| 大会レポート
2012安比オープンカップ 大会レポート
2006年に始まった安比オープンカップも今年で開催7回目を迎えました。梅雨前線の影響を受けにくい北東北の強みを生かし、BESTシーズンとなる6月末から7月第1週に、過去の大会は開催されてきました。いつも大会前後は最高のコンディションとなるのですが、大会当日はなぜだか悪天候・・・。
そこで、今年は思い切って梅雨明けした後、夏真っ盛りの8月第1週に日程を変更!そして、西風に対応した秋田県鹿角エリアも準備!万全の態勢で準備万端、素晴らしいタスクが期待されます。
8月4日
先週まで勢力を保っていた太平洋高気圧は南下し、代わりにオホーツク高気圧が張り出してきました。北東北の天気は晴れ!東寄りの風のため、今日は安比高原で競技を行うことに決定。涼しい大会本部で開会式の後、選手はゴンドラで山頂に集合しました。
山頂は快晴!下界の涼しさがウソのようです。そして、大雲海が広がっています。素晴らしい景色に感動ですが、これはクリアーになるまで時間がかかるなといった感じです。この湿った北東風は通称「ヤマセ風」と呼ばれていて、北東北の太平洋側を低い雲で覆ってしまいます。このヤマセ風は安比高原周辺で内陸の南風とぶつかり、雲を作り出してしまうのです。
南にある盛岡方向はがっちり晴れ。地表の温度が上がれば南風が押し上がり、視界はクリアーになるはず!マイナスイオンたっぷりの山頂で、ガスが晴れるのをウェイティングとなりました。涼しいし、お肌しっとりです。
14:00を過ぎたころから、やっと南側から視界はクリアーになってきました。しかし、1200mのテイクオフ前にのみ雲がたまり続け、なかなか安全な状態になりません・・・。15:00になり、温度上昇が見込めないと判断。残念ながら本日の競技はキャンセルが決定されました。
選手は、時折クリアーになるタイミングでフライダウン。ランディング周辺の晴れ間から発生するサーマルでソアリングを楽しめましたが、タスクを組むほどの高度獲得とはなりませんでした。
夕方には寒風山パラグライダースクール小野寺校長によるベーシックセミナーが開催されました。テーマは「グループソアリング」。競技会では必ず必要になることですが、その優位性を生かす方法など勉強になりました。
夜は恒例のBBQパーティが盛大に開かれました。このパーティーが楽しみで来ている方もいるほど!?各エリア代表によるエリア自慢大会もあり盛り上がりました。フィナーレには」この大会のために打ち上げ花火も用意され!?選手のモチベーションは明日へ向けてMAXです。
8月5日
早朝から安比高原は霧の中ですが、テイクオフは快晴。予報が南西風のため、ついに秘密兵器「鹿角エリア」を使うタイミングがやってきました。9:00のブリーフィングが終了し、鹿角エリアへの大移動が始まりました。マイクロバスとトラックで選手は送迎です。
1時間のドライブで到着。まずはランディングを見学し、アプローチを確認し、テイクオフへ上がります。テイクオフはヨーロッパを思わせる広大な牧草地。4WD車であればテイクオフまで上がっていけます。ワールドカップも可能なほどの環境に初めての選手は感動です。
鹿角盆地には積雲がクラウドストリートを形成し、ダミーもしっかり雲底まで上がっています。西風が強くなることが予想されるため、素早くタスクはセットされ競技開始です。N2Lは南北に延びる主稜線を往復する40㎞。PCLはランディング周辺を回る20㎞のタスクです。N2Lはヘッドウインドとなる北のターンポイントからの戻りが難しく、かなりテクニカルなタスクです。
ウインドオープンと共に、各リーグ次々とテイクオフしていきます。広大な牧草地のテイクオフなためあっという間に皆さん空中へ!こんな恵まれた場所での大会は初めてです。
N2LのレースをリードしたのはCooの宮内選手。絶好調の今井浜の隅選手が追走します。そしてスカイパーク宇都宮の「とちおとめ」チームも追いかけます。前半は1300mの雲底がしっかり形成され、これはアッという間にゴールしてしまうのかと思われましたが、後半、積雲は南へ・・・。難所となる北端にあるターンポイントからの戻りは、強い向かい風レグとなりました。風の吹きぬける山沿いでなく、平野部の良いラインをグライドした選手はは速かったようです。
ファーストゴールを決めたのは終始リードした宮内選手。そして2番目に入ってきたのは絶好調スカイパーク宇都宮の吉川朋子選手。3番目は長島選手。その後も続々と総勢9名の方がゴールを決めました!
PCLはランディング上空に、雲底のしっかり素晴らしいコンディションが維持されたタイミングで一気にレースは進みました。立山のホープ虎井選手が23分のダントツタイム。2位はまだ2戦目参戦のCoo林選手。3位は寒風山の舘岡選手。今回初参戦となったスカイパーク宇都宮の若手ホープ、17歳の鈴木雄也選手も見事ゴール。総勢7名のゴール者となりました。
鹿角エリアゴールは、35度を超える猛暑となっていましたが、そんな暑さを吹き飛ばす、多くのゴール者の笑顔でいっぱいとなりました。皆さん、素晴らしいフライトの余韻に浸りながら帰りのバスに乗り込みます。鹿角まで来て本当に良かった!この新しいエリアのポテンシャルはこんなものではありません。今度はナショナルリーグ開催を期待する声が上がるほどです。
そして安比高原に帰ってきたのは17:00。急いでGPSダウンロード、成績発表、閉会式が準備されます。移動しただけにスタッフの皆さんには本当に頑張っていただきました。
そして、やっと成績が発表された時、大きなどよめきが!!PCL優勝は虎井選手と明らかでしたが、N2L優勝は何と!吉川朋子選手!!スタートを遅らせた後、素晴らしい追い上げを見せ2位の宮内選手に8分も差をつけダントツのスピードでゴールしていたのです。パラ酔いのため、早くおりたかったのが勝因とのこと。とはいえ今年の栂池グランプリ以来絶好調です。お二人ともおめでとうございました。そして入賞された皆さんおめでとうございました。
閉会式終了は19:00と遅くなってしまいましたが、スタッフ、選手ともに最高の笑顔で記念写真撮影となりました。この笑顔がすべてを物語っているとおり、最高の大会となりました。苦節7年、ついに素晴らしいタスクが成立することができたのです。鹿角エリアをバックアップとし、安比オープンカップに新たな歴史が生まれました。
立花校長をはじめ、スタッフの皆様本当にありがとうございました。来年もこの素晴らしいエリアで会いましょう。
- tag
- 安比