PNL第2戦 第3回宇都宮カップ2011

開催地:栃木県宇都宮市 スカイパーク宇都宮
主催:スカイパーク宇都宮パラグライダースクール
レポート:競技委員長 谷田重雄


<2月26日>
 快晴の青空で迎えた初日。第1戦の朝霧が天候不順でキャンセルだったため実質2011年の初戦。ゼッケン30番以内の選手がほとんどそろい、そしてGinGlidersのテストパイロットChikyong Ha氏も韓国からお越しになり参加しています。選手の皆様も気合が入り、7:00の受付開始時間前から長蛇の列。昨日は寒冷前線が通過し、北西から爆風が吹き荒れましたが受付を開始するころには徐々におさまってきました。
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 テイクオフに上がるとやや強めのアゲンストが吹いており、その後のコンディションの変化が気になります。しかしダミーの上がりもよく、雲底は1500m前後で、徐々に風速も落ちてきている模様。このままコンディションはどんどん良くなりそうなので、エリア内を4周周回した後、15km北東にある羽黒ゴールをめざす42.9kmのタスクに決定しました。また、できるだけ選手全員が慌てずテイクオフし、公平にフライトしていただきたいためリーディングポイントなしのクロックタイムスタートを採用しました。ゲートオープン11:30、スタートは①12:30、②12:45、③13:00の3回です。
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 ゲートオープンと同時に選手は次々にテイクオフ。それぞれのスタート時間ごとにグループが形成されつつエリア内の周回をこなします。サーマルコンディションも活発であちこちにガーグルができ周回スピードもあがっていきます。
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 みんなぐるぐる周回しているので誰がどのスタート時間の先頭なのかもうよくわからなくなってきた頃、順調に周回をこなした選手はしっかり高度を稼いでからゴールをめざしてエリアから離脱していきました。
途中のルートも良いコンディションで移動でき、最初にゴールに到達したのは13:44の小幡選手。7秒差で大澤選手、3位に扇澤選手が続きました。その後もゴール者は続き本日は28名の選手がコンプリート。シリアル機に乗る選手も含め女性も6名の選手がゴールしました。2011年の初タスクがゴール者多数でとてもうれしく思います。皆様おめでとうございます
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そして帰着を終えた選手にはミネストローネで体を温めていただきました。
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<2月27日>
 今日はどんどん天気が崩れてくる予報のため、受付時間を昨日同様7:00~とし、早めに競技ができるように選手の方々にも協力を求めましたが、さすがナショナルの選手の方々。受付開始から10分でほぼすべての選手の受付が終了してしまいました。
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 そして競技を行いたい、という皆様の願いが通じたのか、どんどん雲が張り出してくる予報のところ一向に雲がやってくる気配がありません。これは、競技ができる!とテイクオフに上がると素早くタスクが発表されすぐに臨戦態勢。本日はエリア内を3周したのち羽黒ゴールの34.3㎞のエラップスタイムレース。リーディングポイントなし、ゲートオープン10:00、スタートも10:00で競技開始。
 次々と選手はテイクオフしていきますが、雲底高度は1000mそこそこと低く、今日はエリア内の周回で苦戦が強いられます。そんな中、午前中早い時間に扇澤選手宮田選手が最初にエリアを離脱し1-2フィニッシュ。その後も周回した選手は羽黒をめざしましたが、やはり雲底の低さはゴール到達までの難易度を高め、今日のゴール者は女子2名を含め10名のみでした。
 それでも、あきらめかけていた2日目も夕方まで青空が続き、たっぷり飛べたことで宇都宮エリアを楽しんでいただけたのではないでしょうか?帰着を終えた選手には本格手打ちの日本そばトン汁をふるまい表彰式までの時間をお待ちいただきました。
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 さて、宇都宮CUP 2011も奇跡的に天候に恵まれ、タスクが2日間ともゴール者を出して成立。大会成立100%記録がまた更新されました!これも参加する選手の方々と大会スタッフの心意気のおかげと思います。 快く運営にお手伝いいただいた大会スタッフの皆様、JPA関係の皆様、様々なことでご協力いただきましたエアパークCOOの皆様、本当にどうもありがとうございました。皆様のおかげで無事に2日間の日程を終えることができました。今後も初心を忘れず、皆様に楽しんでいただけるような大会を開催していくつもりです。
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PNL第1戦 第8回JPAパラグライダーカップ in 富士山 レポート

