2012 PWC USA TASK1

いよいよワールドカップアメリカ開幕です。初日の今日は、ここSunvalleyに来て初めての曇りです。天気予報では晴れのちところによって雷雨。大気はとっても不安定でサンダーストームの危険性があります。


タスクコミッティは、エリアから北東へ50km行った後、10km戻るショートタスクを発表。タスク終了時間は早めの18:00。何とかサンダーストームになる前に安全に終了させたいつもりです。

今日のテイクオフ周辺はとってもクリアー!北風ベースだと山火事の煙がエリアに入ってこないためスッキリ。そして気温減率も大きく、スタート前のテイクオフ上空で4500mまで上がり一斉スタートに備えます。


前半から宮田、大澤、正木はトップ集団下良いポジションで進みます。レース中盤ぐらいから、コース周辺の雲はかなり発達し、雲底ではところどころアラレが降り始めました。最初のターンポイントへの平野部に出る前で、トップ集団はフルスピードで積乱雲をパス!さあ残りファイナルグライドのみとなったころ、後発集団は積乱雲にコースを遮られ、レベル3のコールを始めます。


そして、やはり、タスクキャンセル・・・。4800mの雲底からスパイラルで一気にセーフティランディング。もう少しでゴールだっただけに残念でした。帰り道のりではガスト強風、雨も降り始め選手はやっぱり納得のタスクキャンセルとなりました。



明日は絶好の天気予報です。明日は間違いなくサーマルトップ5000mを超えるでしょう。酸素ボンベの調節をしっかりして飛びます。



2012 PWC USA 練習日

アイダホ州は記録的な大山火事に見舞われ、ここSanvalley周辺も山火事に囲まれて大変なことになっています。エリア周辺は煙で霞んでいて、5km先が良く見えません・・・。
サーマルも煙粒子に熱を奪われてか、早い時間低い谷底は全く上がりません・・・。


それでも2日間の練習日が終わりましたが、初日は5400m。2日目は5000mまで上昇した選手がいました。我々も念のために酸素ボンベをレンタルし、高所に備えました。


食事は自炊です。初日はやっぱりステーキ!気合を入れすぎ食べ過ぎたので、今日は押さえてパスタ!正木シェフが腕を振るいました。


JPAチームはチームワークも良く、調整終了。後は大会開始を待つのみです。


2012 PWC USA プロローグ

2012年PWCシリーズも最終戦。アメリカステージがUSAアイダホ州Sun valleyで始まります。Sunvalleyはロッキー山脈の南の端に位置しているスキーリゾートで、東へ300kmも行くと有名なイエローストーン国立公園があります。町の標高は2200mもあり、テイクオフのあるBaldMountainは何と2800mです。



今朝の気温は6度まで冷え込み!そして日中は最高気温31まで上がりました。何と気温差25度もあります。おかげでサーマルトップは5000mを軽く凌駕するとのことですが、地元のパイロットは酸素ボンベを携帯して飛ぶようです。

到着して初日は、テイクオフ周辺に発生した山火事の消火活動のため、ヘリコプターが飛び回りフライトは自粛。


かつて経験したことのないハードなコンディションになることは間違いありません。体力勝負となりそうな過酷なステージですが、集中して臨みます。


JPAチームは宮田、正木(AirparkCoo)、廣川(浜名湖PGS)、竹尾、大澤(Birds)が参戦します。ご期待ください。


2012安比オープンカップ 大会レポート

2006年に始まった安比オープンカップも今年で開催7回目を迎えました。梅雨前線の影響を受けにくい北東北の強みを生かし、BESTシーズンとなる6月末から7月第1週に、過去の大会は開催されてきました。いつも大会前後は最高のコンディションとなるのですが、大会当日はなぜだか悪天候・・・。
そこで、今年は思い切って梅雨明けした後、夏真っ盛りの8月第1週に日程を変更!そして、西風に対応した秋田県鹿角エリアも準備!万全の態勢で準備万端、素晴らしいタスクが期待されます。

8月4日
先週まで勢力を保っていた太平洋高気圧は南下し、代わりにオホーツク高気圧が張り出してきました。北東北の天気は晴れ!東寄りの風のため、今日は安比高原で競技を行うことに決定。涼しい大会本部で開会式の後、選手はゴンドラで山頂に集合しました。


山頂は快晴!下界の涼しさがウソのようです。そして、大雲海が広がっています。素晴らしい景色に感動ですが、これはクリアーになるまで時間がかかるなといった感じです。この湿った北東風は通称「ヤマセ風」と呼ばれていて、北東北の太平洋側を低い雲で覆ってしまいます。このヤマセ風は安比高原周辺で内陸の南風とぶつかり、雲を作り出してしまうのです。


