四国三郎ジャパンカップ2022


レポート:競技委員長

只野正一郎

約40年の歴史を持つ「三頭山エリア(徳島県美馬市)」。パラグライダーの大会は1997年ごろから毎年開催されている。広大な吉野川の北側に位置し、山の斜面は南向きなのでサーマルが豊富で東西に長いタスクを組めるのが特徴だ。紅葉も見事で、秋一色に染まった山の上を飛ぶのは楽しみの一つである。

レース展開はスピーディーでテクニカルな場面が多く、リーグ戦の最終戦をするには面白い場所といえる。ここで何度もリーグ戦の最終結果が覆されたことがあり、上位に入賞するにはきっちりポイントをゲットしないといけない。最終戦直前のランキングでは、4本計上でトップは正木選手だが上位陣は4本目のポイントが低い方が多いのでタスクのバリュー次第でランキングが入れ替わる可能性が高いので面白くなりそうだ。

今年は、天気予報が二転三転しながらも最終予報は土曜日が良くて日曜日は微妙という幕開けになった。

DAY1

朝の天候は快晴。逆転層があるため、雲海ができていたりするところもあったが天候としては申し分ない。テイクオフに到着するとやや風が強い。逆転層が取れたら風が幾分弱くなって良いタスクができると思っていた。



競技委員長


JPA会長


四国電力様



ブリーフィング

 


なお、今大会では森永製菓様から「ENERGY IN」をご提供いただきました。
森永製菓様、ありがとうございました。



 

お昼前になったころには東風が強めになり、逆転層はまだ頑張っている感じだ。正午を過ぎてからだとレースができない可能性も考えられるのでタスクを設定して、あとはウインドダミーの上がり具合を見ながらスタートの時刻を発表することになった。


タスクコミッティー

TASK1

風が強めで高層雲が徐々に濃くなってきている中、ウインドダミーが上がりだしたのでスタート時刻が決まり選手はテイクオフし始めた。
タスクは、三頭山をテイクオフして、西側のモーターランド付近でスタートし再びテイクオフ付近まで戻っての2往復で四国三郎の郷横のグランドがゴールで28kmのショートタスク。


ダミーフライト


ダミーフライト





先行集団がトップアウトしてスタートへ向かう頃に高層雲はさらに日差しを遮り、状況は厳しさを増す。スタートを切れた数名がなんとか三頭山に戻ろうと踏ん張るものの強いヘッドウインドに阻まれ尾根を越えることなく降りて行ってしまった。

期待外れの初日でしたが、タスクトップはボナンザ2の窪田選手!だれもがあきらめてしまうコンディションのなか、冷静に自分のポジションとコンディションを的確に判断した結果だと思います。

TASK1リザルト
ナショナルリーグ総合
ナショナルリーグ女子
ナショナルリーグチーム戦
ナショナルリーグ認証機クラス
ナショナルリーグ認証機クラス女子


予想以上に早かった高層雲

DAY2

前日の予報とは裏腹に、朝から快晴。サテライトを見ると、この付近だけ高層雲がない。東側と南側にはいついてもおかしくない高層雲がある。あとは祈るだけ・・・。



このロゴがわかる人はかなりのベテラン


テイクオフにつくと、逆転層がしっかりしていて安定したスクール向けのコンディションだ。
風も昨日ほど強くなく良い感じ。

今日は、テイクオフ東側で子供たちが植林をするイベントがあり、三頭山のパラグライダーを知ってもらうにはいい機会になりそう。イベント中はちょうどウインドダミーが飛び始める時間でいい感じでPRできた。


タスクコミッティー

ダミーフライト

穏やかなのはいいことだけど、なかなかブレークしないこの逆転層はどうにもならない。タスクが発表されたが昨日同様スタート時間は決めかねる。ウインドダミーたちが2本目のフライトでやっとサーマルの形ができたころスタートが決まった。


TASK2



13:30スタート!タスクは昨日と似たようなショートトラックなレース。ゴールはサンサンのランディング場になったので、ファイナルグライドは10kmのスピード勝負になる。泣いても笑っても今シーズン最後のタスクなので、出せる力はすべて出し切って戦っていただきたい!



