COOスプリングカップ2016 大会レポート


レポート:扇澤 郁

毎年この時期ビックタスクが期待できるCOOスプリングカップには、全国各地から90名近くのパイロットが集まり、4月9日(土曜)10日(日曜)の日程で開催されました。週末のみの大会ですがコンディショニングや事前調査を兼ねて前日入りした選手たちは、良好なサーマルコンディションで肩慣らしフライトを済ませ、天気予報の好転を期待した当日を迎えました。

大会1日目

 大会初日は予想以上の風が吹き、筑波山を覆ったレンズ雲の変化を興味深く眺めながらのウエイティング。タスクキャンセルの発表で明日に備えます。

大会2日目

2日目、天気予報よりもよさそうな朝を迎えた筑波山系の空からは、高曇りではありますが思いのほか暖かい日差しが感じとれ、気温減率しだいでソアリングが期待できそうでした。
COOの西テイクオフに集まった選手たちの関心は、朝から続々とテイクオフしていくパラグライダーの浮き具合に絞られます。次第に良くなっていくサーマルコンディションに大会関係者一同の期待度が高まり、そして10時30分競技委員長からは久慈川ゴールを目指すタスクが発表されました。
N2リーグ、ナショナルリーグともに45㎞先の久慈川ゴールを目指しますが、ナショナルリーグは花王栃木工場を経由しドッグレッグする興味深いものとなりました。

ナショナルリーグTask
N2リーグTask



N2リーグで真っ先にテイクオフしたのはサンライフ所属の千葉選手。それに続き若手筆頭でリーグ優勝を狙うオレンジレーシングの飯塚選手、N2リーグで復活した原選手、ホームエリアの平松選手など続々空中に飛び立ちます。ナショナルリーグの選手たちも、久々に表彰台に立ちたいウイングキッス朝霧所属の藤川選手を筆頭に、フラットランドに強い只野選手、連勝を狙う稲見選手が続きます。しかし、空中に出てみると「渋い」の一言。歯を食いしばりすぎて奥歯が痛くなるほどグループソアリングに集中し、選手たちは生き残りをかけかすかなサーマルにしがみつく展開となりました。




そんな中、N2リーグで真っ先にトップアウトした飯塚選手がスタート時刻11時30分に単独でスタートを切ります。飯塚選手は雨引鉄塔方向からドッグレッグして久慈川を狙う作戦でしたが、サーマルにヒットせずに撃沈。同じコースをたどったベテランの原選手はサーマルに乗り距離を伸ばし女子トップの距離を飛びます。この日のポイントでリーグ戦総合優勝争いを競う飯塚選手に8点差まで迫った田村選手は、スロースタートでしたが久慈川に向けたダイレクトなコース取りでこの日の最長距離を飛び、寒風山の佐々木選手、千葉選手の後発組が距離を伸ばすレースとなりました。



ナショナルリーグは藤川選手、只野選手がリードするトップグループがスタート時間ぴったりで雨引経由高峰山コースを狙います。しかしこのグループはまたもや弱いサーマルにしがみつく生き残りゲームを強いられます。50号線を過ぎた砕石場から発生するサーマルは下層の西風に流され花王工場を目指すルートから大きく外れていきます。ここで藤川選手が早めに見切ってコース上に戻ります。この動きに反応し高度を保ち追従した九州から参加の亀山選手が距離を伸ばしこの日2位。ナショナルリーグ女子トップを走る小森選手は燕鉄塔上空で1400mまで上昇し十分な高さを保っていましたが、只野選手とともにサーマルを追いかけすぎ残念な結果になりました。高杉選手はテイクオフ前をなかなか抜け出せず、NASA前にこぼれたところからのスタートでしたが、先頭グループの様子を見ながら笠間ロイヤルゴルフ場を経由する良いラインを通り高峰山のトップアウトに成功。さらに距離を伸ばしさすがの飛びでこの日最長不倒距離。女子総合は地元の利を生かし燕鉄塔からダイレクトにコースを取り、総合3位の前堀選手とともに距離を伸ばした高橋選手が初の栄冠に輝きました。





