2012 PWC USA 練習日

アイダホ州は記録的な大山火事に見舞われ、ここSanvalley周辺も山火事に囲まれて大変なことになっています。エリア周辺は煙で霞んでいて、5km先が良く見えません・・・。
サーマルも煙粒子に熱を奪われてか、早い時間低い谷底は全く上がりません・・・。


それでも2日間の練習日が終わりましたが、初日は5400m。2日目は5000mまで上昇した選手がいました。我々も念のために酸素ボンベをレンタルし、高所に備えました。


食事は自炊です。初日はやっぱりステーキ!気合を入れすぎ食べ過ぎたので、今日は押さえてパスタ!正木シェフが腕を振るいました。


JPAチームはチームワークも良く、調整終了。後は大会開始を待つのみです。


2012 PWC USA プロローグ

2012年PWCシリーズも最終戦。アメリカステージがUSAアイダホ州Sun valleyで始まります。Sunvalleyはロッキー山脈の南の端に位置しているスキーリゾートで、東へ300kmも行くと有名なイエローストーン国立公園があります。町の標高は2200mもあり、テイクオフのあるBaldMountainは何と2800mです。



今朝の気温は6度まで冷え込み!そして日中は最高気温31まで上がりました。何と気温差25度もあります。おかげでサーマルトップは5000mを軽く凌駕するとのことですが、地元のパイロットは酸素ボンベを携帯して飛ぶようです。

到着して初日は、テイクオフ周辺に発生した山火事の消火活動のため、ヘリコプターが飛び回りフライトは自粛。


かつて経験したことのないハードなコンディションになることは間違いありません。体力勝負となりそうな過酷なステージですが、集中して臨みます。


JPAチームは宮田、正木(AirparkCoo)、廣川(浜名湖PGS)、竹尾、大澤(Birds)が参戦します。ご期待ください。


2012安比オープンカップ 大会レポート

2006年に始まった安比オープンカップも今年で開催7回目を迎えました。梅雨前線の影響を受けにくい北東北の強みを生かし、BESTシーズンとなる6月末から7月第1週に、過去の大会は開催されてきました。いつも大会前後は最高のコンディションとなるのですが、大会当日はなぜだか悪天候・・・。
そこで、今年は思い切って梅雨明けした後、夏真っ盛りの8月第1週に日程を変更!そして、西風に対応した秋田県鹿角エリアも準備!万全の態勢で準備万端、素晴らしいタスクが期待されます。

8月4日
先週まで勢力を保っていた太平洋高気圧は南下し、代わりにオホーツク高気圧が張り出してきました。北東北の天気は晴れ!東寄りの風のため、今日は安比高原で競技を行うことに決定。涼しい大会本部で開会式の後、選手はゴンドラで山頂に集合しました。


山頂は快晴!下界の涼しさがウソのようです。そして、大雲海が広がっています。素晴らしい景色に感動ですが、これはクリアーになるまで時間がかかるなといった感じです。この湿った北東風は通称「ヤマセ風」と呼ばれていて、北東北の太平洋側を低い雲で覆ってしまいます。このヤマセ風は安比高原周辺で内陸の南風とぶつかり、雲を作り出してしまうのです。


南にある盛岡方向はがっちり晴れ。地表の温度が上がれば南風が押し上がり、視界はクリアーになるはず!マイナスイオンたっぷりの山頂で、ガスが晴れるのをウェイティングとなりました。涼しいし、お肌しっとりです。



14:00を過ぎたころから、やっと南側から視界はクリアーになってきました。しかし、1200mのテイクオフ前にのみ雲がたまり続け、なかなか安全な状態になりません・・・。15:00になり、温度上昇が見込めないと判断。残念ながら本日の競技はキャンセルが決定されました。


選手は、時折クリアーになるタイミングでフライダウン。ランディング周辺の晴れ間から発生するサーマルでソアリングを楽しめましたが、タスクを組むほどの高度獲得とはなりませんでした。



夕方には寒風山パラグライダースクール小野寺校長によるベーシックセミナーが開催されました。テーマは「グループソアリング」。競技会では必ず必要になることですが、その優位性を生かす方法など勉強になりました。


夜は恒例のBBQパーティが盛大に開かれました。このパーティーが楽しみで来ている方もいるほど!?各エリア代表によるエリア自慢大会もあり盛り上がりました。フィナーレには」この大会のために打ち上げ花火も用意され!?選手のモチベーションは明日へ向けてMAXです。


