ジャム勝サマーカップ2016 大会レポート

レポート:鈴村 恵司

「鰻と梅干し」、「天ぷらと西瓜」、『西向きエリアに近づく台風の南東風』、いずれも良い組合せとは言い難い。ジャム勝サマーカップ2016は、そんな環境の中の開催となった。
それでも過去の“実績”から参加選手の期待は大きかった。そして結論から言えば、さすがに二日目はキャンセルであったが、初日は良いコンディションのもと、チャレンジリーグはPCL日本グランプリが成立、ゴール者2名。N2リーグもゴール者多数の手応えのあるレースが出来た。トリッキーな天気予報に強い“実績”を持つジャム勝エリアの面目躍如と言ったところだ。


【1日目】
とは言うものの、ジェネラルブリーフィング段階の天候は曇り。どうなることやらという雰囲気。コンディションが良くなる前提で組んだタスクもこのまま曇りが続けば変更か、「出来るよ、きっと」と「やっぱり難しいのか」が朝から行ったり来たりという状況が待ち受けていた。



ところが、11時45分を過ぎに薄日が射すと様子見で出てステイしていたウインドダミーがゲインし始め、どんどん上昇してゆく。両リーグのテイクオフ順は、N2リーグ先行としウインドウオープン時刻とデパーチャオープン時刻は以下。(チャレンジリーグは一旦設定した時刻を良好なコンディション故に最終的に15分早めました。)両リーグ共にゴールレースだ。



■初日タスク内容




ウインドウオープン時刻にはこだわらず時刻前のテイクオフも認めた。N2リーグの大半の選手がデパーチャオープン時刻を高い高度で向かえることが出来、一斉スタートは壮観なものとなった。
チャレンジリーグは出る判断にまよう選手もあり、また立ち上がるサーマルがテイクオフを時々フォローぎみにすることもありでテイクオフはやや停滞した。テイクオフ回りがオーバーキャスト状態になりリフトが弱まり、上がりきらずにランディングしてしまう選手も出てしまう。デパーチャオープン時刻に望んだ高度でスタート出来た選手は多くなかった。随時スタートする選手もレース進行に苦労した様子だった。
最短距離25kmのレースを1時間+αでN2選手達は駆け抜けた。トップの星田選手は13時50分にゴール。ゴール時刻が遅れるほど渋くなるコンディション戦うことになり、ファーストフライトの最終ゴール者の樋口選手は14時25分でゴール。おそらく終盤はがまんのフライトが続いた。
チャレンジリーグの選手にとってはゴールに近づく段階でコンディションの低下に会い、フライト距離は稼いだもののゴールならずの選手が多く出た。14時過ぎには南風成分が強まりリフトが流され位置が掴みにくくなったのだ。上げても北方向に流されターンポイント間の移動で高度が落ちやすい。ゴールしたN2選手がランディングしてリフトに位置が掴み難くなったことも大きかった。空中のグライダーがどんどん少なくなってゆく中、横井選手と早川選手の2名のみが絡みあいながら耐えた。14時10分過ぎからの約20分を凌いだ両選手はゴールメイク出来た。リフライトでゴールを決めたN2リーグの河野選手と清水選手はこのPCL選手2名が粘るリフトを使ってリフライトテイクオフ直後の条件を凌いでいる。

■試合の流れのまとめ



〈アルバムの選手テイクオフの状況はこちら〉

以下、N2リーグ選手のテイクオフ。
前方の一番手テイクオフの薬師寺選手を追ってテイクする中島選手
トップを取った星田選手、ファーストフライトでラストゴール者の樋口選手



続いてチャレンジリーグ選手のテイクオフ。
日本グランプリ覇者のゼッケン538 横井選手、13時07分のテイクオフ。(すいません、お姿を撮れていませんでした。)
準優勝のゼッケン524 袴田選手は12時55分のテイクオフ。共にゴールデン4でした。


テイクオフ前に立ち上がる選手のガーグルと、南風が強まりテイクオフ北側に流されたガーグルの様子


◆ウェルカムパーティ
タスク成立と言っても順位はついてしまう。良い結果、悪い結果、悲喜交々ではあるのだが、試合が出来たことだけでも嬉しい。若いスタッフもテーブルに同席して恒例のバーベキューパーティーは、旨く行ったこと、行かなかったこと、非常に会話の弾むものとなった。(ように感じました。)
(アルバムのパーティの様子はこちら)

【二日目】


午後過ぎに雨の予報あり。晴天予報の午前中に短めのタスクを、と選手、スタッフ全員で準備を進めた。しかし朝から晴れたことが大気の動きを活発化し南風が強い。エリアとしては横風で飛びにくいコンディション。ウインドダミーはゲインするものの北に流されランディングに戻るのに四苦八苦。12時過ぎてもコンディションは変わらず残忍ながらのキャンセルとなった。
また、キャンセル後もテイクオフに残った選手がフリーフライト。結果として、とても競技が行えるものでは無いことを証明したフライトとなった。
(アルバムの二日目の様子はこちら)

ともあれ、2016年も見事(無事?)ジャム勝サマーカップは成立。チャレンジリーグ日本グランプリも成立。2本タスクともとはいかなかったが、飛べたこと、大会成立したことを喜びましょう。
2016チャレンジリーグ日本グランプリは横井選手が奪取、女子グランプリウイナーは高瀬選手。去年の獅子吼大会での日本グランプリからの二連覇。N2リーグの勝者は星田選手。こちらは今年のN2リーグ獅子吼大会からの二連勝。表彰された選手の皆さんは以下です。おめでとうございます。


◆N2リーグ総合表彰者(得点がわかるように初日成績表でのせます。)



◆N2リーグ女子表彰者



◆チャレンジリーグ総合表彰者



◆チャレンジリーグ女子表彰者(3位まで)



さて来年も9月第一週(9月2、3日)に開催だそうです。例年通り「福井県立大パラグライダー部そりゃーず」の若い面々がスタッフとして選手をお迎えしてくれるでしょう。関東方面からはちょっと遠いジャム勝エリアですが新東名が豊田まで延び、渋滞が全くなくたったことで、東海環状道+東海北陸道+一般道なら東京から車で6時間ぐらいで来られます(確かに近くはないですけどね)。

今年も成立性の高さを示したジャム勝サマーカップ。2017大会で皆さんにお会い出来ればと思います。よろしくお願い致します。