N2リーグ入賞者







ナショナルリーグ入賞者







天候が危ぶまれたCOOスプリングカップでしたが何とかタスクが成立し、ライブトラックシステム、リトリーブ方法などが構築できたよい大会だったと思います。来年はぜひ今年導入されたライブトラック24のトラッキングシステムの有用性が最大限に発揮されるビッグタスクが成立することを期待し、参加した選手は帰路に立ちました。
選手を代表し、素晴らしいオーガナイズをしていただいたエアーパークのスタッフの皆様、特に回収班の皆様に感謝を申し上げます。



COOクロカンカップ2016 大会レポート


レポート:扇澤 郁

春分の日、3連休に開催されたCOOクロカンカップ2016には、北関東平野クロスカントリー飛行の期待に胸を膨らませたパイロットたちが大勢集まりました。

大会1日目

3連休初日は雨。ジェネラルブリーフィングでは今回から選手に渡されるLiveTrack24のライブトラッキング用スマートフォンの取り扱い説明、チャレンジリーグの選手たちに飛行空域の説明などが行われ明日からの大会に備えます。

※大会の模様はナショナルリーグチャレンジリーグのページでご覧いただけます

大会2日目

大会2日目は最高のサーマルコンディションの中、湾内13.8㎞のレースタスクが組まれたチャレンジクラスからゲートオープン。真っ先に飛び出していったのは昨年から大会に出場しているエアロクルーズ所属の小田選手。ゴールに真っ先に飛び込んだのも小田選手。時速21㎞/hの好タイムでESSを通過し、オープン参加の選手を押さえて初めてのタスクトップ。女子は僅差ながらも、ベテランの八子選手が初出場の中久喜選手を、チーム戦では1、2フィニッシュを決めた「イケっ、サンダーバーズ」が、初出場の3人組で好成績を上げた「とち男」を押さえてこの日トップとなりました。

※チャレンジリーグTask1のリザルトはこちら(総合女子チーム戦





ナショナルリーグは、主稜線のアウトアンドリターンから東中里ゴールを目指す34.9㎞のサービスタスクが組まれ、クラウドベースが1900mと押しあがった雲底でスタート時間の11:30を待ちます。好スタートを切ったのはバーズパラグライダースクール校長の大沢選手。雲に吸い上げに悩まされるその他の選手を横目に、エリア内最終ターンポイントの足尾山山頂を視界良好でクリアー。そのまま先行逃げ切りを決め平均時速40㎞/hに近い好タイムでゴール。その後、53名の選手が続々とゴールになだれ込むワールドカップ並みのスピードレースを制した女子は、雲の吸い上げを警戒し、上げすぎない作戦でゴールに到達した田前選手が、好調の吉原選手、小森選手を押さえてトップ。チーム戦ではアドバンスジャパンの松原選手を取り込んだ「スカイダンシングチーム」が、常勝「瀬戸内少年飛行団」、青木校長自ら参加の「オレンジレーシング」を押さえてトップでした。

※ナショナルリーグTask1のリザルトはこちら(総合女子チーム戦




大会3日目

大会最終日、明け方小雨が降り凍えるような曇り空のテイクオフに集まった選手たちは、午後には顔を出すはずの日差しが待ち遠しいウエイティングを強いられます。

ブリーフィングでは初日トップを取った選手のヒーローインタビューが行われ、その他選手のモチベーションが高まります。






そして薄日が差し始めたと同時にソアリングを始めたウインドダミーを確かめた後、発表されたチャレンジクラスのタスクは、猿公園を含む湾内のビッグトライアングルを回った後に平沢ゴールを目指す17.8㎞のレースツーゴール。そして、バリアブルな風の中、11:20ゲートオープン。レースはスタート時間と同時に先行したグループが猿公園でスタックする中、十分な高さを保ってトライアングルをクリアーした選手たちが予想された東風が強くなる前に平沢ゴールに到達。トップでゴールしたのはホームエアーパークCOOで飛ぶ食堂選手。女子で最長距離を飛んだのは寒風山パラグライダースクールの籾山選手でした。そして、籾山選手はこの日の成績が決め手となりチャレンジクラス女子優勝。チャレンジクラス総合ではタスク1で大きなポイントを稼いだ小田選手が、2日目涙のゴールを決めた藤原選手、カメラを使った時代から返り咲きした園部選手を押さえてチャレンジクラス初優勝です。チーム戦は、初参加組で頑張ったスカイパーク宇都宮所属の新生チーム「とち男」が幸先の良いスタートを切りました。