8月5日
早朝から安比高原は霧の中ですが、テイクオフは快晴。予報が南西風のため、ついに秘密兵器「鹿角エリア」を使うタイミングがやってきました。9:00のブリーフィングが終了し、鹿角エリアへの大移動が始まりました。マイクロバスとトラックで選手は送迎です。



1時間のドライブで到着。まずはランディングを見学し、アプローチを確認し、テイクオフへ上がります。テイクオフはヨーロッパを思わせる広大な牧草地。4WD車であればテイクオフまで上がっていけます。ワールドカップも可能なほどの環境に初めての選手は感動です。


鹿角盆地には積雲がクラウドストリートを形成し、ダミーもしっかり雲底まで上がっています。西風が強くなることが予想されるため、素早くタスクはセットされ競技開始です。N2Lは南北に延びる主稜線を往復する40㎞。PCLはランディング周辺を回る20㎞のタスクです。N2Lはヘッドウインドとなる北のターンポイントからの戻りが難しく、かなりテクニカルなタスクです。


ウインドオープンと共に、各リーグ次々とテイクオフしていきます。広大な牧草地のテイクオフなためあっという間に皆さん空中へ!こんな恵まれた場所での大会は初めてです。


N2LのレースをリードしたのはCooの宮内選手。絶好調の今井浜の隅選手が追走します。そしてスカイパーク宇都宮の「とちおとめ」チームも追いかけます。前半は1300mの雲底がしっかり形成され、これはアッという間にゴールしてしまうのかと思われましたが、後半、積雲は南へ・・・。難所となる北端にあるターンポイントからの戻りは、強い向かい風レグとなりました。風の吹きぬける山沿いでなく、平野部の良いラインをグライドした選手はは速かったようです。


ファーストゴールを決めたのは終始リードした宮内選手。そして2番目に入ってきたのは絶好調スカイパーク宇都宮の吉川朋子選手。3番目は長島選手。その後も続々と総勢9名の方がゴールを決めました!


PCLはランディング上空に、雲底のしっかり素晴らしいコンディションが維持されたタイミングで一気にレースは進みました。立山のホープ虎井選手が23分のダントツタイム。2位はまだ2戦目参戦のCoo林選手。3位は寒風山の舘岡選手。今回初参戦となったスカイパーク宇都宮の若手ホープ、17歳の鈴木雄也選手も見事ゴール。総勢7名のゴール者となりました。



鹿角エリアゴールは、35度を超える猛暑となっていましたが、そんな暑さを吹き飛ばす、多くのゴール者の笑顔でいっぱいとなりました。皆さん、素晴らしいフライトの余韻に浸りながら帰りのバスに乗り込みます。鹿角まで来て本当に良かった!この新しいエリアのポテンシャルはこんなものではありません。今度はナショナルリーグ開催を期待する声が上がるほどです。

そして安比高原に帰ってきたのは17:00。急いでGPSダウンロード、成績発表、閉会式が準備されます。移動しただけにスタッフの皆さんには本当に頑張っていただきました。


そして、やっと成績が発表された時、大きなどよめきが!!PCL優勝は虎井選手と明らかでしたが、N2L優勝は何と!吉川朋子選手!!スタートを遅らせた後、素晴らしい追い上げを見せ2位の宮内選手に8分も差をつけダントツのスピードでゴールしていたのです。パラ酔いのため、早くおりたかったのが勝因とのこと。とはいえ今年の栂池グランプリ以来絶好調です。お二人ともおめでとうございました。そして入賞された皆さんおめでとうございました。


閉会式終了は19:00と遅くなってしまいましたが、スタッフ、選手ともに最高の笑顔で記念写真撮影となりました。この笑顔がすべてを物語っているとおり、最高の大会となりました。苦節7年、ついに素晴らしいタスクが成立することができたのです。鹿角エリアをバックアップとし、安比オープンカップに新たな歴史が生まれました。


立花校長をはじめ、スタッフの皆様本当にありがとうございました。来年もこの素晴らしいエリアで会いましょう。


第31回デサントバードマンカップ獅子吼 大会レポート

デサントバードカップ獅子吼2012は、7月28日、29日の梅雨明けに合わせてスケジュールが組まれました。北は仙台市から南は北九州市から集まった80名のパイロットは期待通り夏の獅子吼高原らしいコンディションに巡り会い思う存分日頃のフライト成果を発揮されたことと思います。



