2010 PCL 第6戦 ジャムリゾート・サマーカップ2010 レポート

開催地:福井県勝山市 スキージャム勝山
主催:ジャムスポーツパラグライダースクール
レポート:鈴村 恵司

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【1日目】
 地球温暖化がこのまま進めば酷暑の最初の年として、そうでなければ、少なくともこれから数年間は記録的な酷暑の年と記憶されるだろう今年2010年。その8月の終わりに開催されたJPAチャレンジリーグ第6戦のジャムリゾート・サマーカップ2010のテイクオフでは、選手・スタッフともども、その暑さに痛めつけられていた。標高960m、気温は地表面より涼しいが日射はむしろきつい。そんな中、汗まみれの選手のテイクオフが延々と、そう、延々と続いていた。
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 JPAパラグライダーチャレンジリーグとしては4年目の開催となるジャムリゾート・サマーCUP2010。過去3年間、トリッキーなコンディションをはらみつつも「タスク成立」を続けている。今年のウェザー予報は、風向きこそまちまちの予報ながら晴天は保証されており、ここ数年、低めの雲底で使うことを諦めていたテイクより後ろ(東側)のターンポイントも使いスキージャム勝山のエリア全域を活用したタスクが出来るのではないかとの期待感を持った選手とスタッフが集合していた。
受付、ゼネラルブリーフィングを経て、タスクブリーフィングで発表されたタスクはオープンクラス36km、チャレンジクラス25km。距離でだけなら、チャレンジリーグとしては一般的だが、ともにターンポイント数11個と少なめで構成されているのがミソだ。つまりターンポイント間の距離が長いのが特徴である。
11時30分にウィンドゥオープン。ナショナルリーグで活躍する選手を中心に、選手がどんどん出て行く。しかし12時のデパーチャーオープンまで耐えきれずに降りてしまうもの、しっかり上げきるもの、どうもサーマルが継続していない様子である。そして、この不連続なサーマル条件は延々と続いてしまうことになる。
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 見上げればとても高い高度で最西端のアンテナターンポイントをクリアする選手がいる。でもメインランディングにも多くのグライダーが吸い込まれて行く。サーマルに当たれば2000m近くまで上げることが出来るが、トランジット後にサーマルを当てるのが難しい状況。降りた選手達はあわててリフライトにチャレンジする。3回目のリフライトをトライした選手もいて、結果的にはテイクオフエリアは常に選手でにぎわう暑苦しい状況がウィンドウクローズまで続いた。
 西向きエリアに対して、時間の経過とともに南から南東ぎみに風向きも変化し、パワーも増すことでサーマルの発生する空域もテイクオフ回りのみに縮小。タスクコミッティの予測を超えた難しいコンディションの中、オープン、チャレンジの両クラスを含めて唯一のゴール者に輝いたのはゼッケン18の稲見選手。ナショナルクラスの技量を持ってしても平均速度18km/hの結果は、いかにも苦しいフライトであったことが伺える。オープンのシリアルクラスはゼッケン348の黒田選手が25kmのリ・フライト距離でトップに輝いた。コンディションがきつくなった後半に地元の理を活かして距離を伸ばしたようだ。チャレンジクラスはゼッケン523の山本選手が2位のゼッケン501の大溝選手を100m差で抑えてタスクトップを手に入れた。
 この大会、ワールドクラスのゼッケン1の扇澤選手、ゼッケン4長島選手は「オブザーバ」としての参加である。基本、タスクをこなしながらも、時に選手を先行して次のターンポイントに導き、時に安全確認の空域監視をしたりと、いろいろな役割をこなして頂いた。一緒に飛ぶ幸運を得た選手達には、そのグライダーコントロールが大いに参考になったことだろう。
 夕方からは選手交流会のパーティが開催された。スクリーンを準備して今日のテイクオフの画像も映され、「あの時間帯は苦しかった」「あの空域のシンクはすごかった」、今日のフライトの感想をトリガーに選手間の交流が行われた。関係者のささやかな誕生日祝いも行われ、賑やかにパーティは進む。そしてパーティ後も場所を換え、例えば露天風呂で、例えばそれぞれの宿泊場所で選手交流は続いたことだろう。
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【2日目】
 2日目、テイクオフに上がった選手を迎えたのは、強めの南風。西風に好転すると信じて、タスクコミッティはオープン28km、チャレンジ20kmのタスクをつくりウィンドゥオープンのタイミングを待つ。
 結果として、ウィンドゥオープンすることなく、この日は終わる。扇澤、長島、両オブザーバにはウィンドダミーを努めて頂いた。両氏こそ高いスキルによって飛び続けることが出来るものの、チャレンジリーグのコンディションとしては厳しいとの判断が続き、ランディング付近の風速がさらに上がった1時30分にはタスクキャンセルとなった。
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 チャレンジリーグ会場で毎回行われているベーシックセミナー、今回のテーマは「GAPシステムについて」で講師は本稿筆者がつとめた。夕方まで飛べるエリア故に何時、何処でも出来るようにと去年のパソコンスライド方式から、いわゆるビー紙に書き込む方式に変更したことが活き、テイクオフの待ち時間を有効活用して実施出来た。
 テイクオフで日干しにあった体とココロを少しクールダウンしてから表彰式、そして閉会式と続く。今年はこれで終了、また来年。不完全燃焼分は次の宿題としよう、パラグライダー競技はこれからもずっと続く。
 さて、最後にこの大会を支えて下さる方々に感謝してレポートを締めくくる。主催者であるジャムスポーツパラグライダースクールは今年創立10周年とのこと。それ以前からもスキージャム勝山エリアは毎年大会を開催し続けているそうだ。まったく頭が下がる思いだ。地元フライヤーの皆さんにはウィンドダミーを引き受けて頂いた。そして福井県立大学パラグライダー部SOLYERS (ソリャーズ)の面々には何から何までお願いしている。特に今年の灼熱のテイクオフサポートは大変でした。ご苦労様でした。ちなみにこのパラグライダー部、正規の部活だそうです。うらやましいなぁ。


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8/28 TASK1
オープンクラス
エラップスタイムレース
タスク距離:35.5km
ミニマム距離:5km
タスク:D97- A86(Start)-B58-B61-B37-D98-B30-D98-B30-B58-B30-A86(Goal)
ウィンドウオープン:11:30
ウィンドウクローズ:15:00
デパーチャーオープン:12:00
デパーチャークローズ:13:00
フィニッシュラインクローズ:16:30

チャレンジクラス
エラップスタイムレース
タスク距離:24km
ミニマム距離:3km
タスク:D97- A86(Start)-B58-B61-B59-B58-B61-B37-D98-B30-B45-A86(Goal)
ウィンドウオープン:12:00
ウィンドウクローズ:15:00
デパーチャーオープン:12:20
デパーチャークローズ:13:20
フィニッシュラインクローズ:16:30

8/29 TASK2 キャンセル

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