※チャレンジリーグTask2のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

※チャレンジリーグ総合のリザルトはこちら(総合女子オープンチーム戦



ナショナルリーグは、筑波山系の西側の湾曲に沿ったビッグシリンダーからスタートしスカイパーク宇都宮ゴールを目指す56、5㎞。12:25のスタート前、1500mまで押しあがった雲底付近は北風が強く、選手は思い思いのポジショニングで、テイクオフ上空、足尾山上空、燕上空、雨引鉄塔上空、そして筑波山上空に分かれてスタート。レースは筑波山側から宇都宮ゴールに向けて形成されたクラウドストリートを使った選手が先行。そのあとを雨引鉄塔、燕鉄塔付近からスタートしたグループが追いかける形で展開。平野部はクラウドベースが1200mと思いのほか低く、キープハイでじっくり駒を進める展開となりました。



レースの核心部となる都賀インターターンポイント付近では、東風の到達を見越して集団から抜け出した稲見選手、高杉選手が先行していた扇澤に追いつき三つ巴のデッドヒート。ESS前のラストサーマルを上げ切り、見切り先行し迷走し始めた2人を交わした稲見選手がESSを単独でカットし勝負あり。その後、強くなった東風に悩まされながらも12名がスカイパーク宇都宮ゴールまで到達するレースとなりました。女子は、何度も降りそうになりながらも都賀インターをクリアーしESS付近まで距離を伸ばした河野選手がこの日のトップ。総合成績でもこの日のポイントが効き、昨日トップの田前選手、吉原選手を押さえたうれしいナショナル女子初優勝です。ナショナル総合成績ではこの日のゴールをダントツで決めた稲見選手が、扇澤選手、正木選手を押さえてこちらもナショナルリーグ初優勝です。チーム戦ではタスク2で本領発揮の浜名湖パラグライダー所属の「オレンジレーシング」が優勝です。

※ナショナルリーグTask2のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

※ナショナルリーグ総合のリザルトはこちら(総合女子チーム戦

チャレンジリーグ入賞者





ナショナルリーグ入賞者







日本列島は冬型の気圧配置となり大会の成立が危ぶまれるような天気予報でしたが、終わってみれば北関東平野特有の冬型で飛べるコンディションに助けられ、最高の大会となりました。今回はライブトラック用のスマートフォンが選手に貸し出され、よりスムーズな大会運営を目指す試みとなりましたが、地方のスクールで大会をネット上で楽しめたとの報告もあり、大会がより身近なことになるトライヤルだったと思います。主催していただいたエアーパークCOOの皆様に選手を代表して感謝を申し上げます。



第13回JPAパラグライダーカップ in 富士山


写真提供 藤川稔選手                 レポート 宮田 歩



JPAナショナルリーグ第1戦となる「第13回 PG Cup in 富士山」が朝霧高原で開催されました。今回は2016年PNLグランプリ対象大会でもあります。

今年も、「西富士友の会」のご協力を得てハンググライダーテイクオフを使用させていただきました。通常のPGテイクオフエリアがある前山よりも、200mほど高い位置にあるため、離陸後すぐにサーマルに入ることができ、安全に選手を上空に連れて行ってくれます。本当に助かります。ありがとうございました。





大会初日。
朝霧のベストコンディションとなりました。上空の北西風も弱く、サーマルトップは2300m。タスクコミッティはPNLに花鳥山脈を南北最大限に使った56㎞のタスクを。N2LはPNLタスクをもう少し小さくしたサイズ35㎞。両リーグともに富士山山頂から大きなシリンダーが設定。起点となる尾根、そしてどの尾根にもどるのかが選手の選択ポイントになります。






テイクオフは間欠的なサーマルブローで、難しかったようですが、11時のスタートにはほとんどの選手が空中一斉にスタートを切ります。PNLは宮田選手、高杉選手、藤川選手がトップグループを牽引します。そして、最初のポイント毛無山からの富士山13㎞シリンダーで明暗が分かれます。




