しらたかラ・フランスカップ2021


レポート:JPA競技事業部

藤野 光一

今年に入って3回目の大会開催となる白鷹エリア。しかも、前回の紅花カップから間に挟むはずだった獅子吼、ジャム勝山は新型コロナの第5波の影響をモロに受けてしまい大会中止となる中、しっかりとした感染防止対策を実施しての開催には頭が下がる思いです。
しかし、そのような意気込みの出鼻を挫くように台風14号が日本列島を北上して東北にも影響を及ぼしそうな進路予想に、移動する選手の安全を考慮して大会初日の18日は早々に競技キャンセルを発表する事態となりました。
先行き不安の3日間大会は、思ったほどの影響がなかった台風14号崩れの温帯低気圧と高気圧、暖かい空気により非常にテクニカルなコンディションになってしまったのでした。

Day1

当初の予想から大きく進路が変わりましたが、元々競技は望めそうもない予想でしたので、大会初日ではありましたが競技はキャンセルです。誰も大会本部に来ないと思っていたら、数名の選手がいらっしゃいました。雨も夕方まで降ったものの、降り自体は弱いものでした。


202109180900jst天気図:出典 気象人


Day2

大会2日目は朝から快晴。白鷹近辺はまだ雲が低いものの、澄んだ空気が爽やかな秋を感じさせる日となりました。



昨日の雨が影響して雲が低いところに出来ていますが、気温が上がればよくなるだろうと思われます。
8時30分からの受付を済ませた選手たちは、すぐにテイクオフへ移動して行きます。



タスクコミッティーは、条件が好転してレースが開始できるのが昼以降と考えており、比較的余裕のある時間が過ぎていきます。
テイクオフでは10時から1日遅れの開会式。毎度の注意事項などに加え、今回も感染対策に関しての協力が選手に呼びかけられました。


司会


大会実行委員長


競技委員長


タスクコミッティーは、東絡みの北風を考慮したタスクを立案。特にナショナル、N2リーグは前回の紅花カップで西山を使ったタスクを成功させた経験から、今回も長井盆地を上手に利用したタスクを提示しました。


ナショナル・N2 TASK1


チャレンジリーグも北風を考慮した比較的短めのタスクを提示。15Kmの荒砥ゴールですが、スタートの西黒森がいきなりの難所となりそうな設定です。
しかし、北風の白鷹はタスク設定が非常に難しい。特にチャレンジはエリアから大きく離れることができないので、難しい風でのソアリングを強いられるため技量が大きくものを言います。


チャレンジ TASK1


天気は良いが風が・・・。ダミーが出るもののステイすら厳しい状態で、なかなかコンディションが上がってきません。ウィンドウオープンの12時になっても一向に上がる気配がなく、悪いことにメインテイクオフにはフォローの東風が時折強く吹き込む事態に。この様子を見ていた選手の大半は北向きの第3テイクオフへ移動して行きました。
そのような厳しい中でも、果敢に空中へ飛び出したのは今年N2で実力を如何なく発揮しているゼッケン313岩野選手。辛うじてダミーが1機ステイしている中を、選手として最初にテイクオフして待機するその積極的な姿勢は、他の選手も大いに見習うべきかと思います。


スタート前の空中


12時30分を過ぎると徐々にコンディションも好転し、高度も1300m以上取れるようになりました。選手は順当に空中へと飛び出し、やがていくつかのガーグルが出現します。ナショナルとN2では、No.20藤野選手とNo.13吉川選手が好位置をキープ。
時間どおりにスタートできたのはNo.7伊澤選手、NO.13吉川選手、No.20藤野選手、No.64松田選手、No.301千葉選手、No.313岩野選手、No.314斎藤選手の7名。単独で山ルートの藤野選手、伊澤・吉川、岩野の3選手はグループを組みながらやや西寄りのコースを、TONBIガールズ松田、千葉両選手もやや沖のコースで進みます。しかし、この日はどこもサーマルが低調で厳しいレースになりました。弱いリフトを丁寧に掴みながら一歩ずつしか進めない状況は正に予想外。もう少し良い条件になると思っただけに、レースは最初からサバイバルな展開となってしまいました。


サーマルがない


結局、条件が好転することはなく米沢ゴールに到達できた選手はいませんでした。No.13吉川選手が最も距離を伸ばして26.3Km。No.7伊澤選手が24.2Km、No.212中田選手が23.1KmでBX1シリンダーカット組。N2ではNo.314斎藤選手のみが19.4Kmとタスクトップとなりました。

