| 大会レポート
ジャム勝・サマーカップ 2017
レポート 鈴村恵司(大会競技委員長)
今年のジャム勝・サマーカップの成立は日本三霊山の一つで今年、開山1,300年を迎える白山のご利益次第となっていた。開催される週末に台風が本州東沖を北上する。本来ならドフォローとして流れ込む北東風(もちろんおそらく強風だ)をブロックして弱め、風向きを回り込みで北西に変えてくれるのではないか。期待を込めて祈った選手も多かったはず。
結果として一日目にN2リーグ、チャレンジリーグそれぞれにミニマム距離を越えた選手が3名づつ出て見事(?)成立となった。欲を言えばキリがない。ご利益(ごりやく)はあったと言って良いと思う。
【一日目】
◆競技
前日に現地のり込み組の選手は午後1時ぐらいまでは飛んだそうだ。その天気図は等圧線が込み入って東西にまたがるもので、大会初日の今日と似通っていた。いけるかも、期待が高まる。但し、朝の晴天から状況が変化し、だんだんテイクオフに雲がかかり始める。全体的に曇天。これが昨日との違いであった。
いつものようにテイクオフで開会式、ブリーフィングをすませ、タスクを決め、あとはウィンドゥオープンを待つだけまで漕ぎつけた。
「午後1時には北風が強くなる」の予測のもと、基本、東西を往復するウェイポイント(WP)を選び組んだタスクはN2で19km、チャレンジで15km(WP中心距離)。どれだけ早くウィンドオープンして選手が飛び続けられる時間帯を長く出来るかで成立か否かが決まる。
果たして11時過ぎには日射が届き始める。地元の腕利きのフライヤーには頑張って頂いた。まだまだリフト発生は予感の段階で出て頂き、粘りの飛びでおそらくエリアで最初に発生したサーマルで目線以上まで上げてくれた。お見事、もっとも効率的にウィンドゥオープン出来た、感謝。
11時30分にまずチャレンジリーグがウィンドゥオープン。苦しみながらも高度を稼いでいく。チャレンジリーグのデパーチャーオープン時刻は12時ジャスト。ありがちながら12時前後にコンディションが落ちスタートした選手は苦しむ結果に。
N2リーグは12時15分のスタート。しかしテイクオフにはまだ選手が残っていた。さらに12時20分過ぎには北東フォロー風が入り始め、テイクオフする選手の流れが悪くなる。12時30分すぎにはテイクはサイドフォロー。ランディング付近ではゲインしている選手はいるもののテイクオフ付近のWPを取りに戻ってくるのはとても困難となった。
12時39分にタスクストップ。列に並びつつテイク出来なかった選手や、沖で上げていた薬師寺選手と星田苗月選手には申し訳なかったが、この後のさらなる強風化の可能性に競技委員長の心が折れた。
結果としてミニマムを越えてタスクを成立して頂いた選手名を挙げておこう。
[チャレンジリーグ]
1位 ゼッケン561 荒金正之 選手
同率2位 ゼッケン523 藤原雅宏 選手 & ゼッケン535 西川慎治 選手
[N2リーグ]
同率1位 ゼッケン25 中村雅彦 選手、ゼッケン52 吉川朋子 選手、ゼッケン71 関根順
〈競技の様子はこちら〉
〈競技の様子その2〉
〈リザルトはこちらPCL〉
〈リザルトはこちらN2リーグ〉
◆ウエルカムパーティ
2日大会で一日だけ飛べるとしたら初日の方が良い。コンペ仲間との夜の楽しさがその日飛べたかどうかで全く変わるからだ。リザルトを見れば自分の成績に不満足な選手が圧倒的に多いはずであるのにみんな楽しそう。若い大会スタッフをバーベキューテーブルに招き入れ、選手間だけではく年齢差をこえた交流会となった。以前は大学生のスタッフ(福井県大パラグライダー部?“そりゃーず”の皆さん)とそれなりに年齢を重ねた選手の交流はややよそよそしかったように思う。でも今はなんだかとても楽し気に会話する。毎年のように参加する選手、4年間とは言え経験を後輩に継承する学生、初対面でもフランクに話が出来る土壌が育ったようだ。
〈パーティの様子はこちら〉
【二日目】
◆競技
予報は好転しているように見えた。西高東低から高気圧が東に流れて(いわゆる)緩んでゆく気圧配置。風予報も初日より全時間帯で1m/secほど低い。
しかし、結局、選手が飛ぶことは出来なかった。強い北東風の中、13時30分までテイクオフで待ちタスクキャンセル。初日の成績での表彰が決定した。
唯一、ふらっと訪問してきた扇澤さん(この人をどんな枕詞で紹介するのが適当なのかわかりません)が13時過ぎにテイクオフ。テイクオフ前の横風に振られはしたが、飛んでしまえばしっかり上げていた。とは言うもののランディングでは対地速度極小で降りたとたんに天気雨が降ってくるようなコンディションでのフライトであった。
〈こんな感じ〉
◆閉会式・表彰式
チャレンジ、N2の両リーグの各3名を表彰。余った賞品はくじ引きで分配した。これにて終了。選手は次の大会を目指すが、主催者、スタッフにとっては大会は一年に一回の出来事。また一年越しの願掛けが始まる。最後の集合写真で使われた掛け声、「来年は二日目も飛ぶぞ」が実現されることを祈ろう。選手の皆様、それではまた来年ご集合ください。よろしくお願い致します。
〈閉会式の様子もこちら〉