真っ直ぐ富士山に向かった宮田選手は、井之頭前山TOへ戻り、セカンドグループは陣馬尾根に戻りました。しかし、エリア内は発達した積雲により、エリアは大きくオーバーキャスト。コンディションは一時的に渋くなりみんなスタック。いち早く抜け出したのは、井之頭前山組。そして、花鳥山脈の主稜線に上がってしまうと、朝霧ハイウェイに乗って一気に南下。PNLは宮田選手、只野正一郎選手が抜け出し一騎打ちとなりました。

そして、2回目の毛無山で先行していた宮田選手は、富士山14㎞を取った後、手堅く毛無山に戻るルートを選択。追い上げる只野正一郎選手は、そのままダイレクトに養毛東尾根に低く入り込みます。そして、見事リフト帯へ滑り込み、トップに躍り出ます。そのまま、ファイナルグライドまで逃げ切り、2位宮田選手に1分の差をつけ独走のトップゴールを決めました。





N2Lも抜群のコンディションの中、朝霧を知り尽くした天野選手、飯塚選手に宇都宮の田村選手を加えた、熾烈なトップ争いが繰り広げられました。陣馬尾根でのスタックを掻いくぐった天野選手が2位に7分もの差をつけトップ。さすがです。







朝霧らしいハードなコンディションでしたが、PNL38名。N2L15名がタスクをコンプリート!3時間以上ものフライトで見事ゴールを達成した選手も多かったようです。最長フライトは3時間21分でN2L初ゴールのCoo横堀選手。がんばりました!ハードだったタスクを称え合い、ゴールはたくさんの選手の笑顔で溢れていました。タスク1の詳しい結果はこちらから、PNLN2L.



夜は、まかいの牧場でのウェルカムパーティが盛大に開催されました。たっぷり飛べた後のパーティは盛り上がります。テイクオフでの珍プレイ映像も盛り上がりました。皆さんテイクオフをもっと練習しましょうね。







パーティでは鈴村さんの2015年PNL総括発表。何とか王表彰も行われ盛り上げていただきました。鈴村さんいつもありがとうございます。





今回、テイクオフをご協力いただいた「西富士HG友の会」の皆様もこのパーティに駆けつけてくれました。ありがとうございました。

また、スポンサー参加いただいた「テクニカジャパン」の土屋様、「パタゴニア」八木様、「ニューハレックス」芥田様、そしてGinglidersのMrGinからもユニークなプレゼンテーションをしていただきパーティに花を添えていただきました。







大会2日目。
朝から曇りベースですが、気温減率が良く曇っていてもタスクができそうです。早い時間、テイクオフは小雪がちらつく寒ーい状況でしたが、タスクコミッティはPNL28㎞。N2L25㎞のミニマムタスクを設定。準備万端で、南から接近する晴れ間を待ちます。ブリーフィングにおいて岡田競技委員長からの「周辺は晴れ間もあり、好転するチャンスは必ずある!」力強いお言葉!集中力が切れないように選手はウェイティング・・・。






そして、テイクオフに南風が入り始め、狙い通りコンディションは劇的に好転!慌ただしくウインドオープンとなりました。両リーグともにエラップタイムレース。スタートラインはテイクオフ目前。早めにテイクオフできた選手は11:20のデパーチャーオープンまで、東と西風のコンバージェンスラインで、主稜線上に形成されたで「西富士グローリー」の雲の上で待機します。絶景です!







午後から弱まる日照予報に、とにかく時間との勝負!11:20からのデパーチャーオープンで、間に合ったグループから、きっちりスタート!しかし、前半は未だ雲量が多く、先頭グループはスピードよりも高度維持で駒を進める、ゆっくりな展開となります。

ファーストグループの思惑に反し、上空の高層雲の張り出しは予想より遅れた結果に。おかげで、コンディションは尻上がりに良くなっていきます。こうなると主稜線には1700mの朝霧ハイウェイが!スピードはどんどん速くなっていきます。



PNLトップグループは前半、宮田選手、藤川選手の一騎打ち。その後、遅いスタートからショートカットに成功し、沖から現れた扇澤選手を交え三つ巴のバトルとなります。そして、勝負は、天子からのファイナル勝負までもつれました。常に高いポジションを維持していた宮田選手は、最終パイロン長者トップ手前からスパート!やや低く扇澤選手が・・・。YMCAまでのフルスピードガチンコ勝負となりましたが、4秒差で扇澤選手がファーストゴール!2番手宮田選手。3番手藤川選手と続きます。その後も続々と選手はYMCAゴールなだれ込んできました。