南にある盛岡方向はがっちり晴れ。地表の温度が上がれば南風が押し上がり、視界はクリアーになるはず!マイナスイオンたっぷりの山頂で、ガスが晴れるのをウェイティングとなりました。涼しいし、お肌しっとりです。



14:00を過ぎたころから、やっと南側から視界はクリアーになってきました。しかし、1200mのテイクオフ前にのみ雲がたまり続け、なかなか安全な状態になりません・・・。15:00になり、温度上昇が見込めないと判断。残念ながら本日の競技はキャンセルが決定されました。


選手は、時折クリアーになるタイミングでフライダウン。ランディング周辺の晴れ間から発生するサーマルでソアリングを楽しめましたが、タスクを組むほどの高度獲得とはなりませんでした。



夕方には寒風山パラグライダースクール小野寺校長によるベーシックセミナーが開催されました。テーマは「グループソアリング」。競技会では必ず必要になることですが、その優位性を生かす方法など勉強になりました。


夜は恒例のBBQパーティが盛大に開かれました。このパーティーが楽しみで来ている方もいるほど!?各エリア代表によるエリア自慢大会もあり盛り上がりました。フィナーレには」この大会のために打ち上げ花火も用意され!?選手のモチベーションは明日へ向けてMAXです。


8月5日
早朝から安比高原は霧の中ですが、テイクオフは快晴。予報が南西風のため、ついに秘密兵器「鹿角エリア」を使うタイミングがやってきました。9:00のブリーフィングが終了し、鹿角エリアへの大移動が始まりました。マイクロバスとトラックで選手は送迎です。



1時間のドライブで到着。まずはランディングを見学し、アプローチを確認し、テイクオフへ上がります。テイクオフはヨーロッパを思わせる広大な牧草地。4WD車であればテイクオフまで上がっていけます。ワールドカップも可能なほどの環境に初めての選手は感動です。


鹿角盆地には積雲がクラウドストリートを形成し、ダミーもしっかり雲底まで上がっています。西風が強くなることが予想されるため、素早くタスクはセットされ競技開始です。N2Lは南北に延びる主稜線を往復する40㎞。PCLはランディング周辺を回る20㎞のタスクです。N2Lはヘッドウインドとなる北のターンポイントからの戻りが難しく、かなりテクニカルなタスクです。


ウインドオープンと共に、各リーグ次々とテイクオフしていきます。広大な牧草地のテイクオフなためあっという間に皆さん空中へ!こんな恵まれた場所での大会は初めてです。


N2LのレースをリードしたのはCooの宮内選手。絶好調の今井浜の隅選手が追走します。そしてスカイパーク宇都宮の「とちおとめ」チームも追いかけます。前半は1300mの雲底がしっかり形成され、これはアッという間にゴールしてしまうのかと思われましたが、後半、積雲は南へ・・・。難所となる北端にあるターンポイントからの戻りは、強い向かい風レグとなりました。風の吹きぬける山沿いでなく、平野部の良いラインをグライドした選手はは速かったようです。


ファーストゴールを決めたのは終始リードした宮内選手。そして2番目に入ってきたのは絶好調スカイパーク宇都宮の吉川朋子選手。3番目は長島選手。その後も続々と総勢9名の方がゴールを決めました!


PCLはランディング上空に、雲底のしっかり素晴らしいコンディションが維持されたタイミングで一気にレースは進みました。立山のホープ虎井選手が23分のダントツタイム。2位はまだ2戦目参戦のCoo林選手。3位は寒風山の舘岡選手。今回初参戦となったスカイパーク宇都宮の若手ホープ、17歳の鈴木雄也選手も見事ゴール。総勢7名のゴール者となりました。



鹿角エリアゴールは、35度を超える猛暑となっていましたが、そんな暑さを吹き飛ばす、多くのゴール者の笑顔でいっぱいとなりました。皆さん、素晴らしいフライトの余韻に浸りながら帰りのバスに乗り込みます。鹿角まで来て本当に良かった!この新しいエリアのポテンシャルはこんなものではありません。今度はナショナルリーグ開催を期待する声が上がるほどです。

そして安比高原に帰ってきたのは17:00。急いでGPSダウンロード、成績発表、閉会式が準備されます。移動しただけにスタッフの皆さんには本当に頑張っていただきました。


そして、やっと成績が発表された時、大きなどよめきが!!PCL優勝は虎井選手と明らかでしたが、N2L優勝は何と!吉川朋子選手!!スタートを遅らせた後、素晴らしい追い上げを見せ2位の宮内選手に8分も差をつけダントツのスピードでゴールしていたのです。パラ酔いのため、早くおりたかったのが勝因とのこと。とはいえ今年の栂池グランプリ以来絶好調です。お二人ともおめでとうございました。そして入賞された皆さんおめでとうございました。


