| 大会レポート
さくらんぼカップ2021
レポート 競技事業部:藤野光一
毎年6月に開催されるチャレンジだけの大会「さくらんぼカップ」。昨年はコロナ禍により、ここ白鷹での大会は全て中止になってしまいましたが、今年は当初予定が聖火リレーに被ってしまい1週間後ろへズレてしまったものの、大会関係者や選手のみなさんが日々の天気予報に一喜一憂する中で迎えた本番は、予想を上回る好条件で競技を行うことができました。
DAY1
朝は曇りがちな天候ながらも、天気予報はどれも晴れマークが付いた希望の持てるもの。久しぶりの白鷹での大会で、久しぶりのチャレンジリーグと言うこともあり、選手のみなさんは準備を済ませてテイクオフへ移動して行きます。
テイクオフでは開会式が行われ、大会実行委員長・植木校長からの挨拶の後、競技委員長によるジェネラルブリーフィングが行われ、エリアの注意事項や気象に関するアドバイスがなされました。
今日は午後から比較的好条件になる気象データを参考に、タスクコミッティーはA43荒砥ゴールを使った18Km程度のタスクを提示。予想雲低高度は1500m+。湾内を周回したのちに、荒砥ゴールまで8Km余りのファイナルグライドを楽しんでもらおうと言う趣旨です。
このタスクはテイクオフ周辺を周回後、ポイントとなる最遠TPのB06一本松をどう攻略するか?がキーとなります。これを上手く攻略できれば、あとはテイクオフに戻って上げ直し荒砥ゴールまで至福のファイナルグライドが待っていると言うわけです。
ウィンドウオープン12時、デパーチャーオープン12時45分のゴールレース。
最初に出た選手たちは漏れなくレーダードーム上空にある雲低に着けることができましたが、後半出た選手は白鷹に不案内なこともあり、上手くサーマルを掴むことができずにランディングしてしまいます。また、高く待機していた選手たちもずっとその位置をキープできたわけではなく、スタート前に低くなって上げ直す選手も見られました。
レースの方は、オープンの20藤野選手と64松田選手がレースを引く展開となりました。主役のチャレンジリーグは516大久保選手、523笹栗選手が先行しつつも丁寧な飛びで着実にタスクを周回。それを521天野選手が追いかけると言う展開で進みます。タスク前半は516大久保選手が先行し、中盤は523笹栗選手が巻き返しますが、一本松を取りテイクオフに戻る頃にはほぼこの3名が横並び。先にファイナルを切った516大久保選手を猛追する笹栗選手は、ESSシリンダー付近で大久保選手をとらえタイム差はわずか1秒と言う競った戦いでした。
結果、タスク1のゴール者はオープンが5名、チャレンジが3名となりました。ゴールでは北西風が一時強まり南西風とのコンバージェンスが発生、なかなか降ろせない条件になりましたが、みなさん慌てず安全にHappy Landingでした。
タスク1
チャレンジリザルト
チャレンジ+オープンリザルト
DAY2
2日目の朝も、意外に日差しも見えるそこそこのお天気となりました。傘マークがなかなか取れなかった週間天気予報からは大きく変わり、選手にも希望の笑顔が見えます。とはいえ、気象データとしては非常に微妙な条件で、成立を賭けたタスクになることが予想されました。
テイクオフでは、昨日のリザルトが発表され上位選手に惜しみない拍手が送られました。また、気象データがトリッキーなため、選手の準備と迅速な行動が成立のカギを握ることも伝えられ、みな気を引き締めて準備を行います。
この日タスクコミッティーが提示したタスクは湾内をコンパクトに周回するミニマムタスクの11.9Km。これが成立しなければ競技にならないと判断。逆に、コンディションがバンバンになってしまえば瞬間芸で終わってしまうようなタスク。ウィンドウオープンが11時30分。デパーチャーオープンが12時。コンディションの持ちは長くても14時との予想に選手は準備を急ぎます。