開催地:静岡県富士宮市猪之頭フライトエリア及び朝霧高原
主催:WING KISS朝霧

レポート:宮田 歩

<プロローグ>
 2011年初戦は、今年も朝霧高原で開催されます。シーズンスタートとなる大事な一戦に、83名の選手がエントリーし、韓国からもGinglidersチームもスペシャルゲストとして参戦となりました。今回も西富士友の会のご理解、ご協力によりテイクオフを使用させていただきました。この時期最高のコンディションでフライトが可能な朝霧高原で戦える環境を与えてくださった皆様に、本当に感謝です。
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<1月15日(土)>
 日本海に発生した低気圧の接近により、一時的に冬型気圧配置は緩むことに。しかし、朝霧エリアにはこの冬型気圧配置が必要なのです。朝から高層雲が張り出してしまい気温の上昇を抑え込んでしまいました。それでも選手は7:30の受付には長蛇の列となってやる気モードです。
受付 スタッフミーティング
「上空に寒気が流れ込めば曇りでも上がる!」朝霧マジックを信じて西富士テイクオフへ移動。到着時の西富士テイクオフの気温は何と-3℃!気温減率は悪くありません。日照を期待しながら、テイクオフ下の道路で開会式とジェネラルブリーフィングを行われました。テイクオフからは、平野部を覆った逆転層が富士山をバックにびっしりと張り付いているのが見えます。むーん渋そう・・・。
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 タスクコミッティは主稜線を南北に往復する43㎞のタスクを決定。いつもの朝霧では簡単すぎるタスクですが、今日のコンディションでは難易度は非常に高くなります。あとはコンディションの好転を待ち、ウインドウオープンタイムを待つのみ。選手はいつでもテイクオフ状態で待機します。11時になると一時的に高層雲が薄くなるタイミングが出てきました。そしてウインドダミーもトップアウトするタイミングもでてきました。しかし、まだタスクには不十分・・。
タスクボード ウェイティング2
我慢のウェイティングが続きます。12時になると高層雲はますます厚みを増します・・・。低気圧の接近により、天気の好転はこれ以上見込めず、残念ながらタスクはキャンセルとなり、フリーフライトで下山となりました。
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本部のYMCAに帰った選手を迎えてくれたのは暖かいカレーうどんです。冷え切った体をと気持ちも温めてくれます。とっても美味しかったです。
 17:00からはフルーツパーティーの懇談会が開かれました。Ginさんへのグライダー開発ストーリーには熱心に耳を傾けていましたね。話題の2ライナーの話も聞け勉強になりました。
パーティ2 パーティ

明日は天候は回復しますが、上空にはこの冬一番の寒気の流入が予報されています。朝霧マジックとなるか!?

<1月16日(日)>
 YMCAは朝霧らしい快晴の朝です。しかし北風強風・・・。早朝富士宮の平野部はこのように北風が吹き下ろすことが多く、井之頭エリアに行ってみなくては分かりません。先行してスタッフはテイクオフへ風のチェックへ出発。選手は予定通り、受付し本部で待機し報告を待ちます。
 テイクオフスタッフが西富士テイクオフへ着くと、やはり猪之頭周辺は風が淀んでいるようです。もしかしたら・・・。競技ができる可能性はあります。選手はテイクオフへ移動となりました。テイクオフに着くと、GinTestTeamは競技前に、テストフライトを始めていました。北風特有の強烈なサーマルで、ロケットのように上がっていきます。ところが1500mほど上げきった空域から強烈な北風につかまり、グライダーは激しい乱気流を示し始めます。
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それでもランディングまで降りてくる様はさすがテストパイロット。パイロットの技術もすごいけれども、あんな状況でもグライダーが潰れないとは・・・。2ライングライダーの進歩もすごいものです。
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 さすがにこの状況では競技どころかフライトも不可能・・・。今日もキャンセルが決定し、残念ながら大会は終了となってしまいました。
 本部に戻ると今日は暖かいトン汁が振る舞われました。温まりました。
 閉会式では主催者の中川さんから、来年も大会開催を約束していただきました。大会を続けていただける主催者にもほんとうに感謝です。来年もよろしくお願いします。

 1月に入り、大会前日まで抜群のコンディションが続いていただけに、運が悪いとしか言いようがありません。来年は2月に予定されていますが、ぜひ好天の中朝霧らしいレースが行われることが期待されます。そして、第2戦となる宇都宮では頑張りましょう!