大会初日競技委員長からはN2リーグタスク1は35kmのアウトアンドリターン、チャレンジリーグは28kmの3角パイロンレースが発表されました。12時30分のデパーチャーオープンに合わせて飛び出したのがデサントバードマンカップで過去にチャレンジリーグ優勝、N2リーグ優勝を達成している廣川選手。今回はオープン参加での優勝を目指します。オープンクラスの大御所達はじっくりコンディションを観察し一番良いタイミングでスタートを切っていきます。N2リーグはオープンクラスの大御所達が最速タイムをたたき出し、廣川選手にリードアウトポイントを加算してもトップに躍り出ることができず小幡選手のタスクトップで終わりました。この時点で、N2リーグのトップは薬師寺選手、2位中村選手、3位佐々木選手となりました。


そして、チャレンジリーグのデパーチャーは13時15分のオープン。途中コンディションが渋くなる中、粘りに粘ってゴールを決めた西尾選手が最速タイムを出した虎井選手をリードアウトポイントで上回るタスクトップを取りました。


大会初日は両リーグ合わせて48名の選手がゴールを決めたタスクとなり、スカイ獅子吼高原のレストランで行われた歓迎レセプションは大いに盛り上がりました。大会実行委員長からは、N2リーグトップの薬師寺選手、チャレンジリーグトップの西尾選手に特別賞が手渡されました。また、恒例の大道芸人のパフォーマンスも楽しめました。そして、デサント社からのご来賓松山様から豪華デサント商品は、選手及び関係者にじゃんけん大会で争奪されました。




大会2日目は予報に反して曇り空の朝を迎えました。クラウドベースが低く、サーマルも弱いということで、空中での混雑を避けるため競技委員長はレースをスピードランに設定。
とにかく最速タイムを出した選手がポイントを上げるスピードランは、コンディションを如何に読み切るかが勝負の決め手となります。

N2リーグの選手は最速タイムのゴールを目指し、クラウドベースの上がった一番良いタイミングまで待ちに待ってテイクオフしますが、結果的にゴール者はなくじっくり最長距離を飛んだ佐藤選手が初めてのタスクトップを取りました。来月トルコのプレワールドに参戦する予定ですが、その前哨戦となるデサントバードマンカップで大会参加4年目にしてその飛びがブレークしたようです。

チャレンジリーグは渋いながらも、9名がゴールするタスクとなりました。そして、この日のトップは平均時速31kmでタスクをコンプリートした虎井選手。昨日に引き続き最速タイムで圧巻のゴールを決めました。


夏の獅子吼高原で開催されたデサントバードマンカップ獅子吼2012は2012年度各リーグ戦中盤戦のレースとして、2本のタスクが成立し、参加した選手は自分の実力を確かめるのに良いレースとなったと思われます。リーグ戦に計上できる高得点をタスク1で取得した選手も大勢いるようで今後のJPAリーグ戦が楽しみになりました。


N2リーグの成績は、3年前金の獅子頭杯に名前を刻んだ中村選手が2日間確実な飛びを見せ優勝。準優勝は2011年度リーグチャンピオンの佐々木選手。そして1年ぶりにレースに復帰した薬師寺選手が堂々の3位を勝ち取りました。N2リーグで特筆すべきは、EN-Bのグライダーで参戦していた地元の小森選手が総合6位に入賞したことです。地元の新聞でも取り上げられ日頃の練習の成果を十分に発揮したレースとなりました。


チャレンジリーグ総合優勝は、早く飛ぶことを身につけている虎井選手です。今年のリーグ戦彼のレースからは目が離せなくなりそうです。

梅雨明けと同時に開催された第31回デサントバードマンカップ獅子吼2012は、好天に恵まれ大盛況の内に幕を閉じました。獅子吼高原で最も天候が安定するこの時期に大会を開催できたことを、御協力いただきました地元関係者の方々、JPAスタッフの皆様に感謝いたします。そして、来年もこの時期の開催を目指してスタッフ一同準備を初めて行く次第です。選手の皆様、又来年も夏の獅子吼の空で会いましょう。