チャレンジリーグはやはり北風となって白鷹エリアでのソアリングに苦しめられていました。スキー場尾根で上げられた選手は次に駒を進めるべく西黒森に向かうものの、強い北風に阻まれてしまう厳しい展開となりました。上げられずランディングしリフライトに上がる選手が続出。今年のチャレンジリーグでは、荒砥ゴールが遠く感じます。なかなかコンディションとタスクがマッチングしない。難しいですね。
こちらも残念ながらゴール者はおらず、最も距離を伸ばしたのはNo.516大久保選手。5Km強を飛んで、白鷹3連覇に向けて大きく前進です。

TASK1リザルト

◆PNL
ALL
女子
チーム戦

◆N2L
ALL
女子

◆PCL
ALL
チーム戦

Day3

大会最終日。
昨日のコンディションが渋かったことを読めなかったので、今日は昨日の気象データをよく吟味して同じく渋めのコンディションであると結論付けてのタスク立案となりました。
とは言え、昨日の晴天により土曜日の雨による湿気はかなり払拭されていること、風向きが昨日の北寄りから南寄りに変わることが期待できることも考慮し、昨日よりも若干早めのスタートになるだろうとのシナリオで進めることになりました。


PNL N2 TASK2



PNLおよびN2のタスクは、昨日のタスクからゴールを米沢ではなく荒砥に変更したものになりました。東風ベースであることと、そうは言ってもコンディションは弱いと言う予測から、長井ダム5Kmシリンダーから荒砥ゴールへリターンするのもなかなか難しいであろうと言う判断です。タスク距離は26Kmですが、ルートも東の山ルート、平野直線ルート、西山ルートと複数の選択肢もあり選手がどのような判断をするのか?も大変見どころのあるテクニカルなタスクです。


PCL TASK2



PCLのタスクコミッティーも、昨日の反省から今日は東風をしっかりタスクに組み込み、なるべく山を使わない設定となりました。基本的に山側はフォローで吹き降しになってしまうため、サーマルはその吹き降しの風がバウンドする沖に発生することから、そのリフトを十分に活用したタスクです。距離も16Kmと短めですが、距離以上に難しいタスクになることでしょう。


2日目のテイクオフ


この日は昨日以上に東風が強く、メインのテイクオフからは出られない条件になりました。そのため、選手は今日も第3テイクオフに列をなし、時折強く吹き込む右サイドの風に翻弄されながらの難しいテイクオフとなりました。


前で上げる選手


難しい風の中、早めに出た選手が先行する展開になりました。
この日、ナショナル+N2でスタート前に空中で待機していたのはNo.7伊澤選手、No.13吉川選手を含めて10名程。その他の選手はまだ第3テイクオフで自分の順番を待っている状態。
最初に飛び出していったのはNo.208田邊選手。それに続いてTONBIガールズのNo.64松田選手、No.65柏倉選手、No.301千葉選手。田邊選手は単独で西山めがけてどんどん前進。感心するほどの飛びっぷりでしたが、西山ルートのやや東側を飛んだものの、それ程活発ではなかったようで残念ながら降りてしまいます。
最初から西山ルートを選択したのは田邊選手を含めNo.53伊藤選手、No.212中田選手。しかし、この3名すべてがボムアウトしている結果から、西山ルートは難しかった様です。途中から高く西山に着いたグループはゴールした選手もいましたので、やはりコースと高さが重要だったと言えるでしょう。
また、東の山を使ったルートはNo.49針生選手が先行し、後続ではNo.33食堂選手が使いました。針生選手はゴールシリンダーをカットしていないもののほぼゴール。食堂選手もゴールしているので十分使えたルートだったと言えます。白鷹では定番ルートとも言えるでしょう。
しかし、今回最も早かったのは、多くの選手が選んだ盆地を突っ切るダイレクトルートでした。伊澤選手と吉川選手は往復ともに直線的なルート取りで見事なワンツーゴールを決めています。3番手のNo.23田村選手はシリンダー手前2Km辺りで西山に付き、帰りも西山を飛んでゴールを決めています。

詳細はこれから分析してみないとわかりませんが、白鷹の東風では西山が使いにくいゾーンがあるのだろうと思われます。そのゾーンを飛んでしまったのが降りてしまった3名の選手なのでしょう。

ナショナルはゴール者7名、N2は1名ながらも無事にゴールを出すことができました。このような難しい条件で、初見の空域をしっかり飛びきるだけの技術を持つ選手に拍手を贈ります。


西山方向から見えた荒砥ゴール


チャレンジリーグは、時折北風も吹き込むコンディションに難しいフライトとなりました。昨日同様、上がる選手、上がらない選手がタイミングによって分けられてしまいます。それを何とか乗り切ったとしても、やはり浮き沈みの多いサーマル条件に思うようにタスクをこなせずに降りてしまう選手が大半だった様です。
そんな中、後半ブレークしたかと思われる好コンディションに乗って次々にタスクをこなして行ったのがNo.522三澤選手。ただ一人荒砥ゴールへ到達したかに見えたのですが、ログ判定でまさかの「スタートが切れていない」と言う大チョンボが発覚。おそらく、リフライト時にナビゲーションが上手くリセットされていなかったのでしょう。幻のゴールとなってしまいました。