PNL第7戦 四国三郎ジャパンカップ レポート

開催地:徳島県美馬市美馬町 三頭山エリア
主催:四国三郎ジャパンカップ実行委員
レポート:只野正一郎


<プロローグ>
 今年で13年目になるのかな?日本国内では歴史のある大会地でフライトすると眼下に吉野川が徳島までズドーンと流れていて1000mを超えると北側に瀬戸内海や瀬戸大橋が見えてきます。山並みは東西に広がっていて、南向きの斜面はサーマル活動を活発にさせます。そこに冷たい北風が吹く条件になると荒く気性の激しいサーマルが発生しますが11月の日照ではちょうどいい感じになります。ヨーロッパのアルプスを思わせるような、そんなエリアの大会が四国三郎なんです。大会本部は四国三郎の郷にあって、ログハウスやキャンプ場も利用できていい環境です。四国といえばなんといってもうどんということで大会の期間中や帰り道には必ず食べてかえりたいですね。
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<大会初日TASK1>
 朝から少しもやのかかる接地逆転層が発生していたものの空は快晴でサーマルトップは1200mという予報でした。風は南~南東の予報で強さもちょうどいい感じです。タスクコミッティーではジャパンカップらしいレースをすることと、40%の選手がゴールできるようなタスクを考えて発表しました。タスク距離43km
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 レース展開は、デパーチャーオープン時間にスタートした組と後から追いかける組、テイクオフに時間がかかって遅れた組にわかれました。最初にスタートした組では扇澤、小幡、只野の3名でスピーディーなレースを展開していきました。中盤までは3人で抜きつ抜かれつだったのですが扇澤がワンレグ抜け出すような形になり只野、小幡が必死に差をつめる形でゴールまでいきました。今年のリーグチャンピオンの大澤はスタートを遅らしてトップを追いかける形をとりましたがトップ逃げ切りでした。結果的には、ゴール者23名で参加選手の3分の1がゴールできました。
 トップだった扇澤は1時間35分のタイムでフィニッシュしました。コンディションは予報どおりだったので高くても1200mと例年の北風リーサイドの条件の1500m↑と比べると渋い条件だったですね。
 フライト後は芋汁の炊き出しがあってほっこりぬくもることができました。
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<大会最終日TASK2>
 天気の予想と裏腹にコンディションはいまいちになってしまいました。接地逆転層がときより上空をカバーする層積雲に邪魔されてなかなかブレークせず、おまけに鉛直P速度も良くなくサーマルの見込みが薄い状態で12時過ぎまで待ちました。
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 ジャパンカップ、リーグの最終日、最後の最後まで戦う姿勢は崩せません。わずかな可能性を期待してショートタスクを組んでやってみました。タスク距離35km
 しかしながら、スタートからファーストパイロンまで飛んでいくのが精一杯で結果的にはわずかな点しか残らないものになってしまいました。
 閉会式は予定通り行われ、ジャパンカップの表彰とリーグの表彰が行われました。立派なトロフィーはそれぞれの選手に手渡されました。
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 今回もいろいろな方に支えられて大会を運営できました。これまでに大きなアクシデントはなくやっていけたのはたくさんの人の力添えあってのものだと感じています。