そんなPNL選手に交じり、N2Lぶっちぎりタイムでゴールに飛び込んできたのは九州の富重選手。最初にスタートし、最速タイムで、最初にゴール!3冠王達成。1000点が難しいと言われるエラップスタイムレースで満点を叩き出しました!続いて天野選手。平松選手。

心配されていた日照は14時近くまで続き、コンディションは予想に反し好転!アッというまに終わってしまったタスクですが、おかげで今日もPNL,N2L多くの選手がタスクをコンプリート!変化のある 大逆転な展開に、ショートタスクでしたが盛り上がったタスクとなったのです。何とPNL44名、N2L12名もの選手がタスクをコンプリート!
タスク2の詳しい結果はこちらから。PNL.N2L



2日間のレース展開はLivetrack24のイベントページからリプレイできます。
自分のフライトログだけでなく、他の選手がどのようなコースを選択したのか良くわかります。解析することで、次回に生かしてみてください。

PNLは2日間安定した成績で宮田選手が総合優勝!昨年の四国三郎に引き続き、PNLグランプリ連覇となりました。2位は2日目トップの扇澤選手。3位は地元藤川選手。女子優勝は小森さちよ選手。小森選手は2013年女子チャンピオンですが、再び返り咲きました!PNL総合成績はこちらから







N2L優勝はぶっちぎりで地元の天野選手。2位は浜名湖のホープ飯塚選手。そして、3位は宇都宮の田村選手。今年のN2Lは、この3名の熱い戦いとなりそうです。女子優勝はバーズ河野選手!N2L総合成績はこちらから





2日間、朝霧らしい素晴らしいコンディションが続き、2本成立する結果となりました。PNLグランプリチャンピオンを決定するには、ふさわしい大会だったと思われます。今シーズンも始まったばかり、この調子で全大会が成立することを願いたいですね。



スタッフの皆様、お疲れ様でした。また来年もよろしくお願いします。ありがとうございました。



ファイナル 朝霧 2015

レポート 競技委員長 岡田 直久

11月14日(土)
今季のN2、チャレンジリーグ最終戦「ファイナル朝霧」。朝からの雨にもかかわらず、時間には続々と選手がチェックイン。今日のタスクは早々とキャンセルとなりましたが、開会式が井之頭区民館で行われました。木の香りたっぷりの井之頭区民館は非常に居心地よく、ジェネラルブリーフィング、競技事業部からのお知らせ、宮田チャンピオンによる朝霧攻略法とお昼すぎまで色々なことができました。




ジェネラルブリーフィングでは、明日はフライトできそうということを念頭に、朝霧のローカルルールが細かく説明されました。競技事業部からは来年のスケジュール、ルール改定、そしてこの朝霧大会から運用されるライブトラッキングのコンペティションモードに関して競技事業部の藤野さんから丁寧な解説をいただきました。とどめは、こうすれば明日勝てる!というおなじみのエリア攻略法がグーグルアースをふんだんに使いわかりやすく行われました。信じるか信じないかはあなた次第です?!競技事業部のみなさん、ありがとうございました。




お昼でいったん解散となり、選手は富士急ハイランドや海の幸を食べに、それぞれに雨の朝霧を満喫されたようです。そんななか、競技事業部の鈴村さんは夜のパーティーのネタを入念に仕込んでいました。お疲れ様です!

そして18時から予定通りウェルカムパーティー。最終戦恒例の「なんとか王」の発表、リーグ戦の総括が行われました。好評のまかいの牧場のバイキングに舌鼓を打ちながら、鈴村さんのプレゼンテーションを楽しみました。パワーポイントを使いこなしたプレゼンはお見事そのもの、スクリーンを見入る選手の笑顔も印象的でした。N2、チャレンジリーグらしく非常にアットホームに時間ぎりぎりまでパーティーを楽しみました。選手はお酒もそこそこに明日のタスクに備えることとしました。












11月15日(日)
今日も雨の音で起こされることとなりました。ただ、これは想定内、お昼前には雨も上がり、タスクが行える可能性があります。そんな期待を胸に受付を済ませた選手のみなさんは井之頭区民館で待機。雨雲レーダーとのにらめっこはしばらく続きましたが、予報どおり10時過ぎには雨も上がりました。あとは稜線が開くのを祈るばかりです。



