2013立山らいちょうバレーカップ

                       レポート 競技委員 藤野 光一


大会前になると天気予報が気になって、それがあまり良い予報ではない場合は祈りや神頼みで大会期間中の好天と好条件を願いながら日々過ごすのが、大会主催者や関係者の偽らざる気持ちでしょう。しかし、今回に限ってはおそらくですが、非常に穏やかな気持ちで準備を進めることが出来た(少なくとも“天候”と言う点に関しては)と言えるでしょう。なぜならば、日本各地に被害をもたらした台風が過ぎ去ってからと言うもの晴れマーク続きの予報。週間予想天気図を見ても、3連休は晴れベースで推移する可能性がかなり高いことを示唆していました。結果から言ってしまうと22日のみ曇りベース(若干降水の予想があったもののエリアでの降水はなし)でしたが、初日と最終日は良い天候に恵まれて競技が出来たのでした。


大会初日


西に勢力を残す移動性高気圧、北から南下する高気圧に覆われて「日本晴れ」と言える天候に恵まれた初日。「競技が出来る!!」と言う安心感と期待感からか、各地から集まったナショナルリーグ52名、チャレンジリーグ26名、総勢78名の選手には笑顔がこぼれ、受付を終えた選手は足早に極楽坂テイクオフへ移動して行きました。


9時30分からはテイクオフにおいて開会式。実行委員長のJMB立山パラグライダースクール関沢校長から開会の挨拶とローカルルールの説明。地元電力会社から送電線に関する注意事項説明。今大会の競技委員長である扇澤氏からはジェネラルブリーフィングと続き、ナショナルリーグは「日本グランプリ」大会でもあることから、それにふさわしいタスクを設定するためにタスクコミッティーが協議に入りました。


昨年のナショナルリーグタスク2をベースとした対岸のターンポイントを三角パイロンに含めた序盤戦と、美女平-対岸の往復を絡めた実距離46Kmのタスク。

D32-B04-B05-A55-B04-B05-B16-B12-B13-B16-B13-B04-B13-A52 46.1Km

今回は、過去に使っていないB12(小見小学校)を使った設定となりました。


一方、チャレンジリーグでは湾内の三角パイロンを周回して最終パイロンで美女平を使う実距離23Kmの設定。

D32-B04-B27-B04-D31-B02--B04-D31-B02-B04-B13-A52 23.1Km


ナショナルリーグは11時10分ウィンドウオープン、11時40分デパーチャーオープンのRace to Goal。選手が飛び出すとサーマルトップ1800mのガーグルが立山エリアに出現、スタート時間には列をなした選手がB04へ向けて移動する様が美しく見えたに違いないでしょう。レースはまさにスピード勝負。序盤の三角パイロンは危なげなくこなし、勝負の分かれ目は美女平から対岸のレグへ。高く上昇出来たエリア側とは対照的に、後半のレグでキーポイントとなる美女平ではトップ集団が差し掛かった時間帯に良いリフトが育っておらず、対岸の往復をこなしてB04へ向かうべく上げ始めたトップ集団を迷わせた。エリア側の活発な対流に賭けた集団が微妙な高度と知りつつもらいちょうバレー方向へグライドを開始。遅れることを承知でリスクを避けた数名は対岸へ進む。勝負は厳しく戦う者と地上で見上げる者に終盤と言えども容赦なく振り分けられることとなり、エリア側へ戻った選手は数名を残して殆どがランディングしてしまいました。

結果、対岸を使った稲見選手がトップでゴールし、エリア側で辛くも復活した隅選手が続きました。稲見選手を追走した正木選手が3位、藤川選手は4位でゴール。その後もゴール者が続き、20名の選手がゴールメイクとなりました。


チャレンジリーグも12時00分ウィンドウオープン、12時30分デパーチャーオープンのエラップスレース。こちらもスピードレースであることに変わりなく、立山をホームとする関口選手が終始リフト帯を上手く使った回さない飛びを実行。圧倒的な41分と言う好タイム、更にはファーストスタート・ファーストゴールを決めて完璧と言える飛びで1000点を獲得。そして、26名中24名がゴールメイクすると言う素晴らしいレースとなりました。


初日に良いレースが出来ると選手だけでなくスタッフも満足です。夕方から行われたBBQは大いに盛り上がりました。選手の顔は満足感に溢れ、フライトの話で大会でしか会えない選手たちの交流がいつまでも続いていました。その表情を見るだけでスタッフは疲れが癒されたに違いありません。


白鷹オープンカップ2013

                       レポート 競技委員 宮田 歩
8月9日に北東北地方を襲った集中豪雨は、気象庁によると「これまでに経験したことのない豪雨」と称された大雨となってしまいました。9月7、8日に予定していた鹿角オープンカップ開催予定地となる花輪エリア続く県道は大きく崩落、大会開催不可能となってしまいました。

今年2013年東北シリーズは悪天候に見舞われ、残念ながらまだ成立がありません。そこで、同じ東北地区山形白鷹エリアにおいて代替え大会を開催していただけることとなりました。何とか東北盛り上げたいとの心意気は、白鷹クラブ、参加選手も同じです!


