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JPA COOスプリングカップ2022
大会レポート
JPA競技事業部 藤野光一
2022年の競技シーズンが到来。今年も茨城県のエアパークCOOにおいて「COOスプリングカップ2022」が開催されました。4月のクロカンシーズンに開催されるこの大会は距離もそうですが、昨年からコンディションに合わせたテクニカルなタスクも設定され、エリアの新しい空域を発見することが出来ます。
今シーズンからはN2リーグが廃止され、ナショナルリーグの認証機クラス「※C認証機までのクラス」が設けられたこともあり、N2からステップアップした選手の顔ぶれも多く見られました。
春の気まぐれな天候ではありますが、好天のタイミングに恵まれて2日間成立となったCOOスプリングカップをレポートしたいと思います。
DAY1
コロナ禍による非接触の大会運営システムを2020-2021シーズンから導入したJPAでは、今シーズンも同様にデジタル選手証による受付を主としたシステムを継続します。朝の受付は基本的にPCに接続してあるバーコードリーダーに自分の選手証(QRコード)をかざし、表示された情報に間違いがないか確認するだけでOKとなります。今大会はナショナルリーグ61名、チャレンジリーグ11名の参加でしたが、スムーズな選手受付に寄与しています。
開会式
受付後はすぐにテイクオフへ移動。今日の気象条件により西テイクオフへ集合です。
競技委員長のエアパークCOO辻校長による司会で開会式。
シーズン初戦でもあり、JPA会長の小野寺さんによる挨拶の後、ジェネラルブリーフィングや諸注意が行われました。
今日は風が強くなる予報のため、競技の開催自体が危ぶまれます。選手はその点も踏まえ、おのおの準備にとりかかります。
TASK1
今日は徐々に南西の風が強くなると言う気象データから、まずはチャレンジリーグから競技を開始することを目指します。タスクコミッティーとセフティコミッティーが招集され、チャレンジリーグのタスクはスタートに沖のそば屋を取った後は稜線上の足尾山、燕山を経由して平沢ゴールへほぼ一直線の15.9Kmを設定。
10時30分ウィンドウオープン、11時スタートの平沢ゴールへ向けて、チャレンジリーグの選手は次々とテイクオフして行きます。しかし、風はテイクオフで感じるそれよりも強く吹き付けているようで、前に進むこともままならない状況です。そのようなコンディションでもサーマルで高度を上げ、何とかレースに参加しようと試みますが、思い通りにならない風に殆どの選手がランディングを余儀なくされました。そのような中で、ただ一人レースを進行したのが今井浜のゼッケン509堀井選手。スタート後に我慢の飛びを強いられるものの、しぶとく凌いで平沢ゴールへあと一歩のところまで駒を進めました。
ナショナルリーグのタスクは、那須ゴールへのストレートコース。ナショナルの大会で那須ゴールが行われたことはこれまでになかったそうで、初の那須ゴールタスクと言うことになりました。
ウィンドウオープンは11時、スタート時間は12時。しかし、風が強い状況はナショナルの選手も同様でで、テイクオフして無事にファーストサーマルを上げ切っても、スタートまで凌ぐ必要がありました。
先行して北上したグループは雨引観音付近で強い風に捕まり、スタート前から既にサバイバルレースの様相を呈していました。この日、残念ながらD01から15Kmに設定されたスタートラインを切ることなく降りてしまった選手は、概ね早い時間に北上して低くなってしまった選手たちでした。スタート時間の正午前には一時的に風が強く入り、そのタイミングでの位置取りが大きく左右したと言えるでしょう。
そのような厳しい状況下でもさすがはナショナルリーグ。上手く凌いでレースはスタートします。序盤レースを引いたのは瀕死の高度から復活を遂げたゼッケン4中村選手。ゼッケン30青木選手とともに高峯から北上を開始。スタート時刻を燕周辺の湾内で迎えた後続組も続々とスタートを切っていきます。順調に北上を続けるゼッケン4中村選手でしたがさくら市辺りでランディング。頭上をゼッケン30青木選手が超えるものの1Kmほど北上するもランディングとなってしまいました。
