| 大会レポート
2013栂池ジャパンカップ
レポート 宮田 歩
例年より早い梅雨入り宣言がされ、毎日変更となる天気予報にヤキモキさせられていましたが、大会準備と公式練習日となった前日31日は、栂池エリア背後にそびえる北アルプスがくっきり望めるベストコンディションとなりました。どうして大会前日は素晴らしいフライとコンディションとなるのでしょうか?世界共通の謎です。そんな練習に前日入りした選手は、素晴らしいコンディションの中、たっぷり練習していただけました。
二転三転した天気予報でしたが、大会期間の2日間は晴れマークが!!今年もN2Lグランプリとなる2013栂池ジャパンカップがいよいよ開催です。
6月1日(土)
昨日に引き続き、快晴の朝です。早朝から集まった選手は、エリア背後に控える雄大な北アルプス山脈に興奮気味!今回も「楽々レジストレーション」でスムーズに受付は終了し、選手は続々とゴンドラに乗り込みます。
ゴンドラからテイクオフまではグライダーの送迎サービスが行われ、選手も楽々です。テイクオフでの開会式には小谷村村長もごあいさつに駆けつけていただきました。我々がパラグライダーを楽しめるのも地元の方の理解、協力があってもののです。本当に感謝です。
サーマルトップ予報は昨日と同じ2200m。上空3000mの風は弱く、エリア内は終日南風となる絶好の気象予報です。心配される海風の進入もないだろうとのこと。タスクコミッティはN2Lは小谷エリアから岩岳山頂を大きく回り、北へ10kmファイナルグライドする来馬河原ゴールのRaceToGoal45.7km。N2Lグランプリにふさわしいタスクです。PCLは栂池エリア内をトライアングルで回る34.7kmとこちらもビックタスクです。
順調に上がっていくダミーを見て、N2Lからウインドオープン!そして11:30には、ほぼ全員が雲底から一斉スタート!次々にスタートポイントに向かうグライダー圧巻!まるでナショナルリーグのようです。N2Lのスタート後、続いてPCLもウインドオープン!しかし、このころから上空には高層雲が・・・。
サーマルポイントには積雲が形成されるものの、高層雲に阻まれ日照はどんどん弱くなっていきます。そして、低いところからコンディションは渋くなっていきます・・・。想定外のコンディションの変化に、ガンガン飛ばしていたN2L選手たちも大きくスタック。特に低く攻めすぎた選手から次々にランディングしてしまいます。ゴンドラ尾根にとりつき何とか粘るPCL選手たちも耐え切れずメインLDへ降りていきます。
リフライトする選手がいる中、数名の選手は何とか生き残ります。そして、完全に曇ったエリア内でしたが、北の小谷エリアから再びサーマルが上がり始めたのです!!実は予想外の北風が進入してきたことによる南風とのコンバージェンスだったのです。オブザーバー参加の稲見選手が最後のターンポイント「鵯尾根」を取った時には、残念ながら来馬河原ゴールは向かい風の北風に・・・。安全のためN2Lはタスクストップがコールされました。N2L選手は矢野選手が生き残り距離を伸ばし、ぶっちぎりの1位。女子は昨年のチャンピオン吉原紀子選手でした。強い!
PCLは、あの渋い中、見事生き残りに成功した初出場の池内選手が16:00のタスククローズまで粘りのフライト!そして、こちらもぶっちぎりの1位のはずでしたが・・・。GPS設定ミスでまさかのトラックログが記録されていないとは。残念!!でも、最後まで飛び続ける姿は、かっこよかったイケちゃん。
夜にはX-Alpsに参加する扇澤選手、只野選手による「X-alpsを10倍楽しむ方法」セミナーが開催されました。2013年のコース説明、その難所と攻略方法が解説されました。大会委員長の栂池PGS後藤校長からは選手の激励が入った日の丸国旗が授与されました。ぜひモナコでのウイニングフライトでなびかせてほしいものです。頑張れ日本チーム!
懇親会の最後には、先日結婚された星田夫婦のお祝いが有志によって行われました。おめでとうございます!これからも幸せに。そして仲良くパラグライダーを楽しんでください。
6月2日(日)
早朝は、雲は多めですが、晴れ間も見えています。北東風予報ですが、テイクオフにはすでに南寄りのブローが吹き上がっています。北風が入ってくる前に、タスクを回ることができれば何とかなりそうです。
タスクコミッティは、N2Lは27.3km、PCLが20.9㎞のミニマムタスクを発表。ダミーの上がりを待ちます。薄く高層雲が張り出しているものの、積雲は形成され雲底は2000mまで達しています。
十分ソアラブルなコンディションとなり、いよいよN2Lから!続いてPCLもウインドオープンされました。渋いコンディションの中、何とか高度を上げていきます。
このまま順調にレースは進むかと思われましたが、11:30を過ぎた頃から今日も高層雲が・・・。サーマル活動がどんどん弱くなっていく中、困ったことに北風も進入してくるというダブルパンチ!!
ランディングで作られたサーマルは、阿弥陀山へ向かってサーマルとして上がっていくものの、北風が強くなり、中々南の尾根をクリアーすることができません。
そんな厳しいコンディションとなってしまいましたが、N2Lは12時を過ぎて3名の選手がゴールまでたどり着きます。オブザーバーの稲見選手と藤川選手。そしてN2L選手の矢野選手です!!北風が強まり、最後のターンポイントが取れなかった選手が多くいましたが、皆さん最後まで諦めず攻めつづけました。
PCL選手も渋いコンディションと北風に悩ませられましたが、粘りのフライトで頑張りました!そして林選手が唯一10kmを越えるフライトをしトップ!河井選手6.16kmで2位。池内選手が5.53kmで3位!今日はGPSバッチリでした!
N2Lは2日間素晴らしいフライトを見せた矢野選手が総合優勝!!2日間の総合得点が1299点とグランプリ成立規定をクリアーしましたので、2013年N2Lグランプリ覇者としても決定となりました。おめでとうございます。最近はPNLでも上位選手を脅かす素晴らしい成長ぶりを見せてくれています。矢野選手から目が離せられません!N2L女子優勝は昨年に引き続き、吉原紀子選手が2連覇!!本当に強いです。EN-C以下優勝は渡辺美希選手!初日の素晴らしいフライトが目立ちました。チーム戦優勝は朝霧連合!
PCLは厳しい条件のため、ミニマム距離を中々クリアできる選手が少なかったこともあり、僅差の戦いとなりました。2日目に大きくリードした林選手が総合優勝!初参戦で初優勝です。PCL女子はかつてない大接戦となりました!?優勝は山岸里子選手!そして準優勝は同点の5名!!うーん本当に大接戦!EN-B以下は初出場の桜井選手!チーム戦優勝は「あおきのこ」(長野県青木村のゆるキャラ名だそうです)。今回は初出場で表彰台をゲットされる方も多かったですね。皆さんおめでとうございました。
昨日に引き続き、トリッキーなコンディションに翻弄された2日間でしたが、両日フライトすることはでき、選手は楽しんでいただけた事でしょう。でもやっぱりゴールしたかった!!中々うまくいかないのもこのスポーツの面白いところですね。
栂池PGS後藤さん、そして大会スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。またこの雄大な北アルプスで開催される栂池ジャパンカップを選手の皆さん楽しみにしています。来年もよろしくお願いします。
ありがとうございました。