選手たちがテイクオフしガグルが形成されるとサーマルトップの高度が徐々に高くなっていく。センタリングのクオリティーが良いとサーマルが立ち上がるという現象だ。ようやくレースっぽくなってきた。
トップアウトした選手たちは奥の山に移動し、スタートにポジションを探りながらその時を待つ。
短いレースは1つのミスが大きい。おまけに渋いコンディションなので集中力を高めなければ上位には入れないだろう。



スタート時刻になり、ふわふわ飛んでいたパラグライダーが一斉に直線的な動きに変わった。先行グループは伊澤選手、正木選手、吉川選手の3機。少し遅れてセカンドグループが追いかけていく展開で三頭山を通過して最初のターンポイントを取り、ふたたび西側のターンポイントを目指した。このリターンでは、三頭山に戻ってからいかに早く上昇し主稜線のハイウェイにのるかが重要だ。トップの3機は伊澤選手が先行し、正木選手、吉川選手の二名が追いかける形で西側に飛んで行った。
今日の伊澤選手には迷いが見られない強さが垣間見られた。トップ逃げ切りはメンタルがよっぽど強くないとできない。普段からフィジカルトレーニングで鍛えている伊澤選手ならではだろう。
セカンド集団も、若干の入れ替わりがありながら追いかけている。サード集団はすこしばらけながらもタスクをこなしている。


西側からの戻りは速く、三頭山に帰ってきた。依然としてトップは伊澤選手。最終ターンポイントを通過してからどの高さでファイナルかけるか!先行している距離感的にはこのまま伊澤選手がトップで終わりかと思っていたら、モーターランド手前から高度が下がってしまった。午後の遅い時間は香川側から北風が入ってリフト帯が消失することがあるのだ。おそらく、それにつかまったのだろう。おまけに、モーターランドの方に行くとゴールに行くのに遠回りになるため不利になる。単独トップで飛ぶにはセオリー通り尾根伝いに飛ぶことを選択するので致し方ない。
ここからの正木選手の追い上げがすごかった。あきらめない心と絶対的に自信をもって踏み込めるアクセル。差をどんどん詰めて、オロオロしている伊澤選手をとらえて追い抜いた!完璧なファイナルグライドで大逆転のトップゴールでした。

後続の吉川選手も最後まで戦いポジションをキープしたまま3位!セカンドグループから追い上げてきた田村選手と1秒差でした。前日トップだった窪田選手はトップから遅れること6分で9位。
結果、14名ゴールでした。

TASK2リザルト
ナショナルリーグ総合
ナショナルリーグ女子
ナショナルリーグチーム戦
ナショナルリーグ認証機クラス
ナショナルリーグ認証機クラス女子


大会表彰


ナショナルリーグ総合

総合成績は、伊澤光選手が総合優勝。準優勝は、吉川朋子選手。3位に正木晋選手でした。


優勝 伊澤選手


入賞者

優勝 No.7 伊澤 光 NIVIUK ICEPEAK EVOX

準優勝 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3

第3位 No.3 正木 晋 NIVIUK ICEPEAK X-ONE

第4位 No.6 小野寺久憲 GINGLIDERS BOOMERANG12

第5位 No.9 田村 昌久 NIVIUK ICEPEAK X-ONE

第6位 No.35 針生 清志 OZONE ZENO

ナショナルリーグ総合リザルト

ナショナルリーグ女子


女子優勝 吉川選手


女子入賞者

優勝 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3

準優勝 No.25 岩崎 聖子 NIVIUK KLIMBER2P

第3位 No.32 関根 睦 OZONE ZEOLITE GT

女子リザルト

ナショナルリーグチーム戦


チーム戦入賞者

優勝 とちおとこ(田村、関根、福田)

準優勝 チームカンフー(小野寺、田邊、籾山、菊池)

優勝 Coops(正木、伊澤、三浦、岩崎)