ありがとうございました。


PCL第8戦 宇都宮オープンカップレポート

開催地 : 栃木県宇都宮市 スカイパーク宇都宮
主催:スカイパーク宇都宮パラグライダースクール
レポート:藤川 稔


<プロローグ>
 今回で、3回目のとなったスカイパーク宇都宮でのチャレンジリーグファイナルイベント。高気圧に覆われ、好天の中、大会当日を迎えることが出来ました。今大会には、2010PWCスーパーファイナルで4位入賞したAljaz VALIC氏がゲストとして参加です。世界最速と名高いトップパイロットの飛びを垣間見ようと多くの選手たちが宇都宮に集結しました。各クラスの年間チャンピオン争いも最終戦の今大会までもつれこみ、選手たちも気合が入っています。そんな中、宇都宮ファイナルイベントスタートです!
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<11月6日>
 大会初日、雲ひとつない快晴です。しかし、高気圧どっぷりの気圧配置となり、宇都宮エリアとしては、渋めのコンディションが予想されます。今大会、タスク設定のコンセプトは、80%の選手がゴールでき、かつ、飛びがいのあるタスクを設定すること。どこまでのパイロンを使えるか?タスクコミッティは大いに頭を悩ませます。結果、オープンクラス33キロ、チャレンジクラス20キロのタスクに決定。ウインドウオープンとともに次々と選手たちはテイクオフしていき、上空でスタート時間を待ちます。
 デパーチャーオープンとともに、Aljaz VALIC氏が異様な速さでレースを引っ張ります。選手たちは、ハイペースで周回を重ねていきますが、時とともにサーマルトップは低くなり、コンディションは渋くなっていきます。オープンクラスの鬼門となったのは、B04パイロン。渋いコンディションに加え、強い向かい風。上位で周回していた選手たちもリターンできず、次々とランディングしていきます。そんな中ゴール間際まで、距離を伸ばしたのが、松原正幸選手籾山孝一選手、みごとな粘りのフライトです。
 チャレンジクラスでは、多くの選手がランディング後、急いでリフライトに望みます。トリッキーなコンディションの中、ゴールまでたどり着いたのは、土屋真樹選手、志水克行選手、渡辺美希選手、宇野登茂子選手、伊藤まり子選手の6名、ナイスゴールです。
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 夜は、毎年恒例ニューサンピアでの豪華なパーティです。競技事業部、鈴村氏による年間を振り返っての「なんちゃら王」の表彰やAljaz VALIC氏のスピーチ、3年連続でファイナルイベントを開催していただいたスカイパーク宇都宮谷田校長の表彰など、大いに盛り上がりました。
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<11月7日>
 大会2日目、予報に反して、朝から高層雲が張り、コンディションは中々サーマルコンディションへ移行していきません。お昼には、晴れるという予報を信じて、タスクコミッティは、オープンクラス24.3キロ、チャレンジクラス15.5キロのやや短めのタスクを発表します。
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 ダミーが上がると同時にウインドウオープン。急激にコンディションは好転し、絶好の条件となっていきます。初日同様、先頭を引っ張るのは、Aljaz VALIC氏、2日目は、2ラインのプロト機でのフライトということで、その異様な速さは、さらに極みを増します。上位を争ったナショナル選手たちに15分以上の差をつける脅威のタイム(33分)でゴール。世界のトップ、恐るべしです。
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 レースの展開はというと、オープンクラスでは、終盤までもつれたデッドヒートの末、ファイナルグライドで一歩抜け出した藤川稔選手がトップでゴールメイク、続いて正木選手が、10秒の僅差で2番手ゴール。3番手には、シリアル機ながら見事なフライトで窪島選手が入ります。女子では、村上恭子選手、高橋苗月選手が好タイムでゴール。この後も次々と選手たちがゴールに流れ込み、ゴール者は総勢30名。ゴールとなったサブランディングは、ファイナルイベントにふさわしい盛り上がりとなりました。
 チャレンジクラスの選手たちもがんばります。なんと総勢17名がゴール。トップを取ったのは、志水克行選手、約26分という圧倒的な速さでゴールを決めます。2番手は、初日トップの土屋真樹選手、3位には、最近成長著しい宇野登茂子選手が入ります。ここに来て、チャレンジクラスでは、新しい選手たちの台頭が目立つようになってきました。ぜひ、上のリーグにステップアップしてもらって、日本のパラグライダー競技を盛り上げてもらいたいものです。チャレンジリーグは、競技初心者のためのエントリーリーグである同時に、ステップアップしていけば、ワールドカップにもつながるステップアップリーグでもあります。ぜひ、世界を目指してがんばりましょう!
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 大会総合では、2日とも安定したフライトで結果を出した廣川靖晃選手がシリアル機ながらオープン総合優勝です!
単身プレワールドカップアメリカに出場して以来、急激な成長で、ナショナル勢を脅かす存在となりました。来年度、ナショナルリーグやワールドカップでの活躍が期待されます。2位3位には、2日目トップ争いをした藤川、正木のナショナル勢が入り、続いたのが、シリアル勢の窪島選手、星田選手。総合優勝の廣川選手は、年間シリアルクラスのチャンピオンにも輝きました。おめでとうございます。女子の部では、年間チャンピオン争いもかかった熾烈な戦いの中、2日間丁寧なフライトで成績を揃えた清水貴代子選手が大会総合優勝、そして、年間ランキングでも一気にジャンプアップして女子の部チャンピオンを勝ち取りました。おめでとうございます。2位、3位には、原良江選手、高橋苗月選手が入りました。2選手ともここ最近の大会では、表彰台常連です。今後の活躍に期待です。
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 チャレンジクラス総合では、先頭をきってテイクオフしていく積極的なスタイルが功を奏した土屋真樹選手が優勝。2位には、表彰台常連の志水克行選手、3位には今大会初ゴールを決めた宇野登茂子選手と新鋭たちの活躍が光りました。年間ランキングでも土屋選手が総合優勝、志水選手が準優勝に輝きました。女子の部では、年間を通じて安定した成績を残した伊藤まり子選手が優勝、2位に大熊和恵選手、3位に渡辺美希選手となりました。入賞した選手のみなさんおめでとうございます。
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 2日間好天に恵まれ、ファイナルイベントを飾るにふさわしい大会となりました。主催していただいたスカイパーク宇都宮の谷田校長始めスタッフのみなさん大変お疲れ様でした。