9月7日(土)
夏から秋の空気に入れ替わるように、西から前線が北上してしまう悪い天気周期ではありましたが、何とか午前中は薄日も期待できそう。地元まどんな会が用意していただいた暖かい朝食をいただきながら、選手の気持ちも高まります。いつも本当にありがとうございます。



受付後、予定通りテイクオフに集合。開会式が行われました。そして、小野寺競技委員長のジェネラルブリーフィング中にはみんなの気持ちが伝わったかのように、薄日が差してきたのです!



タスクコミッティはタスクを発表。N2Lはテイクオフ前を2周回し、荒砥ゴールの29km。PCLは同じくテイクオフ前を周回しメインLDゴールの16kmです。



厳しいコンディションでしたが、ウインドテクニシャン(ダミー)も低いところから上ってきたのを見て、ウィンドオープン!


早い時間は、低い雲が湧き上がりテイクオフ前の視界が悪くなることもありましたが、周期的に上がってくるリフトを掴み果敢にアタックを繰り返します。しかし、サーマルは長続きせず皆さん1周目であえなく撃沈・・。

周期的に日差しが出るコンディションのためか、ランディング後も再びチャンスがやってくかも!?選手の皆さんはリフライトにチャレンジ!!

しかし、選手の気持ちも天気には勝てず、どんどん雲量は多くなりサーマル活動は終了。ウインドクローズの15:00には雨が降り始め、フライトは終了。

全員の集計が終了しましたが、N2L、PCL共にミニマム距離を越えた選手はおらず、本日のタスクは不成立という結果となりました。僅かな可能性にかけ果敢にとんだ選手は何と3本フライト・・・。

夜は、盛大なウェルカムパーティが開かれました。本格的な石焼ピザは今回も大好評!!地元白鷹クラブの暖かいおもてなしに、選手は大満足でした。競技は不成立ではありましたが、選手の交流は深まり楽しい時間を過ごすことができました。


9月8日(日)
秋雨前線は南からの湿った空気の流入により活発化。朝からしっかりとした雨です。レーダーアメダスによる雨量を睨みながら、まずはウェイティング。


待ち時間を利用して、2013PWCフランス、セルビアに参戦した隅選手による参戦報告会が行われました。フランスでのタスク内容だけでなく、参戦のための準備や、遠征中の生活の話など興味深い話を聞くことができました。隅選手は、チャレンジリーグから競技を開始しPWC参戦するまでにいたりました。素晴らしい!そして、同じサラリーマンパイロットの皆さんには良い刺激になったのではないでしょうか。


10:00の最新気象情報から、期待した天候の回復は遅れそうなことから、競技委員長は競技のキャンセルを決定。少ない可能性にかけて待っていただいたスタッフ、選手の皆さんには感謝です。

協賛いただいた賞品は、白鷹恒例の「小豆拾いゲーム」で皆さんにプレゼントされました。そして、白鷹クラブからは山形名物「芋煮」が振舞われ、選手のお腹は満腹。


残念ながら不成立となってはしまいましたが、急遽大会を開催していただいた植木校長を始め、白鷹クラブ、寒風山の皆さん本当にありがとございました。来年こそ東北地区で素晴らしいタスクが成立することを期待しましょう。また来るぞ!東北!




ジャム勝・サマーカップ2013

こちらからフォトアルバムへどうぞ

                         レポート 競技委員 鈴村 恵司

【一日目】
十数年前には、「○○マジック」という言葉があった。○○にはフライトエリアの名前が入る。ほとんど飛べない天気予報にもかかわらず、行ってみるとフライトできるどころか、大会成立してしまうといったことが起きるエリアと、その状況をこう呼んだ。
今、振り返ってみればおそらく天気予測技術、それを導き出す情報、そしてそれをフライヤーを含めた一般人が入手する手段、すべてが貧弱な故に起きた現象であったのではないかと推察できる。NHKの夕方の天気予報のみの情報に一喜一憂していた牧歌的な時代の話だ。
それでも、ここスキージャム勝山というフライトエリアに関しては「ジャム勝マジック」なんて言葉を使いたくなる状況がここ数年で何度も起きている。実際、昨年の2タスク成立もその前の週の火曜日時点の週刊予報では土日とも雨予報だったと記憶している。
そんな背景を選手もよくわかっているのか、フライトすらも期待できない予報にも関わらず、結構な人数が土曜の朝にジャム勝に現れた。そして、それに呼応するかのように早朝には青空も覗いた。

「ベーシックセミナーを早めにやろう」とか「ウェルカムパーティの時間を早めようか」とか、前日まで土曜日をどう過ごすかに思案していた大会運営側も「ではテイクオフへ」の判断。開会式を大会本部で行って選手一同テイクオフへ向かった。