いっとき、日差しも注ぎ、これをきっかけにテイクオフに上がることにしました。が、しかし到着したテイクオフはマイナスイオンたっぷりのミストシャワー。自然の恵みを受け、すぐに撤収。ここで今日のキャンセルが決定。と同時に今季の年間ランキングが決定しました。




N2リーグでは途中からダントツの首位をひた走った藤野選手(JMB立山)がこの朝霧の大会を待たずして優勝を決めました。女子では総合でも6位入賞をした河野選手(バーズ)が優勝です。そしてデッドヒートの続いたチャレンジリーグは2位の田村選手(スカイパーク宇都宮)を僅差で抑えた平松選手(エアパークCOO)が優勝、女子では高瀬選手(スカイ獅子吼)がぶっちぎりの優勝を飾りました。みなさま、おめでとうございます。











秋の好コンディションを期待してセットされたファイナル朝霧でしたが、今回ばかりは天気に見放されてしまいました。とはいえ、選手、スタッフのみなさまのおかげで、飛べないながらも盛り上がった2日間となりました。ありがとうございました。来年もここ朝霧でN2リーグ第一戦が行われます。

来年も盛り上がっていきましょう!




高嶺カップ2015

レポート 鈴村 恵司

長野県の最南端、愛知県との県境に近い平谷村で行われている高嶺カップ(たかねと呼称します。)。今年は2本のタスクが成立した。今年は、“ユダン”と“ガマン”の2つの言葉で象徴される大会となった。

【一日目】
前日の日中発表の予報は朝から雨、良くても午後曇り。夕方の更新で晴れに変わった予報もあったが、移動中で情報を得ず、重い気分で集まってきた選手も多かったろう。「受付はゆっくりするとして、あんな山奥のエリアで何して時間を潰そうか」という気分の選手達を出迎えたのは晴天の朝だった。ユダン禁物である。


だからと言って、タスク成立が保証されているわけではない。南西風を基本とする高嶺山エリアに対して、朝の天気予報は東風強め。いささか苦手な風向だ。フリーフライトなら問題ないが、競技となるとちょっとタスクが組みにくい。東風ではLD付近のリフトが発生しにくいことが多く、タスク距離が伸ばせる高嶺山山頂WPも使いにくい。ここは北西方向にあり、強い東風に捕まるとLDに届かなくなる可能性もあるからだ。


TOに上がり開会式、ジェネラルブリーフィング。雲の形は確かに東風。しかしTOに吹き付ける風は“いつもの高嶺”の西風。タスクを起案する競技委員長(私です。)、それを吟味するコミッティ、悩ましい気象条件の中、西風ベースを想定するものの万一の東風への急変にも構えるといったタスクを、N2、チャレンジにそれぞれ設定した。N2が実質19.1km、チャレンジは実質12.5kmの距離である。


■チャレンジリーグTASK1 シリンダ半径400m
D21→B04(start600m)→B04→B25→D22→B04→B25→D22→B04→B25→D22→A42→B18→B26→B09→A42(ESS500m)→A42



■N2リーグ TASK1 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B04(ESS600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B09(400m)→A42(ESS500m)→A42(400m)



ウィンドダミーが順調に上昇し、10時45分にはウインドウオープン。11時30分デパーチャーオープンのゴールレースが開始された。
腕に自信を持つ選手からテイクオフ。その選手達を待っていたのは“激シブ”のコンディション。雲に日射が遮られた時間帯もあり、谷底深くまで沈んでしまいLDに戻らされる選手も出た。それでも12時過ぎ当たりまでガマン出来た選手には、の上限高度の上がったサーマルや、
雲底につけると沈まずに移動できる条件が与えられた。




N2の藤野選手が12:30にゴール。チャレンジの芦田選手はそれに先んじて12:22にゴールしている。ウインドオープンとほぼ同時にテイクオフした藤野選手はそれなりのガマンのフライト。一方、芦田選手はあまりガマンせずにスイスイとタスクをこなすことが出来たのではないか。(間違っていたらごめんなさい。)
N2リーグは9名がゴール。オープンクラスを含めると14名。大会としてはまずまずの結果。チャレンジリーグは二位の飯塚選手までの2名がゴール者で少なめの結果。3位の岩瀬選手、最終WPの20m手前でナビバリオが通過音を(なぜか)出してしまったそうで無念のノーゴール。
チャレンジリーグの選手がN2リーグ選手に比べれば経験値が低いのは仕方ないところ。今日のようなタスクで競技することで、待つべきところは待ち、移動はキープハイといった、渋い条件でのタスクのこなし方を学んでゆけばもっとゴール者は増えるはず。