 来年度、スカイパーク宇都宮では、2月にナショナルリーグ第2戦を開催していただきます。条件が整えば、フラットランドを使った大きなクロカンタスクが設定される予定です。チャレンジリーグで活躍しナショナルリーグへのステップアップを目指す選手たちもぜひふるってエントリーしていただければと思います。


 多くの選手がゴールを決め、選手たちにとって大変満足の行くフライトが出来た大会だったかと思います。スタッフの皆様、本当にありがとうございました。


JPA/PCL 第7戦 高嶺カップ2010 大会レポート

開催地 長野県平谷村高嶺山パラグライダーエリア
主催 JMB中部パラグライダースクール
レポート 鈴村恵司


【一日目 10月23日】


レースと名の付く競技なのだから競う相手は当然、自分以外の選手であるべきだ。しかしこのパラグライダー競技は時として(いや今年は“しばしば”か)気象条件そのものと戦わされる場合がある。そして今回の「高嶺カップ2010」に参加した選手も難しいコンディションとひたすら格闘することとなった。(一般向けには暴風雨でのゴルフ大会とでも説明すれば良いのかも。)


けっして悪いとは言えない天気予報のもと、オープンクラス:38名、チャレンジクラス:26名が長野県南部に位置する平谷村高嶺山エリアに集合した。5キロも西へ行けば岐阜県、10キロちょっと南下すれば愛知県、まさに長野県南部の地である。


選手を迎えるスタッフは「JMB中部とんびいず」のメンバの面々、そしてスクール間で親交の厚い愛知県のパラグライダースクール「スカイトライ」のメンバも合流している。


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朝からの雲の多い天候の中、テイクオフでの開会式、ゼネラルブリーフィングと大会運営は粛々と進行する。ソアラブルなコンディションが本当に訪れるのか、選手、スタッフ、共に気もそぞろといったところ。タスクコミッティは、昨年のタスクを基本にさらに安易にしたものを設定し“その時”が来るのをまった。昨年はオープンクラスで18名、チャレンジクラスで9名のゴール者が出ている。


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雲が薄くなり日射量が増した11時過ぎにTO前でウインドダミーがソアリングを始め、オープンクラスで11時30分のウィンドウオープン、12時00分のデパーチャーオープンのエラップスタイムレースが開始される。時間の経過とともによりソアラブルになって行くだろうとの予想でチャレンジクラスの時間設定はオープンクラスの20分遅れで設定されている。


そしていつものようにコンペティショングライダーを擁する強者達がレースを引っ張る。雲底待機に成功した数機が12時のデパーチャーオープンに合わせてスタートパイロンに向かってレースを始める。