その結果、難しい風の中を丁寧に飛んで距離を伸ばしていたNo.516大久保選手が本日もTASKトップとなり、この時点で白鷹チャレンジ3連覇が確定したのです。

TASK2リザルト

◆PNL
ALL
女子
チーム戦

◆N2L
ALL
女子

◆PCL
ALL
チーム戦

表彰

ナショナルリーグ総合

ナショナルリーグは2日目にトップゴールを決めたNo.7伊澤選手が優勝となりました。
準優勝は初日トップで2日目もトップ争いをしていたNo.13吉川選手です。


優勝 伊澤選手


入賞者


優勝 No.7 伊澤 光 NIVIUK ICEPEAK EVOX

準優勝 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3

第3位 No.23 田村 昌久 NIVIUK ICEPEAK EVOX

第4位 No.20 藤野 光一 NIVIUK ICEPEAK X-ONE

第5位 No.64 松田 京子 NIVIUK ARTIK6

第6位 No.209 吉田 勝一 NIVIUK ARTIK5

総合リザルト

ナショナルリーグ女子


女子優勝 No.13 吉川選手


女子入賞者


優勝 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3

準優勝 No.64 松田 京子 NIVIUK ARTIK6

第3位 No.38 関根 睦 OZONE ZEOLITE GT

第4位 No.65 柏倉 恵美 BGD CURE2

女子リザルト

ナショナルリーグ チーム戦


チーム戦入賞者


優勝 とちおとめ(吉川、田村)

優勝 Team EVOX(伊澤、藤野、平松)

第3位 チームおしどり(針生、伊藤、松田、柏倉、阿部)

チーム戦リザルト

N2リーグ総合

N2リーグは、前回の紅花カップに続き初日、2日目ともに果敢な飛を見せたのNo.313岩野選手が優勝です。


優勝 No.313 岩野選手


入賞者


優勝 No.313 岩野おさむ ADVANCE SIGMA11

準優勝 No.314 斎藤 光秋 GINGLIDERS LEOPARD

第3位 No.301 千葉 恵 NIVIUK IKUMA2

第4位 No.320 飯塚 宏祐 GINGLIDERS BONANZA2

第5位 No.315 袴田 涼輔 NIVIUK ARTIK5

第6位 No.318 庄子 笑梨  AIRDESIGN RISE3

総合リザルト

N2リーグ女子


女子優勝 No.301 千葉選手


女子入賞者


優勝 No.301 千葉 恵 NIVIUK IKUMA2

準優勝 No.318 庄子 笑梨 AIRDESIGN RISE3

第3位 No.329 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10

第4位 No.322 山岸 里子 GINGLIDERS BONANZA2

女子リザルト

チャレンジリーグ総合

チャレンジリーグは初日・2日目ともタスクトップを決めたNo.516大久保選手が、さくらんぼカップ、紅花カップに引き続き3連覇を達成されました。


優勝 No.516 大久保選手


入賞者


優勝 No.516 大久保忠和 ADVANCE SIGMA10

準優勝 No.507 堀井 重雄 OZONE SWIFT5

第3位 No.525 高橋 秀昭 NOVA ION6

第4位 No.522 三澤 清昭 PHI MAESTRO

第5位 No.521 天野 年雄 OZONE RUSH5

第6位 No.524 吉田 正行 NIVIUK HOOK5

総合リザルト

チャレンジリーグ チーム戦


チーム戦入賞者


優勝 チャレンジチーム今井浜(堀井、大久保忠)

準優勝 TEAM HAPPY LANDING 星組メンバー2021(菊池、三澤、吉田)

第3位 TEAM HAPPY LANDING 花組メンバー2021(笹栗、高橋)

チーム戦リザルト

コロナ禍の中、6月のさくらんぼカップから3回の大会開催に感謝申し上げます。今回も白鷹エリアの新たなポテンシャルを発見するタスクになったことは、私たちにとっても大変喜ばしいことでした。
今後も、この素晴らしいエリアをさらに広く、大きくフライトができるように研究を重ね、より安全に競技が開催されるように努力して参りますので、今後ともご協力賜りますようお願い申し上げます。

最後に、参加いただいた選手、主催者及びスタッフのみなさま、地元関係者の皆様に御礼を申し上げます。

来年も、白鷹でビッグフライトを!!


集合写真