| 大会レポート
ジャム勝・サマーカップ2019
夏休みが終わろうかという8月末に開催される「ジャム勝・サマーカップ」。毎年のように言われているのは「天気予報が良くない中で開催され、そしていつも成立する」ということ。今年も例外とはならず、大会開催の1週間前からは秋雨前線が日本海に停滞する気圧配置が続き、予報は基本的に雨マークが並ぶ絶望的なもの。そんな状況にありながら、やはりこちらも例外とはならず、しっかりと競技が成立したのです。
チャレンジリーグは日本グランプリもかかった大会でもあり、どのようなレースだったのかも含めてレポートしたいと思います。
大会レポート
競技委員長:藤野 光一
大会1日目
昨日までの雨は嘘のように晴れ渡り、空には雲がポコポコと漂っています。実際には、昨日の夕方から天気予報も晴れマークが付くようになりました。それでも、夕食をとった後も雨がシトシト降っていた時間もありましたから、朝から眩しい太陽に照らされるのは嬉しいものです。やはり、ジャム勝は天気予報に惑わされずに、とりあえず来てみないとわからない・・・ことが今年も証明されました。
8時からの受付を済ませた選手は、昨日までの予報もあって信じらないような、あるいは儲けモン的な天気の中、準備を済ませてテイクオフへと移動して行きます。選手は一様に笑顔ですが、今日のフライトに向けた静かな闘志を感じさせてくれる笑顔でもありました。
選手がテイクオフに揃った10時から開会式を行い、ジャムスポーツの堀校長から「天気予報が悪くても、今年もみなさんの行いが良かったのか、今日は競技が出来そうです。良いタスクを組んでください」とあいさつをいただきました。
心配される降水も、おそらく今日は夕方まで問題ないだろうという判断から、じっくりと飛べるようなタスクをコミッティーと一緒に検討することにしました。
ダミーの上りはよく、それ程高さは取れないもののソアラブルな条件であることは間違いないので、両リーグともにウィンドウオープンを11時30分、ウィンドウクローズ15時とし、チャレンジのデパーチャーオープンを12時15分、N2を12時30分として早めに競技を行うことになりました。
N2リーグTASK1
D97(TO)
B59(料金所)800m SSS
B59(料金所)600m
B36(砂防ダム)800m
B58(ファンタジー)400m
B34(三頭山)1600m
B61(スタッフロッジ)400m
B58(ファンタジー)400m
B30(NTTアンテナ)600m
B36(砂防ダム)800m
B27(ファンタジーミドル)800m
B44(材木置き場)1000m
B34(三頭山)1800m
B98(ファンタジーTO)800m
B47(浄土寺川下流)800m
A86(メインLD)1000m ESS
A86(メインLD)600m
最短距離:26.8Km 中心距離:44.8Km
チャレンジリーグTASK1
D97(TO)
A86(メインLD)600m SSS
A86(メインLD)400m
B58(ファンタジー)400m
B61(スタッフロッジ)400m
B59(料金所)400m
B58(ファンタジー)400m
B61(スタッフロッジ)400m
B59(料金所)400m
B58(ファンタジー)400m
B29(イリュージョン)400m
B45(タンク)400m
B59(料金所)400m
B58(ファンタジー)400m
B37(浄土寺ダム横)400m
A86(メインLD)600m ESS
A86(メインLD)400m
最短距離:16.3Km 中心距離:25.5Km
中だるみの洗礼
タスクブリーフィングを終え、アーリーバードでのテイクオフを許可して希望者から順にテイクオフして行きます。しかし、先ほどまでダミーの機体がソアリングしていた状況とは異なり、選手はサーマルを探して右往左往しています。それでも、次々と選手がテイクオフしていくことで、目線から下にどんどん機体が供給され、上がることが出来ずひしめき合っています。
このような状況になるとテイクオフの選手は様子見となってしまいます。スタート時間が早いチャレンジの選手は特にそうで、遅れれば遅れるほど不利になるはずなのですが、やはりしっかりと上がっていない状態では出たくないという心理が強く働いてしまうようです。
スタート前に降りてしまう選手も見られ、状況は生き残りゲームの様相を呈していました。時間がまだ早かったのは間違いないですが、ここまで渋いとは!!