この日、ただ一人那須ゴールまで到達できたのはベテラン中のベテラン、ゼッケン6番小野寺選手でした。この日のログを振り返ると、レースを進めたものの途中で降りた選手の殆どは、先行した4中村選手や30青木選手らと同じコースをたどり、その後もNAVIが示すラインに近いルートを飛んだ選手ばかりでした。6小野寺選手はこれらの選手とは違い、さらに東側を飛んでゴールまでたどり着きました。一人西側を飛んだゼッケン1扇澤選手もゴールまであと少しのところまで飛びましたが、やはりこの日のルートは東側が正解だったようです。
また女性陣の活躍も目を引いたタスクでした。ゼッケン46高橋さゆり選手は総合で6位と大健闘。認証機クラスではゼッケン116大澤彩花選手が50Km以上を飛び認証機クラストップ、総合でも8位と素晴らしい飛びを披露しました。
非常に厳しいコンディションでありながらも、事故もなく競技が成立したのは選手の技術が向上したことの証ではないかと感じることができました。
TASK1リザルト
チャレンジリーグ総合
チャレンジリーグ女子
チャレンジリーグチーム戦
ナショナルリーグ総合
ナショナルリーグ女子
ナショナルリーグチーム戦
ナショナルリーグ認証機
ナショナルリーグ認証機女子
DAY2
大会2日目も良い天気に恵まれました。昨日と違い穏やかな風ですが、今日も暑くなりそうです。
今日も選手はそそくさと受付を済ませてテイクオフへ。南風が予想されることから、本日は東テイクオフが使われます。
朝のブリーフィングでは昨日のタスク結果が報告され、ナショナルリーグで唯一ゴールメイクしたゼッケン6小野寺選手や、認証機クラスでトップだったゼッケン116大澤彩花選手が紹介され、それぞれコメントをいただきました。
特に大澤彩花選手は、父の大澤行英選手と今回初の親子で同クラス競技出場と言うことで注目が集まっていました。初日は娘に軍配!と言うところでしょうか?
TASK2
2日目のタスクは両リーグともに基本的にはTASK1と同じゴール設定。チャレンジリーグは平沢ゴールを、ナショナルリーグは那須ゴールを設定しました。
チャレンジリーグは昨日のタスクからスタートを猿公園に変更、その後燕山を通過後セーフィティポイントとして高峯山B86の800mシリンダーをカットしてから平沢へゴールする19.7Km。
10時ウィンドウオープン、11時スタートのチャレンジリーグでは、同時にウィンドウオープンとなったナショナルリーグに気圧されながらも、チャレンジの選手がポツポツとテイクオフして行きます。スタート前にはゼッケン505菊池選手、508庄司選手が猿公園上空で待機しベストポジション。そこへゼッケン512伊藤選手、513大橋選手が高くスタートを切ってレースを引く展開に。505菊池選手はべスポジながらも高度が稼げず出遅れてしましますが、508庄司選手は先の2人を追っていきます。
伊藤、大橋両選手は足尾山で高度を稼ぐと燕へ移動。高く出た513大橋選手が燕でもいち早く高度を稼いでファイナルグライドへ。やや低い高度で512伊藤選手が追走します。
誰の目にも大橋選手のトップゴールが確実に見えましたが、レースは最後までわからないものです。大橋選手と伊藤選手共に大きく高度を落としてしまい、高峯のシリンダーに入ることが出来ずにまさかのノーゴール。3番手で燕を1600m以上の高さを持って離脱した508庄司選手が危なげなく高峯を取って余裕のトップゴールを決めました。2番手では510梶原選手、3番手505菊池選手と続き、8名の選手がゴールする素晴らしいレースとなりました。
ナショナルリーグは那須ゴールながらも、昨年使った宇都宮ゴール17Kmシリンダー、黒羽ゴール8Kmシリンダーを経由してのジグザグコース。ウィンドウオープン10時、スタート12時30分と時間があるものの、ツワモノの選手たちは早々に空中へと飛び出していきます。
この日も楽なレースはさせてもらえず、スタート前から苦しむことになってしまいました。湾内は活発でしたが、やはり50号を越えた高峯周辺は活発に働いておらず、ステイするのも厳しい状況。何とか弱いサーマルにしがみついてステイを試みますが、散発的な条件に力尽きて地に足を付ける者も出てしまいました。
しかし、12時30分のスタート時間になると同時に高峯にも南風が到来し、対流が活発化して高度を上げられる状況になりました。いよいよレース開始と言ったところでしょうか?