閉会式終了は19:00と遅くなってしまいましたが、スタッフ、選手ともに最高の笑顔で記念写真撮影となりました。この笑顔がすべてを物語っているとおり、最高の大会となりました。苦節7年、ついに素晴らしいタスクが成立することができたのです。鹿角エリアをバックアップとし、安比オープンカップに新たな歴史が生まれました。


立花校長をはじめ、スタッフの皆様本当にありがとうございました。来年もこの素晴らしいエリアで会いましょう。


第31回デサントバードマンカップ獅子吼 大会レポート

デサントバードカップ獅子吼2012は、7月28日、29日の梅雨明けに合わせてスケジュールが組まれました。北は仙台市から南は北九州市から集まった80名のパイロットは期待通り夏の獅子吼高原らしいコンディションに巡り会い思う存分日頃のフライト成果を発揮されたことと思います。



大会初日競技委員長からはN2リーグタスク1は35kmのアウトアンドリターン、チャレンジリーグは28kmの3角パイロンレースが発表されました。12時30分のデパーチャーオープンに合わせて飛び出したのがデサントバードマンカップで過去にチャレンジリーグ優勝、N2リーグ優勝を達成している廣川選手。今回はオープン参加での優勝を目指します。オープンクラスの大御所達はじっくりコンディションを観察し一番良いタイミングでスタートを切っていきます。N2リーグはオープンクラスの大御所達が最速タイムをたたき出し、廣川選手にリードアウトポイントを加算してもトップに躍り出ることができず小幡選手のタスクトップで終わりました。この時点で、N2リーグのトップは薬師寺選手、2位中村選手、3位佐々木選手となりました。


そして、チャレンジリーグのデパーチャーは13時15分のオープン。途中コンディションが渋くなる中、粘りに粘ってゴールを決めた西尾選手が最速タイムを出した虎井選手をリードアウトポイントで上回るタスクトップを取りました。


大会初日は両リーグ合わせて48名の選手がゴールを決めたタスクとなり、スカイ獅子吼高原のレストランで行われた歓迎レセプションは大いに盛り上がりました。大会実行委員長からは、N2リーグトップの薬師寺選手、チャレンジリーグトップの西尾選手に特別賞が手渡されました。また、恒例の大道芸人のパフォーマンスも楽しめました。そして、デサント社からのご来賓松山様から豪華デサント商品は、選手及び関係者にじゃんけん大会で争奪されました。




大会2日目は予報に反して曇り空の朝を迎えました。クラウドベースが低く、サーマルも弱いということで、空中での混雑を避けるため競技委員長はレースをスピードランに設定。
とにかく最速タイムを出した選手がポイントを上げるスピードランは、コンディションを如何に読み切るかが勝負の決め手となります。

N2リーグの選手は最速タイムのゴールを目指し、クラウドベースの上がった一番良いタイミングまで待ちに待ってテイクオフしますが、結果的にゴール者はなくじっくり最長距離を飛んだ佐藤選手が初めてのタスクトップを取りました。来月トルコのプレワールドに参戦する予定ですが、その前哨戦となるデサントバードマンカップで大会参加4年目にしてその飛びがブレークしたようです。

チャレンジリーグは渋いながらも、9名がゴールするタスクとなりました。そして、この日のトップは平均時速31kmでタスクをコンプリートした虎井選手。昨日に引き続き最速タイムで圧巻のゴールを決めました。


夏の獅子吼高原で開催されたデサントバードマンカップ獅子吼2012は2012年度各リーグ戦中盤戦のレースとして、2本のタスクが成立し、参加した選手は自分の実力を確かめるのに良いレースとなったと思われます。リーグ戦に計上できる高得点をタスク1で取得した選手も大勢いるようで今後のJPAリーグ戦が楽しみになりました。


N2リーグの成績は、3年前金の獅子頭杯に名前を刻んだ中村選手が2日間確実な飛びを見せ優勝。準優勝は2011年度リーグチャンピオンの佐々木選手。そして1年ぶりにレースに復帰した薬師寺選手が堂々の3位を勝ち取りました。N2リーグで特筆すべきは、EN-Bのグライダーで参戦していた地元の小森選手が総合6位に入賞したことです。地元の新聞でも取り上げられ日頃の練習の成果を十分に発揮したレースとなりました。


チャレンジリーグ総合優勝は、早く飛ぶことを身につけている虎井選手です。今年のリーグ戦彼のレースからは目が離せなくなりそうです。

梅雨明けと同時に開催された第31回デサントバードマンカップ獅子吼2012は、好天に恵まれ大盛況の内に幕を閉じました。獅子吼高原で最も天候が安定するこの時期に大会を開催できたことを、御協力いただきました地元関係者の方々、JPAスタッフの皆様に感謝いたします。そして、来年もこの時期の開催を目指してスタッフ一同準備を初めて行く次第です。選手の皆様、又来年も夏の獅子吼の空で会いましょう。