ウィンドウオープンが迫ると、間の悪いことにフォローが吹き始めます。先に出たダミーからは北風がかなり入っていると連絡があり、テイクオフにも吹き込んで悪さをします。日射が続けばブローが勝って前から風が入るものの、日射が弱まると途端にフォローになり、選手が出るのを邪魔してしまうのです。
そんな中でもタイミングを見ながら選手は空中に飛び出し、何とかリフトを掴んで滞空、待機しています。選手全員が出たのはスタート時間間際の11時55分とギリギリの時間でした。
スタート前に十分な高度を獲得した選手は、一斉にB04の600mシリンダーをカットし、そのままB12を取ることに成功。しかし、このタイミングで一気に上空がオーバーキャストしリフトが忽然と消えてしまったのです。それでも高度のある19吉原選手や314斎藤選手はB14を取ることにも成功しますが、斎藤選手はここで力尽きます。他の飛んでいた選手も一斉に新山平やメインランディングに大量ランディングとなってしまいました。この時ただ一人空中に居たのは19吉原選手。ランディング北側で弱いリフトを丁寧に拾いただ一人距離を伸ばしました。
その後、リフライトのため選手が全員テイクオフに集合して仕切り直し。しかし、条件が好転する兆しはなく、長いウェイティングに入ります。ここで大会実行委員長から
「15時頃には日差しも出てソアラブルになる可能性があるが、現状は14時ウィンドウクローズなのでそこまで待てない。選手全員の合意が得られるならば、時間を延長したい」
との提案があり、可能性に賭ける意味も含めて選手全員が快く了承し、1時間30分の時間延長が認められました。
しかし、それも空しく条件が好転することはなく、選手はフリーフライトがてらフライダウンすることになりました。結果、1本目の成績がそのまま採用されることになりました。
TASK2を制したのはオープンの19吉原選手、チャレンジでは昨日ゴールしている523笹栗選手、516大久保選手、521天野選手が本日も僅差でした。
タスク2
チャレンジリザルト
チャレンジ+オープンリザルト
表彰
チャレンジリーグ総合
2日間の成績の結果、僅差ながら優勝を勝ち取ったのは516大久保忠和選手。準優勝には523笹栗暁選手、3位は521天野年雄選手となりました。
優勝 No.516 大久保忠和 SKYWALK ARAK
準優勝 No.523 笹栗 暁 PHI MAESTRO
第3位 No.521 天野 年雄 OZONE RUSH5
第4位 No.507 堀井 重雄 OZONE SWIFT5
第5位 No.502 大久保昌俊 GINGLIDERS CARRERA+
第6位 No.505 菊池 勝彦 NIVIUK ARTIK5
チャレンジリーグ女子
優勝 No.527 梶原 薫 ADVANCE XI
チャレンジ+オープン チーム戦
優勝 スーパーマリオ。シスターズ(松田、柏倉、千葉、岡崎)
優勝 チーム今井浜(斎藤、堀井、大久保、梶原)
オープンクラス
優勝 No.20 藤野 光一 GINGLIDERS EXPLORER2
準優勝 No.64 松田 京子 GINGLIDERS EXPLORER
第3位 No.19 吉原 紀子 OZONE ZENO
2年ぶりに開催できた白鷹での大会。事前の天気予報では厳しいと思われましたが、結果的には2本の成立で無事に終えることができました。コロナ禍で、主催者と選手が日頃から感染対策に最大限注意して開催することができたと言えます。日ごろのみなさまの努力とご協力に感謝申し上げます。
白鷹の大会は今後もあと2戦予定されています。7月の紅花カップと9月のラ・フランスカップ。いずれもまだまだ参加受付中です。
最後になりましたが地元の関係者のみさなま、スタッフのみなさまに心から御礼申し上げます。
次回以降も選手のみなさまの参加をお待ちしております。