結論的には、その土曜日のタスクはキャンセルとなった。少なくともフライダウンぐらいはできるだろうと踏んでいた大会運営側の思惑も外れた。ソアラブルなコンディションを待っている13:00過ぎに雨雲が進入し、小雨の中、タスクキャンセルとなったのである。
ウインドダミーは渋い中を何人か飛んだ。ゲスト参加の扇澤さんはX-ALPSグライダーでちょっとソアリングしていた。その日のタスクをあきらめて移動日としてタスクキャンセル後にエリアに到着した選手が、雨のあがった16:00過ぎにフライト出来た。今年の「ジャム勝マジック」はタスク成立までは至らなかった。

17:00過ぎからチャレンジリーグ対象で行っているベーシックセミナーを実施。「雲の避け方、使い方」。前回大会の獅子吼での低い雲底での雲中飛行の避け方がうまくできなかった選手が多かったことも踏まえた内容。続いてゲストの扇澤さんのX-ALPS報告会。そして18:00からの選手交流会(ウェルカムパーティ)で初日の幕は閉じた。

【二日目】
朝起きると、しっかりした雨。速やかにタスクキャンセル。残念。
昨日、聞き足りなかった、しゃべり足りなかったX-ALPS報告会の続きを扇澤さんに行ってもらった。
そして閉会式。毎年、暑い暑いテイクオフで汗を流してもらっていた福井県大のパラグライダー(正式)部の面々に今年は活躍の場が与えられなかった。静かに閉会式を見守っている。表彰対象はいないので賞品はジャンケンで分配となった。

「来年は8月30、31日で開催しますのでまた来てください。」実行委員長のジャムスポーツ代表の堀さんからの宣言。ジャム勝大会と選手にとっては「また来年に」、選手間では「また再来週に白鷹で」を別れの挨拶として大会が終了した。

雨のおかげもあり、今年の猛暑とはうってかわって涼しい週末であった。夏の終わりが突然に来たようで、秋の気配も感じられた。そう今シーズンも終盤戦に入る。11月の宇都宮ファイナルに向けてN2リーグは白鷹と高嶺の2戦を残すのみ。チャレンジリーグは立山をそれに加えて3戦である。そこまでの結果で宇都宮ファイナルの優待選手が決定する。まずは白鷹大会である。8月上旬の豪雨で予定していた鹿角エリアの入山道が使用不可能となり東北同士の相互協力で開催が決定された大会だ。3.11以来、何かと不都合の訪れる東北応援の意味でも盛り上げたいところだ。多くの選手の参加を期待したい。


PWC Serbia Day7

8/17 最終日
スタート後、さらに積乱雲が発達し、雷が鳴り始めてタスクストップ。

閉会式は、雲中にはいった・入らない の長い長い抗議の決着後、夜9時からの開始。

まずは、地元スタッフの紹介。回収ドライバー、レスキューチーム、ランチパックガールズ、オーガナイザーと続きます。50名以上のボランティアで成り立っています。

その後、PWCチームの5名。表彰式は、まずチーム選。当然ながら、グライダーメーカーチームが強いですね。続いて女子、宇野ちゃんが5位入賞。IP6と相性がいいようです。(XSサイズなのによく飛ぶ‥)

そして、総合は 10位から表彰です。見てのとおりミドルエイジが多数です。PWCの参加者も、年代が幅広く、みんな競技を楽しんでいるすばら環境だと思います。来年、一緒にチャレンジしませんか?

フランス、セルビアの参戦で、色々な課題も見えてきたので来年に向けて、レベルアップしていきたいと思います。まずは、国内の後半戦でさらに上位を目指したいと思います。

8/18 隅 秀敏



PWC Serbia Day6

8/16
低い雲が垂れこめていて、微妙なコンディションのなか,北斜面テイクオフ(D01)へ、移動。タスクコミッティーのテーブルでは、チェスが白熱。待ち時間が多そうです。


TASK 4
スタートシリンダーのあとは、A20までの一直線コース 46km ,A20は、昨日ドライブしたその先で、深い谷の中で「おろすところないねぇ」って言っていた場所を越えて行かなければなりません。14:30 スタート。一斉に、A20へ向かいます。

今日はチャレンジ「上げきるよりグループから離れないように早めに移動。」を心がけます。すると、移動した先のガーグルにいい場所で入れ、どんどん先に進めます。最後の深い谷の手前で、スタックする先頭グループに追いつきました。いいチャレンジできました、あとは要所での判断です。

先頭グループは、そのまま、A20に直行する谷に向かいます。後続は、右に大きく迂回し尾根後え方向に流れていきます。谷の中に集団で回しますが「全然、上がらない!」一機一機と、谷の中の駐車場にランディングしていき,先頭グループは、そのまま撃沈してしまいました。

距離:38km ゴールできず。
いいチャレンジできました、あとは要所での判断です。