ナショナルはゼッケン33吉田選手が先行する集団と、後続の集団とに分かれてレースが進みます。最初の鬼門はやはり平野部。宇都宮17Kmシリンダーを取りに行くルートも分散しますが、平野部はお世辞にも活発とは言い難い条件で、サーマルを上手く掴めなかった者から順に地上の人となっていきます。
そのような状況を上手く交わしてトップを走ったのは父娘対決のもう一人の主人公、ゼッケン40大澤行英選手。別コースから合流したゼッケン1扇澤選手と2人でトップ争いを演じ、見事トップゴールを果たしました。1扇澤選手はゴールシリンダーに僅かに届かずゴールならず。
ナショナルリーグはその後ゼッケン10関根選手、ゼッケン3正木選手がゴールを決め3名がゴールメイクとなりました。
TASK2リザルト
チャレンジリーグ総合
チャレンジリーグ女子
チャレンジリーグチーム戦
ナショナルリーグ総合
ナショナルリーグ女子
ナショナルリーグチーム戦
ナショナルリーグ認証機
ナショナルリーグ認証機女子
大会表彰
終わってみれば、両リーグ共に2日間競技が成立し、シーズン初戦として好発進と言ったところでしょう。
チャレンジリーグ総合
チャレンジリーグはTASK2でトップゴールを果たした508庄司選手が優勝となりました。おめでとうございます。
優勝 No.508 庄司 圭介 NIVIUK HOOK5
準優勝 No.510 梶原 薫 ADVANCE XI
第3位 No.505 菊池 勝彦 NIVIUK ARTIK5
チャレンジリーグ女子
チャレンジリーグ女子は、TASK2を2番手でゴールした510梶原選手が優勝です。おめでとうございます。
優勝 No.510 梶原 薫 ADVANCE XI
準優勝 No.511 富重 のぞみ NOVA PHANTOM
チャレンジリーグチーム戦
チャレンジリーグチーム戦は、地元COOエリアの黄色い人たちでした。
ナショナルリーグ総合
ナショナルリーグは、2日間とも安定したフライトでゼッケン1扇澤選手が優勝となりました。おめでとうございます。
優勝 No.1 扇澤 郁 GINGLIDERS LEOPARD
準優勝 No.3 正木 晋 NIVIUK ICEPEAK X-ONE
第3位 No.6 小野寺久憲 GINGLIDERS BOOMERANG 11
第4位 No.24 平松 久 NIVIUK ICEPEAK EVOX
第5位 No.9 田村 昌久 NIVIUK ICEPEAK EVOX
第6位 No.40 大澤 行英 NIVIUK ICEPEAK X-ONE
ナショナルリーグ女子
ナショナルリーグ女子は、初日素晴らしいフライトを披露したゼッケン46高橋さゆり選手が優勝です。おめでとうございます。
優勝 No.46 高橋さゆり OZONE LM6
準優勝 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO
第3位 No.12 吉原 紀子 OZONE ZENO
ナショナルリーグチーム戦
ナショナルリーグチーム戦は「瀬戸内少年飛行団」が優勝です。おめでとうございます。
優勝 瀬戸内少年飛行団(山田、吉田、山本)
準優勝 とちおとめ(吉川、吉原、千葉、田前英、田前敏)
第3位 チームカンフー(小野寺、田邊、籾山、菊池)
ナショナルリーグ認証機
ナショナルリーグ認証機クスは初日トップだったゼッケン116大澤彩花選手が優勝となりました。おめでとうございます。
優勝 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO
準優勝 No.103 窪田 雄彦 GINGLIDERS BONANZA2
第3位 No.101 岩野おさむ ADVANCE SIGMA11
ナショナルリーグ認証機女子
ナショナルリーグ認証機女子もゼッケン116大澤彩花選手が優勝です。おめでとうございます。
優勝 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO
準優勝 No.113 中久喜千代 NIVIUK ARTIK6
第3位 No.105 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10
ナショナルリーグ2022グランプリ
ナショナルリーグ2022グランプリはゼッケン1扇澤郁選手、ゼッケン46高橋さゆり選手が勝ち取りました。おめでとうございます。
2日間開催されたCOOスプリングカップは、おおきな事故もなく2日間とも競技が成立し、選手のみなさまにおいては存分にフライトしていただけたのではないか?と思います。競技結果については、それぞれの想いがあるかと思いますが、シーズン初戦が無事に終えられたことに関し、大会主催者、スタッフのみなさま並びに関係各位にこの場をお借りして御礼申し上げます。
また、入賞された選手のみなさま、おめでとうございます。今シーズンのJPA競技会はこれから12月のファイナルまで続きます。今シーズンも多くのみなさまに参加いただき、楽しんでいただけるように競技事業部としても運営して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。