| 大会レポート
2012PWC USA Task7
とうとう最終日。風も弱く、今日こそ大丈夫そうです。テイクオフに着くと、下層には茶色い空気がたまって見え逆転層がびっしり・・・。なんだか嫌な予感がします。
最終日ということもあり、大きく南に迂回する120kmが決まりました。距離的には簡単そうですが、やはり今日も巨大な山越えが設定されています。しかし、思い切って攻めるのみです。
前半はやっぱり、渋いコンディション。空港高度制限が気になりますが、しっかりあげて一番山の深いところをトップグループは進みます。宮田は先頭のベストポジションを維持。大澤も追走します。
後半の平野部に入り、西風が増してきます。そして逆転層はがっちり壊れそうにありません。風は強いが上がらないという厳しいコンディションに、トップ集団は完全にスタック。最終パイロンの小山に張り付き、リッジソアリングで何とかしのごうと必死。
1時間ほどスタックした後、しびれを切らしたパイロットから、ローターとなる山の裏側にぽろぽろとこぼれていきます。何人かが山の上に降りてしまう中、さすがトップパイロット!リーサイドの強烈なサーマルで抜けていくことに成功!平野部へこぼれていきます。
西風は更に強さを増し、風上へ向けるとバックし始めました。これはまずい!ととにかく安全な平野部へ流していきます。対地速度は80km/hを軽く超え、これはいよいよ危険な状況。対地高度は50mを切っています。
最後のギャンブルは回収道路際の小山のリーサイドへ飛び込みました。淀んだ風は荒れていますが、弱い上昇成分を持った空気の塊を作り出します。+0m/sリフトで手裏剣のようにまわしながら流していきます。どこかで立ち上がることを信じて・・・。
5㎞ほど流したところでサーマルはまとまり始め、+2m/sに、そのうち+5m/s。とうとう+8m/s!?なんだか変ですがゴール方向を見ると他のパイロットが上がりながらグライディングを続けているではないですか。どうやら。本流の西風に、平野部の南風がもぐりこんだ強烈なコンバージェンスラインを形成していたのです。
残り20㎞のファイナルグライドは、対地速度80km/hで上がりっぱなしで進みます。しかし、タスククローズは16:00。ゴールしてみると16:04。4分間に合いませんでしたが、力出し切った感はあり納得のフライトでした。
脱力感と共に崩れるようにハーネスを脱ぐと、周りのパイロットからタスクストップになっていることを聞かされさらに脱力・・・。
どうやら15:45ころにタスクストップが発表されていたようです。成績は更に10分前に遡り計算されてしまいます。もちろんゴールでないし、最後の素晴らしいファイナルグライドはノーカウント・・・。80km/hでぶっとばしていたのはなんだったの!?
いつもタスクストップについては論議がされますが、10分前に戻ることには反対です。がっかりでした。そんな中、あの強風スタックをそのままスルーし、勝負に出た成山さんがタスクトップでダントツのゴールを決めていたのです。もちろんタスクストップ前です。
大きなリスクはありましたが、見事です。日本人トップはすごい!おめでとうございました。
Sunvalleyは素晴らしコンディションになると必ずどこかでレベル3がコールされます。5000mを超えるサーマルトップのコンディション中、フリーフライトには最高ですが、競技会を開催するのはリスクが大きいエリアに感じました。実際、今日は2人のパイロットが行方不明となり、表彰式が始まったのは夜中の0時。行方不明パイロット抜きで行われました。
2本の成立に終わってしまい、大澤11位、宮田14位、正木28位と不完全燃焼な結果となってしまいました。
大会はいまいちでしたが、Sunvallyの強烈なコンディションの中、JPAチームはベストを尽くせたと思います。ご声援ありがとうございました。