。そこで発表されたタスクはナショナルリーグが28Kmとやや短めではあるものの、対岸のB16やB13美女平からB04へリターン後にA71らいちょうバレーメインラインディングゴールとなるテクニカルなものとなりました。

D92-B04(SS:1Km)-B09-B16-D91-B17-B13-B04-A71(ES:1Km)
※シリンダー200m
ウィンドウオープン10時40分
デパーチャーオープン11時00分


チャレンジリーグはB03を基準にエリア内を東西にアウトアンドリターンをこなし、最終パイロンをB24粟巣野としてA72山野ゴールの23Kmのエラップスレースとなりました。

D92-B03(SS:400m)-D91-B03-B27-B03-B29-D91-B03-D91-B24-A72(ES:400m)
※シリンダー400m
ウィンドウオープン11時00分
デパーチャーオープン11時20分
デパーチャークローズ12時20分


今日もナショナルリーグからスタートとなりましたが、金山以西の空域はサーマル活動が弱く、展望台以東の標高が高い場所が活発で高度が取れる状況でした。早めにテイクオフしたグループは、瀬戸蔵山付近で高度を獲得し高くスタートすることに成功。後半グループはやや低めにスタートを切ることになりました。トップグループはB04から展望台、瀬戸蔵付近で再び高度を上げて対岸のB16パイロンを奪取。安全圏の高さで金山付近にリターンします。このタイミングでサーマル活動が弱くなり、トップグループと後続グループの差がリセットされての苦しい生き残りタイム。しかし、さすがナショナルリーグの選手達で、誰も脱落することなく厳しい時間を凌ぎ切りました。弱い上昇ながらもギリギリの高度でB17を取ったトップグループは、再び金山付近で粘りの飛びを強いられます。このレースもこのままトップグループが変わらず推移するかと思われたタスク終盤に大きなドラマが待っていました。B13美女平へやや低く向かったトップグループは上がらない美女平に見切りをつけて対岸へ向かうものの、その対岸もサーマルが働いておらずB16付近でスタックしてしまいます。この隙に展望台以東で高度を取ったゼッケン3番高杉選手が美女平からダイレクトにB04をリターンしてフィニッシュする逆転劇となりました。そしてトップグループがゴールになだれ込むまでの10分弱の時間でゼッケン48番吉田選手、19番宮内選手、101番菊池選手がゴールとなる見応え十分のTASK2となりました。


チャレンジリーグもタスク前半は厳しい時間帯に当たってしまい、残念ながら凌ぎ切れずにランディングを余儀なくされた選手も居ましたが、それでも3分の2以上の選手は上手く凌いで沖出しのB29もクリア。初日同様に地元立山のゼッケン508番吉田選手がファーストゴールを決めました。その後も続々と粟巣野からファイナルグライドに入る選手が続き、リフライトしたゼッケン502番高瀬選手がゴールしたのが13時55分。


TASK2ではナショナルリーグが23名、チャレンジリーグは22名がゴールする結果となりました。

終わってみれば2日間共に内容の濃いテクニカルなタスクが成立し、選手も満足そうな表情を浮かべていました。表彰式では上位3名によるシャンパンファイトも行われ、これも大いに盛り上がりました。
入賞された選手のみなさん、本当におめでとうございます。
※結果はリザルトをご確認下さい


チャレンジリーグ入賞者のみなさん



ナショナルリーグ入賞者のみなさん





謝意


パラグライダーの競技を長きにわたり支え続けてきたと言っても過言ではない立山エリアですが、それは多くのスタッフがパラグライダーを愛し、より多くの選手に立山エリアを楽しんでもらおうと日々取り組んでいる結果であると言えます。毎回になりますが、この場をお借りしてスタッフの方々に深く感謝したいと思います。ありがとうございました。
選手のみなさまも、大会に限らず立山エリアへお越しいただき北アルプスと日本海を眺める素晴らしい景色でのフライトを堪能していただければと思います。

以上、大会のご報告とさせていただきます。