PCL第6戦 Coo七夕カップ レポート

7月7日(土)
梅雨時期でもフライト確立の高い、茨城県エアパークCooにてPCL第6戦となる「Coo七夕カップ」が開催されました。



週間天気予報は良かったのですが、大会直前で梅雨前線は活発化し初日7日の七夕は雨となってしまいました。



開会式の後は、Cooクラブハウス内でじっくりジェネラルブリーフィングが行われました。チャレンジリーグ初参戦の方にも、JPA大会参戦のための準備についての説明をすることができ、有意義な時間となったことでしょう。



お昼にはCoo特製の、天ぷらと野菜たっぷり+鮭缶乗せのソーメンが振る舞われました。七夕の日に「ソーメンを食べると大病をしない!」とのことらしいです。確かに、じっとり暑い梅雨時にソーメンは最高!美味しかったです。



午後には雨は止みましたが、雲底高度は低く、残念ながら本日の競技は中止となりました。明日は日照も期待されます。


7月8日(日)
昨晩降った雨もあり、昨日に引き続き雲底は低く、テイクオフは見えません。午後から晴れてくる予報を信じで、午前中はベーシックセミナーが開催されました。お題は「タスクボードを理解する」です。タスクボードには様々な情報が掲載されていますが、それぞれの項目の意味、設定理由を理解するにはなかなか難しいものです。



今回は、タスクの種類から時間設定の一般的なパターンを挙げて、わかりやすく説明がなされました。皆さんも普段のフリーフライトで、タスクコミッティになった気持ちで、練習タスクを考えてみましょう。



さて、お昼前には急速に天候は回復してきました。早速テイクオフへGo!今回はチャレンジリーグ選手のみでコンパクトなため、フットワーク良く動けます。30分後にはテイクオフに集合です。



青空が広がり、強烈な日差しが照りつけます。サーマルコンディションは活発であっと言う間に積雲を発達させます。ダミーが800mまで上昇してきたこともあり、22㎞のエリア内を周回するタスクが決定しました。



しかし、最初の3人がテイクオフした頃からヒンヤリした東風が入ってきたのです。これは海風…。海風の進入は予想されていましたが、こんなに早くとは・・・。一気に雲底は下がり、テイクオフはガスの中に。


平野部は晴れているので、次の温度上昇を期待してウェイティングとなりました。3人がテイクオフに戻って来た時点でタスクはリセット。12.9㎞新しいタスクを設定し、晴れ間を待ちます。



お昼前からテイクオフでウェイティングとなった選手は、お腹がぺこぺこ。そこで選手のリクエストに応え、お昼に用意されていたカレーをテイクオフまでデリバリーしていただける事となり、選手のモチベーションは最高潮!スタッフの皆様ありがとうございます。

カレーパワーが充填されたころに、雲は上がりアーベントコンディションにとなってきました。何とかゴール目指してフライト開始です!



周期的に渋くなるコンディションの中、10年ぶりの競技復帰戦となる杉浦選手が一人生き残り、粘りのフライトで次の周期を待ちます。

リフライトの選手も諦めずに果敢にアタックします。14時を過ぎたころ、サーマルトップが600mまで上がったタイミングでうまく回った選手が距離を伸ばします。



地元岩崎選手、篠田選手、TAK西尾選手が抜きつ抜かれつのレースを行い、ランディングしていくのを横目に、立山スーパールーキー虎井選手は最良コースでの素晴らしいグライディングを見せます。オブザーバ参加の鈴村選手も追いかけますが、僅かな高度差で岩山ポイントが取れません・・・。

僅かな時間でしたが、良いタイミングを捕えた虎井選手が4.3kmでトップ。続いて岩崎選手4.1km。篠田選手、西尾選手は仲良く3.4km。唯一リフライトせず、飛び続けた初参戦杉浦選手は3.2kmと大健闘でした。



トリッキーで難しいコンディションでしたが、3㎞のミニマム距離をクリアーしている選手が多くいるため、競技は見事成立。総合優勝は立山のスーパールーキー虎井選手。2位に地元岩崎選手。3位は同点で篠田選手、西尾選手のお二人。皆様おめでとうございました。



表彰式では、茨城県地元名産品が副賞として授与されました。やっぱり食べ物はうれしいですね!参加選手全員に副賞がわたされました。



梅雨の気まぐれな天候に翻弄されてしまいましたが、参加していただいた選手の皆様は楽しんでいただけたことでしょう。


これからは梅雨も明け、夏本番ステージが始まります。まずは獅子吼への挑戦お待ちしております。