試合の展開に戻る。時間の経過とともにテイクオフ側の雲が力強さを増した。リフライトの選手達が、「一本目はガマンのフライトだったけど、このままスイスイ、ゴールできるんじゃないか」とユダンし始めたころ、LD側でフライトしている選手から“雨がちょっと降ってます”の連絡が入る。気が付くとLD上空の雲は黒味を帯びており、この後、雨が止む様子はない。少し雨が強く成りかけたところでタスクペンディングを競技委員長が宣言。まだ雨のない高嶺側でフライトしていた選手はトップランしたり、やむなく雨の強まったLDへ向かった。グライダーの速度をできるだけ高くキープし、無駄なブレーク操作を行わない。LD直前のフレアは充分気を付け行い、滑り込むか走り抜ける。結果として、インシデント発生は抑えることが出来た。高度を下げたいのにスパイラル(の終了時点のフレア)も翼端折りも失速につながるから禁止。雨中飛行を強いられた選手はさぞやガマンのフライトであったろう。
雨雲レーダを1時過ぎに確認し、近辺に雨雲は無かった。雨雲の進入予報も4時過ぎとなっていた。ヒョウも降っていたとの選手のレポートもあった。休息な寒気の進入が雨をもたらせたのであって予測は不可能であったのかも知れないが、ダメと思っていたタスクが成立したことに、競技委員長は、ちょっとユダンしていたのではと言われてもしかたない。すいません。
【TASK1リザルトはこちら】


パーティでガマンした人はいなかったと思う。実行委員長のJMB中部とんびいず校長の片桐さんの手製の鳥の燻製を頬張りながら鍋を囲む楽しいパーティとなった。ガマンの量が多いほど会話は弾むものでしょう。
【パーティの様子はこちら】


【二日目】
小雨は夜半まで続いていたが、深夜3:00時には満点の星空に変わっていたそうな。ちなみに隣村の阿智村浪合地区は日本一星空観察に適した場所だそうです。
朝は雲のない真っ青な空。北風予報が気になるものの、今日は“いつもの高嶺”になることは間違いなかった。但し、“いつもの高嶺”には、それに慣れていない選手への落とし穴が含まれていた。
昨日は遠慮した高嶺山頂側のWPを使って、N2、チャレンジで長短はあるものの高嶺側3周、LD側2周の“三角パイロン“タスクを設定。の予定であったが、タスクコミッティから「良いコンディション予報なら長く飛べるタスクをやりたい。」との申し入れがあり、N2はLD側2周を1周+高嶺山頂側までのリターンに変更した。N2リーグは実質29.5kmのロングタスク、チャレンジリーグは、高嶺側3周、LD側2周のコンセプトを維持した18km強のタスクとなった。


■N2リーグ TASK2 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B02(SS600m)→B02(400m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B12(1500m)→B18(400m)→ B16(1200m)→A42(ESS500m)→ A42(400)



■チャレンジリーグ TASK2 シリンダー半径400m
D21→B04 (START600m)→B04→B03→B02→B04→B03→B02 →B04→B03→B02→B04→B20→B18→B26→B20→B18→B26→A42 (ESS600m)→A42