チーム戦リザルト

ナショナルリーグ認証機クラス


認証機クラス優勝 窪田選手


認証機クラス入賞者

優勝 No.103 窪田 雄彦 GINGLIDERS BONANZA2

準優勝 No.23 中田 靖之 NIVIUK ARTIK5

第3位 No.21 食堂 信昭 NOVA MENTOR7 LIGHT

認証機クラスリザルト

ナショナルリーグ認証機クラス女子


認証機クラス女子優勝 大澤選手


認証機クラス女子入賞者

優勝 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO

準優勝 No.105 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10

第3位 No.117 山岸 里子 GINGLIDERS BONANZA2

認証機クラス女子リザルト

ナショナルリーグ年間表彰

ナショナルリーグ年間総合

ナショナルリーグの2022年間表彰も行われました。四国の最終戦によって順位の変動もあり最後まで目が離せない戦いとなりました。その結果、四国で優勝を飾ったNo.7伊澤選手が、これまでリーグトップだったNo.3正木選手を逆転で年間チャンピオンとなりました。おめでとうございます。
準優勝は、No.3正木選手、第3位はベテランのNo.6小野寺選手でした。


ナショナルリーグ年間優勝 伊澤選手


ナショナルリーグ年間TOP10

1位 No.7 伊澤 光 NIVIUK ICEPEAK EVOX

2位 No.3 正木 晋 NIVIUK ICEPEAK X-ONE

3位 No.6 小野寺久憲 GINGLIDERS BOOMERANG 12

4位 No.40 大澤 行英 NIVIUK ICEPEAK X-ONE

5位 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3

6位 No.33 吉田 和博 NIVIUK ICEPEAK EVOX

7位 No.10 関根 順 OZONE ENZO3

8位 No.35 針生 清志 OZONE ZENO

9位 No.4 中村 浩希 OZONE ENZO3

10位 No.9 稲見 祐二 GINGLIDERS BOOMERANG 12

ナショナルリーグ年間女子

ナショナルリーグ年間女子は、リーグ戦を終始安定した戦いで常に上位をキープしたNo.5吉川選手となりました。


ナショナルリーグ年間女子優勝 吉川選手


ナショナルリーグ年間女子TOP3

女子優勝 No.5 吉川 朋子 OZONE ENZO3

2位 No.25 岩崎 聖子 NIVIUK KLIMBER2P

3位 No.12 吉原 紀子 OZONE ZENO2

ナショナルリーグ年間チーム戦


チーム戦TOP3

優勝 Coops(正木、伊澤、三浦、岩崎)

準優勝 瀬戸内少年飛行団(山本、稲見、山田、吉田)

3位 チーム カンフー(小野寺、田邊、籾山、菊池、貝田)

ナショナルリーグ年間認証機クラス

今年から開設された認証機クラスの初代チャンピオンはNo.103窪田選手でした。おめでとうございます。


認証機クラス優勝 窪田選手


認証機クラスTOP3

優勝 No.103 窪田 雄彦 GINGLIDERS BONANZA2

準優勝 No.23 中田 靖之 NIVIUK ARTIK5

第3位 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO

ナショナルリーグ年間認証機クラス女子

認証機クラス女子はNo.116大澤彩花選手が優勝となりました。おめでとうございます。


認証機クラス女子優勝 大澤選手


認証機クラス女子TOP3

優勝 No.116 大澤 彩花 GINGLIDERS CAMINO

準優勝 No.105 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10

第3位 No.106 千葉 恵 NIVIUK IKUMA2

 

今年も四国三郎ジャパンカップを支えてくれたスタッフたちに感謝します。

本部にアエロタクトの田中さんとお姉さまたち、監視にコスモスの高木さん、テイクオフ及びゴールにTAKのみなさん、救助に岡田さん、困ったときにはVANの森さんと美馬スポーツ協会の逢坂さん。
美馬市観光局さん、四国電力さん、たくさんの方々に支えられ運営できました。ありがとうございました。


大会スタッフ

集合写真