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タスクはTOのある高嶺山側の三角パイロンを3周し、国道をまたぎLDのある桐山側の往復パイロンを3往復するもの。チャレンジは三角をサイズダウンし往復が2回。


トップグループが三角パイロンの2周目に入ったところで、先に述べた戦う相手が気象条件に入れ替わって行った。オーバーキャスト、雲量増、リフトがなくなる。グライダーの高度がどんどん落ちて行く。レースどころではない、飛ぶだけで精一杯だ、選手の声が聞こえてきそうだ。(但し、これは高嶺山側の話、実は桐山側はソアラブルな条件を維持していた。)


高嶺山側のグライダーが一掃されたあと、日射復活、セカンドステージ到来。リフライトを待ちかまえた選手がTO。しかし、30分程で再度オーバーキャスト。またもグライダーがいなくなる。


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1時30分を越え、三度目の日射条件が訪れサードステージが開幕、するといつの間にかブーメラン7、ブーメラン5、アイスピーク3が高嶺山の谷間でセンタリングを始めている。ファーストフライトで高嶺山から逃げて桐山側で空中待機していたまさに強者、小幡、薬師寺、藤川の3選手である。ここまでで、すでにあっぱれなのだが小幡選手はさらに高度を稼ぎ、駒を進め、ついには2時過ぎに本日唯一のゴール者となる。いわゆる渋い条件の中32キロを完走。驚異的な粘り、という表現は単に重さや、つらさに耐えているような静的な印象があり適正ではないように思える。わずかのリフトを感知し、細やかなグライダーコントロールを行い、瞬時に次の移動を判断する。きっとココロもカラダも精密機械のように動き続けていたに違いない。


オープンクラスのシリアル機では廣川選手がサードステージの条件を使って14キロを飛び、薬師寺選手をも越えた。


チャレンジクラスは、やはりサードステージをうまく使い切った宇野選手が12キロを飛んでタスクトップに輝いた。この人、今年、PNLにもスタッフとして現れる。どの大会でも見かける人だ。


オープン、チャレンジ両クラスとも、半数以上がミニマム距離を越えられなかった条件でありディクオリティはオープン:0.195、チャレンジ:0.125。選手全員に均等な条件が与えられた訳ではない故のGAP計算値。それぞれの勝者が手に入れた得点はわずかなものとなった。もちろんだからといってゴールの栄誉は損なわれるものではなく、むしろ際だって見える。


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夕方には、ベーシックセミナーを開催。JPAパラグライダー・レスキュー認定検定会の講師をつとめ、レキューBOOKの校正も手がけたフリークライマーの南裏健康氏を迎えての講演である。内容は、飛ぶ人としての覚悟についてから始まり、1990年のトランゴ・タワーの新ルートでのソロ完登、そこからのパラグライダーでの滑空経験。さらには世界のクライミング事情の紹介など、興味深い話を数多く頂くことが出来た。


そして夜の交流会。大会本部にも使用させて頂いているレストラン将軍を借り切ってのパーティ。今日の苦心、明日への期待、明日の天気、選手の話題は尽きない。


【二日目 10月24日】


まぁ要するに曇り空である。低気圧も近づいており雨の降り出しも懸念されるところ。まさかのワンチャンスが訪れることを期待して、今日の気象条件(南東風、強め)に合わせたタスクを設定して冷たい風の吹くテイクオフで待つ。雨雲レーダーでは雨雲は北に抜けているようであるが、気象安定でソアラブルになる兆候は見られない。


結局、10時20分にタスクをキャンセル。フリーフライト、送迎車、思い思いの方法での下山となった。実際、フリーフライトは、ほぼぶっ飛び。競技になる日ではなかった。


最後にフライトしたのは、小幡選手。なぜか南の尾根でセンタリングして高度を維持している。まったく、この人ときたら、である。


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雨の降り出しはまだ先のことと思って野外の表彰式を設定したら、開始直前に霧雨となった。やれやれ。


賞品は大会実行委員長である片桐校長、手ずからの“鳥のまるごと薫製”やら“とれたて野菜”やら“リンゴ”やら。さらにはシャンパンシャワーなんてイベントも。


来年も開催されるそうです。いい天気になるといいなぁ。


さて2010シーズンのJPAチャレンジリーグも大詰め、2週間後に宇都宮大会、まさにファイナルである。