例によって渋い中、10時30分ウインドウオープン。ゴールレースのデパーチャオープン時刻は最終的に11時30分に設定された。
昨日タスクトップの藤野選手が、何のてらいもなく先陣を切ってテイクオフ。じわじわとそれに続く選手達といった様相。残念ながら耐え切れずにLD向かう選手もいる中、11時30分直前にはコンディションも上がりTO前にガーグルが出来、ゴールレースが展開された。
本日のタスクの要、LD方面から高嶺山頂側へのリターンを奇しくも最初に行ったのは、ゼッケン312 の和田選手であった。レーススタート前の渋い時間帯に高度を失いLDに向かったところLD側のリフトで高度を稼ぎ、高嶺側まで戻ったのだ。こうなれば今日のN2タスクの成立は間違いない。あとはゴール者がどれぐらい多くなるかは風がどこまで強くなってしまうかに依存する。
バレーウインド。高嶺山エリアは北西方向から南東方向、南南西方向から北北東方向の2つ谷が平谷村を中心に十字路のように交差している。尾根より高い位置では影響はないが、風の強まりとともに十字路をバレーウインドが駆け抜けるのが、風が強い時の“いつもの高嶺”だ。局所的に流速が上がった空域は当然、気圧が下がり、強いシンク帯となる。LD側で高度を稼いでも直線的に高嶺側に向かうとバレーウインドの上を長く通過し、高度を失うことになる。バレーウインドに捕まりながら高嶺リターンをあきらめLDに戻った選手も少なからずいた。ただこれは選手のユダンとは言えないだろう。かと言って単なる不運だったですませてしまうのはもったいない。先行する選手がどんなコースをとっているのかの観察できなかったのか、なぜその選手がそのコースを選んだかの分析は行えたか、知識や経験を高めてゆくチャンスでもある。


さて終盤、強まる西風に、主催者側のガマンが始まる。
チャレンジリーグの選手はもう高嶺側にはいない。N2のLDからのリターン組がTO前で低く、強い風にピッチアップしながらあえいでいる。レベル3とは言えないまでも気楽に見ていられるグライダー挙動ではない。こういった時、はたで見ているよりやってる選手の方が冷静で余裕がある。それが判っているから、タスクストップはかけずに見守るしかない。ガマン、ガマン。
2時を過ぎた辺りでサーマルの挙動も少し穏やかになり、風が強いながらもリターン組を安心して見ていられるようになった。

今日もN2トップは藤野選手。今日は1時間16分弱。扇澤選手をして、「藤野にしてやられた」と言わしめたフライトだったようです。チャレンジは飯塚選手が1時間を切り59分のタイムでトップとなった。1000点満点を得て、二日間総合で芦田選手を抜き大会優勝となった。タスク2のゴール者数はN2が13名、チャレンジは4名。
N2の7位、9~13位は女性フライヤーが占めた。女子トップの7位は地元の利も活きたか、田前(英)選手。9~12位の河野、片貝、麻生、小川の4選手はLDからのリターンの段階から集団でデッドヒート。連続してゴールメイクした。11位の河野選手は、一度LD側からの高嶺リターンを仕掛けてバレーに捕まり、ぎりぎりでLDに戻り、再び上げ直してリターンの末のゴールであった。最後のゴール者、星田(苗)選手は、この集団から約30分遅れでのゴールとなったがリードアウトポイントが高く、10位となっている。ゴールレースの場合、トップのフライト時間に対して長くなりすぎるとタイム得点はつかなくなる。しかし、レースをどれぐらいまで先行したかの得点であるリードアウト得点は、一旦、得られれば消えることがない。星田(苗)選手はおそらく、序盤はトップグループ付近でレースを進め、それが成績に活きた。それを上回るリードアウト得点の片貝選手。4位の中村選手と同一得点である。最後は遅れたものの、きっと途中までは4~5位あたりでレースをしていたと想像される。この人、前回の白馬八方からのN2参戦のようです。八方はキャンセルで結果は出ていないが、今後の活躍に期待といったところ。
【TASK2 リザルトはこちら】


二日間総合での大会としての勝者は、N2リーグは藤野選手、チャレンジリーグは二日目で逆転した飯塚選手となった。N2の中村選手、オープンを含めても5位の好成績。扇澤選手のグライダーはともかく、周りの選手の中がEN-D或いはフルコンペ仕様の中、EN-Cグライダーで検討。そして女性、麻生選手、片貝選手が5位、6位に入っている。





「来年、大会が開催できたら、また参加して下さい。」実行委員長の片桐さんの閉会式での挨拶の言葉。去年も同じようなコメントだった。事前準備、対外交渉、スタッフ集め、大会を開くのは大変だ。そして、今年もスタッフでサポートして下さったJMB中部とんびいずのメンバーにも感謝したい。
とはいうものの、来年も同時期に開催されることが決まったようです。選手の皆様、来年も参加のほど、よろしくお願い致します。