しかし、徐々に上げ始める選手も見られ、やや強めの南風に流されるように北の上空にガーグルが出来ていました。
スタート前からとても厳しい試練に見舞われた選手でしたが、とにかく粘ってリフトをつかみ上昇する者と、無情にも上げられずに降りてしまう者に分けられてしまいました。
チャレンジのスタート時刻である12時15分を迎えても、レースがスタートする様子は見えず高度を維持し上昇することに専念する選手がほとんどでした。
そんな中、着実に高度を獲得しながら動いていたのが520番の大澤彩花選手。厳しい条件の中をテンポ良く、それでいて基本に忠実な「上がる場所を起点に上げて走る」を実践しているように見受けられました。チャレンジリーグの選手は3名の選手がリフライトせずに飛び続けることができ、その中の一人であった大澤選手は2位の地元学生・井出選手に20分近い差をつけてのトップゴールを決めました。ゴール時刻は13時43分。タイムは1時間28分49秒。条件が好転してきたのが13時を過ぎた頃からでしたので、おそらく厳しいレースだったのではないか?と推察します。
チャレンジリーグはリフライトの選手も含め8名がゴール。おめでとうごさいます。
一方、N2リーグの方も波乱のスタートとなりました。12時30分のスタート時刻には、多少低くとも料金所に向かって数名の選手がスタートを切りに行きます。しかし、生還できたのは果たして何名いたのかは定かではありません。こちらも半数の選手が降りてしまいリフライトに臨みました。
そんな中、やはりレースを引っ張ったのは昨年も良いリーディングをしてくれたゼッケン3番の中村師匠。門下生に良いところを見せようとしたかどうかは別として、条件に合わせながら上げすぎず、下げすぎず、コースをうまく読みながら着実に駒を進めて14時4分にトップゴールを決めました。ナショナルリーグシングルゼッケンの貫禄を見せたフライトだったのではないか?と思います。続いて34田前敏選手、N2リーグの310藤原選手と続き、こちらもリフライトを含めて22名の選手がゴールを決めてくれました。
リフライトした選手によれば、後半は条件も好転して実質のレースタイムは1時間を切っていたとか。やはりジャム勝は午後からなんですよね。とは言え、タスククローズの16時まであきらめずに時間一杯を使ってゴールした317谷藤選手の粘りも素晴らしかったです。お疲れ様でした。
ジャム勝・サマーカップ2019初日は、両リーグともに苦しい場面もありましたが、素晴らしいタスクで締めくくることができました。チャレンジリーグの日本グランプリももちろん堂々の成立です。
夜は恒例のバーベキューで盛り上がりました。また、昨年の日本グランプリチャンピオンである斎藤選手と谷藤幸子選手にレプリカが贈呈されました。
大会2日目
曇り予報ながらも、朝は日差しもあって期待を持たせるムード。8時30分からの受付後、すぐにテイクオフへ移動し、本日も10時から最初のブリーフィング。
気象データを吟味し、時折高層雲が薄くなるエリアもあることから、基本的にはレースを行う方向で準備をするように選手全員に気持ちを切り替えるよう申し合わせました。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に状況は一向に好転する兆しを見せてはくれず、降水のリスクも出てきたことから、残念ながら12時をもって競技をキャンセルとしました。
そして、初日の結果が最終結果となりました。
N2リーグ表彰
N2クラス総合
優勝 310 藤原 雅宏 NOVA SECTOR
準優勝 325 吉田 勝一 NOVA PHANTOM
第3位 303 松岡 茂 NOVA MENTOR5
第4位 320 相原 陽子 GINGLIDERS BONANZA2
第5位 314 斎藤 光秋 GINGLIDERS BONANZA2
第6位 313 谷藤 公明 BGD CURE
N2クラス女子
優勝 320 相原 陽子 GINGLIDERS BONANZA2
準優勝 317 谷藤 幸子 ADVANCE SIGMA10
N2クラスチーム戦
優勝 西日本連合
(303松岡茂、310藤原雅宏、312岸幸民、319山崎勉)
準優勝 今井浜
(308岩野おさむ、313谷藤公明、314斎藤光明、317谷藤幸子)
第3位 中村門下生
(315袴田涼輔、316疋田祥丈、327佐野邦夫)
N2ナショナルクラス
優勝 3 中村 浩希 NIVIUK KLIMBER P
準優勝 34 田前 敏 FLOW PARAGLIDER XC RACER
第3位 38 食堂 信昭 NOVA PHANTOM
チャレンジリーグ表彰
総合
優勝 520 大澤 彩花 PHI MAESTRO
準優勝 503 井出 大貴 GINGLIDERS CARRERA+
第3位 511 富重のぞみ NOVA PHANTOM
第4位 535 北口 勉 GINGLIDERS BONANZA2
第5位 521 阿部 耕司 NOVA SECTOR
第6位 513 籾山久美子 PHI MAESTRO
女子
優勝 520 大澤 彩花 PHI MAESTRO
準優勝 511 富重のぞみ NOVA PHANTOM
第3位 513 籾山久美子 PHI MAESTRO
チーム戦
優勝 チャム'S
(510荒金正之、520大澤彩花、539西多功、540西多有美子)
準優勝 そりゃーず
(503井出大貴、504庄司笑梨、505村松輝)
第3位 いよめんたい
(511富重のぞみ、519渡邊悦男)
チャレンジリーグ日本グランプリ
総合・女子グランプリ
ジャム勝・サマーカップ2019は、初日1本のみとなったものの素晴らしいレースが展開されて今年も見事成立しました。いつも大会を開催いただくジャムスポーツの堀校長、若さと元気なパワーで大会を支えてくれる福井県立大学の学生諸君、その他エリア会員の皆様や地元関係者の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。
来年も天気予報は芳しくないかもしれませんが、ここは来てみないとわからないことが十二分に証明済です。また、素晴らしい大会ができることを祈念してレポートを終えさせていただきます。